熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ランボーグの逆襲 プリキュア大苦戦

ランボーグの登場に悲壮な覚悟を固めたスノーは他の三人の静止を振り切って飛び出した。

 

「(私が……何とかする……私の存在価値を証明する……。皆に……いなくなってほしく無いから……)」

 

スノーは今にも三人へと泣いて縋りたかった。自分を捨てないでほしい。一人にしないでほしいと。それでも、ソラに突き放されてしまった以上……その行為が無意味だと思えてしまったのである。

 

だから勝てないとわかってる相手に無謀に挑む事にした。もし奇跡が起きて、勝つ事ができたら……自分の事を手放さずに友達として側に置いてくれると。それからスノーは屋上へと到着すると目の前にいるランボーグ相手に向かい合う。

 

『へっ、今日はお前一人か?』

 

「……皆は来ないよ……。今回は私が一人で倒すから!」

 

『チッ……俺様に数回勝てたからって調子に乗りやがって……。俺様の方がTUEEEって事を思い知らせてやる!』

 

カバトンは最初から自分の事を叩き潰すつもりだと悟ったスノーは友達に捨てられる恐怖で震える脚をどうにか隠しつつ自分の持てる全力を出そうとした。

 

「真っ向勝負よ……。ヒーローガール……」

 

スノーが浄化の光を脚に集約して跳び上がるべく構えた瞬間、突如として彼女の右側から殺気を感じるとすかさず防御姿勢を取る。

 

「ッ!?」

 

その直後、スノーの腕に衝撃が走ると少しだけ後ろに押し戻されて堪えた。

 

「今のを抑え込んだか。キュアサンライズより力は無くても技術面で上回ってると見て良さそうだな」

 

「あなたは……シャドー」

 

『お前!いきなり何するのねん!』

 

カバトンは折角目の前にいるキュアスノーを最初に仕留めようとしたらシャドーに横取りされて憤った。

 

「コイツは俺が相手する。異論は認めない」

 

『折角最強にTUEEEランボーグを作ってプリキュアを叩きのめすチャンスだってのに余計な事をするな!』

 

「お前の都合は知らない。そんなにプリキュア相手に鬱憤を晴らしたいのならもうすぐ次の奴等が来るからそいつらに晴らしておけ」

 

「ッ……」

 

シャドーはそう言ってスノーの方を向くと彼女は身構える。その直後、シャドーの体がブレるとスノーはまた防御の構えを取った。

 

「ぐ……きゃああっ!」

 

スノーはその直後、シャドーからの飛び膝蹴りをガードの上から叩き込まれると数秒はその場で堪える。しかし、最終的には耐え切れずに吹き飛ばされてしまった。

 

スノーの悲鳴が響き渡った直後。スノーを追いかけて建物を登ってきていたスカイとサンライズが到着する。

 

「今の悲鳴……まさか、ユキさん!?」

 

「スカイ落ち着け。今は目の前にいるアイツだ!」

 

サンライズに言われてスカイはひとまず自分達の頭上にいる電車ランボーグと中にいるカバトンと向き合った。

 

「カバトン、あなたですか?ユキさんをやったのは!」

 

『煩せぇ!それだったら俺様はこんなに不機嫌じゃ無いのねん!あの野郎。後で覚えておくのねん……』

 

「その感じだとスノーを連れ去ったのはシャドーか……」

 

サンライズはその場の状況からスノーがシャドーに連れ去られたのだと察する。

 

「(流石に一撃でやられたなんて事は無いだろうけど、今のスノーのメンタルを考えたらそのままにもできないし……。かと言ってスカイの方も一人にはさせられない)」

 

サンライズはこの状況でスノーとスカイ。どちら側のカバーを優先すべきか思考する。ここで選択をミスすればもう一人も救えないため、サンライズはすぐに結論が出せなかった。その思考の時間が彼の判断を遅らせてしまう。

 

「あなた達がユキさんを……よくも……。絶対に許しません!私があなたを倒します!」

 

スカイはスノーを手にかけたカバトンとシャドーへの気持ちを昂らせると構える。尚、カバトンの方は完全なとばっちりだったが。

 

『だから誤解だって言ってんだろ!?そこに二人揃ってるのにわざわざ一人で来るなんて舐めた真似しやがって』

 

「ひとりぼっちを恐れない……。それがヒーロー!」

 

「……は?」

 

スカイはカバトンからの言葉に見栄を張ると一人でもやれると言わんばかりに声を上げた。そんな彼女の様子にサンライズは一瞬唖然とする。

 

『何がヒーローだ。お前なんかより俺の方が……TUEEEんだ!』

 

そして、スカイからの宣告を受けたカバトンの方も完全に舐められていると判断して苛ついてしまう。

 

『キュアスノーには逃げられたが、まずはキュアスカイ。お前からなのねん!』

 

「ランボーグ!」

 

その感情のままカバトンはランボーグへと攻撃を指示。ランボーグのその巨体を突撃させてくる。

 

「勝負です!」

 

スカイも最速で決めるべく跳び上がり、浄化技を発動。青空をバックに急加速。自らの体を青い拳と化して技を放った。

 

「ヒーローガール!スカイパンチ!」

 

「ランボーグ!」

 

ランボーグはスカイパンチに合わせるかのように加速によってついた勢いのまま、その拳を突き出す。スカイとランボーグ。二人の拳が激突し、押し合った。

 

「はぁあああっ!」

 

「ランボオオグ!」

 

スカイはどうにかランボーグを押し切ろうと全力で力を込める。二つの拳のぶつかり合いは暫くの間拮抗こそしたものの、やはりカバトンの渾身のランボーグという事でパワーの上でランボーグが圧倒。あっという間に押し切られてスカイは撃墜されてしまう。

 

「ランボーグ!」

 

「くぅう……きゃあああっ!!」

 

『いっひっひっひ!YOEEE!』

 

スカイは無惨にも屋上に激突し、それと同時に体が傷つくと激痛が走る。その痛みにスカイは耐えながら立とうするが、なかなか体は言うことを聞いてくれない。そのタイミングでサンライズが駆け寄ってきた。

 

「スカイ、大丈夫か?」

 

「このくらい平気……ッ」

 

「スカイにこんなにもダメージを与えるなんて、アイツ。強い!」

 

『コイツは俺様がおでんのカロリーを全部注ぎ込んで作ったランボーグなんだ!このくらい当然なのねん!』

 

「ランボーグってやっぱり召喚にカロリー使うんだ……」

 

以前、裏山で戦闘をした際に一度ランボーグを浄化した後にカバトンがキノコを食べてランボーグを召喚する事が可能になっていた。何となくランボーグの召喚には相応のエネルギーが必要なのだと予想。それが当たった形となる。

 

『次はお前なのねん!』

 

「ッ……」

 

サンライズは次のターゲットを自分にされたために構えを取る。ただ、スカイパンチさえも正面から叩き潰したランボーグ相手に自分の長所であるパワーが通用するかと言われると正直不安があった。そして、パワー以外の分野となると自分はスカイの劣化に等しい。

 

「それでも戦うしか無いか……」

 

サンライズはどうにかランボーグを相手に戦う事を決断。そんな時だった。下からようやくプリズムが跳び上がって降り立つ。

 

「皆、お待たせ!」

 

「プリズム……と、へ?」

 

そんな中、プリズムの近くにはスリングをフワフワと浮かばせてその上に乗ったエルがいた。そのため、サンライズとスカイは目を丸くする。

 

「「エルちゃんが飛んでる!?」」

 

「えるぅ!」

 

エルの事はさておき、降り立ったプリズムはまず倒れてしまっているスカイへと駆け寄った。

 

「スカイ、立てる?」

 

そう言いつつ手を差し出すプリズムにスカイは僅かにふて腐ったような顔をするとそっぽを向いてしまう。そんな彼女にプリズムが不安そうな顔を浮かべると更に周りを見て一人足りない事に気がつく。

 

「そういえば、スノーは?」

 

「俺達が来た時にはスノーもいなかった。……多分だけど、シャドーに連れて行かれたんだと思う」

 

「ッ、そんな……」

 

プリズムはスカイだけで無くスノーも窮地に陥っている事を知って余計に不安になる。ただ、サンライズにはある仮説があった。

 

「心配しなくても多分スノーは大丈夫。俺やスカイが到着した時、スノーが屋上に到達してからそんなに時間的なロスは無かった。多分、別の場所に移動しただけだと思う。シャドーかこの前と同じくらいの力で攻撃していればだけど……」

 

サンライズは以前の戦いで手加減した場合のシャドーの攻撃の威力は身を持って味わっている。加えて彼の性格的に純粋にスノーとの戦いを楽しむ可能性が高いため、ダメージはそれなりに受けたとしてもワンパンされて気絶したという可能性は低いと感じたのだ。

 

「そっか。でも、どうする……多分あのランボーグは……」

 

「正直、かなり強い。今のバラバラの俺達じゃ勝てないだろうな」

 

その言葉にスカイは悔しそうに拳を握り締める。だが、スカイも薄々わかっていた。自分が全力で挑んでも届かない相手に自分と同じくらいの力の他の三人がバラバラに行っても返り討ちに遭うのが関の山だろう。

 

そんな中でカバトンの方は獲物が増えたためか、やる気は更に上がっていた。

 

『来たな四匹目!そして……五匹目!』

 

こうなるとカバトンの狙いは当然ここに来た最初の目的であるエルだ。そして、それをサンライズは察知するとプリズムに耳打ちした。

 

「プリズム……」

 

「えっ、でも……」

 

「頼む。こっちもできる限りの事はするから」

 

「……うん」

 

『相談の時間は終わりだ。プリンセスを貰ったぁ!』

 

とうとう我慢の限界となったカバトン。彼は早速ランボーグを動かして四人へと襲いかかる。そのタイミングでサンライズが前に出ると技を発動。その間にプリズムがエルを抱えるのと同時にスカイを突き飛ばす。

 

「これでも喰らっておけ!ひろがる!サンライズブレイク!」

 

サンライズが拳を思い切り突き出すとそれが上からでは無く正面から巨大な炎の鉄拳となってランボーグの顔面に激突。

 

『無駄だ!ランボーグ!』

 

「ラン……ボー……グ!」

 

ランボーグが力を込めて突進すると炎の拳は力負けして砕けてしまう。ただ、それと同時に爆発して煙幕が張られた。

 

『ッ!?』

 

ランボーグがその煙幕を突き抜けるとそこには誰もおらず。完全に逃げられた形となる。

 

『チッ……。お客様のお呼び出しを致します!プリキュア様〜!』

 

しかし、当然なから誰も返事を返さない。そのため、カバトンは怒りを露わにした。

 

『どこだ卑怯者!出て来いなのねん!』

 

カバトンが血眼になってプリキュアを探す中、時間を少し遡る。それは、最初に吹き飛ばされたスノーの吹っ飛んだ先だ。

 

「ッ……ううっ……」

 

スノーは吹き飛ばされると屋上から叩き落とされて一度は別の屋上に行ったものの、そのまま転がってしまうと建物の淵にまで追いやられていた。辛うじて建物の角を掴んで落下を免れたものの、体に多少痛みが走る。

 

「早く行かないと……」

 

スノーはどうにか屋上に復帰すると視線の先にランボーグとそれに向かっていくスカイが映った。

 

「ッ!スカイ!」

 

だが、少しの拮抗の後にスカイは吹き飛ばされてしまう。勿論スノーにもその様子はバッチリと見えた。

 

「そんな……」

 

「おっと、動揺している所悪いが。お前の相手は俺だ」

 

そこにシャドーが降り立つとスノーへと告げる。スノーは早くスカイを助けないとやられてしまうと考えるが、ここでシャドーを無視して行くと彼が何をするかわからない。だったらここで自分が素早く倒せば良いと向き合った。

 

「……わかった。じゃあ、あなたを倒してスカイを助けに行く!」

 

スノーはシャドーへと向かって行くと早速拳を繰り出す。それをシャドーは防御。すかさずスノーが右後ろからの回し蹴りを放つ。しかし、シャドーはそれを下がって避けた。

 

「はあっ!」

 

それからスノーは次々と攻撃を繰り出すが、それらは全て防がれてしまう。

 

「ッ、何で……」

 

「何で?はこっちの台詞だ。はあっ!」

 

「くっ!」

 

シャドーが左腕で腹辺りに突きを繰り出すとスノーは思い切り後ろに跳んで避ける。

 

「お前、何を焦ってる?」

 

「あなたには関係無い!」

 

「……いいや、関係ある。お前にはあくまでいつも通りで相手してほしい所なんだ。焦って単調になった攻撃をしてほしいわけでは無い」

 

スノーは唇を噛み締めるとどうにか冷静になろうとする。しかし、少しでも遅れたら手遅れな事態になるとスノーは考えてしまうととてもでは無いが冷静になる事はできなかった。

 

「だったら!」

 

スノーは地面へと爪先で軽く叩くと屋上が凍結。シャドーの足元が完全に凍りついた。

 

「む?」

 

「はあっ!」

 

スノーはそのまま踏み込むと前に跳躍。一気に接近して右脚での中段蹴りによってシャドーの脇腹を狙う。

 

「だから、単調過ぎだ!」

 

シャドーはその瞬間、上体を後ろに逸らすと攻撃を回避。そのまま氷を破壊しようとした。

 

「ううん、まだだよ!」

 

スノーは中段蹴りを回避された瞬間に蹴りに使った脚を凍った地面に突き刺す形で固定するとそのまま浮き上がった左脚で逸らした状態から戻ってきたシャドーの顎辺りを思い切り蹴り込む。

 

「ッ!!」

 

シャドーはそれに当たると流石に顎ならダメージを受けるのか、顔を歪めた。

 

「良し!」

 

そのままスノーは攻撃の反動で後ろに跳ぶとすかさず技を発動して飛び出す。

 

「これで終わり!ヒーローガール!スノーインパクト!」

 

スノーはシャドーとの決着を速攻で付けるために先程の攻撃でシャドーを仰け反らせて隙を作った。そして、右脚に氷のエネルギーを集約。そのままシャドーの体を目掛けてボレーキックを繰り出す。

 

「はぁああっ!」

 

その一撃がシャドーの胸辺りに命中して彼を撃破する。少なくともスノーはそのつもりだった。しかし、次の瞬間。シャドーはその一撃を左手一本で受け止めてしまう。

 

「ッ!?嘘……」

 

スノーは攻撃を止められても浄化の力さえ流し込めば次に繋がるという事で咄嗟にエネルギーを押し込む方向に変化させる……しかし、シャドーの目が発光するとシャドーに流していたエネルギーが逆流。スノーは右脚を中心に凄まじい痛みに見舞われてしまう。

 

「うっ!?あああっ!?」

 

そのまま完全に技の勢いが殺されるとシャドーは手を離し、スノーはその場に叩きつけられると同時に地面の凍結が消え失せた。

 

「はぁ……はぁ……どうして……」

 

「……言っただろ?焦り過ぎだと。それと逆に聞こう。何故あの程度で俺に勝てると踏んだ?キュアサンライズとそう大して大きな力の差が無いのにお前は俺に速攻を仕掛けて勝てると思ったのか」

 

スノーは痛みに悶えながら立ち上がるものの、その直後に右脚に痛みが走る。

 

「ぐうっ……脚が……」

 

これは先程エネルギー逆流の際に右脚がその攻撃に一番近かった事もあって一番酷く傷ついてしまったのだ。スノーは苦痛の顔を浮かべながらもまだ戦う意思を見せる。

 

「ほう。それでも闘志はまだ失ってないか」

 

「当たり……前。私はここで倒れるわけには行かない。……このまま倒れたら、きっと私は……」

 

スノーは怖かった。このまま彼を倒さないまま戦闘が終わってしまったら、自分はただ無意味に傷ついただけになる。そうなれば他の三人はランボーグを倒したのに自分だけ何もできなかったと。酷く後悔に塗れるのは目に見えていたのだ。

 

「はぁ……。今のお前を倒しても面白くないんだがなぁ……」

 

シャドーは仕方ないと言わんばかりに背中に挿していた刀を抜くと円月殺法の構えを取る。それはシャドーが以前自分に凄まじいダメージを与えたあの技だった。

 

「失せろ。ひろがる!シャドーブラッドムーン!」

 

シャドーから繰り出された刀による斬撃。それを脚を痛めて機動力が鈍ったスノーに回避できるはずが無い。

 

「ッ……」

 

スノーは痛みを覚悟して防御姿勢を取る。しかし、技が命中する寸前。いきなりスノーの目の前に影が割って入るとその攻撃を炎を纏わせた左腕の拳で迎え撃つ。

 

「はあっ!」

 

そこにいたのは先程カバトンのランボーグの突進でできた煙幕を使って逃れたサンライズである。

 

「む……?」

 

シャドーが首を傾げる中、サンライズはそのまま斬撃を右腕も使って受け止めるとその勢いを殺そうとする。

 

「スカイに教わったやり方は……こうして、こう!」

 

彼はそのまま荒れ狂う力を自身の体を動かつつ受け流して二人の目の前の地面にぶつけるとそのエネルギーは爆発。それが晴れる頃には二人はいなくなっていた。

 

「……アイツ、少しは前よりも強くなっていたか。少なくともあの時のような脳筋では無くなってたな。まぁ良い。アイツらがこのまま去るとは思えないし……待つか」

 

そのままシャドーは一旦見逃した二人を敢えて積極的に探そうとはせず、戻ってくるのを待つことになる。




また次回もお楽しみに。
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