オーロラ、ムーンライズのコンビがヒューストム相手に戦う中で同時並行してウィング、バタフライ、アポロン、アルテミスの4人がスーパーバッタモンダー第二形態と化したバッタモンダーと交戦する。
「「はぁあああっ!」」
「ふふっ、来なよ!」
まずはウィングとバタフライによる同時攻撃によるラッシュを仕掛けるが、バッタモンダーはそれを全て軽くあしらってしまう。
「あははっ!君達の全力はこんな物かい?僕はまだ半分ちょっとくらいしか出してないよ」
「ッ、だったらこれでどう!」
するとバタフライとウィングは一瞬でアイコンタクトを済ませてから少しずつ2人の距離感を空ける形でバッタモンダーの両サイドへと移動していく。つまり、正面からの2人同時から完全に挟んだ状態でのラッシュである。
「流石にどっちか片方ずつしか見れない状態なら!」
「ボク達が有利です!」
2人の位置がバッタモンダーも含めて完全に一直線に並んだ瞬間。ウィングが左腕でのパンチ。バタフライが右脚での上段蹴りを放とうとする。
「「はぁっ!」」
「……それがどうかしたのかい?」
だが、その瞬間。ウィングのパンチとバタフライの上段蹴りは両方共バッタモンダーにあっさりと受け止められてしまう。
「確かに君達の連携は厄介だ。少し前の僕だったらやられただろうね?……でも、根本的な能力差はどうしようもできないよ!」
そのまま2人の腕や脚を握る力を強くするバッタモンダー。そのせいで2人は握られている部分に痛みが走る。
「くうっ……」
「ううっ……」
2人が苦しそうにしている中、それを打開するためにアルテミスがバッタモンダーの正面に現れた。
「でも、そう言うあなたは油断し過ぎよ!!」
「うん?」
「これでも喰らいなさい!」
アルテミスはウィングとバタフライをカバーするために両手を合わせるとその中に氷のエネルギー弾を生成。至近距離からバッタモンダーへと命中させようとする。
「はぁ……。本当に君はおめでたいね?」
「はあっ!」
それをバッタモンダーは慌てるどころか呆れたような顔を見せると同時にアルテミスがエネルギー弾を発射。
「あれれ、君は何処を狙って撃ったのかなぁ?」
「なっ!?」
だが、この至近距離から放ったにも関わらずバッタモンダーに避けられてしまう。そして同時にウィング、バタフライ、アルテミスの3人が一箇所に固まってしまった。
「あははっ!そんな風に一箇所に固まっちゃうのは危ないよ?狙ってくれって言ってるような物だしさ!」
バッタモンダーはそう言って3人を纏めて攻撃するために両手から飛蝗型のエネルギー弾を弾幕として連射。それに対してバタフライが咄嗟に反応すると蝶型のバリアを展開する。
「くっ!?」
「そういえば君にはそのバリアがあるよね。……だけどその程度で止まるとか思ってるわけ?」
バッタモンダーが笑みを浮かべつつそう言うとバリアは少しずつヒビが入っていく。
「ッ……くううっ……」
「あははっ!それじゃあやられるのも時間の問題なんじゃない?」
「……アンタこそ迂闊すぎないかな?私にばかり気を取られて良いわけ?」
バタフライは苦しい状況に置かれてこそいたものの、それでもまだ絶望はしていなかった。そして、同時にバッタモンダーがバタフライを……と言うよりはその近くを見ると少しだけ驚いたような顔をする。
「ッ、キュアバタフライだけ?」
「気がつくのが遅いよ!」
その瞬間、バッタモンダーよ後ろに気配を感じ取るとそこにはアポロンがおりガラ空きのバッタモンダーの背中へとダブルスレッジハンマーを振り下ろそうとしていた。
「はあっ!」
しかし、そのタイミングでバタフライのバリアが壊れてしまうとバタフライは自分に放たれていた飛蝗型のエネルギー弾の餌食になってしまう。
「きゃああああっ!?」
その直後にガラ空きとなったバッタモンダーの背中にアポロンからのダブルスレッジハンマーが振り下ろされてバッタモンダーはダメージを受ける……が、そのダメージ自体が大した事無いのか。平然とした顔つきで振り返る。
「……ふふっ。それで君は全力かい?」
「ッ!?」
「「バッタモンダー!」」
「うん?」
すると声が聞こえて来て先程バタフライの近くから移動していたウィングとアルテミスがバッタモンダーへと向かってきていた。
「まだまだ!はぁあっ!」
バッタモンダーがそれに一瞬だけ気を取られた瞬間。そこにまだ彼の後ろを取る形でいたアポロンが追撃をかけようとキックの体勢で迫る。これでウィング、アルテミスと共に3対1の状況が完成。一気に決めようとしていた。
「ふふっ。確かに3人がかりで来られるのはちょっとヤバいかもねぇ。だねど、根本的に君達はさぁ」
バッタモンダーが余裕そうにするとアポロンから繰り出されたキックを何と真正面からあっさりと受け止めてしまう。
「なっ!?」
「僕をどうにかするには力不足なんだよ!!」
そのままバッタモンダーはアポロンをジャイアントスイングのように振り回すと自分の方に攻撃するために接近して来ていたウィングやアルテミスを巻き込んで投げ飛ばしてしまう。
「「ッ!?うわぁああああ!!」」
「あーっはっはっはっは!!」
バッタモンダーが高笑いと共にまたエネルギー弾を弾幕として連射。そして、防御手段に乏しい3人はどうする事もできずにまともに喰らってしまう。
「「「ああああああっ!?」」」
3人がエネルギー弾に巻き込まれると爆発が発生。周囲に煙が発生するとそこに小さな蝶のエネルギー弾が飛んでくる。
「バタフライキッス!」
「ふん。今更こんなチンケな攻撃でどうにかなると思うな!」
バッタモンダーが腕を横に振ることでバタフライキッスを一撃で粉砕。しかも触れた瞬間に発生する爆発の方はバッタモンダーに対してほぼノーダメージである。
「はぁっ!」
ただ、バタフライはその機に乗じてバッタモンダーの正面に飛び出すと跳び上がりつつの左脚での回し蹴りをバッタモンダーの首の右側辺りに命中させた。
「ダメダメ。折角無防備な首をやらせてあげたんだからさ。もうちょっと頑張ってよ」
「えっ!?」
どうやら、バッタモンダーはわざと首の辺りをバタフライに打たせたようであり。その状態で平然とした笑みを浮かべる。これはつまり、バッタモンダーにとってはこの程度は大した事にすらならないようだ。
「嘘……」
「君達はさ。勘違いしてるんだよ」
するとバッタモンダーがバタフライの左脚を掴むと無理矢理バタフライの体を自分の前に引き寄せる。
「うわっ!?」
そして、彼女の頬に手を置くと邪悪な笑みを彼女の目の前で見せつけたバッタモンダー。それにバタフライは寒気を覚えるが、逃げ出そうにも体が恐怖に駆られたようで動かない。
「ひっ……」
「キュアムーンライズを助け、シャララ隊長を助け。このまま全員でかかれば僕やヒューストムを倒せる。……そう思うのは勝手だよ。だけど現実はそんな簡単に行かないものさ。こんな風にさ!!」
「が……ああっ……」
バッタモンダーがそう言うと恐怖で動けないバタフライの無防備な腹に強烈な拳をめり込ませるとそのまま容赦無く彼女を殴り飛ばす。
「ああああああっ!?」
「バタフライ!ッ、くそっ!」
バタフライが吹き飛ばされたのを見たアポロンはどうにか先程のダメージを振り切ると飛び出そうとする。しかし、先程と同じようにしたって勝てないのは明白。
「近接戦がダメならこれで!」
アポロンが地面に手を置くと地面から火柱を次々と発生させるとバッタモンダーの周囲を取り囲み、それがバッタモンダーを周囲から押し潰すように命中する。
「ぐうっ……」
「良し、このまま!」
「うわぁああああ!や、やられ……」
バッタモンダーもとうとう万事休す……とは流石に行かないわけで。バッタモンダーのわざとらしい叫び声はあっという間に終わると笑みを浮かべる。
「なーんちゃって。そんな程度聞くわけ無いだろばーか!!」
バッタモンダーが気合いを入れると一瞬でそれを吹き飛ばしてから一気に加速。アポロンの目の前に現れた。
「遅せぇんだよ」
「ッ!?ぐはあっ!?」
直後にバッタモンダーの膝蹴りがアポロンに命中。彼が地面へと打ち付けられるとそこにどうにか起き上がったウィングとアルテミスが心配して駆け寄る。
「アポロン……」
「大丈夫?」
「ああ……」
「ッ、4人でかかっても勝ち目無しだなんて」
そして、先程バッタモンダーに文字通り腹パンされたバタフライも痛むお腹を抑えながら立ち上がって苦しそうな顔を見せていた。
「何ですかこの力。前に見た時とはまるで……」
「あはっ。事情を知らない君達に教えよう。一言で言い表すならこれは僕の進化だ」
スーパーバッタモンダーの第二形態に至った経緯を知らないウィングが前以上に強くなったと感じるバッタモンダーの強さに困惑。そのためバッタモンダーが軽くそれを説明する。
「キュアバタフライが僕の事を追い詰めてくれたお陰で僕は更なる進化を遂げたんだ。要するにこうなったのはキュアバタフライのせいって事なんだよねぇ」
「ッ……ごめん……私のせいで……こんな……」
バタフライはバッタモンダーにそう言われて胸の中に罪悪感が湧き出してしまう。そもそもあの時バッタモンダーの裏をかいて全力の一撃をぶつけた際にしっかり決め切っていればバッタモンダーが進化するという事態になっていなかった。
そのため、バタフライは自分の力の無さを悔やんでしまう。それを見たアポロンがそっと肩に手を置きつつ話しかける。
「大丈夫だ。バタフライ」
「でも、私がカッコ良く決めてればこんな事には……」
「まだ状況は最悪になってない。俺達は全員揃ってるし、全然動く事もできる。むしろ、バタフライはよく1人であのバッタモンダー相手に耐えてくれたよ」
アポロンはあくまでバタフライが先程の戦闘の間、1人でバッタモンダーからの猛攻を耐えてくれた事に対して感謝の気持ちを伝えた。
「でも!それじゃあ全然ダメで……」
「……ダメなのは俺達の方だよ」
バタフライが自分を卑下しようとするとアポロンが間髪入れずにそれを否定する。
「バタフライ以外の俺達は自分でアサヒ君を取り返しに行ったユキちゃん。オーロラ以外全員2人がかりじゃないと相手を足止めできてない。それをバタフライは1人でやってのけたんだ」
「ッ!」
アポロンの話は本当である。実際、オーロラがムーンライズを。そしてスカイとプリズムがシャララ隊長を取り戻すまでの間、プリキュア達は4人の敵をそれぞれが受け持つ形で止めていた。……しかし、バッタモンダーの実力が他と比べて数段劣る事を鑑みてもバタフライは彼を単独で止めれている。しかも、その途中でバッタモンダーがパワーアップした上でだ。
「だから全然恥じる事でも何でも無いし、むしろ俺達からして見たらバタフライは十分強いよ」
「アポロン……ごめん、また支えてもらっちゃって。本当に情けない話よね。ずっと皆を支える立場にならないとっていつも思ってるのに。実際はこうやって助けられてばかりで」
「それで良いじゃないですか」
バタフライは自分が頼られるべき大人の立ち位置なのに自分よりもアポロンことかけるの方が頼り甲斐がある場合ばかり。そのため、バタフライは自分力不足が原因であると痛感している。するとそこに入って来たのはウィングだ。
「ボクはそんなバタフライの事を責めるつもりはありませんし、今のバタフライも十分頼りになりますよ」
「私だって、バタフライはアポロンとは違う意味で頼りになると思ってます。だって、バタフライがその場の雰囲気を引っ張ってアゲてくれるから。皆はテンションを高く保っていられる」
「確かにバタフライにとっては理想的じゃないかもしれないけど、俺も他の皆もバタフライに深刻な顔をされるくらいなら幾らでもバタフライを支えようとする。だって、今のバタフライは……あげはさんらしくないから」
バタフライは3人からそう言われて胸に温かさを感じる。そして、同時に自分は求める理想ばかりを追いすぎて本来の自分の良さを失いかけているのだと感じ取った。
「私の力で皆がアゲになってくれる」
バタフライはもう一度そうやって呟くとバッタモンダーは4人が話しているのをチャンスと捉えたのか。1番メンタル面でやられていそうなバタフライを狙って突撃する。
「ふっ。お喋りするのは良いけど、その間ずっと隙を晒してる事になるよ!」
「ッ!しまっ……」
「させるか!」
ただ、バタフライの目の前にバッタモンダーが到達する直前。襲われそうになった彼女のカバーをするためにアポロンが正面。ウィングとアルテミスが両側に立つ形で3人がかりながらも押し留める。
「なっ!?」
「ホント、アンタ達は揃いも揃って他人の弱みにつけ込むのが大好きみたいね」
「そろそろその悪い癖。治した方が良いですよ!」
「俺達はもうお前らに言われて心が折れる程、弱くも無いんだよ!!」
「ぐっ……」
バッタモンダーが完全に見下していた3人に止められた事で苛立ったような顔を見せる中、バタフライは自分の良さを改めて考える。それは、自分が周りに与えているアゲという気持ちの強さだ。
勿論、大人として周りを引っ張るという必要事項はあるのだが……ただそれだけではバタフライ……あげはらしくない。
バタフライが普段から皆に教えているアゲの感情があってこそ彼女は本当の輝きを手に入れられる。
「皆、ありがと。落ち込んだり責任を無理に背負ってばかりじゃ、全然私らしく無いよね!」
「「「(はい)(ええ)(ああ)!」」」
ウィング達3人はバタフライが立ち直った事に嬉しそうに返事を返すと勿論バッタモンダーは気に入らないわけで。
「チッ、もう少しくらい落ち込んでりゃ楽に終われた物を。そんなにこの僕にやられたいか。それならお望み通り終わらせてやるよ!」
「「「うわっ!?」」」
その瞬間、バッタモンダーが気合いを入れる形で衝撃波を発生させてウィング達3人を後ろに押し返してしまう。
「まだ私がいるよ!」
ただ、その直後の無防備な瞬間にバタフライが突く形で腹を殴って押し返す。
「ぐっ……」
そして、バッタモンダーが立て直す間に4人が横に並ぶとバッタモンダーに対抗するように構えを取った。
「バッタモンダー、私達は絶対にアンタに負けるつもりは無いから!」
「ふん。やれる物ならやってみやがれ!!」
そのまま4人はバッタモンダーとの戦いを再会。彼との決着を着けるべく動き出すのだった。
また次回もお楽しみに。