熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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太陽と雪の激突 全てを受け入れる心

キュアスカイを、ソラを欠いた状態でアンダーグ帝国の戦士達と戦う事になったプリキュア達。そして、アンダーグ帝国側もこれ以上後が無いのか総力戦を挑んできた。その中で戦いの火蓋を切ったのはオーロラとサンスポットである。

 

「「はぁああっ!だだだだだっ!」」

 

オーロラとサンスポットは目にも止まらぬ激しい拳の打ち合いを開始。するとサンスポットはオーロラが本気で来ていることに笑みを浮かべた。

 

「ふふっ、どうやら一昨日みたいな余計な迷いは無いようだな!」

 

「ええ。私の持てる全力であなたを止める!」

 

サンスポットはオーロラが全力であるのが嬉しそうだった。その瞬間、早速自身の特殊能力である影潜りでオーロラからの拳を回避する。

 

「そこ!」

 

「ッ!?」

 

しかし、オーロラは一瞬でサンスポットが出てくる場所を判別するとそこに気弾を放つ。そのためサンスポットは慌てて防御姿勢を取るが、何故か気弾はサンスポットに当たらずにすり抜ける。

 

「は?」

 

「だあっ!」

 

「ぐはあっ!?」

 

サンスポットが動揺している間にオーロラは一気に接近すると彼の顔面を殴った。そのためサンスポットは動揺する。何しろ、前は全然対応できなかった影潜りに完璧に対応するだけで無く逆に自分への攻撃に幻の気弾というフェイントを使ってきたのだ。

 

そのため、完全にサンスポットはオーロラから意表を突かれてしまっていた。

 

「馬鹿な。こんな紛れ、二度は無い!」

 

サンスポットはすかさず影に潜るとオーロラは一瞬で周囲の情報を頭に浮かべる。そして、彼女はすかさずノールックで自身の死角になる左斜め後ろにある建物の影に向かって気弾を放った。

 

「ッ!?だがまた幻の気弾な……ごはあっ!?」

 

「ごめんね、今度は本物!たあっ!」

 

オーロラはそう言いつつ一瞬でサンスポットの目の前に瞬間移動して彼のガラ空きの腹をサマーソルトキックで蹴り上げる。それから蹴り上げた勢いで一回転しながら体を反転。

 

上に吹き飛ばされたサンスポット相手に背中を向けた状態で着地するとすかさず踏み込んで跳び上がり、今度はムーンサルトキックでサンスポットを撃墜させる。

 

「がああっ!?」

 

そのままオーロラは吹き飛ばされたサンスポットの方を向きつつ自らの制限時間付きの浮遊能力で空中に停滞。サンスポットを油断無く見据える。

 

「ッ……オーロラお前……何でこんなに」

 

「……サンスポットが私の事をよく知ってるのと同じだよ。私だってカゲロウ、あなたの事はよくわかる。だって……私達恋人として付き合ってきたんだから!」

 

オーロラはサンスポットの行動パターンは闇堕ち前のアサヒのそれとそっくりであると見切っていた。何しろサンスポットは……カゲロウはアサヒの闇の人格なのだから。人格は違っても同一人物なら動きの傾向も同じ。

 

彼の事は恋人である自分が一番よく知ってるとオーロラは自負していた。だから影潜りをやられても今度は即対応できたのである。そして、それは闇の自分のアドバイスが無ければできなかった事だ。

 

「(ありがと……闇の私。おかげで今度こそカゲロウとちゃんと向き合える)」

 

「くくっ……なるほどなぁ。俺の動きはお見通しかぁ、だけど俺相手にそれが当てはまるのなら当然その逆も然りって事を忘れてないよな?」

 

「ええ。私の事はカゲロウもよく知ってるってわかってるよ」

 

「ふっ、理解が早くて助かるぜ」

 

「うん。あなたも私もまだここまでは挨拶みたいな物。ここからが本当の勝負だよ!」

 

オーロラは空中浮遊能力でサンスポットに接近。そこからサンスポットは影潜りを使わずにオーロラと真正面から殴り合う。

 

「はぁあああっ!」

 

「だだだっ!」

 

二人の戦士は殴り合いでお互いを傷つけていく。するとサンスポットはオーロラを挑発するように話しかけた。

 

「おうおう、良いのか?そんな全力で俺の事を殴って。彼氏が傷つくの、お前が一番嫌がる事じゃないか」

 

「そんなの私が一番わかってる!……だけど、あなた達を二人揃って助け出すには……こうするしか無いの!」

 

「ッ……何?」

 

サンスポットは自分もオーロラの助ける対象だと聞いて困惑。二人の蹴りがぶつかり合った所で双方共に後ろに跳んで下がった。

 

「ユキ、この俺を助けるとか言ったな。……何のつもりだ」

 

「………」

 

「見ての通り俺はお前に助けられる要素など何一つ持っていない。なのに助けると言うとは……」

 

サンスポットの言葉にオーロラは少しだけこの事を話すか迷う。それは闇のユキから告げられた事であり、もし話してしまえばカゲロウが怒り狂うかもしれないと感じたのだ。……それでも、オーロラは覚悟を決めると話すことにした。

 

「……カゲロウ、本当は私ともっと仲良くしたかっただけなんだよね」

 

「あ?」

 

「アサヒ君の人格だった時から……私は、アサヒ君の気持ちを我慢させてばっかりだった。もっと私があなたの事を受け入れようとしていれば……」

 

「黙れ……。何だそれは、俺に対する情けかよ」

 

「情けなんかじゃない!私さ、ずっとアサヒ君の光の部分しか見てこなかった。だから、アサヒ君の闇の部分のあなたの事が受け入れられなくて……それで無意識に目を逸らしてたの」

 

サンスポットはオーロラからの言葉に胸の中に怒りが込み上がってくる。サンスポット……カゲロウは元々ユキの心をへし折って、その上で好き放題彼女をメチャクチャにして自分の思い通り動く奴隷にするつもりだった。それなのに今の彼女は何だ。

 

心が折れるどころかどんどん強固になって、挙げ句の果てに助けられる程弱ってないはずの自分の事を助けるとまで言ってきている。サンスポットからして見ればまるで意味がわからない。

 

「甘く見るなよ?ユキ。お前が俺の事を見れてなかった所までなら良い。実際、前までお前はアサヒと同一のはずの俺の存在を異物として扱って忌み嫌った。その事を反省する所までは認められる」

 

サンスポットは怒りで拳を強く握り締めた。そして、怒りで体に黒い炎がオーラのように燃え上がる。

 

「だが、俺を救わないといけない哀れな存在だと見ているのなら……ふざけるなよ?ユキ!!」

 

「今のあなたは自分の気持ちをアンダーグエナジーで強く歪められているだけ!本当は……本当はあなたも優しいアサヒ君の一部なんだよ。だから……」

 

「煩い!俺が優しいだと?今まで散々俺の事を避けてきたくせに……調子に乗るのも良い加減にしろ!!」

 

サンスポットがこれ以上は我慢ならないと手を翳し、そこから漆黒の炎を放出。オーロラはそれを両腕をクロスさせて受け止めるが炎による凄まじい痛みが体を襲う。

 

「ッ……ううっ……」

 

「クソッ……折角俺の人格を受け入れたかと思えばとんだ勘違いまでしやがって。良いか?俺は苦しんでなんか無い。そう言うお前こそ俺がいなければとっくに心がへし折れていたくせに……偉そうに俺を救うなんて言うんじゃねぇ!!」

 

サンスポットが踏み込むとオーロラへと急接近。オーロラは自分を襲っていた炎が途切れたために一瞬気が緩んだタイミングを突かれて目の前にまで肉薄されてしまう。

 

「ッ!?」

 

「お前を救ったのは俺だ。だからお前をどう壊そうが俺の勝手だろ!」

 

「……そうだよ……。私はアサヒ君に、カゲロウに守られてきた。スカイランドであなたがアンダーグエナジーを受けたのも私のせい。でも!」

 

オーロラはサンスポットからの黒い炎を纏わせた拳を正面から受け止める。

 

「ッ、何だと!?」

 

「くっ……ううっ……」

 

しかし、オーロラは両手で……尚且つ全力を出してようやく拳を止めているのに対してサンスポットはまだまだ余力が残ってる。

 

「何なんだ……ユキ。そんなに弱いくせして……そんなに頼りない性格してるくせして……何でお前はそんなに俺を助けようとするんだよ!!」

 

「だからこそ私は、今のカゲロウの全部を受け止めて……その上で受け入れたいの!今度は私がアサヒ君もカゲロウも……両方守りたいから!」

 

「黙れ!!一々癪に触る事ばかり……はぁああっ!!」

 

サンスポットはオーロラからの言葉に心を乱されているからか、普段ならオーロラが耐えられるようにやっている手加減をせずに彼女へと全力で凄まじい量の炎を放出。オーロラはその炎を真正面から受けてしまう。

 

「うぁあああああっ!?」

 

そして、炎が消え去るとサンスポットは怒りの感情を全力でぶつけたせいか肩で息をしていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……やっと俺の力を思い知っ……はぁ!?」

 

サンスポットは途中まで自分の力をオーロラ相手に見せつけたと思っていたが、自身の右腕が何かに優しく受け止められているかを感じて前を向くと驚いたような声を上げた。それは、先程オーロラが両腕でサンスポットの攻撃を受け止めてから一歩たりともその場から動いてないのだ。

 

「何で……確かに今、全力で炎をぶつけたのに……何でここにいるんだよ」

 

サンスポットが困惑したような声を上げているとオーロラは体から煙を上げ、全身傷だらけになりながらも体力の消耗の影響で荒い息になっただけでちゃんとサンスポットの事を見ていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……私ね……。アサヒ君に……ずっと気を使わせてたのは……わかってたんだよ」

 

「ッ……だったら何で見て見ないフリを……」

 

「それはきっと、私が心の奥底でアサヒ君の闇。カゲロウの気持ちを見ようとしてなかったから。アサヒ君にだって気持ちがあるのに……私、彼女として最低だよ」

 

オーロラは……ユキは、アサヒの事を心の奥底で美化し過ぎてしまっていた。アサヒの事を光の面が全てだと断定して決めつけて。アサヒにだって醜い一面があって、ユキは本来なら彼のそういう部分も見ないといけなかった。でもユキはそれを見ようとしなかった……できなかったのだ。

 

「アサヒ君、必死にそういう醜い心を隠して私に接してくれたから。私に嫌われたく無いって感じてたと思う。カゲロウ……私の事をメチャクチャにしたいのってさ、アサヒ君の時に我慢してた気持ちが暴発した結果なんだよね」

 

「ッ……何を今更……それで俺の気持ちが収まるとでも」

 

「思ってないよ。……でも、良かった。アサヒ君の本音を……やっと知る事ができた……」

 

オーロラの瞳には涙が浮かんでいた。サンスポットは思わずそれを見て彼女を心配するような声をかけようとする。

 

「ユキ……大丈……ッ!?」

 

「……やっぱり……。カゲロウ……私の事を心配してくれる」

 

サンスポットはオーロラにそう言われて脳内が混乱し始める。つい先程、戦闘開始前まであんなにユキの事を好き放題犯したいとか割ととんでもない事を考えていたにも関わらず、今はこうして傷ついたユキを気遣おうと心配している。

 

「馬鹿な……そんなはずは、そんなはずは……俺は、俺はもっとユキの事をメチャクチャにしたいのに……」

 

「カゲロウ、この戦いが終わったらさ……もっとカゲロウの気持ちを教えて欲しい。私、ずっと見てこなかったからカゲロウの気持ちを全然知らなくてさ……。ずっと嫌な気持ちにさせてたのならその分全部ぶつけてくれても良いよ。もう私、前みたいにそう簡単に壊れないから」

 

「な、何だよそれ……今まで散々避けてきたくせに……俺の事、見なかったくせに……何で今更……ぐっ!?」

 

サンスポットはオーロラが自分を受け入れようとしているのを見て胸が痛くなり始めた。そして、同時に胸の奥底に一筋の光が差し込むと暗い闇の中で赤い炎が少しだけ強く燃え上がり出すのを感じた。

 

「ふざけんな……ふざけんな……ふざけんな……。俺の事何も知らない奴が知ったような口ばかり!!はぁあああっ!」

 

その瞬間、サンスポットが全身に力を込めると天高く昇る程に黒い炎の柱が発生する。その瞬間、衝撃波が発生するとオーロラは吹き飛ばされた。

 

「く……ああっ!?」

 

オーロラは地面に何度か叩きつけられて突っ伏す事になったが、どうにか痛む体を押さえつつ立ち上がる。ただ、目の前にいるサンスポットはフルパワー状態になってしまっていた。

 

「ユキ……お前さっき、俺の全部を受け入れるって言ったよな」

 

「うん、言ったよ」

 

「だったら俺の全部を受け止めてぶっ壊れろ!!お前は俺の都合の良い玩具でしか無い事……思い知らせてやる!!」

 

サンスポットはオーロラが自分の全力攻撃を絶対躱さないとわかった上で限界のそのまた限界の力を解放。

 

そして、サンスポットの背後に黒い太陽がエフェクトとして出現。そこから放出された炎が右腕に集約していくと同時に自身が発生させた凄まじい量の黒い炎のオーラもその中に吸収。そのエネルギーは球体となるが、そのサイズは前回アルテミスに放った時と比べて約三倍程大きくなっていた。

 

「この一撃で確実にお前は負ける。許しを乞うなら今の内だぞ?」

 

「……ううん、私は逃げも隠れもしないよ」

 

サンスポットの最後通告に対してオーロラは両腕を横に広げるとそれをまともに受けるという意思を示す。

 

「そうかよ……。だったら望み通り受けてみろ!ひろがる・ソーラーエクリプス!」

 

太陽が影に覆われる現象……日食を意味するその技はサンスポットの全力の一撃であり、オーロラはそれを優しく微笑みながらまともに受けてしまう。そして、彼女は黒いエネルギーボールに包まれるとその内部で凄まじい量の闇のエネルギーを受け続けた。

 

だが、オーロラは攻撃を受けている間に痛みで叫ぶ事は無く。少ししてエネルギーが露散するとボロボロになったオーロラが出てくる。

 

「………」

 

それからオーロラとサンスポットの間に僅かな静寂が訪れると次の瞬間、オーロラの体が揺らいだ。

 

「ッ……ううっ……」

 

そのまま彼女は膝から崩れると僅かに唸り声を出したのみで受け身すら取らずにうつ伏せに倒れて変身解除。その際、自然現象のオーロラの光が周囲に散るようなエフェクトが出ると全身に傷を負ったユキの姿で露わになる。

 

こうして……ユキはサンスポットから繰り出された全力の一撃を前に力尽きて倒れ、気を失ってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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