アポロンがその身を犠牲にしてまで仕掛けた特攻に耐え抜いてしまったバッタモンダー。彼は更なる形態であるスーパーバッタモンダーの第三形態に到達してしまう。
そんな彼を相手に挑むのはバタフライだ。まず先に仕掛けたのは勿論バッタモンダーである。
「まずは一発!はぁああっ!」
「よっ!」
バッタモンダーがバタフライへと拳を繰り出すとバタフライはそれを横にジャンプしつつ回避。するとバッタモンダーの拳が勢い余って地面に命中すると凄まじい音と共にその場に小さなクレーターができてしまう。
「ッ!」
「「「「なっ!?」」」」
それを見たスカイ、プリズム、ウィング、アルテミスはパワーアップしたバッタモンダーの圧倒的なパワーに驚く。何しろ、その一撃は今まで以上に重い一撃だった。あんな物を喰らえばひとたまりも無くやられてしまう。
しかし、そのバッタモンダーと対峙するバタフライの表情は未だに余裕があるように見えた。
「(良し、思った通り!)」
「チッ、まぐれで回避したくらいで良い気になるなよ?」
するとバッタモンダーが両手を前に出すと自身の周囲に多数のバッタ型のエネルギー弾が生成。それを撃ちまくる。
「はぁあああっ!」
「ッ!」
バタフライはそれに対してすかさず蝶型のバリアを展開。しかし、そのバリアをバッタ型のエネルギー弾はあっさりと貫通。あっという間に粉々に破壊してしまうとバッタモンダーは笑みを浮かべる。
「あははっ!気弾の力も強化されてるのか。これならお前がやられるのも時間の問題だぜ!」
バッタモンダーの言う通り、バタフライがどれだけバリアを展開してもそれらは一瞬で壊されてしまう。しかもバタフライが逃げに徹してる間は反撃ができない。このせいでただでさえ少ない彼女の体力はどんどん消耗していく。
「はぁ……はぁ……」
「このままじゃ不味いよ!」
「ボク達も助けに」
そして、バタフライの窮地にプリズムやウィングが焦っているとスカイは何かの違和感に気がつく。
「あれ、さっきからバタフライの動きが……そうか!」
「スカイ?何か気がついたの?」
「見ていたらわかります」
アルテミスが何かに気がついたスカイに対して疑問符を浮かべているとスカイは3人に一旦状況を観察するように促す。
「くっ、そろそろやばいかも……」
「へっ、ガラ空き過ぎんだよ!」
するとバタフライがバリアを展開しつつ動き回る形でバッタモンダーからの攻撃から逃げているとそのバタフライの逃げた先。彼女の真後ろにいつの間にかバッタモンダーが移動していた。
「しまっ!?」
「終わりだ!!」
バッタモンダーは両腕を真上で合わせてバタフライへとダブルスレッジハンマーを振り下ろす。
このままバタフライは呆気なく潰されてペシャンコに……なる事は無かった。
「はぁ?……ぶっ!?」
バッタモンダーがハンマを振り下ろした瞬間。バタフライの体は“バリン”という固い何かが割れたような音が鳴り響くと同時にいきなり内部から多数のピンクの蝶が飛び出して爆発。
周囲に煙幕が張られるとすかさずそこに本物のバタフライが煙幕の外から飛び込む。
「ゲホッ、ゲホッ……コイツは……」
「バタフライイリュージョン。というか、この技はさっき使ったばかりだよ。同じ技に二度もかかるなんてらしく無いんじゃない?」
この技は先程バタフライがスーパーバッタモンダー第一形態と1対1で抗戦していた際に大技を放つまでの時間稼ぎとして使っていたバリアによる身代わりだった。その名も、バタフライイリュージョン。
このバタフライイリュージョンによって爆発した蝶型炸裂弾の影響で発生した煙を吸って思わずむせてしまうバッタモンダー。対してバタフライはそんな彼へと挑発するように話しかけつつその顔面を蹴り飛ばす。
「はあっ!」
「ぐへえっ!?……こ、この野郎。ちょっと攻撃が当たったからって調子に乗ってるんじゃねーぞ!」
バッタモンダーは舐めていたバタフライにしてやられた事が余程悔しかったのか。苛立ったように触覚をピンと逆立たせるとバタフライを殴ろうとして拳を振るう。
「おっと!そんなのじゃどれだけやっても当たらないかな!」
「な、テメェさっきから何でそんなに避けられるんだ……」
だが、やはりバタフライには全くもって当たらない。バタフライは余裕そうな表情のまま蝶が舞い踊るかのようにヒラリヒラリと回避し続けてバッタモンダーを翻弄する。
バッタモンダーは焦ってバタフライへと一撃を入れるために何度も何度も殴ろうと拳を放ち続けるが、バタフライはまだしぶとく回避してしまう。
「どうしたの?さっきまでと比べて全然動きにキレが無いよ?」
「煩い!この力があれば……この力ならお前を簡単に潰せるはずなのに……はぁ……はぁ……」
するとスカイは何故かバッタモンダーが息切れし始めた事に目を見開く。同時に彼女は改めて仮説が正しいと感じた。
「ッ、やはりそういう事ですね!」
「えっ、どういうこと?」
スカイの言葉に唖然とするプリズム。アルテミスも状況が全然理解できてないのか、慌てて問いかける。
「さっきからバッタモンダーの攻撃がバタフライに当たってないけど、これって……」
「あっ!もしかして……」
「ウィングもわかったみたいですね」
それから4人は改めてバタフライとバッタモンダーの戦いに視線を戻すとバタフライは体力的に危険な状態だったのにも関わらず、未だにバッタモンダーからの攻撃を回避し続けていた。
しかも、その危険だった体力も逆に少しずつ回復してるのか。息切れが減っている。対してバッタモンダーの方は攻撃が空振りした際に地面や建物に攻撃が当たるとそこに対して大きなヒビやヘコミを与える等かなりのパワーがある事が示唆されるものの、そもそもバタフライに攻撃が当たってないのでまるで無意味である。
加えてバッタモンダーの方が逆にバタフライ以上に体力消耗が進んでいるのか……息がどんどん荒くなっていく。
「バッタモンダーが疲れてる……」
「でも、力で言ったらさっきの第二形態以上でしょ?なのに何で……」
「ええ、あくまで
「ッ……!もしかして」
スカイの解説を聞いてプリズムも何となくだが答えに辿り着き始めた。最後に残ったアルテミスはどうにか答えを出そうと考える。
「クソが!クソがクソがクソが!!何で、何でこんなにも当たらない!!お前の方がヘロヘロなはずなのに、何でだよ!!」
「だってあなたの攻撃が遅すぎるんだよ?こんなの、避けてくださいって言ってるような物だからね!」
「なっ!?」
バッタモンダーはそう言われてようやく今の自分が第二形態と比べて劣っている物に気がついた。その劣っている物というのが……。
「そうか、スピード!!あの強力なパワーを得るために膨れ上がった筋肉が邪魔して第二形態の時程のスピードが出てないんだ」
「はい。バタフライが勝機を見出した理由は恐らくこれです。バッタモンダーは先程この第三形態に変身した際、強くなった自分のパワーだけを見てこれを過信してしまった。ここまで彼は私達を圧倒してきましたからね」
バッタモンダーがハマってしまった大きな落とし穴。それは、プリキュアを潰すためにこの形態に変身する際に上がるパワーのみを見てこの形態を過信してしまったのだ。そのため、スピードが落ちてしまうという致命的な弱点を見落としていたのである。
「チッ……まさかこの姿にこんな弱点があったなんて……クソッ!!」
バッタモンダーはこれ以上この形態に変身する意味が無いとばかりにすかさず変身の段階を第二形態へと戻す。
「はぁ……はぁ……はぁ……だが、この第二形態が相手でもお前達は勝てないぜ?何しろお前達はこの形態の俺様にさっきまで圧倒されていたんだからなぁ!!」
バッタモンダーは勝ち誇ったようにそう言うがバタフライの顔は未だにやる気その物である。
「……バッタモンダー」
「何?」
「アンタには沢山借りがある。スカイランドでのシャララ隊長の事、こっちの世界でスカイにした事。保育園の皆や壁画に対してやろうとした事。皆の体育祭を邪魔した事。それに何より……さっきのアポロンの事!!」
「へっ、それがどうした?はぁ……はぁ……今更過去の事を蒸し返しやがって。それこそお前の言うカッコ悪い事なんじゃねぇのか?」
バッタモンダーはバタフライから前までに自分が関わってきた事を言われて少しイラッとしたのか。いつもの如く煽るような口調で挑発する。
「そうかもしれない。だから、今まで受けてきたその借り……今纏めて全部返すよ!」
「そうかよ?だけど、それはこの俺様に勝ってから言ってもらおうか!!」
どうやらお互いに最大の力で決めるという事らしい。すると、ウィングが移動してバッタモンダー相手に全力を出そうとしたバタフライの隣に立った。そのため、彼女は目を見開く。
「ウィング……!」
「バッタモンダーと決着を着けるんですよね?……だったらボクの力も使ってください。そうすれば……きっと届きます」
ウィングの頼もしい言葉にバタフライは嬉しそうに微笑むと頷く。それを見たバッタモンダーは全身に力を込めるとそのオーラを激しく燃え上がらせる。
「ッ!!うん!!勿論、ウィングの事は頼るつもりだったよ。だからお願い!」
バタフライはウィングの力を借りると言って彼と協力する状況を作る中でスカイとプリズムに声をかけた。
「スカイ、プリズム!今回はできる限り体力を温存してて!この後のヒューストム戦に備えていてほしい!」
「ッ!!わかりました!」
「バタフライ、絶対負けたらダメだよ!」
バタフライの指示。それはこの2人は体力を温存しておく事だった。理由は当然バッタモンダーを倒したこの後に控えているであろうヒューストム戦に備えるためだ。
2人はバタフライ1人で無茶するなら兎も角、ウィングも入るのなら先程バッタモンダーの弱点を見抜いたように何か考えがあると判断。彼女を信じて任せる事に。
「へっ、作戦会議は終わったようだな。ならコイツで終わりにしてやる!!」
「ううん、終わらせるのはこっちの方だよ!」
バッタモンダーは両腕を掲げると巨大な漆黒のエネルギーボールを生成。それは以前スカイ達を閉じ込めて無力化した時と同じようなアンダーグエナジーを濃縮して作られた物である。
対してバタフライが使うのはミックスパレットを使用したあの技である。そしてそのためにスカイトーンを装填して生成された筆を手にした。
「全ての色を一つに!ミックスパレット!」
そのまま彼女は四色のカラーのボタンを押しつつ、筆で色を混ぜ合わせていく。
「レッド!イエロー!ブルー!ホワイト!混ぜ混ぜカラーチャージ!」
バタフライが混ぜ合わせた虹のエネルギーを掲げるとそれが空中からウィングへと降り注いで彼を火の鳥へと変化させる。バタフライはすかさずウィングの上に乗るとバッタモンダーへと突撃していった。
「プリキュア!タイタニックレインボー!アタック!」
最後にランボーグの真上に来たウィングは虹のエネルギーを纏って巨大プニバード姿へ。そのままバッタモンダーを押し潰そうとするのに対してバッタモンダーも全力のエネルギーボールを解き放つ。
「この俺様の前から……消え失せやがれっ!!」
これにより、巨大なプニバードによるヒップドロップとバッタモンダーのエネルギーボールがぶつかり合うと凄まじいエネルギー量に周囲へと火花が散る。
「「「はぁあああっ!」」」
「ッ……力は互角……」
「いや、アレ見て!」
体力温存のために押し合いを見ていたスカイとプリズムは形勢が少しずつバッタモンダーに傾くのを見てしまう。
「「くぅうううっ……」」
「くくっ……あはははっ!だーから言っただろうがあっ!この俺様の力に勝てるわけねーんだよなバーカ!!」
「不味いよ!」
「信じるんです……お二人の力を」
バッタモンダーは自分が勝っている現状に上機嫌になるとスカイとプリズムはどうにか2人が押し負けないように祈るしか無い事に悔しさを抱く。そして、アルテミスもまた拳を握り締める。
「せめてアポロンがいてくれたら……私達があの2人をサポートできるのに!!」
「……だったら、するしか無いよね?そのサポートをさ」
その瞬間、突如としてアポロンの声が聞こえた事に目を見開くスカイ達。慌ててその方を向くとそこにいたのは先程バッタモンダー相手に自爆特攻をしたはずのアポロンであった。
ただ、やはりその自爆特攻のせいか……かなりダメージは負っている様子である。
「アポロン!?何で……」
「ま、まさかお化け!?」
「違うよ、ちゃんと生きてるさ。それと、今はそれよりもあの2人を支えるよ。アルテミス」
「う、うん」
アルテミスはアポロンが生きてる事に唖然としつつも彼の呼びかけに応じる形で彼の隣に行くと2人は力を発動させた。
「月の力!」
「光の力!」
「「ファンタジーパワー!」」
アポロンとアルテミス掛け声と共にツインチェンジライトを手にするとそれを捻って力を解放。同時にウィングの腕にオレンジの。バタフライの腕にピンクのシャイニングブレスが装着。普段であれば、ムーンライズやオーロラに装着されるこのブレス。この力を与えた事により、二人の力が一気に増幅されると巨大なプニバードが三回り程巨大化する。
「なっ!?」
「これは……」
「決まってるじゃん!やっぱりアポロンは生きてたんだよ。それに、アルテミスも助けてくれてる。ウィング!」
「ええ、それならボク達は絶対に負けられません!!」
アポロン、アルテミスにサポートされた2人は勢いづいて一気に決めようとする。対してバッタモンダーは苛立つとそれ以上の力で捩じ伏せようとした。
「ぐぬぬ……ふざけやがって。それならもっと強い力で捩じ伏せてやるだけだ!!うぉおおおっ!!!」
バッタモンダーはウィングとバタフライがパワーアップするなら自分は更に上の力で潰すのみとばかりに全身に力を入れる……のだが。
それでも少しずつプリキュア側が勝っているのか少しずつ巨大プニバードが近づいてくる。
「う、嘘だろ!?何でだ……」
バッタモンダーが唖然としているとその異変が彼の体に起きた。突如としてバッタモンダーの体に満ちていた力が急速に抜けていくとスーパーバッタモンダー化が解けてしまう。
「んな!?そんな……馬鹿な!!」
「「行っけぇえええっ!!!」」
このチャンスを2人が逃すはずが無い。ウィングとバタフライは一気に力を入れるとスーパーバッタモンダー化が解けたせいで抗う術の無いバッタモンダーを容赦無く上からヒップドロップで押し潰す。
「うぎゃあああああああ!!」
その場にバッタモンダーの断末魔が響くと凄まじい量のキラキラエナジーが出現。彼による被害を受けた地形を治していく。
そして、ウィングとバタフライがその中から飛び出すと着地してからハイタッチ。やられたバッタモンダーはボロボロの状態で倒れてしまうのだった。
また次回もお楽しみに。