エルに襲いかかるランボーグ。プリズムはどうにかエルを救うためにランボーグへと向かっていくが、そんな様子にスカイは絶望感を覚える。
「チィッ!ランボーグ!」
「ランボーグ!」
そんな中、カバトンはまた邪魔が入ったと言わんばかりに舌打ちするとまずはプリズムを何とかするようにランボーグに指示。ランボーグが拳を繰り出す中でプリズムはその拳を跳び箱を飛び越えるように手を付いて回避し、そのまま二つの気弾を繰り出す。
「たあっ!」
プリズムの気弾はランボーグの胴体を狙うものの、両腕で簡単に止められてしまう。そして、大した事の無いプリズムの気弾にカバトンは彼女を煽る。
「YOEEE!」
「煌めけ!」
しかし、威力が弱いと思って侮った結果。その気弾が眩く発光するとカバトンとランボーグはその光に目をやられてしまう。
「うぎゃああっ!?目が、目がぁああっ!」
「ランボォオッ!?」
スカイも思わず光の眩しさに目を瞑る中、そんな彼女の前にエルを抱えたプリズムが降り立った。
「……ダメだ。友達以外の言い方、見つからないや」
するとプリズムは先程まで話していた友達以外で何か良い呼び方が無いか模索していた話をする。そんな彼女はスカイを心配するような目をしていた。
「チームとかカルテットとか。色々呼び方を変えてみたけど、そうじゃ無くて……。あなたは私の友達。アサヒもユキちゃんもきっと同じ結論になるよ」
スカイはそんなプリズムからの言葉に目を見開く。そして、同時にプリズムは建物一つ物開けた距離感からスカイへと手を差し出す。
「あなたが心配だよ、助けたいよ。気持ちは同じ……。それってさ。一緒に戦う理由にならないかな?」
プリズムは本当にスカイを心配していた。そんな彼女を見てスカイも思い知る。今手を差し出しているプリズムも、この場にいないスノーもサンライズも自分と同じ気持ちであるのだと。
「……」
スカイはそんなプリズムを見て思い悩む。自分はその手を取って良いのかと。隣に並んでも良いのかと。散々突き放してきて、スノーことユキにだって酷い事を言った自分が許されるのか。不安だった。
そんな二人の様子をエルは浮かぶスリングに乗った状態でキョロキョロと見つめる。それからスカイは覚悟を決めると立ち上がり、プリズムの隣に移動した。
「……本当に良いんですか?」
「勿論だよ。私達は友達。友達なんだから、助けるのは当たり前だよ」
「……!わかりました。お願いします、プリズム!」
スカイはそう言ってましろの事を初めてプリズムと呼んだ。つまり、一緒に戦うチームメイトとして認めたという事を意味する。プリズムもそれが嬉しかったようで。
「やっとその名前で呼んでくれたね!」
「え、あっ……」
スカイはプリズムにそう言われて僅かに気恥ずかしそうにする。ただ、それでもプリズムは自分を受け入れてくれた。それだけで、今のスカイは肩の力が抜けると嬉しそうに微笑む。
こうしてスカイとプリズムの話し合いが終わったその時。二人の元にスノーとサンライズの二人が吹き飛ばされてくると何とか着地した。
「くっ……色々できる事を試してみたけど、全部効いてないな」
「多分、戦いの経験値で私達を圧倒的に上回ってるんだと思う」
「サンライズ、スノー」
二人が話をしているとプリズムが声をかけ、それを聞いて二人はようやくスカイ達を認識する。
「スカイ、プリズム!無事で良かった」
そんな時だった。スカイは体が傷つきながらも無事に戻ってきたスノーの顔が別れる前よりも明るく戻っていた事に目を見開く。
「ユキさん……」
スカイはそんなスノーを見てから自分が彼女にやった事を思い出すと俯いてバツが悪そうに顔を背ける。
「……スカイ」
スノーがそんなスカイへと声をかけるが、スカイからの反応は無い。そんな彼女の様子を見たスノーはゆっくり歩み寄っていく。
「ユキさん……私は……」
スカイはスノーを助けるためとは言え、彼女が一番嫌がるやり方をして無理矢理にでも自分から引き離そうとした。そのせいでスノーの精神はボロボロに折り砕かれたのである。今更どの面を下げて彼女に接すれば良いのかわからないのだ。
その瞬間、スノーはスカイへと抱きつくと涙声を上げながらスカイへと話し始める。
「良かった……スカイが無事でいてくれて……」
「えっ……」
スカイはスノーが自分の事を責めたり嫌ったりしなかったために唖然としてしまう。
「何で……。私、ユキさんに酷い事を……沢山言って……」
「私もそれを聞いて沢山傷ついたよ……。でも、私の事を守ってくれるために言ったんでしょ。スカイは嘘下手だから、本当に見捨てるような言い方までして」
スノーは気にしなくて良いと、スカイが自分のために突き放した言い方をしたのだと話す事でちゃんと彼女の意図をわかった事を伝えた。同時に自分は責任感に追われるスカイの心を少しでも和らげさせようとする。
「スカイ。私達四人ならどんな相手が来たって最後にはきっと勝てる。だから、私達で一緒に戦おう」
スノーはスカイへと一緒に戦いたいと伝え、そうすれば強敵にも勝つ事ができるのだと希望を示した。そして、プリズムに説得されていたスカイはその言葉をしっかりと受け止める。
「はい!それとスノーも、あまり一人で無茶しないでください。私だって、スノーの事心配なんですから」
「うん!」
こうして、スノーとスカイの関係も修復され、プリキュア四人は目の前にいる強敵達と戦うべく相対した。
「プリキュア四人が手を組んだか。面白い。俺も心してかかるとしようか」
シャドーはプリキュア達と戦える喜びを露わにする中、対象的にカバトンは苛立っている。何しろ、あと一歩でエルを手にできるタイミングでプリズムからの邪魔をされて逃げられたのだ。加えてここまで長々とプリキュア達に逃げ回られてきたのも余計に彼の心の余裕を無くさせているのだろう。
「あと一歩でプリンセスゲットだったのに!目を潰してくれて……」
「ランボーグ……」
「小細工ムカムカ!マ・ジ・で、キレたーっ!」
カバトンの怒りの感情がランボーグへと伝播するとランボーグの額に書かれた特急の文字は更に進化。超特急へと変わると先程以上にパワーアップした電車ランボーグ。恐らくこれが電車ランボーグの本気モードなのだろう。
「俺様がお前らに本当のTUEEEを見せてやる!」
カバトンがやる気十分になる中でスカイとスノーはシャドーが来た事とランボーグが強化されたという現状を冷静に捉える。
「ッ、凄まじい力を感じますね……」
「しかもシャドーまで合流しちゃったし」
ただ、不思議と四人の中に絶望感は感じられなかった。こちらもそれぞれダメージを負ったとは言え、先程までとは違って四人が揃った上に団結する意思がある。そのためまだここからでも何とかなるという根拠の無い自信も湧いてきた。
「スカイ、プリズム……」
それからスノーが小声で二人に話をするとその言葉に二人共が頷く。すると、最初に動き出したのはスノーだ。
「はあっ!」
スノーが手を翳して生成された氷の礫がシャドーへと放たれると彼はそれを刀で弾き、それと同時にスノーとサンライズがまたシャドーへと向かって行った。
「「だああっ!」」
「正面からか。来い!」
シャドーは刀をすぐさま二刀流に変えると二人を迎え撃つ。同時にカバトンのランボーグもスカイやプリズムへと突進してきた。
「「ッ!」」
スカイ、プリズムはランボーグからの突進を左右に分かれる形で回避するとランボーグはダメージが比較的大きそうなスカイの方に向かう。
「ランボーグ!」
「やはり私狙いですね!」
スカイはそれを予想してたかのように跳んだ先にある建物の壁を走りながらランボーグと追いかけっこを始める。
「むっきーっ!この期に及んでまた追いかけっこか!だが、さっきまでよりもこっちのスピードは速いのねん!」
カバトンの言う通り、ランボーグの加速力は先程までの比では無い。直線勝負なら確実に追いつかれる。
「ッ!」
だったら直線勝負をしなければ良いと言わんばかりに建物の壁へ壁へと○パイダーマンも顔負けな立体的なジグザグ走行をスカイは取っていく。
「ぐ、ランボーグ!次はあっちだ!」
「ランボ……」
「遅いですよ!」
ランボーグが方向転換をしようとした瞬間にスカイは既に次の場所へと向かってしまっている。ランボーグの強みである直線での加速力もこれでは使う事ができない。
「ぐぐぐ……ヒーローのくせにこの卑怯者が!正々堂々と勝負するのねん!」
カバトンは真正面からなら絶対に勝てる自信があるためにそう叫ぶものの、それはこの前スカイを罠にかけて変身不能にしてしまった自分自身へのブーメラン発言になるわけで。
「あなたにそれを言われる筋合いはありせん!プリズム!」
「うん!」
そんな時だった。スカイが再度方向転換をしてランボーグが止まった瞬間。その真上にプリズムがいた。
「ヒーローガール!プリズムショット!」
プリズムから放たれた巨大な気弾がランボーグの真上から落とされるとランボーグはいきなり走った衝撃に下へと落とされていく。
「ラァ!?」
「ぐべえっ!?」
ランボーグは不意打ちされたせいか、地面に激突するとダメージを受けた様子だった。ただし、ランボーグがいつもより強い影響で浄化はされていない。
そんな中で地面に叩き落とされたカバトンとランボーグをシャドーが僅かに確認する。
「あの馬鹿、何やってるんだ……」
「余所見しないで!」
そんな彼を見てスノーが声を上げるとサンライズと同時にシャドーへと拳を叩きつける。
「「だあっ!」」
「チッ!」
シャドーは刀を交差させて二人の拳を受けるが、勢いまでは殺せずに後ろに下がってしまう。その直後にシャドーの斜め上から気弾が降り注いだ。
「何!?」
その気弾を放ったのはいつの間にかこちらに来ていたプリズムである。シャドーがそれを喰らってダメージを受けるとすかさずスノーが踏み込む。
「氷雪拳・氷ノ型!」
スノーが繰り出したのは構えから繰り出される氷の拳。シャドーはそれを一本に合わせた刀で受け止めると突如としてその刀が凍りつき始める。
「ッ!?」
氷ノ型の特性として触れた相手を凍結させる事が可能となる。勿論ただ凍らせるだけならスノーとして普通に戦う中でも使えはするが、技として使う事でその氷の能力が向上するのだ。
シャドーは咄嗟に刀から手を離すと後ろに下がり、刀を二刀流で再生成する。そこにスノーがまた踏み込んで乱戦となった。
「はぁあっ!」
スノーは攻めの姿勢でシャドーからの反撃の回数を少しでも減らそうとする。ただ、だからと言って前のめり過ぎるわけでも無い。シャドーからの反撃にはしっかり対応している。
「冷静かつ良い動き。ただ、一つ大事な事を忘れてるぞ?」
シャドーは気が付いていた。スノーの動きが少しだけ鈍くなっている事に。その瞬間、スノーが右脚で強く踏み込むとその脚に激痛が走る。
「うぐっ!?」
その痛みは先程シャドーにエネルギーを逆流させられた時の物だった。その際に一番ダメージが大きかった右脚をスノーはサンライズとの共闘時からどうにか庇いながら戦っていたのだ。しかし一対一になって負担が増えた影響でとうとう限界が来たのか、シャドーの前で痛みが来てしまったのだ。
「やはりな。その脚を庇いながらで俺に勝てると思うな!」
シャドーはスノーが晒した大きな隙を突くために一刀流にした刀を振りかぶる。
「ッ……」
スノーは脚の痛みもあって回避できないと直撃及び、大きな痛みを覚悟した。そのタイミングでいきなり気弾が飛んでくる。
「はぁああっ!」
「「!!」」
それはスノーの隙をカバーするように気弾を放ったプリズムからの援護だ。プリズムだってスノーの隙を易々と突かせる程鈍くは無い。そのため完全にトドメを刺す気だったシャドーは僅かに体勢を崩すとスノーはその間に一度下がる。
「プリズム、ありがと!」
「どういたしまして。私だってこのくらいの援護ならできるから」
「うん!私はプリズムの方にシャドーが行かないように引きつける。その間にサンライズ達ならきっと!」
スノーは周りを信じるようになったお陰で精神的な負担が大きく減ったためにいつも以上に伸び伸びとしていた。そして、シャドーがプリズムからの攻撃を受け切ると飛び出してくる。
「キュアプリズムの援護、厄介だな」
「シャドー、もう一度私が相手よ!」
そのまま再度スノーが前衛で乱戦。プリズムが後衛のサポート役という形を維持しつつ二人はシャドー相手に挑む事になるのだった。
「痛てて……。まさかあの脇役め……上から来るとは……」
そんな中カバトンの方は地面に激突した衝撃で少しだけ怯んでいたものの、少し時間が経過した影響かすぐに立て直そうとする。
「誰がプリズムが脇役だって?」
「へ?」
カバトンがどうにか体勢を立て直すべくランボーグへと指示を出そうとする中、また真上から何故かサンライズの声が聞こえると彼は唖然としてしまう。
「遅せぇよ!うぉりゃあああっ!」
その瞬間、先程までシャドーの前にいたはずのサンライズが脚に炎を纏わせて急降下。彼はプリズムの援護のタイミングに合わせて彼女と交代して復帰しようとしたランボーグに追撃をかけるべくこちらに来たのである。
そして、サンライズが放った真上からのドロップキックはランボーグに命中。その威力によって再びランボーグは地面に激突。その拍子でカバトンはランボーグの中をピンボールのようにあちこち跳ね回る。
「うげっ!?ごはっ!?のわぁああっ!」
カバトンが目を回す中、ランボーグもカバトンの指示無しでは上手く動けずであるために動きが完全に止まっていた。その直後、ランボーグは自分の一番後ろの車体が何かに掴まれる感覚を感じる。
「ラン?」
「サンライズ、行きますよ!」
「ああ、せーのっ!」
そこにいたのは四人の中で比較的パワーのあるスカイとサンライズであり、二人はランボーグを掴むとその場でぶん回し始めた。勿論街のスペース的にそんな事をする場所なんてあまり無い。なのでランボーグは建物に顔面を何度もぶつけながら振り回されていた。
「ラァ!?」
「うわぁっ!?ぶっ!?あがっ!?す、ストップなのねん!」
「誰がお前の都合なんかで待つか!」
勿論中にいるカバトンは何度も電車の中で体をぶつけてしまう。少ししてようやく掴んだ手すりに必死にしがみつき、カバトンはサンライズ達に叫ぶ。ただ、そんな事で容赦する二人では無い。
「「大・回・転!プリキュア投げ!」」
二人が同時に電車ランボーグを投げ飛ばすとそれはとある方向に向かっていく。その頃シャドーは再度刀を二刀流にしてスノーに対応していたが、その攻めにある違和感を感じていた。
「(む……さっきまでと比べて更に攻撃が前のめりで無い。加えてこっちの攻撃があまり効いてなさそうにも見える……まさか?)」
シャドーが何かを察した瞬間。スノーは一歩後ろに飛び退くと二人に向かってサンライズ達が投げた電車ランボーグが迫ってきた。
「ッ!?」
「スノー!」
そこにプリズムから声がかかると同時にスノーは地面から氷の壁を上に迫り出させるとそれをカタパルトにして上に離脱。同時にシャドーへと電車ランボーグの巨体が突っ込んだ。
「ごはあっ!!」
流石のシャドーでもランボーグの質量と投げられた際の勢いまではどうにもならなかったらしく。そのまま吹き飛ばされて凄まじい音と共に地面に激突。その衝撃で土煙が発生する中、プリキュア達は建物の屋上に集結する。
「やった!」
「作戦成功だな」
スノーとサンライズが喜ぶ中、スカイはまだ呆然としていた。四人で結束し、戦うだけでこんなにも違うのだと。彼女は仲間がいる事の心強さを感じ取った。
「スカイ、私達と一緒に戦ってみてどう?」
「……私、何で今まで一人で戦おうって思てたのか不思議なくらい自分でもビックリしてます。四人で戦えば、こんなにも違うんですね」
スカイのその返事に三人は顔を見合わせると微笑む。そんな時、突如として轟音が鳴り響くと地面に激突していたシャドーとランボーグがまた姿を現すのだった。
また次回もお楽しみに。