ヒューストムの最期の一撃として放たれた超巨大エネルギーボールを見事打ち破り、ヒューストムとの因縁に終止符を打ったオーロラとムーンライズ。そんな2人の元に他のプリキュア達が駆け寄る。
「オーロラ!ムーンライズ!」
「皆……!」
「本当に、本当にヒューストムを倒したんだよね?」
「ああ。断末魔もしっかりと聞こえたし、ヒューストムのいた場所から復活するような気配も無い。もう少し警戒はいるけど、大丈夫だと思うよ」
卑怯な彼の事なのでまたやられたフリをしての不意打ちをしてくる危険は勿論ある。
ただ、先程ヒューストムがやられる際にランボーグが浄化される時と同じ断末魔を発していた事から生き残っている可能性はほぼ無いと言えるだろう。
「それにしても、アイツにはかなり苦しめられたよな」
「そうね。でも、ユキ姉やアサヒをあれだけ傷つけたのだもの。完全消滅してくれて良かったわ」
プリキュア達はヒューストムの事について話す間、彼が復活する事は無く。この事からヒューストムは完全に消滅したという形に収まる事になった。
「ヒューストムの事はこの辺にして。そういえば、オーロラとムーンライズ。さっきヒューストムに攻撃をぶつける直前かな。何だか2人から赤と白のオーラが出てなかった?」
「そういえばそうだね。そのオーラが出た瞬間力が上がってたように見えたけど」
「えっ!?」
「それってまさか……」
バタフライやアポロンから受けた指摘に対してオーロラとムーンライズはある予感がすると急いで自分達が持っている色がくすんだスカイトーンを出す。
それはシャドーとの最後の戦いの際に全力を出し尽くしたせいで今までずっと力を失っていた先代プリキュアであるキュアバーニングサンやキュアブリザードの眠るサンライズ、スノーのスカイトーンであった。
「ッ、光が戻り始めてる」
「と言う事は……」
その瞬間、ヒューストムを浄化した際に発生した大量のキラキラエナジーが2人のスカイトーンの中に取り込まれていくとくすみにヒビが入っていき、同時に封印が解けるように打ち破られて元の鮮やかなスカイトーンとなった。
「あっ!」
「色が……戻った!」
その瞬間、スカイトーンから幻影が映し出されるとそこには完全に復活した様子のキュアバーニングサンとキュアブリザードが現れる。
「バーニングサン、ブリザード!力が戻ったのか?」
『うん!あなた達が頑張ってくれたおかげでもうすっかり元気になったよ!』
『それと。ルーセントムーンを助けるためだったとはいえ、私達が力を失って色々迷惑をかけてしまった。その事についてはごめんなさい』
「うえっ!?い、良いんですよ。そんなに畏まらないでください。それに、そんな事言ったら……」
その瞬間、突如としてムーンライズとオーロラのスカイトーンからも2人のプリキュア……キュアルーセントムーンとキュアライトピラーが姿を現すのと同時にルーセントムーンは2人の元に駆け寄って抱きついた。
『バーニングサン……ブリザード……戻ってきてくれて良かった……それと、私のせいで2人に迷惑をかけてごめんなさい……ごめんなさい……』
ルーセントムーンはまるで幼い妹が姉達と久しぶりに再会して嬉しさから2人に甘えているようである。
『はぁ、本当にそうね。いきなり2人共いなくなったおかげで私達、結構苦労したのよ?』
『ライトピラー、相変わらず素直じゃ無いわね。正直に嬉しいって言ってくれても良いのよ?』
『ッ!?う、煩いわね!……で、でも嬉しいわよ。あなた達が戻ってきてくれて』
『ふふっ、これでようやく4人揃ったわ』
先代のプリキュア4人はそのように再会した際の会話を終えるとそのタイミングで余っていたキラキラエナジーがルーセントムーンを包み込むとその体に少しだけ変化を与えた。具体的には少し身長が伸びたのと心が落ち着いたような形となる。
『ッ、これは……』
『あなたも私達と同じ年相応の雰囲気になったって事ね』
『そっか。私は変身したての頃に洗脳されちゃってたから』
復習になるが、ルーセントムーンはシャドーとして闇堕ちした期間が長すぎたが故に肉体と精神の成長が追いついていない所があった。そのため、今ので一旦他の3人と同じくらいの状態に戻ったという事だろう。
何にせよ、これで先代プリキュア4人が完全な状態で集結。オーロラ達はその様子を微笑ましい顔つきで見ていた。
「こうして見ると4人揃うだけでオーラが凄いな」
「全員幻影だから半透明ですけどね……」
ウィングが苦笑いを浮かべているとバーニングサン達は4人だけでの会話を終えると改めてオーロラ達の方を向く。
『改めて、私達を封印から目覚めさせてくれてありがとう』
『あなた達のおかげでようやく私達は揃う事ができたわ』
『感謝してもしきれません』
『これもあなた達が強くなっている証。これからもよろしくね』
「ッ、そんな……寧ろ私達の方こそありがとうございます」
「先代のプリキュアがいなかったらきっと俺達は……」
オーロラやムーンライズは自分達がこれまで勝ってこれたのは先代プリキュアの手助けによる所が大きいと思っていた。何しろ、シャドーに対してもヒューストムに対しても最後に一押ししてくれたのは先代プリキュアだ。
もし彼女達がいなかったらそれよりも前で負けていた可能性が大いにある。そのため、感謝すべきなのは自分達の方だと思っていたのだ。
「あの、これからも私達の事を見守っててください。それだけで私達は心強いんです!」
『ええ、勿論そうするわ。……私が眠っている間に本当に強くなったわね、ユキ』
するとブリザードはオーロラの頭を幻影の状態でありながらもそっと撫でる。勿論その感触は無かったものの、オーロラは彼女の温もりを感じる事ができたような気がした。
そして、4人の先代プリキュアはそれぞれオーロラとムーンライズの持っているそれぞれに対応したスカイトーンの中に戻っていく事になる。
「ふふっ。先代プリキュアさんとの話は済んだようね」
「えるぅ!」
「ッ!ヨヨさん、エルちゃんも!」
すると先代プリキュアと入れ替わるような形で戦いの間、安全な場所に退避していたヨヨと彼女が抱いているエル。そして青の護衛隊隊長のシャララもやってきた。
「シャララ隊長……お身体は大丈夫ですか?」
「ああ。流石にまだ激しい動きはできないが、普通に動く分には問題ない」
シャララ隊長は先程までアンダーグエナジーによる肉体の汚染があったため、戦いなどの激しい動きは危険を伴うためできない。ただ、それでも彼女が無事に歩ける所まで回復したというのは彼女達にとってはかなり大きな事だと言える。
「ヒューストムは倒せたのか?」
「はい。どうにか倒した形ですけど、これだけ経って何も起きてないのでやはりさっきので完全に消滅したのかなと思います」
アポロンはヒューストムの事であるため、復活した際に怒りの声を上げるなりの何かしらのアクションを起こすと思っていた。
それか、あとは油断してるプリキュアを不意打ちするくらいだろうか。少なくとも、無言で撤退するというのは彼のしょうもないプライドの事もあってやらないだろう。
「そうか、これで一安心……と言いたいが」
するとシャララ隊長はふと視線を別の方向に向ける。その視線の先にいたのは先程からずっと倒れて気を失っているバッタモンダーであった。
「ああ……そういえばいましたね」
「ひとまず様子を……」
プリキュア達はヒューストムの件でバッタモンダーの事をすっかり忘れていたが、下手に彼に近づけば何をされるかわからないため一旦様子を見ようとする。
そんな時、バッタモンダーの閉じていた瞳がピクリと動くと彼は目を覚ます。同時にプリキュア達は構えを取って警戒心を露わにした。
「ん……あっ……。痛ててっ、俺は何をして……は?」
バッタモンダーは起き上がるとその視界に自分に対して警戒度をMAXにしたプリキュアを入れて唖然としてしまう。そして、慌てて周囲を見渡した。
「何でコイツらが俺だけを標的に……ッ!?」
バッタモンダーは意識が途切れる前の光景を思い出すと戦慄と共に顔を青ざめさせる。それは圧倒的な力でプリキュアを追い詰めながらも自分の油断や慢心が招いたミスが原因であと一歩の所で破れ去ってしまう姿だった。
「そういや俺は確か……って、まさかお前ら。ヒューストムも」
「ああ、しっかり倒させてもらったぞ」
「(ッ!?マジじゃねぇか……。ヒューストムの力が全く感じられない。というかこれ、今度は絶対俺がやられるやつだろ!?)」
バッタモンダーはこれ以上無い程の窮地に立たされていた。何しろプリキュアに一度負けて眠っている間にキラキラエナジーですっかり元通りになった街にヒューストムを撃退したプリキュア達が8人という構図が完成してしまっており、その間バッタモンダーは何の対策も立てられなかった。
しかもシャララボーグとして使って力尽きていたはずのシャララ隊長もある程度回復しており、これではバッタモンダーに勝ち目なんて物は無かった。
「ぐぅう……。こんなのあり得ねぇ……あり得ねぇし……」
バッタモンダーは思わずその場から逃げ出そうと考える。しかし、今の自分は油断さえしなければプリキュア相手に勝てるだけの力があるわけで。そう考えた彼はここでプリキュアを返り討ちにしようとする。
「こうなったら一か八かだ。この俺の残った全力でアイツらを……」
バッタモンダーは先程の戦闘で体力を殆ど使い果たした。何なら今はもう通常のスーパーバッタモンダーさえ使えない。しかしそれでも彼はヤケクソで突っ込むつもりだった。そんな彼を見たスカイは何故か背中を向けてしまう。
「ッ!?」
『スカイ!?』
「……もう良いです。バッタモンダーは戦意を喪失してますよ」
それを聞いてプリキュア達が改めてバッタモンダーを見ると彼のやる気と裏腹に体は小刻みに震え、やられてしまう恐怖に怯えていた。
「ッ……」
「バッタモンダー、シャララ隊長もアサヒ君も返してもらいました。それに、今の恐怖に怯えたあなたを倒す気にはなれません」
そう言って去っていこうとするスカイ。それを聞いてバッタモンダーは必死に叫んだ。
「な、何だと……と、トドメを刺さないのか!?じゃないとまた来るぞ!キュアスカイ!またお前の嫌がる事をしてやる!それでも良いのか!ソラ・ハレワタール!」
「……構いません!どんな事をされても負けないくらい、私……強くなりますから」
スカイは醜く喚き散らすバッタモンダーにあくまで毅然とした対応を取ると彼は完全に固まってしまう。
「何で……何で俺は」
「それと。ヒューストムに教えられてあなたもわかったでしょう?あなたは努力すれば強くなれるんです。だから今度は……その力を、優秀な頭脳を、誰かの役に立てるために使ってください」
「えっ……」
バッタモンダーはスカイから言われたその言葉に唖然としてしまう。自分はあれだけスカイの事を恨み、憎んで彼女へと嫌がらせをした。それなのにこうして彼女は自分の事を見逃し、そして変われる事を教えてくれたのだ。
「ッ……何で俺はいつも……」
バッタモンダーはそう呟くとプリキュア達がその場からいなくなるのをただ黙って見ているだけしかできず。
「色々試してみるか……」
暫く経った所で彼は立ち上がると何かを思ったのか。プリキュアの後を追う事はなく、彼もまた何処かへと去っていく事になる。
それから時間が経ち、この日の夜。虹ヶ丘家の一室では今回の件でシャララボーグにされていたシャララ隊長はダメージ回復のため寝ており、その傍にはヨヨが看病する形で座っていた。
「プリキュア……強くて優しい子達。あなたが育てたのですか?ヨヨ殿」
「いいえ、むしろ教えられる方よ」
シャララの問いに対してヨヨは外を見つめる形で優しくそれに答えを返す。
そして、その外ではユキ達8人とあげはに抱えられる形でエルも一緒にいた。
「私、未熟です。でも、未熟なりに前に進みます。そうすればきっと、いつの日か」
ソラはそう言って己の未熟を認めるとそれでも前を向く事を決意。
「ましろさん、ユキさん、アサヒ君、ツバサ君、ヒョウさん、あげはさん、かけるさん。そして……エルちゃん」
「えるぅ!」
「これからもよろしくお願いします!」
ソラは改めてユキ達の前で頑張る事を決意するとその意思を彼女達に伝えた。するとましろがソラへと声をかける。
「ソラちゃん!」
「え?」
「この手帳。もう一回もらってくれるかな?」
ましろが手にしていたのはソラがスカイランドに帰ってしまう前、ましろに返すと言わんばかりに部屋に置きっぱなしにしてきたヒーロー手帳であった。
「これは……」
「ソラちゃんが私達のヒーローとして戻ってきてくれたから改めてだよ」
「ッ!……はい!」
ソラ、ましろから改めて手渡されたヒーロー手帳を改めて受け取ると笑顔を浮かべる。
「絶対ヒーローに……なるぞーっ!」
そして、彼女は満天の星空の下で自らのヒーローとしての決意を叫ぶ事になるのだった。
それを見届けた所でふとあげはは何かを思い出そうとするかのように首を傾げ始める。
「……あれ。そういえば、何か忘れてるような気がするんだよね」
「何かって何?あげはさん」
「うーん……」
「ま、いっ……」
「うわぁああああ!!」
あげはが気のせいだとしてその話を終わりにしようとした時。突如としてまた何処らからか叫び声が聞こえてくる。そして、その光景にユキ達は既視感があった。
「んん?この声ってまさかまた……」
次の瞬間、突如としてアサヒの真上に空間の穴が開くとその中から1人の少年が飛び出てくる。
「へ?」
『あっ……』
ユキ達が直後の展開を何となく察した頃にはアサヒが上から出てきた少年……ひかるに押し潰される形で倒れるとひかるはどうにか呼吸を整えていた。
「はぁ、はぁ……あ、危なかった……。でも絶対怒ってるよな……らんこさん」
「ひかる……頼むからまず退いてくれ……潰れる……」
アサヒはひかるに上からいきなりのしかかられたせいでかなり苦しそうな声を上げる。そんな彼の姿にひかるは驚くと嬉しそうな顔を向けた。
「えっ、あ、アサヒ!?無事だったのかお前!」
「だーかーら、まず退けよ!!」
ただ、アサヒからしてみれば自分の上に同年代の男子が乗っているため怒りの形相を浮かべつつ叫んでしまう。そのため、ようやくひかるがその場から退くとアサヒはその重さから解放される事になるのだった。
また次回もお楽しみに。