ひかるが帰還し、彼かららんこ達の事情を聞いたアサヒ達。ただ……ひかるの爆弾発言がアサヒを巻き込む形で誘爆。ユキの逆鱗に触れてしまいますが、アサヒはすぐに謝りつつ誠心誠意向き合う事で彼女の怒りはどうにか抑まった。
ただ、ここで鎮火できたのはあくまでこちらの世界での誘爆した話題の分だけである。つまり、火元であるひかるの話は何一つ解決してなかった。
「はぁ……もうどうすれば良いんだよ……」
「らんこさんは本当にもうひかる君の事を許さなさそうだった?」
「そうですね……許すつもりゼロって感じですよ」
項垂れるひかるに対してかけるが問いかけるものの、ひかるはどうしようも無いと言わんばかりな顔で答えを返す。
「そっか……」
「あれ?そういえばだけどさ。ひかる君がらんこちゃんの事を怒らせたのっていつぐらい?」
「いつって……今日……?の午前中くらいかな」
ひかるは向こうの世界の厳密な日付を見たわけでは無いのだが、最終的に帰ったのは丁度昼の少し前だったので午前中だと回答。すると、あげははある可能性を示唆する。
「それだったらもうそろそろらんこちゃんの怒りも収まるんじゃないかな?」
「えっ?」
「そっか、単純に進む時間が同じなら今頃向こうの世界でも夜になっているはず……」
「半日も経てばらんこさんの気持ちも落ち着くよね!」
流石に怒らせた直後であるなら兎も角として、今は怒らせてから既に6時間以上が経過している。その間、らんこがずっと怒りっぱなしな可能性はかなり低いだろう。何しろ、どんな人間でも怒りの感情というのは長く続かないのだから。
「なるほど、確かに今なら謝れる可能性があるよ!」
「ひかる、こういうのはできる限り早い方が良い!ユキに許してもらった俺ならわかる!早くらんこさんの世界に行って謝るんだよ!」
ましろやアサヒがどうにかひかるの気持ちを焚き付けてらんこへと謝りに行かせようとする。アサヒに至っては先程ユキを怒らせてから彼女に許してもらっている。その実績からも謝るのなら早いうちが良いと余計に強く言った。
「皆……ッ!確かに、今なら謝れるかもしれない!」
「そうです!さぁ、らんこさんの世界の扉を開いて謝りに行きましょう!」
「良し……早速伝説の
『おーっ!』
「お、おー……」
ひかるは何故からんこの事をアニメキャラに当てはめて言うとそのノリについて行けなかったヒョウだけ唖然としつつ一応その場の流れに乗るために返事だけは返した。
それはさておき、ひかるは早速らんこのいる彼女の世界へと向かうためにスカイトーンを出すと彼女の事を考える。すると突如としてひかるの体に一瞬だけノイズが走ったようなエフェクトが出た。
「……えっ?」
「ひかる、そんなノイズ今まで出てたか?」
「何の事だよ、俺は至って普通だぞ?」
ユキやアサヒはひかるへとノイズの正体を問いかけようとするが、ひかる視点だとわからないのか……。彼は首を傾げつつそう返す。
すると、ひかるは一瞬だけ自身の目の前の景色が今いる虹ヶ丘家の建物内の居間から虹ヶ丘家の庭へと移るとそこにらんこやソラ達が視界に映る。
「ッ!?嘘だろ、もう着いたのか?」
流石にひかるもこの光景には困惑する。普段ならひかるがらんこのいる世界に移動する際はミラーパッドでスカイランドとソラシド市を行き来するように光のトンネルを通過するはずだった。しかし、今回はその光のトンネルを通るどころかダイレクトでらんこの世界に移動したのだ。
ひかるもいきなりの仕様変更に困惑した顔を浮かべる。しかし、次の瞬間にはひかるの視界がもう一度変化。そこはユキやアサヒ達が心配そうな様子を見せていた。
「ッ……戻ったのか?」
「ノイズも消えたわね。今のは一体……」
ユキ達は何故ひかるにノイズが走ったのかを考えようとするが、その答えが出るよりも早くひかるの目の前にらんこの世界に行くためのトンネルが開く。
「ひとまず考えるのは後だな。まずはらんこさんの所にい……あれ?」
「空間が……黒い緑色?」
しかし目の前に空いたらんこの世界に向かうための移動用空間の中は何故かいつもの緑色では無く、暗い緑色であった。
「まさか、らんこさんに何かあったのか?」
「でもさっきひかるは事件が無事に解決したって言ってただろう?」
「そんな短時間でもう次の敵が来たという事なのか?」
ユキ達はひかるの体に走ったノイズなんてどうでも良いと思える程にこの空間の異変に困惑。しかし、当のひかるはその空間を少しの間だけボーッと覗いていると突如として背筋に悪寒が走る。
「ッ!?何だ……今の寒気……」
その直後、らんこの世界に繋がっていると思われる空間から怒気や殺気に近いドス黒いオーラが溢れ始めた。
『……許さない許さない許さない許さない許さない……』
「な、何だこれ!?」
「嫉妬?殺気?よくわからないけど明らかにヤバいオーラが流れ着いてるよね!?」
ユキ達はらんこの世界から流れ着く凄まじい程の負のオーラを見て困惑。しかも、その声の主は何故からんこの声その物であった。
「なんからんこさんの声が聞こえるんだけど……」
「あ、もしかしてらんこさんはひかる君の事をまだ許してない?」
「う、嘘だろ!?何でまだそんなに怒ってるんだ!?」
ひかるはまさかのらんこの怒りの持続性の長さに困惑したような顔を浮かべるとこのままでは不味いと考える。何しろ、今のトンネルはひかる側がらんこの事を考えながら開いた物。つまり、ひかるのらんこの元に行きたい気持ちに紐づいている。
このままトンネルが開き続けていたらひかるはらんこの世界へと強制的に引き摺り込まれるという事だ。そして、そうなればひかるの命は無いだろう。何しろ、自分の事を許したと思われていたらんこは実際の所は全くもって彼を許してないのだから。
「ちょっ!早く閉じてくれ!このままじゃ、俺がらんこさんに殺される!!」
「えっ!?何で何で?」
「恐らくですけど、このトンネルが開きっぱなしだとひかるさんが吸い込まれるんです!」
ツバサがこの状況の危険さを理解できていないヒョウへと説明を入れているとその間にひかるの体は少しずつトンネルへと吸い込まれ始めた。
「ヤバい!?このままじゃ間に合わない!?というか、もしかしてこれ……らんこさん側も俺の事を引き摺り込もうとしてる!?」
ひかるはトンネルが中々閉じないのを見てトンネルの開いた先であるらんこの方からも彼の事を自分の世界に無理矢理引き込もうとしているのではないかと考えた。
そして、理由はどうあれトンネルはまだ全開放したまま。このままではひかるが引き摺り込まれてゲームオーバーである。
「ッ、ヤバッ!?」
「ひかる、掴まれ!」
「アサヒすまん!」
その時。ひかるが吸い込まれそうになるのをアサヒが手を掴んで止め、そのアサヒへとツバサが手を伸ばす。
「アサヒさん!」
「ツバサ!!」
アサヒとツバサが手を繋いで止まると今度はそのツバサをソラとましろが掴む。
「私達も……」
「手伝うよ!」
そして大人組であるかけるとあげははソラとましろと手を繋いで踏ん張る。それでも止まらなさそうだったため、2人は虹ヶ丘家の柱に掴まってどうにか踏み留まろうとした。
「ソラさん!」
「ましろん!2人は私達を!」
そのままどうにかこの吸引に耐えようとする一同。すると、この引っ張り合いに参加していなかったユキやヒョウ。更にアサヒやかけるの持っているスカイトーンから先代プリキュア4人が幻影として出てきた。
『ほんと、仕方ない子達ね』
『だけど、流石にこれは見過ごせませんよ!』
『ふふっ、この感じ。皆で一緒に並べるのは嬉しい!』
『そうね。皆、やるよ!』
その瞬間、先代プリキュア4人分の力が働くとトンネルが無理矢理閉じられる事になる。直後に先代プリキュアはこれ以上は必要無いとその姿を消失させた。
「トンネルが消えた……」
それはさておき、トンネルが封鎖された事でひかるの体が吸引されるのは収まると一同は安堵の息を吐く。
「ッ、良かった……」
「助かった。バーニングサン達」
アサヒが先代プリキュアにお礼を言っていると彼女達は微笑んでからスカイトーンの中に消失。するとまたひかるの体に一瞬ノイズが走った。ただ、今度はそれ以上の事が起きる事は無く。ユキ達に関しても誰1人としてそれに気がつくことは無かった。
「うぅ……らんこさん、まだ怒ってるよこれ……」
「ま、まさからんこさんの怒りがここまでとは……」
ひかるはらんこがまだ自分と話し合う事すら無さそうな様子に愕然としており、このままでは仲直りなど夢のまた夢と言えるだろう。
「もうこうなったらひかる君からは無理にトンネルを開けない方が良いかも。1人だけの時に今みたいに自分からトンネルを開けちゃうと吸い込まれるのは確定っぽいし」
「でも、そうしたらひかる君は謝りに行けないよ?」
「……それなら、向こうから繋いでくれた時のトンネルの色で判断すれば良いんじゃない?ほら、さっきはらんこちゃんが怒ってたから色が黒っぽくなってたし」
それを聞いてひかるは納得する。ただ、その場合一つ問題が発生してしまう。それは、らんこがひかるを許さないと行く事すらできないという点である。……そもそも今回の事の発端はひかるがらんこ以外の女性の大きな胸に反応してしまった事だ。
「だけど、このままじゃむしろらんこさんの怒りが増さない?だってらんこさんの気が収まるまでずっと待つって事でしょ?そうなるといつまでも謝りに行けないわけだし」
ヒョウはらんこの怒りが収まるまでわざわざ待っていたらそれこそ謝りに行くのが遅くなり、その怒りが増すのではないのかと危惧していた。先程もアサヒが言ったが、謝罪というのはできる限り早い方が良い。特に自分に非があるとわかっているのなら尚更自分から積極的に行くべきなのだ。
「ああーっ!どうすりゃ良いんだよーっ!」
「いや、そう思うならさっき行けば良かったでしょ!」
「無理無理無理!あんなの行ったら殺されるの確定じゃねーか!」
ひかるはらんこに早く謝りに行きたいのに今のままでは謝る時間すら貰えずに殺されだろうし、かと言ってらんこが落ち着くまで待つというのも謝罪という観点で言えば良いとは言えない。正に八方塞がりな状況と化していた。
「うーん、どうすれば良いんだろ……」
「何か切り札みたいなのがあれば良いんじゃない?これを渡せば絶対に機嫌を直すみたいなやつ」
あげはがそう言うものの、ひかるは頭を悩ませる。確かにそういう物があればらんこの機嫌は直るだろう。彼女はああ見えて割とチョロい方の人間ではある。つまり、らんこは好きな物を目の前にぶら下げると高確率で機嫌を直してくれるのだ。
「じゃあ、アップルパイとかどうかな?」
「でも、アップルパイで機嫌を直してくれそう?」
「ッ……無理だ。その感じだと俺が自分でアップルパイを作らないとダメなやつだろ?」
「当たり前だろ。普通謝罪ってのはそういう物だ」
アサヒがひかるへと辛辣な言い回しでそう言うとひかるは頭を悩ませたような様子で告げる。
「俺料理ダメなんだよ……。少なくとも、ましろさんみたいなレベルでは無理だ」
「いや、ましろんレベルでできるっていうのは流石に酷じゃない?私達から見ても普通にましろんって料理上手いから」
それなら尚更自分がアップルパイを作るパターンだとらんこの好みの味にできずに余計に怒らせるのは目に見えているわけで。
「じゃあ料理以外で……」
「CDプレイヤーとかどう?それならきっと……」
「それも無理だ。らんこさんの持ってるCDプレイヤーって割と最近新しく買い替えた物だから……」
少なくとも、古い物では無いので買い替えをする必要性が無い。そして、ひかるはある事を口にする。
「クソッ……せめてあの2人のグッズがあれば……」
『あの2人のグッズ?』
ひかるの言った言葉にユキ達は同時に聞き返しつつ首を傾げる。それを受けてひかるは更に告げた。
「ああ、春日うららか剣崎真琴……らんこさんはこの2人のファンなんだ」
「そういやそんな話もあったよな。それで、その2人のグッズって?」
「以前、偶々剣崎真琴さんのサイン会の時にサインを貰えて。それをらんこさんにプレゼントしたら凄く喜んでたんだ。だからそれと同じくらいの何かがあれば機嫌を直してくれるかなって」
「なるほど、確かにそれは名案だと思いますよ!」
「えっ、でもそんなレアな物……ここにいる誰か1人でも持ってる?」
ましろがそれを言うとひかるの意見に賛成していたソラの顔が凍りつく。……そう、この案の最大の問題点。それは2人のサインは超が付く程の激レア物なのである。現に前にひかるが渡した剣崎真琴……まこぴーのサインもサイン会の受付枚数が終わった後に彼女の落とし物を拾った際にサービスされた物。
つまり、所謂裏ルート的な物でしか手に入ってなかったのだ。そんな超が付く程の激レア品をこの場にいる者が都合良く持っているはずがない。
「ごめん、流石に2人のサイン入りの何かは無いかな……」
「私も、2人の事は知ってるけどファンってわけじゃないし……」
「ボク達も持ってません」
「そもそも私達はそこまでのガチオタクとかってわけじゃないし」
かける、あげは、ツバサ、ヒョウの4人は持っていないため対応不可。ソラも話の流れ的に所持はしていないだろう。残すはユキ、アサヒ、ましろだ。
「ごめんね……私も持ってなくて……」
「ましろもダメか……」
ひかるはこのままだと状況の打開は絶望的だと考える。そんな時だった。ユキはある事を思い出す。
「あれ?そういえばアサヒ君……アレまだ持ってるよね?」
「あー……そういや持ってたわ。ひかる、ちょっと待っててくれ」
「え?お、おう」
するとアサヒはユキに言われて何かを思い出したようであり、自分の部屋へと何かを取りに行く。果たして2人の言う何かとは何なのだろうか……。
また次回もお楽しみに。