熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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今回からオリジナルストーリーに入ります。それではどうぞ!


学校に向けたおでかけ 運命の邂逅

四人のプリキュア達が協力し、電車ランボーグを撃退してからまた日にちが経過。虹ヶ丘家ではその間に一つ変化があった。

 

「ふぁああ……」

 

ユキが目を覚ましてベッドから起きると部屋から出る。丁度そのタイミングでましろと会うとユキは嬉しそうな顔つきで声をかける。

 

「おはよ!ましろちゃん」

 

「うん、おはよう。ユキちゃん」

 

ユキの声色は誰が聞いても明るい物になっており、電車ランボーグとの戦いの日までと比べてもその差は明らかだった。

 

「ましろちゃん、今日は何するの?」

 

「お買い物かな。明後日には春休み終わっちゃうし」

 

ユキとソラがやってきた日からそれなりの日付が経過している。アサヒとましろの二人がその間、ユキやソラ達とずっといられたのはこの春休みが原因だった。

 

「春休み……って事はましろちゃんは」

 

「うん。アサヒもだけど、もうそろそろ学校が始まっちゃうんだ」

 

「学校……じゃあもしかして……」

 

「今みたいに一日中家にはいられなくなっちゃう」

 

「そっか……」

 

ユキは少し寂しそうな声色だった。ユキにとって親しい人と長い時間を過ごせないのは心細いのだが、アサヒやましろにとってはそれが当たり前の日常なので仕方ないと割り切る事になる。

 

「お。ましろ、ユキ。おはよ」

 

「アサヒ君、おはよ!」

 

そこに二人の前に起きてきたアサヒが合流するとユキは彼相手にも挨拶をした。そんなアサヒはここ最近明るくなったユキについて改めて触れる事に。

 

「ユキ、やっぱり前と比べて明るくなったよな」

 

「そうかな……」

 

「少なくとも、“落ち込んでます”っていう空気感はあまり見られなくなったね」

 

「えっ!?そういうの……出てたの?」

 

「いや、逆にあれだけ落ち込んでて出てないと思ったのか?」

 

アサヒは僅かに呆れたような目線を向ける中、それでも今のユキからはそういう明らかな負の感情が具現化したような雰囲気は無くなったので彼女相手に話しやすくなったのは間違いない。

 

「うぅ……。ごめんなさい」

 

「良いよ。あ、でも何で気持ちを切り替えられたか聞いても良い?」

 

「前までと比べて、私は一人じゃないって改めてわかったから……かな!」

 

ユキはそう言って自分の結論を笑顔で話して微笑むとそのあまりの可愛らしさにアサヒは一瞬見惚れてしまう。

 

「……」

 

「アサヒ?ボーッとしてどうしたの?」

 

「アサヒ君。私、変な事言ったのかな?」

 

「い、いや。何でもない。それと、ユキが今言った事は全然変じゃ無いから」

 

アサヒの頬はほんのり赤くなっており、ユキは首を傾げる。すると三人の会話にソラがエルを抱っこして混ざってきた。

 

「あーっ!皆さん私を除け者にして!私も話に混ぜてくださいよ!」

 

そこに一人だけ話に入れてなかったソラも混ざり、四人は一階の居間へと移動。その後、朝食を済ませるとユキが話を始める。

 

「あ、そう言えばさっきましろちゃんが今日はお買い物をするって言ってたけど……」

 

「そうなんですか?」

 

「うん。明後日の学校に備えて必要な物を揃えないといけないんだ」

 

「そっか、学校……」

 

ユキは僅かに顔が曇ってしまう。彼女にとって学校はあまり良い思い出がある場所では無い。

 

「あっ、ユキちゃんごめん……」

 

「ううん、大丈夫。ましろちゃんが普通に通ってるって事はきっとこっちの学校は私の行ってたあの場所とは違うって事だから」

 

ユキの声色はまだ少し不安そうだったが、少なくとも悲観的では無かった。そのため、ひとまず話を本題に戻す。

 

「必要な物を揃えるという事はまたしょっぴんぐもーる?という所に行くんですかね?」

 

「そういう事になると思うかな」

 

ユキ達四人の今日の予定が決まった所でソラに抱かれていたエルがユキの方へと手を伸ばしていた。

 

「える!えるぅ!」

 

「あ、エルちゃんがユキさんに抱いてほしいって言ってますよ」

 

「え?私?」

 

「それじゃあ、早速。ユキさん、お願いします」

 

「う、うん。わかった」

 

エルの要望という事で早速ソラがユキへと抱いていたエルを差し出すとユキがそっと受け取る。

 

「えるぅ〜!」

 

「エルちゃん、ユキさんに抱かれて気持ち良いですか?」

 

するとエルはユキに抱かれてキャッキャッと笑っており、完全にご機嫌な顔つきになっていた。恐らく、エルもユキが明るくなってくれたのが嬉しいのだろう。そんなエルの笑顔にユキが癒されている中、ふとソラが言い出した。

 

「そういえば、ユキさんってエルちゃんといつの間に仲良くなったんですか?」

 

「え?私は普通に接してるだけだけど……」

 

ユキが指摘されてキョトンとした顔つきになる。彼女としてはあくまでエル相手に普通に接しているだけなので、そこまで特別な何かをしたわけでは無いのだ。

 

「そういや、何だかユキに抱かれるとエルちゃんの顔がいつもよりご機嫌になっているよな」

 

するとアサヒまでその意見に同調した事を言い出す。ユキはそんな二人に疑問符が浮かぶとそれなら一回試してみた方が良いと思ったためにある事を言い出す。

 

「それじゃあ、アサヒ君も抱いてみたら?」

 

「何でそうなるんだよ……」

 

「だって、私の時だけご機嫌なのか確証が無いし。それに、アサヒ君にだって抱いてもらいたいよね?エルちゃん」

 

「える!」

 

エルはユキからの提案に頷くとアサヒへと抱いて欲しそうな視線を彼へと向ける。

 

「わかった。じゃあユキ」

 

「うん」

 

アサヒはエルを抱く事を了承し、ユキは彼へと手渡す。するとエルはユキが抱いた時と同じように嬉しそうにした。

 

「える!えるぅ!」

 

「よーしよーし」

 

「アサヒの時も結構嬉しそうにするね」

 

「いや、俺の抱き方が悪いみたいな言い方するなよ」

 

ましろに言われてアサヒは呆れたようにそう返す。するとユキはエルの頭をそっと撫でる。

 

「アサヒ君の子供もこんな風に可愛いのかな」

 

「……ユキ?何か言った?」

 

「えっ!?あっ!!ち、違うよ!気のせい気のせい!」

 

どうやらユキは今の発言を無意識で言ったらしく。しかもかなり小声だったのでアサヒに指摘されたユキは慌てて撤回する。

 

「(ユキちゃん……もしかして?……いや、まだそうと決まったわけじゃ無いか)」

 

ユキの反応にましろは何かに気付きかけるものの、気のせいだと一旦置いておく事にした。尚、ユキも半ば無意識に考えてしまった事なので彼女も指摘が無かった事にホッとするとその考えを忘れる事になる。

 

そんな時だった。四人が、特にユキとアサヒの二人が仲良さそうに話す中、その部屋の窓の外では二人が話す様子を嫉妬深く見つめる白い鳥がいた。

 

「……ん?」

 

ソラは外から向けられる視線に気付いたのか、ふと窓の外へと視線を移す。しかし、そのタイミングで白い鳥は慌てて知らんぷりと言わんばかりに別の方向を向いてしまった。そうなるとソラは違和感を感じるわけで。

 

「あれ?」

 

「どうしたの?ソラちゃん」

 

「いえ、先程窓の方から視線を感じたので……」

 

「気のせいじゃない?」

 

「恐らくそうだとは思いますが……」

 

ソラは少しだけ窓の方を気になる様子で見ていたが、あまり気にし過ぎるのも時間が勿体無いという事で三人との会話に戻る事にした。

 

その直後に窓の外では白い鳥がまたアサヒへと冷たい視線を送ったものの、今度は白い鳥はオレンジの鳥に慌てて引っ張られて強制的に窓の側から遠ざけられてしまう事になる。

 

それはさておき、ユキ達四人はランニングに行ってから戻ってきて朝食を囲むと早速準備をして街中へと出掛けていった。

 

「まずはどこから行くの?やっぱり買い物と言えばさっき言ってたショッピングモール?」

 

「うん。それも良いけど、ホームセンターにも行きたいかな。文房具とかを買うならそこもあるし」

 

「ほーむせんたー?が何なのかはよくわかりませんが、気になりますね。ひとまずそこに行きましょう!」

 

そう言ってソラは楽しみそうな様子で駆け出す。勿論そうなれば周りが見えなくなって危ないわけで。

 

「ッ!ソラちゃん、前!」

 

「え!?」

 

ソラが走って行こうとした瞬間。道路の曲がり角から急に少女が飛び出してきたのだ。

 

その瞬間、ソラとその少女の目が合う。少女は茶髪のショートヘアで少女ではあるがボーイッシュな雰囲気であり、服装もスニーカーにショートパンツと言った動きやすそうな物を着ていた。

 

まるでソラと同じように運動が得意なスポーツ系女子。そう思われる少女とソラの間には特別な何かを感じたような一瞬の何かの予感が二人の脳に駆け抜けるが、その間も時は進み続けてしまうわけで。

 

「「痛だっ!?」」

 

二人はものの見事に正面衝突。何なら頭をゴッツンコさせてしまう始末だった。

 

「ソラちゃん!?大丈夫?」

 

「は、はい。何とか……ハッ!」

 

ソラは慌てて自分とぶつかってしまった少女の方を見る。自分のせいで相手が怪我をしてないか心配になったのだ。それからソラと駆け寄ったユキが当の少女の方を向くとそこで繰り広げられるやり取りに唖然とする。

 

「痛たた……」

 

『もう、なぎさが余所見してるからこうなるのメポ』

 

「煩いわね!ちょっとはしゃいじゃっただけじゃない!」

 

『まずは相手に謝るメポ!それから……あっ』

 

二人の視線は少女が腰から下げている折り畳み携帯の方に釘付けだった。何しろ、少女とは別の何かが喋る度に折り畳み携帯がピョコピョコ動いていたのだ。それを見てしまった以上、二人の思考が混乱するのは当然である。

 

「ソラちゃん、ユキちゃん。相手の子は大丈夫そうだった?」

 

「そうだぞ、ソラ。少しは心配して……」

 

「い、い、い、今その腰から下げてる物、喋って動きませんでしたか!?」

 

「そうだよ!何今の!?」

 

「「え?」」

 

ユキやソラが慌てた声を上げると当然アサヒやましろも気になって視線を集めた。同時に少女も慌てて反応する。

 

「ち、ち、違うよ!気のせい!気のせいだって!

 

「そ、そうですよね……」

 

「流石にそんな事無いですよね……」

 

「「「あはは……」」」

 

少女の言葉に苦笑いするユキとソラ。それを見てアサヒとましろも何となく少女には何か秘密があるのだと察した。

 

「なぎさ〜!」

 

「なぎささん!」

 

するとそこに少女の友達なのか、別の少女が二人程遅れてやってきた。一人は黒髪ロングでお嬢様のようなおっとりとした雰囲気をしている。もう一人は金髪でそれを編み込んで一本の三つ編みをおさげにした少女で、他の二人と比べると低身長だった。

 

「ほのか、ひかり!」

 

「もう、知らない街なんだから駆け出したら迷子になっちゃうでしょ」

 

「すみません、なぎささんがいきなり……」

 

そんな風に遅れてきた二人がそう言うと、なぎさと呼ばれた少女はキョトンとした様子の四人へと自己紹介する。

 

「あはは、ごめんごめん。っと、自己紹介がまだだったね。私、美墨なぎさ。中学三年生この二人が……」

 

「雪城ほのか、なぎさの友達で中学三年生」

 

「九条ひかりです。私は中学一年生になります」

 

これにより、茶髪のショートヘアの子がなぎさ。黒髪ロングの子がほのか。金髪のおさげがひかりという事が判明。また、挨拶をしてもらったという事でユキ達も挨拶する事になる。

 

「これはどうも、ご丁寧に……では、私はソラ・ハレワタールです!つい先日、この街にやってきました!」

 

「えっと、ユキ・ハレワタールです。ソラちゃんとは親戚になります」

 

一応ユキは幼い頃に預けられた子ではあるが、本当の名字を知らないのでソラとは親戚どうし……という設定にしておいた。

 

「変わった名前だね。もしかして海外の子?」

 

「ええ!私達はスカイラ……」

 

「ターイム!」

 

ソラはいつもの如く“スカイランドから来た”と言いかけてしまったためにそれはましろによって遮られる。その後、すかさずユキがフォローした。

 

「う、うん!海外に住んでいたの。だからこっちの方にはまだ慣れてなくて……」

 

「そうなんですね」

 

「俺は虹ヶ丘アサヒ。中学二年で二人とは違ってこの街に幼い頃から住んでる」

 

「私は虹ヶ丘ましろ。アサヒとは親戚で、同じく中学二年だよ」

 

「えっと、なぎささんとほのかさんは多分歳上になるんですよね……」

 

ユキとソラは年齢的に中学二年に当たるのでなぎさ、ほのかの二人よりも歳下だ。

 

「でも、気軽に接してくれて大丈夫だよ」

 

「そう言えば、三人は何の目的でこの街に?」

 

「ちょっとしたお出かけです。ネットで調べてたらこの街の事が気になって。三人で来る事になりました」

 

どうやら観光目的で一日だけ他の街からソラシド市にやってきたらしい。するとなぎさが声を上げた。

 

「そうだ!アサヒとましろはこの街に前から住んでいるんだよね?どこがオススメとかある?」

 

「オススメの場所か……」

 

「それだったら、この街にもPretty_Holicがあるからそことかどうかな?」

 

「プリティ……ホリック?」

 

「ああ、ここ最近店舗が増えてきているコスメショップだね」

 

「いつか行きたいとは思ってましたが、私達の街には無いのでちょうど良かったです。場所を教えてもらえますか?」

 

なぎさはお店の名前自体がわからない様子で首を傾げる中、ほのかとひかりはお店自体は知っていたために反応を返す。

 

「うん。えっと、ここからだと……」

 

ましろが丁寧に道筋を教えると三人共わかってくれた様子であり、ユキ達の方はまだ用事が済んでないのでここでお別れになった。

 

「わかりました。ありがとうございます!」

 

「こちらこそ、ソラシド市を楽しんで行ってね」

 

「うん!」

 

「じゃあ早速行こう!ほのか、ひかり!」

 

「あっ、なぎさ!また一人で!」

 

「慌ただしくてすみません!ありがとうございました!」

 

それから三人はましろから紹介されたお店、Pretty_Holicへと向かって行くのだった。四人はそれを見届けてからまた自分達の用事を済ませるために移動を開始。ただ、この出会いが後に大きな意味を持つ事をこの時の四人はまだ知らない。




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