熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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受け入れる事で起きた奇跡 届く雪の気持ち

キュアスカイが復活し、プリズム達他のプリキュアの元に到着する少し前。サンスポットからの大技をまともに受けて絶体絶命の窮地に立たされたオーロラことユキ。しかし、彼女はもう一度立ち上がるとサンスポットと再戦する事になる。

 

「たぁああっ!」

 

「ぐっ!?」

 

そして、その再戦ではまさかの最初からオーロラがサンスポットを押す展開だった。

 

「はあっ!」

 

「調子に乗るな!」

 

オーロラからの空中での左回し蹴りに対してサンスポットは右脚の回し蹴りで対抗。2人の蹴りがぶつかると衝撃波が駆け抜けるが、少しずつサンスポットが押されていた。

 

「ッ……お前、さっきズタボロにしたはずなのに……どこからそんな……」

 

「違うよ。私は強くなんかなって無い。変わってるのはサンスポットの方だよ!」

 

そのままオーロラはサンスポットの脚を押し込んでから反動で後ろに跳ぶと瞬間移動。

 

「ッ!?後ろか!?」

 

「正解!でも遅い!」

 

サンスポットはオーロラの移動先を読み切って振り返るが、そのタイミングでオーロラの左脚が後ろ回し蹴りの形でサンスポットの腹に突き刺さる。

 

「がはあっ……」

 

オーロラのこの驚異的な攻撃速度のタネは瞬間移動直前の動きにある。オーロラはこの移動前に後ろに向かって跳躍している。そのため後ろへと高速で移動しながら瞬間移動する事になり、今回のような強烈な一撃に繋がったのだ。

 

「ぐ……やっぱりお前、さっきから強く……うぐっ!?」

 

サンスポットが顔を歪めているとまた胸に変な感覚を感じると赤い炎が燃え上がる。つまり、またアサヒとしての人格が復活し出しているのだ。

 

「テメェまた……」

 

「……アサヒ君の事をあなたが消すのは無理だよ」

 

サンスポットが苦しむ中、オーロラはそう言って彼へと話しかける。それを聞いてまたサンスポットは顔を歪めた。

 

「そんなはずがあるか……コイツの人格なんて物はもう……」

 

「ううん。絶対に無理。だってあなた自身がそう言ったんだよ?」

 

「ッ……煩い!」

 

オーロラがサンスポットの前の発言との矛盾を指摘すると彼はまた苛立ったように頭に手を置く。

 

「あなたは自分の事をアサヒ君と同一だって言ってた。自分が虹ヶ丘アサヒの一面だって。……だったら、アサヒ君の人格を消すなんて無理なんだよ?そんな事したら、あなた自身も消えちゃうんだから」

 

「ッ!?」

 

そう、サンスポットの発言の矛盾。それは自分で自分の人格はアサヒと同一であり彼の一面と言っておきながらアサヒの人格を消したと自ら言っている事だった。要するに都合の良い時だけアサヒの事を引き合いに出してオーロラことユキを揺さぶり、都合の悪い時にだけアサヒを要らないと切って捨てるという身勝手な自論を持ち出しているという点である。

 

「ふざけんな……でも、だからって俺がこんなにも弱くなる理由なんて」

 

「……本当は私の事、攻撃したく無いんでしょ?」

 

「はぁ!?」

 

サンスポットは意味がわからないと言わんばかりに困惑する。自分はオーロラことユキを従わせるならどんな攻撃も厭わないと思っており、先程も怒りに任せた全力攻撃をしながらもオーロラが死なないように……最後の一線を超えないように手加減していた。

 

「ばっ、馬鹿を言うな。あの時お前をギリギリ殺さなかったのは俺が後から楽しめないから生かしたってだけで……」

 

「ううん。確かにそれもあるかもだけど……だったら今の戦いでこんなに私に苦戦なんてしないよ」

 

サンスポットの実力なら疲弊し切った自分をもう一度叩きのめすくらいできるはずだ。それなのにここまで苦戦するのには理由があるとオーロラは予測。それがサンスポットの中のアサヒの人格が邪魔して肝心のトドメにまで持って行けてない。

 

「アサヒ君、カゲロウ。さっきも言ったけど、私はあなたの全部を受け入れるよ」

 

「ふざけんな……ふざけんな……今更そんな綺麗事が通じるとでも」

 

サンスポットがオーロラを殴るために彼女へと向かって走り出す。それから拳を突き出した。

 

「だぁああっ!」

 

しかし、オーロラはその攻撃に対して避けようともせずに正面で両手を広げてサンスポットを受け入れようとする。

 

「ッ!?」

 

「(止めろ!!)」

 

その瞬間、サンスポットの中に声が聞こえると急に彼の動きが停止。オーロラは顔面を殴られる寸前で拳を寸止めされる。

 

「な……何故だ……また」

 

「カゲロウ、もう止めよう。こんなの、お互いにとって苦しいだけだよ」

 

「ッ!?情けのつもりか!俺は、俺は……」

 

「私の事を好きにしたいのなら私に一言言ってくれれば好きにして良いんだよ?勿論限度はあるけどさ……。そのくらいだったらあなた達のためにしてあげられるから」

 

サンスポットの脳内はどんどん困惑していく。少し前まであんなにも自分に対して不快感を抱いていたはずなのにどうしてここまで自分を受け入れようとするのか。少しずつ自分の存在意義が消えるような……そんな感覚を覚えていた。

 

「俺は……」

 

「カゲロウは私の事を好きにしたいんだよね?……私、最初は怖かった。あんなにも闇に溢れて、アサヒ君がアサヒ君じゃ無いような感じがして」

 

ユキがそう思うのも当然だろう。何しろ、人格がアサヒとカゲロウで違い過ぎるのだ。ユキにとってのアサヒのイメージは自分の事を助けてくれる優しい人。自分が辛い時や苦しい時に寄り添ってくれて、自分が嫌がる事は絶対にしない人だった。

 

カゲロウに対する不快感はこのアサヒとのあまりに掛け離れたカゲロウがアサヒの姿をしたまま自分を襲ってくる事から来るものだ。しかし、今は違う。カゲロウの言動がアサヒの心の奥底に眠っていた彼の本音、ユキ相手にやりたかった事なのだとユキは闇の自分との対話である程度受け入れることができた。

 

「あなたがこんなにも歪んでしまったのは……元はといえば私への過度な気遣いが原因。……だから解決方法なんて最初から簡単だった。私が、私がもっとアサヒ君の事を受け入れれば良かったんだ」

 

「黙れ!……俺は、俺はユキの事をメチャクチャにして……お前を玩具にして……言う事を聞かせるんだ。そのためにお前を心身共に痛ぶって……そんな彼氏が、そんな彼氏が受け入れられるはずなんか」

 

その瞬間、アサヒの中から少しずつ禍々しいエネルギー……アンダーグエナジーが漏れ出すのが見えた。同時にそれがオーロラの光によって浄化されて薄れ、消えていく。

 

「でも受け入れるよ。だって、アサヒ君……心の奥底ではそんな事思ってないんだから」

 

「が……ああっ!?」

 

オーロラが微笑むと胸の赤い炎は更に輝きを増してサンスポットの体からどんどん力が抜けていた。

 

「カゲロウはアンダーグエナジーの力でおかしくなってたんだよ。本当はもっと優しい子なの。だから……私は取り戻すよ。だって、アサヒ君もカゲロウも……大好きだから!」

 

その瞬間、オーロラはサンスポットの事をそっと優しく抱きしめる。同時にオーロラの胸の中に白い吹雪のような輝きが強くなり始めた。

 

「は、離せ……こんな俺なんて、こんな俺がユキに受け入れられて良いはずが無いんだ……。もっとユキのために気持ちを抑えなきゃ……ユキに嫌われる……そんなのは……」

 

「ふふっ。聞こえたよ、アサヒ君の気持ち。やっぱり私のために沢山無理してたんだ」

 

「黙れ!こんなの俺の本心なんかじゃ無い!!お前なんか、お前なんかメチャクチャに」

 

闇の心を熱く、強く燃え上がらせようとするサンスポット。しかし、オーロラはそんな彼の闇を完全に正面から受け止めると自らの胸に宿った吹雪で冷やす。

 

「離せ!離せって!」

 

「離さない……もう二度と離さない!!私は本当のアサヒ君を取り戻したい!」

 

「あ……ああ……」

 

サンスポットがオーロラから受けた光で浄化されていく中、どうにか残っている闇のオーラを全開放。

 

「このまま消されてたまるか……はぁあああっ!」

 

「ッ!!」

 

オーロラは咄嗟にサンスポットから距離を取るとサンスポットはこれまでに無い程に苦しみながらオーロラを睨んでいた。

 

「はぁ……はぁ……俺は……カゲロウだ。アサヒみたいなのと一緒にされてたまるか。それに、俺の心は醜いんだぞ。それでもお前は俺を……」

 

「助けるよ。それでも絶対……助ける。だって、今のカゲロウ……辛そうだから」

 

「ぐ……だから俺はお前なんかに助けられる程腑抜けてなんか無いんだよ!!お前こそ良い加減俺の奴隷にでもなってろ!!」

 

サンスポットが自らの中に残った力を開放。凄まじい程の闇の力が彼の元に収束していった。

 

ただ、それは先程とは違って不安定であり……彼の心の乱れを示しているようでもある。

 

「今度こそお前のその耳障りな口を黙らせてやる。そうしてお前を玩具にして身も心もボロボロにしてやるんだ!」

 

サンスポットは狂ったように叫ぶと背後に黒い太陽を出現させ、そこから発生した炎をサンスポットの右腕に集約。凄まじい威力のエネルギー球体へと変化した。

 

「消し飛べ!ひろがる・ソーラーエクリプス!」

 

それは紛う事なきサンスポットの全力の一撃。その一撃から絶対にオーロラを倒すという強い意志を感じる事ができた。しかし、オーロラはそれを見ても尚逃げる事をしない。

 

「言ったでしょ、私はあなたの全てを受け入れる!」

 

オーロラは何と真正面からソーラーエクリプスを受け止めるとそのままソーラーエクリプスの凄まじい威力に少しずつ体が後ろに下がる。

 

「ぐ……ううっ……」

 

「馬鹿が……俺の全力の一撃だぞ。お前に受け止め切れるわけ……なっ!?」

 

サンスポットはオーロラが自分の攻撃を受け止めた瞬間。彼女がやられて惨めに倒れ伏すと思っていた。しかし、それどころか何故か少しずつ自らの攻撃が小さくなっていくのを見てしまう。

 

「ば、馬鹿な……これは一体……どういう」

 

「はぁあああっ!」

 

すると少しずつ小さくなっていたサンスポットからのエネルギー球体は直後に完全に消失するとその力が全てオーロラの中に取り込まれていくのを見た。

 

「まさか、テメェ……俺の力を全て吸収して」

 

「そうだよ……ッ」

 

オーロラはサンスポットの言葉に頷くとそのタイミングで体への深刻なダメージが原因なのか揺らいでしまう。

 

「ユキ……止めろ、今のお前がそんな事したら……ッ!?」

 

「……心配してくれてありがと。だけど、やらないといけない事がまだ終わってないから」

 

サンスポットはそこまで言ったところで自分で何を言ってるか理解すると慌てて口を塞ぐ。しかし、サンスポットの心の中に燃え盛っていたアサヒを示す赤い炎は止められない。同時にオーロラの胸に宿っていた白い吹雪のような光は更に強くなる。

 

「ッ、幾ら希望的な気持ちを持った所で俺を倒すのは不可能だ!」

 

サンスポットの言う通り、オーロラ1人では幾ら浄化技を使った所で彼を倒し切るには力不足。このままではあと一歩で助けられる距離にいるアサヒの元にオーロラの、ユキの手は届かない。

 

「……それでも助けに行くよ。私はそのためにアサヒ君とカゲロウの全部を受け止めたから!」

 

オーロラはそう言って踏み込むと一気にサンスポットへと接近しようと駆け出す。

 

「チッ、これ以上近づけさせるか!!」

 

サンスポットが闇の炎による火炎弾を連射。しかし、オーロラは流れるような最小限の動きでそれを回避しつつ接近。サンスポットは少しずつ近づくオーロラに戦慄するも、逃げようと後退りするタイミングで自身の脚が動かない事に気がつく。

 

「ッ!?氷……コイツ、いつの間に……」

 

サンスポットの両脚はいつの間にか揃って凍結させられており、それがオーロラの仕業である事はすぐに理解できた。

 

「アサヒ、カゲロウ……今助けるよ」

 

その瞬間、サンスポットが動揺した一瞬の隙を突いて瞬間移動したオーロラはサンスポットの目の前に立つと5人に分身。周囲を取り囲むように立つと星を描くように線で結ばれていく。

 

「ひっ!?や、止め……」

 

サンスポットは自分がやられるという恐怖に駆られるが、もう遅い。オーロラがサンスポットを助けるために技名を叫んだ。

 

「ヒーローガール!オーロラミラージュ!」

 

その直後、星のマークの中心に存在するサンスポットへと地面から天へと昇るオーロラ色のエネルギーが照射されるとサンスポットの体にあるアンダーグエナジーを浄化していく。

 

「ぐあああっ!?」

 

「はぁああああっ!」

 

サンスポットはオーロラの個人技なら耐えられると考えてどうにか耐え切ろうとする。しかし、その技の威力はサンスポットの想定を遥かに超えていた。

 

「な、何故だ……こんな威力、普通ならあり得な……ッ!?」

 

サンスポットはこのタイミングでようやく気がつく。先程オーロラが自分の技を受け止めた際にそのエネルギーがどうなったのかを。そう、サンスポットが放ったソーラーエクリプスに内包されたアンダーグエナジーはオーロラが受け止めた際にキラキラエナジーへと変換された状態で彼女の体に吸収されていた。

 

つまり、自分の技の威力を全て上乗せされた状態でオーロラの技を浴びている事になる。

 

「まさか……この俺の力も……がぁあああっ!?」

 

「はぁああああっ!」

 

そのままサンスポットの体の中のアンダーグエナジーは綺麗さっぱり消失。同時にカゲロウの意識は本来いるべきアサヒの意識の闇へと沈んでいく。

 

「この俺が負けた……ッ。負けたって言うのにこうも温かいのは何でだ……」

 

「それはユキがお前の事も受け入れてくれたからだよ」

 

するとカゲロウがオーロラからの光に包まれて落ちていく中で代わりに浮上し始めたアサヒ本来の人格とすれ違う。

 

「そうか……だから俺は……負けたのか。ユキの温かい心に……」

 

それからカゲロウは自分の体をおかしくさせていたアンダーグエナジーが消え去った事で興奮状態が消えたかのようなスッキリした心地でアサヒへと最後の言葉を告げる。

 

「……アサヒ、俺のせいで迷惑をかける」

 

「良いよ。だってお前は俺なんだろ。だから、責任は俺がしっかり取っておく」

 

「ああ、悪い……」

 

サンスポットことカゲロウはその言葉を最後にアサヒの中へと消失。何故オーロラがアンダーグエナジーをキラキラエナジーへと変えて取り込み、その力でカゲロウを打ち破ぶる程の力を出せたのか。それは、アサヒの全てを受け入れるという彼女の気持ちが起こした奇跡と呼べるだろう。

 

同時にサンスポットは変身解除してアサヒの姿に戻り、オーロラがそっと彼を支えるように受け止めた。

 

「はぁ……はぁ……アサヒ君……」

 

オーロラは不安そうにアサヒの事を見ていると彼女の中から黄色い光を放つスカイトーンが飛び出す。それは、カゲロウの暴走と同時にアサヒの元を追い出されていたキュアルーセントムーンの力が入ったスカイトーンであった。

 

するとその瞬間、アサヒの胸に赤い光が灯ると同時に自分の胸にも共鳴する形で白い光が灯る。

 

「く……ううっ」

 

「ッ、アサヒ君!?」

 

「ユキ……ごめん、長い事側にいられなくて」

 

「ッ……アサヒ君、良かった……」

 

こうして、オーロラことユキの気持ちは届くとカゲロウはアンダーグエナジーを失って正気に戻った。そして、カゲロウはアサヒの中に帰るとオーロラが見守る中でアサヒは本来の人格としてようやく目を覚ます事になる。




また次回もお楽しみに。
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