ユキとアサヒが改めて対話して和解の意思を示し合うとユキからの提案で2人はこの夜、添い寝をする事が決まった。
そのために2人は寝る前の準備をしにいく事になったわけだが、まず部屋を出たアサヒは自室に戻ると確かな胸の高鳴りを感じていた。
「(ヤバいヤバいヤバいヤバい……。ユキと添い寝……ッ)」
アサヒとしてはユキとの添い寝は初めてでは無い。一応2人が同じ部屋で寝たという事は前にもある。ただ、その際はかけるもいたので正確には2人きりでは無く。また、ユキが自分に心を許した上で寝るという話自体今回が初めてなのでアサヒはどうすべきか迷っていた。
「ユキ、俺の本音が聞きたいって言ってたけど。でも、そんな事言ったらユキに対する下心とか全部見せて良いって事なのかな」
アサヒとしてはユキの体に触れられて、尚且つユキ側からのお咎めが無いのならそれに越した事は無い。
しかし、今回のように添い寝だとユキに手を出したら自分に歯止めが効かなさそうな気がして怖い気持ちもあった。
「カゲロウの奴はユキの事、性的な意味で色々したがってたからな……。幾ら理性のある俺の人格でもちゃんと常識的な範囲に収まるか」
今回はユキの許可の元で触る行為が許されているとはいえ、当然限度というものはある。
「……いや、ユキが良いって言ったんだ。それにもしユキが本音で話してくれるのなら、やり過ぎて嫌な時はまた言ってくれるよな……」
アサヒはユキの方からお互いに本音で話し合おうという提案をしてもらったためにユキ側が嫌な思いをした時はちゃんと言ってくれると考えるとリラックスしつつ準備を進める事に。
一方のユキ側はアサヒが出て行ったタイミングでまるで溜めていた物が一気に出るように大きく息を吐いていた。
「ふぅ……。良かった、アサヒ君……受け入れてくれた」
ユキの頬は既に赤くなっており、体は少し熱っぽさを感じる。これで今日は2人で添い寝をする事が決まり、大好きな人がすぐ近くにいてくれるという安心感はここ最近アサヒとすれ違っていたユキの心を久しぶりに癒してくれるだろう。
「アサヒ君から体を触られる……ッ、大丈夫かな。触らせておいて嫌な気持ちにはさせたくない」
ユキは自分の見だしなみを見ながらアサヒが自分の体を触っても大丈夫なように確認を進めていく。
「……アサヒ君と添い寝……」
ユキの頭の中はアサヒとの添い寝の事でいっぱいになると嬉しそうにする。ふと、彼女はある事を思った。
「……そうだ。今のうちにかけるさんに……」
ユキは何故かかけるの元に行くと彼はユキの訪問に合わせて部屋から出てくる。
「はーい……ってユキさん。どうしたの?」
「かけるさん、寝る前なのにすみません……その。かけるさんに証人になってもらいたいと言いますか」
「証人……」
かけるが何の事だかわからずに首を傾げるとユキは早速自分とアサヒが添い寝をするという話を持ち込んだ。それを聞いて何となく事情を理解する。
「なるほど、もし他の人に誤解された時に備えて俺が証人になってほしいって事か」
「はい……。それに、私とアサヒ君が寝ている間に何かやらかしちゃってもかけるさんが公平な立場で仲介できるかなって」
「あはは……。それは責任重大だね。あ、でもユキさんとしては俺で良かったのかな?あげはさんの方が同じ女子だし信頼できると思うけど」
かけるは同じ女子に証人を頼むのなら兎も角として。異性である自分にこんな重大そうな話を持ち込んで良かったのかと思ったのだ。
「えっと……その、あげはさんだと変に興奮して他の人にバレちゃうかなと思って」
「あー……」
ユキとしては勿論、あげはが信用できないわけでは無い。何なら、女性陣の中では大人側で尚且つ相談しやすい相手ではある。しかし、今回に関してはあまり事を荒立てたく無いのか。
あげはが話を聞いた際に興奮しまくってそれで騒ぎになって見つかるという事態にだけはしたくないようだった。
「わかった。じゃあ、もし何かあった時は俺が助けになるよ」
「すみません、かけるさん。ありがとうございます」
ユキはかけるへと頭を下げると彼の部屋を後にした。これにより、仮に添い寝中に誰かが突入なんてしてきた際。アサヒが全員から真っ先に疑われるという展開は避けられるだろう。それに、少なくとも今回の添い寝は自分から提案したものだ。言い出しっぺの責任は果たしたい。
「アサヒ君、早く来てほしいな」
ユキは準備を終えてベッドに腰掛けるとソワソワとしたような様子で待つ事に。一方のアサヒは少ししてから部屋をノックすると改めてユキを呼び出した。
「ユキ、大丈夫か?」
「うん、入って良いよ」
アサヒはユキに許可をもらった上で入室するとユキは微笑みつつアサヒを手招きする。
「ユキ、待っててくれてありがと」
「うん、大丈夫だよ」
それから2人は今から寝るには少し早いために雑談をする事にした。とは言っても、そこまで雑談ばかりするつもりも無く。30分も経過する頃には2人ともそろそろ寝るという空気感になりつつあった。
「ユキ、そろそろ遅くなっちゃうし」
「うん。寝よっか」
それから2人は一旦腰掛けていたベッドから立ち上がるとアサヒはユキが奥に入るように促す。
「ユキが奥側でも良いか?」
「うん。アサヒ君ならきっとそう言うと思ってたから」
どうやらユキもこれは想定内だったらしい。アサヒはユキの事を守りたい都合上、外側でベッドから落下するリスクを避けたがると思ったのだ。ユキはそんなアサヒの提案に有り難く乗ると自分が先にベッドの上で横になる。
「アサヒ君、どうぞ」
「じゃあ、失礼します」
アサヒはユキがしっかりと横になったのを確認した上で自分もその隣に入った。直後にアサヒは部屋の電気を消すと薄暗くなった部屋で2人は1人用のベッドの上で隣り合わせになる。
「「………」」
それから少しの間、無言の時間となるとアサヒはチラッとユキの方を向く。この事から、最初は2人共天井を見上げる形で寝ていたのだが……アサヒはまだ寝付けなくて寝ているであろうユキの方を向いたのだ。
「(ッ……ヤバい。ユキの寝顔、可愛い……)」
そこにはスヤスヤと可愛らしい寝息を立てながら目を閉じて寝ているユキがおり。その姿はまるで天使が隣で寝ているようであり、何なら今の彼女は無防備で、アサヒがその気になれば好き放題できるくらいだ。
「(今ならユキを好きにできる……いや、ダメだな。やるにしても手をそっと握るくらいか)」
ただ、アサヒはこの状態でユキのあんな所やそんな所を触る事は可能だったものの……ユキからの許可は貰ってないために知られた時が不味い。幾らユキが自分を許したとしてもそれはあくまで信じてくれるという意味だ。
少なくとも、ユキが良いと言ってないのに触るのはアサヒの主義に反する。そのため今日の所はユキの隣で寝られる幸せを噛み締めつつ、ユキの手をそっと握る程度に抑えよう。そう思った時だった。
「(まぁ、手を繋ぐくらいなら後でバレても許してくれそうな気がするし。その程度に……)」
「……アサヒ君、私が寝ている間に手を繋ぎたいって思ったでしょ」
「……え?」
アサヒが一度天井を見てからユキに気づかれないように手を握ろうとする。その瞬間、突如として隣からユキの声が聞こえてくるとアサヒは慌てて隣を見る。
そこには薄らと瞳を開けつつ悪戯っぽく微笑んだ様子のユキがおり。彼女はまだ寝ていなかったようであった。何なら、先程までのアサヒの様子を寝たふりをして探っていたのである。
「ゆ、ユキ……えっと……」
「心配しなくても大丈夫だよ……。むしろ、私に沢山触れたかったんじゃないの?」
アサヒはユキに無許可で触れようとした事に後ろめたさを感じたのか、少し慌ててしまう。しかし、ユキとしては満更でもなかったようで。逆に色っぽい顔を見せて誘惑した。
「アサヒ君、こういう時くらい我慢しなくて良いよ?」
「ッ……我慢しなくて良い……」
アサヒはユキにそう言われて改めて目の前の彼女を見る。そして、ゴクリと唾を呑み込んだ。
「(ユキに触って良い……。ユキ本人が良いって言ってるんだから……良いよな)」
アサヒはそっと手でユキの手に触れるとユキはそれに応えるように優しく握ってくれた。
「ッ……」
「ふふっ、アサヒ君って意外と初心な所あるんだ」
ユキはそう言ってまた悪戯っぽく微笑む。アサヒはまるで人が変わったような様子を見せる彼女の姿に終始困惑しっぱなしである。
「(ゆ、ユキ……何だかキャラ変してないか!?もしかして俺みたいにカゲロウ的な奴がいて、そいつに操られ……てそうな感じはしないんだよな)」
「ん〜?アサヒ君、どうしたの?」
アサヒは思わず目の前のユキがユキとは別の人物の可能性を考えてしまったが、先代プリキュアからの連絡が無い所やユキの雰囲気からユキ本人の中身が大袈裟に変わったような事態にはなっていなさそうだった。
「ユキ、あのさ……もっと色々触っても良いか?」
「良いよ。私も私で、アサヒ君に色々触りたい気持ちとかあるから」
ユキはそんな風にそっとアサヒの側に移動すると今度は自分から体を密着させに行く。アサヒは自分がカゲロウに乗っ取られて一時的に意識を失っていたとはいえ、その乗っ取りが起きる前と後でユキの積極度が違う事に戸惑いを感じる。
「う、嘘だろ?ユキ。少し前まであんなに怖がってたのに」
「……怖かったよ。私のせいで闇に堕ちて、自分の望まない方に変わっていってしまうアサヒ君を見てて。でも、今は違う。変わっていくアサヒ君の事もちゃんと受け入れなきゃって思ったの」
「ッ……だとしたら、この甘えたがりの今のユキこそが……」
「うん、本当の私。アサヒ君の事を完全に信じられるようになって、もっと素の私を曝け出したいって思えるようになったから」
ユキはそう言いつつ自然体のまま、自分の成長途中の胸をそっとアサヒに当てる。
「「ッ……」」
すると、これは流石にユキ本人にも恥ずかしさとくすぐったい感覚があったのか。2人共顔が赤くなってしまう。
「どう?」
「凄い……柔らかい。女の子の胸ってこんな感じ……っ!?」
アサヒはそこまで素直に言った所で自分が何を言っているのかを自覚。慌てて訂正しようとした。
「い、い、今のは……」
「大丈夫だよ。そういう反応をしてくれて嬉しい。……何だったら、もっとしっかり触ってみる?」
「触っ……」
アサヒは思わずユキの胸を見るとそっと触ってみる。すると服の上からとはいえ、その柔らかく確かな感触がそこにはあった。
「マジか……これがユキの胸」
「ッ……」
「あっ……ユキ。大丈夫か?」
「うん、ちょっとくすぐったいけど平気だよ」
ユキも自分から薦めたとはいえここまで異性に胸を触られるのは初めての経験。そのため思わず変な声が漏れてしまいそうになるが、アサヒが気兼ねなく触れるようにどうにか踏み留まった。
「ッ……きょ、今日はこの辺にする。これ以上行くと本当に戻れなくなりそうだし」
アサヒは少しだけユキの胸を堪能してから理性のブレーキが壊れない内に止めると宣言。それに対してユキはもう少しくらいなら来ても良かったのか。少し残念そうな顔をする。
「そっか……ちょっと最初から飛ばし過ぎちゃったかな」
「ううん。むしろ、ユキが自分から気持ちを曝け出してくれた事は俺にとっても嬉しい事だし。……それに、これからはお互い了承の上ならいつでもできるようになるから」
2人の今日の目的はあくまでも添い寝。多少ボディタッチもできるようになったが、まだ性的な目的での行為はしないという暗黙の了解もある。
そのため、今回はお試し版という事でここまでで終わるのが良いと思ったのだろう。
「ユキ……その、これからはお互いの気持ちを尊重して……我慢し過ぎない程度に一緒に歩いていこう」
「うん。私も、今までずっとアサヒ君の事を心の底から信じられていなかった分。これからはもっとアサヒ君の事を知ろうと思うし、アサヒ君に私の気持ちもちゃんと言うようにする」
2人はお互いに気持ちを確かめ合うようにそう話すとそのままの流れで2人の顔が近づいていく。
「「んっ……」」
2人の顔がゼロ距離まで密着すると既にその唇は塞がっており。それから長い口付けの時間となる。2つの顔は相手の唇の感触を確かめるように少しだけ動くと大好きな相手との甘い時間を貪った。
それが終わると2人の顔は離れ、その唇と唇の間には透明な糸のような物があった。つまりはそういう事である。
「おやすみ、ユキ」
「うん。おやすみ、アサヒ君」
2人は寝る前の挨拶を済ませるとまるで緊張感が解けたように意識を手放して眠りにつく事に。こうして、2人はお互いの愛情を確かめ合うとこれからも末長いお付き合いになる事を願いながらこの日を終えることになる。
それから時間が経って翌日の朝。朝起きた際にヒョウが眠そうな顔つきで廊下を歩いていると、ソラとすれ違う。
「おはようございます、ヒョウさん」
「おはよう。ソラさん……」
2人が朝の挨拶を済ませると早速ソラが困ったような顔つきでヒョウへと問いかける。
「あの、ヒョウさん」
「うん?」
「ユキさんとアサヒ君を知りませんか?」
「……ん?」
ヒョウは最初、寝ぼけ眼でソラの言葉を聞いていたものの、いきなりユキとアサヒの話になって困惑。目が覚めたのかソラへと聞き返す。
「え?えっと、ソラさん達は見てないの?」
「そうなんですよ。もうそろそろ学校に行くために起きないといけないのに、お二人は何をやってるのかなって」
「……まさか……まさかね?」
ヒョウの中には嫌な予感が浮かび始める。すると、そこにましろが来るとヒョウは慌ててましろにも聞いた。
「ましろさん、ユキ姉とアサヒの事を……」
「えっ!?あー、そういえば起きてから見てないかも」
ヒョウはソラだけでなくましろも見てないのという話に嫌な予感が増大。一応補足だが、この時点で下の階にはツバサ、あげは、かける、ヨヨが起きており……いないのはその2人だけ。
「もしかして!」
ヒョウは急いでユキの部屋に駆け込むと案の定そこにはユキとアサヒが同じベッドの中で添い寝をしており……ヒョウはあまりの衝撃的な光景に思わず失神。バタンと後ろに倒れてしまう事に。
「あ……ああ……ユキ姉とアサヒが大人の階段を……」
その後、ヒョウが倒れる音でようやく目を覚ましたユキとアサヒは学校があるのに寝坊してしまった事で大慌てで準備をする事になり。ついでに添い寝をしていたという事実は虹ヶ丘家に住む全員に知れ渡ってしまうのだった。
尚、今回の場合は予めユキがかけるに話をしていた事もあって騒ぎ自体は割とすぐに解決する事になる。
タイトル通り、R18要素は無しにしたつもりです。もしこれでダメならもう中身を変えますので感想欄とかで大丈夫なので連絡をください。
それではまた次回も楽しみにしてください。