ユキとアサヒが健全な夜の営みを行った翌朝。2人は当然のように寝坊し、危うく学校に遅刻しかけた。そんな2人を待っていたがためにソラやましろも巻き込まれてしまう。
「もう、お二人共!ベッドでそういう事をしたらダメとは言いませんが、翌日の事くらい考えてください!」
「「はい……すみませんでした」」
「まぁまぁ、ソラちゃん。その辺にしておこうよ」
今現在、登校中の4人は学校にある程度近づいて遅刻しないと確定した所でソラが今回の遅刻しかけの元凶2人へと注意喚起を行っていた。
そのため、元凶2人ことユキとアサヒは反省したような様子を見せており。ましろはもうそろそろ大丈夫だろうと宥めていた。
「いいえ!お二人はこれからより一層仲睦まじくなるんです!それを考えたらこれからも似たような事例が起きるかもしれないじゃないですか!例えばユキさんとアサヒ君が本当にHな事を……」
「わーっ!わーっ!わーっ!それ以上本格的な表現したらアウトだから!この小説がBANされちゃうから!」
ソラがユキとアサヒの関係についてかなり際どい表現をしようとしたためにましろは慌ててストップをかける。
「な、なぁ。ソラって思ってる以上に過激派なのか?」
「た、多分違うと思う。今回は私達に注意するのに必死で恥ずかしい事を言ってる事に気づいてないだけ……かな」
ユキの言う通り、今のソラはやらかしをしてしまった2人へと話をする事だけで頭がいっぱいな状態で。もしそういう事なしで考えた場合だと今のような言い回しは絶対にしないし、やったら赤面待った無しだ。
「兎に角、お二人共。節度はちゃんと守ってくださいよ?」
「あ、ああ。俺もユキの気持ちは考えて接するし、お互いに不満があったら相手に伝える事にしたから」
「うん。これからは喧嘩する事も減るはずだよ。あ、でももし私達が2人の世界に入り込み過ぎてたら言ってほしいかな」
2人のお互いに対する依存度が上がった事でこれからは2人だけの時間に浸って周りを置いて行く事が多くなるかもしれない。そう思ったユキは予めそういう時は遠慮せずに話しかけても大丈夫だとソラ達に頼む事に。
「うん。そうするね」
「お二人が学校とかで如何わしい事をしてたら遠慮なく言います!」
「如何わしいって。ソラの中ではどんな事をもって如何わしいと思うかは別にして、よくそんな台詞がポンポン出てくるな」
アサヒは半ば呆れたような顔つきでそう言うと4人は学校に到着。その瞬間、アサヒやソラの元に一斉に生徒達が駆け寄ってきた。
「あ、ソラさんに虹ヶ丘来た!」
「もう、2人共心配したんだよ?」
「「……えっ?」」
2人はいきなり心配するような声をかけてきたクラスメイトに困惑していると2人がこんな風に声をかけられている理由……2人がいきなり休んでしまった事についての言及が始まった。
「“え?”じゃないだろ。2人共いきなり学校休んでさ」
「「あっ……」」
「あー……そういえば2人って急に学校を休んだみたいな感じになっちゃったんだよね」
「うん……それにだけど」
ましろが恐る恐る後ろを向くとそこには自分達の元にも詰め寄ってくるクラスメイトがいた。何ならこのタイミングで既に来ていたひかるも巻き込まれている。
「ましろん達も他人の事は言えないからね?」
「そうそう!2人もいきなり休んでさ。っと、あとひかるもか」
「昨日なんかクラスメイトが5人も不在だったんだから。病気が蔓延したかと思って軽いパニックになってたぞ!」
ユキ達は言われて見ると前日はプリキュアとして朝から戦っていたせいで学校そのものを休まざるを得ない状況に追い込まれていたのを思い出す。そして、それはアサヒやソラ。加えてらんこの世界に出張で加勢に行っていたひかるも同様だったので……昨日はこのクラスだけで5人も休む人がいたという事である。
これだけ休みの人が出てしまってはクラスメイトが驚き、困惑してしまうのも無理のない話だろう。
「え、えっと……実は色々あって」
「う、うん。休んだのは風邪じゃないというか」
「そうですよ!私達、ランボーグと戦うためにプリキ……」
「ターイム!ソラちゃん、それ以上言ったらダメーッ!」
「あっ……そ、そうでしたぁっ!」
ソラは事情説明のためにプリキュアの話題を出してしまいそうになるが、ましろにストップをかけられたためにどうにか踏み留まる事に成功。どうにかプリキュアの話題はバレずに済んだ。
……ただし、だからと言って学校を休んだという事実は変わらないので結局そこで問い詰められてしまうのだが。
それはさておき、ユキ達はそのまま学校での生活へと突入。今は時間が経って昼休み。ユキ、アサヒ、ソラ、ましろ、仲田、吉井、軽井沢、ひかるの8人は机を合わせていつも通り昼食を食べているのだが……。
「……なぁ、ユキさん。虹ヶ丘。……お前らまた親密度上がってないか?」
「「「「ぶふうっ!?」」」」
いきなり軽井沢から投げられた爆弾発言に虹ヶ丘家に住んでいるユキ達4人は思わず吹き出してしまう。
「あ、それ私も思ったんだよね。2人が更に密になったというか」
「うん……簡単に言ったら2人の相手への依存度が上がったって言えば良いのかな?」
「「い、依存度!?」」
ユキとアサヒはシンクロした返事を返すと仲田達3人は頷きを見せる。まさかの依存度とかいう愛が重たい人相手に使いそうな言葉を使われた事にユキとアサヒは動揺してしまったようで。
「ちょっ、待て待て。そんなに俺達の愛って重いか?」
「そうだよ!距離感はちょっと近い自覚はあるけど、でもそんなに言うほどなの?」
「自覚はあるんだ……」
ましろはユキが自覚有りな事に苦笑いを見せているとその場の全員は2人の愛の重さを指摘し始めた。
「いやいや、だって授業中かお手洗いの時間以外はずっとピッタリくっついてるし」
「何なら、クラスの外での目撃情報の殆どは2人がラブラブな事案ばかりだからね〜」
「それにユキちゃんも虹ヶ丘君への喋り方が前までと比べて良い意味で近くなってる気がする」
「教室内でもイチャイチャしてるしな。これで愛が重くないとか依存してないとか言っても無理があるからな?」
仲田、吉井、軽井沢がボディ打ちを喰らわせてからひかるがトドメを刺す一撃を放つとユキもアサヒもかなりダメージを受けたようで。
「うぐ……言われてみたら確かに依存度高いかも……」
「で、でも……今更アサヒ君との距離感を離したくない」
「あーあ、これはもう重症化しちゃってるやつだよ」
実際、ユキもアサヒも相手の事が好きすぎて離れろと言われても秒で拒否するだろう。
「お二人共、一夜を共にする程ですからね。そんな簡単に引き離すのは……」
「「「一夜を共にした!?」」」
そんな中、ソラはまた特大の爆弾を放り投げてしまうとクラスメイトはユキとアサヒのラブラブエピソードに一瞬で注目。
「……あっ」
「ソラぁああっ!?お前なんて事言って……」
アサヒは思わずツッコミを入れるがもう遅い。直後にアサヒの元に男子クラスメイト。ユキの元に女子クラスメイトが集まるとそのままクラスを二分した質問タイムへと突入。
「ユキちゃん、それ本当!?」
「ま。まさか虹ヶ丘君と一線を……きゃーっ!」
「ち、違っ……添い寝はしたけど健全な夜を……」
「そ、添い寝!?」
「あっ……」
ユキはどうにか弁明しようとするものの、結果は火に油を注ぐという逆効果となり……アサヒの方は男子勢からの羨みの目線と言葉が飛び交った。
「ユキさんと添い寝……お前とうとうやったな!?」
「羨ましいぃいいっ!学校一の高嶺の花的存在のユキさんとだなんて!」
「う、嘘だろ……?俺とらんこさんが喧嘩してるこんな時にお前ら……マジで言ってるの?」
「お前の場合は自業自得だろひかる!ああもう!何でこんな事になるんだよーっ!」
結局、クラスメイトに初めてユキとアサヒの恋人としての関係性がバレた時以上の騒ぎがこのクラス内に巻き起こるまでそう時間はかからないのだった。
そんな一大事件のような出来事から更に数日後。週末の土曜日へと時間は飛ぶ。この日、雷田ひかるは自宅の自室。自らの机にて……。
「マジでどうしよう……らんこさんに謝る勇気が湧かない……」
「にゃあ……」
突っ伏したまま生気を失いかけてしまっていた。その近く。部屋に備え付けられたキャットタワーでは飼い猫のライが溜め息を吐く始末である。
「らんこさんを怒らせてからもう何日も経って。ユキさんやアサヒにあれだけサポートしてもらったのに……らんこさんの機嫌が直っててくれないよぉ」
「にゃーお」
「いや、俺が悪いのはわかってるんだけどさ……せめてらんこさんの機嫌が少しでも直ってから謝った方が良いわけじゃん?そしたら何度かこの前みたいな呪いの言葉が聞こえるトンネルばかり開くんだよ」
一応、今日までらんこ側から謝るのを催促するかのように並行世界を繋ぐトンネルが開いてはいたのだが……その度にトンネルの向こうかららんこが呪ってくるような形で声が響いてくるのだ。
「絶対らんこさんはまだ俺の事許してないって……今謝りに行った所で謝る前に殺されるだろうしな」
「にゃあ……」
そんな風に日和ってしまっている主人を見た飼い猫のライはまた溜め息を吐きたい気分になってしまう。まず大前提の話、らんこの事をここまで怒らせたのはひかる自身に原因がある。
次にらんこがここまで長くキレている理由の中には恐らくどれだけ待ってもひかるが謝りに来ない事も含まれているだろう。それなら最初の1日2日目でさっさと謝りに行けばマシだったはずなのにこのダメ男はそれをしなかった。
もうこうなった以上、何かしらの強制力が無ければ彼は絶対に謝りに行かないだろう。ライは仕方ないとばかりにキャットタワーから飛び降りると部屋の中を歩いてひかるの元に行く。
「にゃーお」
「ライ……慰めてくれるのか?ああ……お前は良い奴だなぁ……」
「にゃっ!」
「ふぶっ!?」
ひかるは自分の元に来てくれるライを見て傷心の自分を慰めると勘違い。抱きしめようとするが、ライは“何言ってんだお前”と言わんばかりにあっさりと無視してひかるからの抱きつきをジャンプで回避。
すかさずひかるの机に置いてあったユキやアサヒから受け取っていた説得の切り札であるうららのサイン入り色紙が入った封筒を咥えてしまう。
「ああっ!?ライ、それはお前が勝手に持って行って良いやつじゃ……」
ひかるはライに持ち去られてしまうのは最悪のパターンだと思って慌てて取り返そうとする。
しかし、ライはひかるからの腕を軽い身のこなしで回避しつつあしらってしまう。
「おい!マジで冗談抜きでそれ返せって!」
ひかるの焦りは大きくなると何としてでも取り返すために躍起になる。ただ、やはりライはそれでは止まらない。
「にゃーお」
それからライは散々ひかるを翻弄してから先程までいたキャットタワーに登ると咥えていた封筒を足元に起きつつそれを右前脚で押さえつけ。
もう片方の左前脚の方は爪を出してその封筒を破ろうとする仕草を見せる。
「なっ!?ちょっ、ライ!落ち着け!そんな事したら俺はらんこさんと仲直りできなくなるんだ!頼むからそれを返してくれよ」
ひかるはライに早まるなと言わんばかりに彼の行動を止めようとした。しかし、ライの動きはまるで止まる様子が無い。どんどん爪が封筒に近づいていく。
「ら、ライ?お前マジで破るつもりなのか?」
「にゃーお」
ひかるの問いにライは済ました顔のまま手の動きを止めずにゆっくりと近づける。そのため、流石に封筒を破られたらたまったものではないひかるはライへと自分がやるべき事を言いながら謝った。
「悪かった!悪かったって!俺がらんこさんの世界に行ってらんこさんに直接謝れば良いんだろ?ちゃんと謝るからそれを返してくれって!」
「にゃお?」
だが、ライは口先だけの言葉は信じないという事を示すかのようにまだ動きを止めようとしてくれない。
「ああ、もう!こうすれば良いんだろ!?」
ひかるはヤケクソと言わんばかりの顔つきで急いでらんこに謝りに行くための準備を始める。具体的には外出のための鞄や身だしなみのチェック。
ライはそこまで動き出したのを見てようやく納得してくれたのか。封筒を破るために近づけていた腕の動きを止めると溜め息を吐いた。
「にゃ……」
そしてその顔はやっと行く気になったかと言わんばかりであり、ひかるの動きの遅さに呆れているようにも見て取れる。
その後、準備を終わるとひかるはライが退いたのを見てキャットタワーの1番上に置きっぱなしになった封筒を手にした。
「すぅ……ふぅ……らんこさんにちゃんと謝れば大丈夫。きっとまだ大丈夫なはず」
ひかるは深呼吸すると弱気になる気持ちを落ち着けようとする。すると、ライは自分から近寄ってくると一度鳴いた。
「にゃーお」
「……ライ、今度こそちゃんと謝ってくるよ」
「にゃ!」
ライはひかるが覚悟を決めたのを見て頷くように首を縦に振る。その瞬間、突如としてひかるの体に一瞬だけノイズが走ると部屋の中にらんこの世界に繋がるトンネルが開いた。
「またらんこさんから呼び出しのトンネル……ってあれ?」
ひかるはトンネルの方を見ると驚いたような顔つきを浮かべる。それは前のように暗い緑色をしていたものの、トンネル内に響き渡っていたひかるへの呪いの声は無くなっており。それに合わせて色も多少明るくなっているようにも見えた。
「トンネルが少しマシになってる?だったら……仲直りするには今しか無いかも……」
ひかるは出かける準備を完了していた事もあって深呼吸をする。そして、それは怒らせてしまった自分の彼女へと誠心誠意謝る気持ちを固めるための物だった。
「……良し。行くか!」
ひかるはそのままトンネルの中へと身を委ねるとそのまま彼の行くという意思に合わせて吸い込まれていくようにその場からいなくなった。
「にゃあ……」
ライはひかるを見送った後にさっさと自分は騒がしい奴がいなくなったために眠りに着こうと考えたものの、やはり主人が心配なのか。
「にゃっ!」
ライは躊躇なくトンネルの中へと飛び込むとひかるの後を追った。そして、ライが入ったのを確認したかのようなタイミングでトンネルは閉じると何事も無かったのような静寂が戻る事になる。
果たして、ひかるは無事にらんこと仲直りできるのだろうか?……その答えはまた別の機会に明かすとしよう。
お知らせです。諸事情があって今回で一旦本編の更新を停止させてもらいます。再開は未定ですが、リメイク版は続けていつものように投稿しますので、そちらが続く限りは続くと思っていてください。
それではまた次回もお楽しみに。