アサヒは目の前にいるうららに芸能人か質問すると彼女は頷く。それにましろも思い出した。
「あっ、言われてみればうららちゃんってあの有名な……」
「はい。私はアイドルの春日野うららです。すみません、自己紹介の時にちゃんと言えなくて」
「いやいや、そんなに有名人だったら言わなくても大丈夫だよ」
ましろが謝ってきたうららに慌てて対応する中、何故アサヒはうららを一目見ただけで判別できたのか他の面々は気になった様子だった。
「そういえば、アサヒは何で一発でうららの事理解できたの?」
「え?あー。実はうちのクラスメイトの中にうららさんのファンがいたからな。そこから話を聞いていたのと、写真も見せてもらったからピンと来たってだけ。厄介ファンとかじゃないから安心してほしい」
「なるほど。まぁアサヒ君が厄介ファンじゃ無いのは見ていたら何となくわかるわ」
どうやらアサヒはクラスメイト経由でうららの事を知っていたらしい。だからこそ一発で理解できたのだという。
「そうなんですね。あ、あの。実は、今回この街に来たいって言い出したのも私で。最近MVの撮影をしたんですけど、その際にこの街も少しだけ使わせてもらって」
その撮影でこの街をもう一度じっくり訪れたいとのぞみ達に提案した所、友達である六人で来る事になったらしい。
「そうだったんだね」
「折角だし、助けてもらったお礼でこのまま私達と……」
ユキは先程助けられた恩を返すためにのぞみ達と一緒に過ごす事を提案しようとする。そんな時、突如として大きな音が聞こえてきた。
「何!?今の……」
「まさか、ランボーグですか!?」
「その可能性が高い。のぞみさん達はこのまま逃げて!ソラ、ましろ、ユキ」
「「「うん!」」」
「えっ?あっ、ちょっと!」
この大きな音の正体をランボーグの襲撃だと仮定したユキ達四人はのぞみ達六人を置き去りにするとさっさとその音の方向へと移動していく。
時間を少し遡り、街の方へと場面が移る。そこでは前回と同様に高架下にあるおでん屋でカバトンがおでんを食べていた。更にその近くにはシャドーもいる。そんな中でカバトンの方は悔しそうな顔つきでヤケ食いしている所だった。
「あと一歩、あと一歩でプリンセスが手に入ったのに!何で負けちゃったのねん!」
カバトンはそんな風に声を荒げていた。何しろ、前回はあと一歩でプリキュアを全滅させた上でエルを捕まえられる状況だったのだ。それなのにプリキュア達に逃げ回られた挙げ句、最後にはまたエルの不思議パワーにより新たな力を得たプリキュアに敗退。このままではまた自分は上司から大目玉を食ってしまう。
「結局俺様史上最強にTUEEEランボーグでもダメだったのねん」
「仕方ねーよ。あれはプリキュアの方が上手だったし、情報の無い新しい力を使われたというのもある」
ちなみに、前回ランボーグを召喚した際にガリガリに痩せていたカバトン。そのまま痩せたままになっているかと思いきや、痩せすぎた反動でドカ食いしてしまった結果……また前のような肥満体にリバウンドする形となってしまっていた。
「そういえば、おでんのカロリーってどのくらいだったのねん?」
「……確かそこまで高くないんじゃなかったか?」
そう言われてカバトンは唖然となる。おでんをあれだけ大量に食べたのは良かったものの、一つ一つが低いのでそこまで爆発的な強化には至っていなかったらしい。つまり前回はカロリーとして摂取するものが悪すぎたと言えるだろう。
「あんなに食べてお金も使ったのに成果無しだとは……どうすれば良いのねん!」
ただ、カバトンはその事実を聞いてかなりショックを受けていた。彼は今回の戦いではお金、カロリー、上司からの信頼と言った様々なことを損失してしまったのだから無理もないだろう。
「……いや、おでんのカロリーが低すぎる事を知れた事だけは成果だと思うが?」
「そんなのオマケに過ぎないのねん!それと、お前こそプリキュアにしてやられただろう!」
カバトンは同じくプリキュアにやられていたシャドーへと八つ当たりと言わんばかりに声を荒げる。それはシャドーもプリキュアにやられたのに彼は平然としていたからだ。
「ああ。確かに俺はプリキュア相手にしてやられた。……だが、アイツらのあの新技の力の底は見た。俺の本気相手には遠く及ばない」
「……は?お前本気出してなかったのねん?」
「当たり前だろ。本気なんて出したら楽しめないだろうが」
どうやらシャドーは前回は全く本気を出していなかったようであり、彼は自らの本気であればプリキュア相手に絶対に勝てると判断しているのだ。
「ぐぬぬ、シャドー!それならさっさと本気を出すのねん!お前のせいであのお方にまた怒られるのねん!」
「断る。そう思うのなら自分の力でもっと対応できるようになれ」
シャドーに言われてカバトンは苛立ちを高める。しかし、今の彼にはプリキュア達をどうにかしようにも準備が整っていない。そのため今は我慢する事になるのだった。
「さて、そろそろ移動を……ん?」
そんな時、シャドーがカバトンが何かの気配を感じ取ると同時に高架下から出て空を見上げる。そこでは黒いエネルギーの液体のような物が存在していた。しかし、それをよく見るとアンダーグエナジーとは全く別の物である。
「あれは何だ?浮かんでいるのはアンダーグエナジー……じゃないな」
「ああ、あんな気配初めてなのねん!」
「……カバトン、行くぞ」
「えっ!?ま、まだ食事ちゅ……むぐっ!?」
「そんなの後にしろ。今食べてた分は奢ってやる」
シャドーはおでん屋の店主にカバトンが既に食べていた分のおでんのお金を置くと彼の襟元を掴んで引き摺っていくのだった。
その頃、ショッピングモールから出たユキ、アサヒ、ソラ、ましろの四人。直後には先程シャドー達が見た謎のエネルギーが液体として四人の前に落下。そのまま姿を六人の怪人へと変えた。ここからはその六人の特徴を順次解説していこう。
一人は老いた魔女のような姿をしており、その手には丸い水晶のような物を持った闇の世界の魔女。
一人は濃い青の体に氷のように尖った髪の毛。右肩が棘のように飛び出た形である氷の戦士フリーズン。
一人は銀色の体に氷のように尖った髪。左肩が棘のように飛び出た氷の戦士フローズン。
一人はスーツ姿に黒い帽子を被り眼鏡をかけてコートを着た黒ずくめの男ことサーロイン。
一人は男性のような腹筋の見える体格にヒール付きのブーツを履きつつ水晶のような半透明な髪に両肩の装飾。目元にはアイシャドウや口元には紫の口紅を付けた所謂オカマのような怪人ことシャドウ。
一人はマントをを身に纏い、騎士のような鎧を装着。紫の髪に髭を生やし、赤い瞳をした男性のような姿のムシバーン。
これら六人はその場に揃って立っているだけでも凄まじい存在感を示していた。
「あそこ!」
「何、あの六人……」
「凄まじい気配……ただ者じゃありません!」
「……ん?」
ユキ達四人が六人の前に出てくるとその中の魔女が四人に気がつく。彼女はユキ達が生身で自分達に立ち向かうと思ったのか笑みを浮かべた。
「ふふっ、生身で私達の前に来るとは……余程死にたいらしい」
「あなた達、一体何者なの!?」
「我らはこの世界を闇に染めるためにあのお方によって蘇った戦士達だ」
「死にたく無いのならさっさと逃げろ。最も、逃げた所で闇の中に堕ちるのは変わらないがな」
フリーズン・フローズンのコンビがそう言って脅すものの、ユキ達がその場から逃げる気持ちなんて全く無い。むしろ、六人の敵を倒すつもりだ。
「いえ、私達は逃げません!」
「だって私達は……」
「どんな強い相手にでも立ち向かう」
「ヒーローだからよ!」
そう言ってミラージュペンを構えるユキ達。それを見て六人は笑みを浮かべる中、そこにまた更なる声が聞こえた。
「ちょーっと待ったぁ!」
「「「「ッ!?」」」」
四人がその方を振り向くとそこには11人の影がおり、それらは全員ユキ達四人が見知った人達である。
「なぎささん達!?何でここに……」
「あっ!ソラ!えっと……ここにいるって事はソラ達も……なんだよね?」
なぎさはソラ達を見るとまるで確認を取るかのように聞いてきた。それに四人は疑問符を浮かべるばかりである。そのため、咲やのぞみが付け加えた。
「えっと、どういう事?」
「あー、わかるよわかる。最初は皆そう思うから」
「いやいや、だから意味がわからないんだって」
「さっきは私達のためを思って逃げるように言ってくれたけど、……私達も逃げるわけにはいかないんだ」
「……えっ?まさか……」
ユキは何となくだが、なぎさ達が何故ここにいるのか。そして、なぎさ達三人、咲達二人、のぞみ達六人が何故それぞれ纏まった人数でいるのかを察すると共に先程の既視感の正体にも納得がいく。
「随分と揃ったな」
「これは一筋縄では行かなさそうだ」
「えー?でもアタシはそういうのも嫌いじゃないわよ?」
するとどうやら相手もなぎさ達が何なのか十分わかっている様子……いや、わかっているからこそ積年の恨みを晴らそうと言わんばかりの鋭い視線を向けてきた。
「な、なんか怪人達の目線が怖くなった気が……」
「そんなの関係無い。ここからは!」
「ええ、ヒーローの出番です!」
四人がそれぞれの手にスカイミラージュを構えると同時になぎさとほのかは腰に付けていたハートフルコミューンにハート型のカードをセット。それからコミューンの上半分を一回転させてからその上をスライドさせて手を翳すとそのまま二人は手を繋ぎ、もう片方の手を天に掲げる。
ひかりはその手に手にタッチコミューンを持つと手をコミューンの少し上で横にスライドさせつつ翳す。咲と舞は腰のクリスタルコミューンを捻ると光を灯させて手を繋ぐ。
のぞみ達五人はキュアモと呼ばれる携帯電話型のアイテムにある三つのボタンを次々と押していった。くるみだけは他の五人とはアイテムが違うのかミルキィパレットを持っており、タッチペンでそれをタッチしていく。
「「デュアル・オーロラ・ウェーブ!」」
「ルミナス・シャイニングストリーム!」
「「デュアル・スピリチュアル・パワー!」」
「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!」」」」」
「スカイローズ・トランスレイト!」
「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!」」」」
15人の少年少女達は言い放った変身の掛け声と共に光に包まれていく。
なぎさとほのかは一度石化したような姿になると石化した状態のまま姿が変化。衣装を身に纏うと二人は手を離し、石化を解く。それと同時になぎさが黒とピンクの衣装を、ほのかが白と水色の衣装を着ていた。
ひかりは天から降り注ぐ光をその身に受けると周囲に光の粉のような物が発生。それに包まれて彼女は姿を変化させていく。まずは三つ編みの髪が解けるとそれがツインテールに変化しつつ色が黄色に近い物へ。また、ピンクを基調とした衣装を装着しており、胸にハートの形をしたアイテムを持っている。
咲と舞はオーロラのような球体に包まれてから特殊空間に移動。その幻想的なトンネルを移動しながら二人の姿が変化していく。
「花開け、大地に!」
「羽ばたけ、空に!」
二人の言葉と共に咲の右腕と舞の左腕が変化。その後内側の腕が変化してから二人が手を離すとそれぞれの変身シークエンスへ。ただし、変化順はそれぞれ同じでスカート→膝→両脚→髪→両肩→胸の順である。ただ、髪にそこまで大きな変化が無かった初代二人と比べるとボリュームアップや髪型の変化も相まって咲舞の方は頭部の印象はガラリと変わった。
のぞみ達五人はここまでのメンバーとは違い、同時変身の五人がバラバラの手順で変身していく。まずのぞみが両腕だけ変わり、そこからピンクの光と共に残り全てが変化。りんは炎のエネルギーを纏ってからの両腕、更に全身変化。うららは最初に両脚、次いでスカート→両腕。最後に残り全てを海老反りと共に変化。こまちは下から湧き上がる木の葉の風を受けつつ全身の同時変化。かれんは両腕両脚から飛び出した水流を使い全身を覆ってからの全身変化となる。
くるみは足元に咲き誇った青い薔薇の花びらが舞い踊る中、両腕、スカート、靴、上半身へと順番に花びらが集まる形で変化。最後に髪を縛っていたゴムが変化すると同時に髪飾りへ。更に胸に青い薔薇の装飾も出てきた。
ユキ達四人はいつも通りに円盤のある不思議な空間内でその姿を変化。その様子は普段と変わらないのでここでは割愛する。こうして誕生した15人の戦士達は名乗りを叫んでいった。
「光の使者、キュアブラック!」
「光の使者、キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!」」
「闇の力のしもべ達よ!」
「とっととおウチに帰りなさい!」
「輝く命、シャイニールミナス!光の心と光の意思!全てを一つにするために!」
「輝く金の花!キュアブルーム!」
「煌めく銀の翼!キュアイーグレット!」
「「ふたりはプリキュア!」」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「アコギな真似はおやめなさい!」
「大いなる希望の力!キュアドリーム!」
「情熱の赤い炎!キュアルージュ!」
「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!」
「安らぎの緑の大地!キュアミント!」
「知性の青き泉!キュアアクア!」
「「「「「希望の力と未来の光!華麗に羽ばたく五つの心!Yesプリキュア5!」」」」」
「青い薔薇は秘密の印!ミルキィローズ!」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
「静かにひろがる白い雪景色!キュアスノー!」
「夜明けにひろがる眩い朝日!キュアサンライズ!」
「「「「レディ……ゴー!ひろがるスカイ!プリキュア!」」」」
こうして誕生した15人の戦士達はそれぞれのチーム毎で四つに分かれると正面前方にひろプリメンバーを添えつつその後ろにプリキュア5、正面から見て左後ろに初代の三人。右後ろにSplash⭐︎Starの二人という配置だ。
『集合・新旧プリキュアドリームチーム!』
こうして、目の前に現れた六人の怪人達に対抗するべく集まったプリキュア達。彼女達はこの街を覆わんとする闇相手に立ち向かうのだった。
また次回もお楽しみに。