目の前に現れた未知の敵相手にプリキュアに変身したユキ達。ただ、その際に駆けつけていたなぎさ達もプリキュアへと変身すると自分達と一緒に名乗った事に彼女達は唖然とする。
「……って、ええっ!?」
「あはは……何となくそんな予感がしてたけど……」
「プリキュアって私達以外にも沢山いたの!?」
「ここにいるメンバーだけで15人……。なぎ……いや、今はブラックか。実際は何人くらいいるんだ?」
スカイは開口一番に驚くとスノーは先程から感じていた予感の正体に納得がいく。プリズムもまさかの人数に思わず驚いており、サンライズはどうにか混乱する思考を落ち着かせるとブラックへと今のプリキュアの人数について聞いてみた。
「プリキュアの人数?えっと、私達が最後に見た全員集合の時は……」
「確か55人だったよね」
「あっ、でもプリキュアは定期的に増えてるのは確認してるので実際は更に多いかもしれません」
「定期的に増えてるんだ……」
ブラックは記憶力が低いため、ホワイトがフォローするとルミナスが更に補足説明を入れる。ちなみに、ルミナスの予想通り今はこの55人から更に増えている。*1
「ふん。暫くずっと会ってない間に凄い人数だな、プリキュア!」
「あれ?このやり取り前もやらなかったっけ?」
「でもあの時は
「まだって……。これもしかして後から後からどんどん合流してる感じなのかな……」
ブルームとイーグレットの二人がしたやり取りを見てスノーはプリキュアには歴史の重みがあり、それが重なったからこそ50人オーバーの大所帯となったのだと考える。*2
そんな余談はさておき、今回は大所帯となったプリキュア達の中でもかなり少ない人数ではあるが敵幹部達にとって厄介な存在である事に変わりは無かった。
「雑談はその辺にしてもらおうか、我々の宿敵……プリキュア!」
サーロインの言葉に一同は警戒心を高める中、ドリームやレモネードは彼らに何故ここにいるのか問いかける。
「あなた達、どうしてここにいるの!」
「そうですよ!あなた達のオリジナルは一度浄化して……ブラックホールによる復活体ももう一度浄化したのに!」
そう、ここにいる六人はかつてプリキュア達の前に立ち塞がった強敵達。その圧倒的な強さを前にプリキュア達は絶望を味わった。それでもその時は奇跡の力を使って浄化したものの、少し間が空いた上で邪悪な闇の集合体であるブラックホールの手によって再生復活。
その時はここにいる六人にプラスアルファといった感じでメンバーがいたものの、再度プリキュア達の手によって打倒された。それ以降はずっと復活する事は無かったはずである。
「私達はあの時やられた時点で邪悪な心が浄化されて終わったはずだった。でも、素晴らしいあのお方のお陰で復活する事ができたのよぉ〜!あーっはっはぁ!」
シャドウがオネェ口調でそう言っていくと他の五人も含めて復活した事への喜びに満ち溢れた様子を見せていた。
「あのお方って……」
「今度は誰があなた達を……」
「ふん。それは偉大なる闇の王、ダークネス様だ!」
ミントやアクアの問いに魔女が答えを返す。その名前の通り、闇の力を司る王という事だろう。
「ダークネス様は雲に潜む闇達の集合体。お前達もよく知ってるだろう?空の天気が黒い雲になる時がある事を。あの時はダークネス様の力がほんの僅か……それこそ雲の中の1%にも満たないごく少量の闇が作用している。ただ、とは言っても所詮はほんの一部。余程な事が無ければダークネス様のような集合体として覚醒する事は無い」
だが、現にダークネスとして雲の中にある闇達は活性化して降臨した。その理由がその場にいるプリキュア達にはわからない。
「お前達、心当たりが無いって顔を見せてるな。……だが、あるはずだぞ?少し前に起きたこの街の異変……。強大なる闇の力が術者の限界を突破した上で別世界から呼び出された現象を」
「……あっ、もしかして……」
「ああ、多分カバトンが呼んだ電車ランボーグだ!」
あの時カバトンは大量におでんを食い散らかした挙げ句、そのカロリーどころかあの肥満体がガリガリに痩せる程に相当無茶をしてアンダーグエナジーとして召喚していた。……つまり、それが術者の限界を突破する程の別世界にある闇の力として判定されてしまったのである。
「というか、あのアンダーグエナジー?って闇は別世界から召喚してるんだ」
「そう思うと疑問は尽きないけど、取り敢えずお前らはその力で顕現したダークネスって奴の力で蘇ったのか」
「その通り!俺達はあのお方がこの街を闇に染める際の手始めとして送られた尖兵って所だ」
「これで俺達も積年の恨みが晴らせるし、一石二鳥って所だ。……まぁ、俺とフローズンの場合はオリジナルの恨みは晴らせても復活体の恨みは晴らせなさそうだがな」
フリーズンとフローズンの内、フローズンの言った“恨みを晴らせない”という言葉にスノー達四人は困惑の顔を浮かべる。しかし、それもその筈。二人のオリジナルを倒したのはここにいるブラックとホワイトなのだが、ブラックホールの復活体を倒したプリキュアはまた別の街のプリキュアなのだ。
「あのねぇ!アンタ達二度も復活再生して、良い加減しつこいのよ!あっちの世界で大人しくできないわけ?」
「そうよ!私達だって折角この街に遊びに来てたのに!」
ルージュとミルキィローズの二人は敵怪人達からの説明に苛立った様子で声を上げる。プリキュア側からしてみればあれだけ苦労して倒した相手に二度も三度も復活されるのはかなり鬱陶しいだろうし、できるなら止めてほしいだろう。
「お前達の都合なんて知らないね。あと、そろそろお喋りを続けたらダークネス様を待たせてしまう。さっさと始めるよ!」
魔女がそう言って手にした水晶を禍々しく光らせるとそこからまるで沢山の手のような物が伸びていく。
「ッ!?何これ!?」
「うっ!?」
するとその手はあっという間にプリキュア達の元に伸びていくとその体を捕まえてしまった。
「ちょっと、いきなり何するのよ!」
「ふん。お前達がここにいるとこの街を支配できないからね……一度消えてもらうのよ」
「ッ、何ですって!?」
すると闇の手はプリキュア達の体を少しずつ覆い始めた。そんな中でサンライズやブラック、ミルキィローズと言った力に秀でた面々はどうにかこれを引きちぎろうとする。
「そう簡単に消されてたまるかよ……」
「安心しな?存在が今すぐ消えるわけじゃ無い。……ただこの水晶に吸われるだけさ!」
「えっ!?水晶に吸われ……うわぁああっ!!」
スノーが困惑した瞬間。プリキュア達の体は同時に闇の手の中に吸い込まれてしまうと次々に水晶の中へと取り込まれてしまう。
「へぇ、随分と他愛無いわねぇ」
「……だが、閉じ込めるという事は」
「そうだ。このままではいつかは脱出される」
その場にいた15人のプリキュア達は魔女の水晶の中に吸い込まれてしまったとはいえ、この程度で諦める程プリキュアのメンタルは弱く無い事を敵幹部達は知っている。
「ならば、やる事は一つだな」
「こっちの世界の制圧は私がやろう。水晶の制御ができるのは私だけだからな」
「良いだろう、それに……」
「折角与えられたリベンジのチャンスだからな」
それから敵怪人達は何かを話していたかと思うと彼らも水晶から出てきた闇の手によって次々と取り込まれていく。そしてその場には水晶の持ち主である魔女のみが残ることになった。
「……これでプリキュアがここから出てくる事は万一にも無い。後はプリキュア不在のこの街を闇で覆い尽くしてくれる。ふふふ……あはははっ!」
これにより、ソラシド市は完全に無防備な状態を晒すことになると窮地に陥ってしまうことになる。
同時刻、虹ヶ丘家の一室ではヨヨがエルにミルクを与えていた。これはスノー達がお出かけをする際にまた前の時のようにヨヨへと預ける形を取っていたからだ。
「えるぅ!」
「ふふっ、エルちゃん。これから片付けがあるから少しだけ離れるわ」
「える?」
エルは首を傾げる中、ヨヨは今ミルクを飲ませるために使ったマグを片付けるためにエルを窓際にある彼女のベッドに寝かせると部屋から出ていく。
「えるぅ……」
エルは自分の相手をしてくれるヨヨが一度いなくなった影響か少し眠気が襲ってくるとウトウトとした顔を見せる。
しかし、そんな時だった。エルの視界の端に青いはずの空の一部が暗くなり始めるのが映ってしまう。
「……える!?」
エルはいきなり暗くなり出した空に慌てて家の中にあるスリングを自分の近くに呼び出すとその中に乗り込み、窓の外を見る。
「えるぅ……」
すると窓の外に広がる空は先程からどんどん雲が増えて太陽が隠されると暗くなっているのが見えている状態だった。そして、その光景はエルの心を不安にさせるには十分過ぎる物である。
『……エル』
「える?」
『お願い、あなたの力が必要なの』
『このままじゃ、プリキュアは……』
エルの脳裏に響いたのはスノーとサンライズの持ってるスカイトーンにいるはずのキュアバーニングサンとキュアブリザード。つまり、先代のプリキュア達だ。
何故先代プリキュアがスカイトーンを持ってないエルへと直接連絡を送る事ができたのか。それをエルが理解する事は無い。ただ確かなのはこのままではプリキュアが負けてしまうという事だ。
「える!ぷいきゅあ!」
エルは自分の意思でその窓を開けるとプリキュア達の元に向かうべく飛んで行ってしまう。そして、そのタイミングで戻ってきたヨヨはエルがいない事に気がついた。
「エルちゃん……おまた……えっ?」
ヨヨの心に動揺が広がる中、彼女も暗くなった空や開いてしまっている窓を認識する。
「ッ、まさか……あそこに行ってしまったと言うの」
ヨヨは一旦落ち着いてましろに電話をかけるがやはり繋がらない。もうこの時点で彼女達は魔女の水晶の中に閉じ込められてしまったからだ。
「皆……お願い、無事でいて」
こうなるとヨヨにできる事は何も無い。そのため彼女はプリキュアの四人やエルが無事でいる事を願いつつ家の中で様子を見る事になるのだった。
場面は変わり、ここは暗い空が広がる世界。その大地に四人の少女達がいた。それはスカイ、ホワイト、ミント、アクアである。
「皆、大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。それにしても……」
スカイが周囲を見渡すとそこには鏡のような透き通った水晶が幾つも地面から生えたような不思議な空間だった。
「ここって、シャドウの鏡の世界……」
「と言う事は……」
「あらぁ?察しが良くて助かるわねぇ〜」
そこに現れたのはこの鏡の世界の主であるシャドウ。そしてプリキュアが四人しかいないところからスカイ達は分断されたのだと考える。
「私はシャドウ。お前達をこの世界からは……」
「えっ、シャドー?そんな見え見えな嘘は止めてください!」
「「「???」」」
するとスカイはいきなり訳のわからない事を言い出す。そして、その言葉にシャドウは反応した。
「だから、私はシャドウだ……」
「偽名を使わないでください!シャドーの姿はそんなオネェみたいな感じじゃ……」
「ちょっ、スカイ。シャドーじゃなくてシャドウだよ」
どうやらスカイは自分達の敵であるシャドーと勘違いしてしまったらしい。正直ここまでややこしい名前の違いなのだから間違えても仕方ない……が、それでも勘違いは勘違いなので慌ててミントやアクアが訂正する。
「最後は伸ばし棒じゃ無くてウ。だから多分スカイの考えてる人とは別人だから」
「……えっ?そうなんですか?」
キョトンとしたスカイの反応にシャドウは自分が舐められてると判断。怒りを露わにするとスカイは慌てて謝罪する。
「ぐぐぐ……最初から舐めた態度を取って、私を侮った事。後悔させてやるわ!」
「はわわわ……す、すみません!」
「完全に怒らせちゃった!とにかくここから出るためにシャドウを倒すよ!」
ホワイトの掛け声と共に四人はシャドウとの戦闘を開始。そして、同時刻。同じ水晶の中ながらも別の空間。そこにもまた四人のプリキュア達がいた。
「「「「うわぁああっ!」」」」
ただ、四人のプリキュア達はいきなり空中から落下している最中でありブラックが特に大きなリアクションを見せていた。
「ちょっとちょっと!?ぶっちゃけあり得ないんだけど!」
そして四人の内、イーグレットは精霊の加護のお陰で無事に着地。後から落ちてきたレモネードをお姫様抱っこで抱き止める。
「大丈夫?」
「ありがとうございま……」
「ふぶっ!?」
ただ、レモネードの後に落ちてきたブラックは咄嗟の受け身ができなかったのか顔面から氷の大地に叩きつけられてしまう。
「痛たたっ……もう、なんな……」
「ふぇえええっ!?」
「え?ちょっ!?うわあっ!?」
そしてブラックは更に不幸な事に起き上がった瞬間にスノーが彼女の上に思い切り落下してしまう。
「うぅ……あっ!ごめんなさい!」
「平気平気……えっと、だからそんなに怖がらなくても」
「ひっ!す、すみません……」
スノーは慌てて立ち上がるとすぐに謝罪。ブラックはそれを許すものの、スノーはブラックを下敷きにしてしまった事に感じた罪悪感から顔を青ざめさせていた。
「そういえば、この氷の世界……嫌な予感しかしないけど……」
「その通り!ここは俺達の場所だ!」
「この最強コンビ、フリーズン・フローズンのな!」
そのタイミングで氷の大地に氷の体をした二人組。フリーズンとフローズンが降り立つ。彼等の出現にブラックはげんなりとした顔になる。
「もう、アンタ達には色んな意味でトラウマがあるから出てきてほしく無いんだけど!」
「トラウマ……それが何なのかはわからないけど……」
「とにかくこの二人をどうにかしないといけませんね!」
ブラックの言葉にイーグレット、レモネードは臨戦体制を整える。*3ただ、スノーの心には不安な気持ちがあった。
「ッ……サンライズ無しで二人相手に勝てるかな」
「大丈夫、そこは私達で助け合いましょう」
「そうすればきっと何とかなります」
そんなスノーの不安にイーグレットとレモネードがそう言うと彼女を安心させた。そしてブラックは二人に啖呵を切る。
「アンタ達なんてさっさと倒してここから抜け出すんだから、覚悟してよ!」
「ふん、覚悟するのはお前らだ!行くぜフローズン!」
「ああ、フリーズン。世界最強コンビの実力をとくと味わえ!」
そのまま氷の世界でも戦闘が開始。まずは分散したプリキュア達が二箇所で敵を迎え撃つのだった。
また次回もお楽しみに。