熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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プリキュア達の工夫 砕け散る水晶

プリキュア達がそれぞれの戦いで相手を少しずつ押し返す中、サーロインと戦うサンライズ達も彼相手に対応できるようになっていった。

 

「だだだだっ!」

 

「ふん、幾らお前が攻撃を重ねた所で私には届かない」

 

サンライズからの拳のラッシュに対して余裕そうな表情のサーロイン。ただ、だからと言ってサンライズは己の不利をわからない程周りが見えてないわけでは無い。

 

「ああ、悔しいけど俺じゃまだまだ経験不足だ。だけどな!」

 

サンライズは踏み込んでからサーロインへと割と大振りなアッパーカットを繰り出す。当然サーロインはそんな見え見えである攻撃を受けるつもりは無い。

 

「ふっ、血迷ったか」

 

しかし、サンライズはアッパーカットで拳を突き上げたのには理由があった。

 

「ブルーム!」

 

「うん!」

 

サンライズが大振りアッパーカットを放ったそのタイミングミルキィローズはバレーボールのアンダーパスをするように腕を合わせてから横に構える。

 

同時に残っていたブルームはその上に乗り、すかさずミルキィローズがブルームを思いっきり押し出す形で射出。

 

「だあああっ!」

 

サンライズはアッパーカット後に素早く屈むと彼の真上を通過しつつ早いスピードで突っ込んできたブルームからの拳がサーロインへと突き刺さる。

 

「ふぐっ!?」

 

「だりゃ!」

 

サーロインが怯んだ一瞬の隙にサンライズは彼の足元目掛けてローキックを放つとサーロインはギリギリの所で上にジャンプして回避。

 

「それは読んでるわよ!だああっ!」

 

だが、そのタイミングで先程ブルームを射出したミルキィローズがサーロインの行く先へと先回り。すかさず上からダブルスレッジハンマーを振り下ろして彼を地面へと叩き落とす。

 

「チッ!!」

 

「「はああっ!」」

 

サーロインが地面に激突してから体勢を立て直す前にサンライズとブルームは両側を挟むと息つく間も与えないラッシュ。

 

「まさか、お前ら!」

 

「ああ、もうお前にアクセラレートを使わせるつもりはねーよ!」

 

「あんな反則技、何回も受けてたらわかったのよ」

 

「あなたはその攻撃をいちいち口で言わないと使えない事にね」

 

サーロインは図星を突かれたのか反論一つしない。いや、反論ができないくらいに攻撃の密度を上げている。

 

「ッ、クソ……こっちの赤い小僧。さっきよりも更に強くなってるのか!?」

 

また、サンライズは戦いの中で成長して強くなっているのかサーロインは彼の攻撃を凌ぐ手に余裕が無くなってきていた。

 

「さっきまでの余裕はどうした!」

 

サンライズの言葉に流石にサーロインは苛立つ。先程まで取るに足らないと考えた者に押されている現状が気に食わないのだ。

 

「ぬん!」

 

するとサーロインは脚を地面に踏み込むと自身の能力で地面から砂嵐を発生させて自身の体を包み込むと二人は咄嗟に後ろに下がってしまう。

 

「私から離れたな?アクセラレート!」

 

「「そう来るのはわかってる!」」

 

「だああっ!」

 

サンライズ、ブルームが離れた瞬間を発動の好機と捉えたサーロイン。良い加減鬱陶しい二人を倒すために再度加速を発動する……のだが、彼が加速を発動しきる直前にミルキィローズは地面へと拳を叩き込む。

 

同時にサンライズとブルームの二人はミルキィローズへと近づく形で後ろにジャンプ。二人の体がミルキィローズの近くに移動したタイミングでサーロインはアクセラレートを発動。五秒間の加速時間となる。

 

「ふん、何をしても無駄なの……」

 

しかし、サーロインが地面を蹴って走り出したその瞬間に地面はいきなり下に沈み始めてしまう。

 

「む!?」

 

そして、その動揺は時間を無駄に浪費させる事に繋がる。五秒という短い時間はあっという間に経過してしまうと直後にサーロインの足元の地面は一瞬にして消え去った。

 

「なっ!?」

 

これはつまり、ミルキィローズの得意技でもある地面殴りからの陥没をアクセラレートに合わせる事でサーロインがサンライズ達三人の近くに接近した際に彼を動揺させる狙いがあった。

 

「はぁああっ!」

 

そのタイミングでミルキィローズが腕を壁にするかのように膝を曲げて立てるとそこにサンライズとブルームが脚を置いて飛び出す。

 

その内、ブルームの方は精霊の力の増幅でサンライズよりも早く接近。空中で身動きできないサーロインへとタックルを命中させると彼を近くの地面に激突させる。

 

サンライズはそれを見てタックルを命中させたブルームを更に追い越す形でサーロインへと向かうと彼は咄嗟に防御姿勢を構えた。

 

「またかかったな!ひろがる!サンライズブレイク!」

 

サンライズはそれを見て笑みを浮かべると拳を構えるとそれを前に突っ込みつつ鉄拳のように前に突き出す。ただ、サンライズの今の位置はサーロインにまで距離がある。そのため、今そんな事をしても無意味だとサーロインは感じた。

 

「何を馬鹿な事を。そんな事をしたって……」

 

「上だよ!」

 

「う……え?ぐああっ!」

 

しかし、サンライズが出した技……サンライズブレイクの本来の形は上からの鉄槌。そのため、サーロインの真上から炎の拳が降り注ぐとサーロインへと命中して爆発するのだった。

 

同時刻、ムシバーンと交戦するプリズム達は彼相手の接近戦はやはり不利だと考えているのか距離を取りつつ気弾で牽制。ただ、やはりプリズムの気弾ではそこまで大きなダメージは入らない。

 

「……距離を取るばかりとは、臆病風に吹かれたか!」

 

「やっぱりダメだ……私の攻撃じゃ全然効かない」

 

「でも、彼のフィジカルはとんでも無いですよ」

 

ルミナスの言葉にドリームとルージュは苦い顔を見せる。何しろ彼は以前戦った際はプリキュア5の五人がかりで相手にしても途中まで圧倒されていたのだ。

 

唯一ミルキィローズは単独で打ち合う事自体はできたものの、彼女の場合はまだムシバーン自身が本気モードじゃ無かったので勝てたかどうかは何とも言い難い。

 

「プリズム、ほんの少しだけムシバーンを崩す事はできない?」

 

「でも、私の弾じゃ威力不足だよ。プリズムショットは簡単に切られちゃったし、ルージュくらいの力は無いと」

 

「……いや、アンタ光を使えるんでしょ?何も攻撃で足止めしなくても良いんじゃない?」

 

「そっか!その手があったよ!」

 

プリズムが慌てているとルージュがフォロー。彼女の言葉をヒントにプリズムは頷くとある手を使う事にした。

 

「ふん、何を呑気に話している!」

 

ムシバーンが踏み込むと一気に接近してくるとドリームとルージュはアイコンタクト。それだけでルージュはドリームの意図を理解すると頷いた。

 

「仕方ないわね。泥臭い役は私にピッタリだし!」

 

ルージュはそう言うと四人の中で一人だけ前に出る形で突出。それにムシバーンは笑みを浮かべた。

 

「ふん、お前如きで止まるとでも?」

 

「はあっ!」

 

ムシバーンから振り下ろされた剣に対してルージュはサッカーのボレーシュートを放つが如く右脚を振り抜いて二つの攻撃はぶつかり合う。

 

「ふん、パワー勝負か。だが!」

 

ただ、やはりムシバーンの方がパワーでは上。そのせいでルージュは少しずつ押し込まれてしまう。

 

「ッ……だったら、プリキュア……ファイヤーストライク!」

 

「む?」

 

ルージュは奇策として押し合ったままファイヤーストライクを発動。ルージュの炎のエネルギーは脚へと集中。そのパワーは脚の外に出ようとするが、放出口はムシバーンが剣で塞いでしまっている。

 

直後にルージュのパワーは脚に集まり過ぎて暴発。ルージュは後ろに押し戻されるとムシバーンの視界は煙で覆われる。

 

「この程度!」

 

しかし煙ではほんの一瞬視界を塞ぐだけに過ぎず、ムシバーンを崩すには至らない。

 

「今だよ!」

 

ただ、プリズムはそれに合わせる形で気弾を一つ発射。それがムシバーンへと迫ると彼は笑みを浮かべた。

 

「何度やっても無駄だ。そんな物でこの私は……」

 

「ううん、これなら止められるよ!煌めけ!」

 

プリズムは彼女の気弾を舐め切って油断したムシバーンの不意を突く形で気弾を発光。彼の視界は光に覆われると目が眩み、思わず抑えてしまう。

 

「があっ!?ば、馬鹿な……」

 

「ルミナス!」

 

「はい、今度は私の番ですね!」

 

そこでドリームが技を発動して駆け出すと両腕にピンクのエネルギーを纏う。更にドリームの前進に合わせる形でルミナスがハートを型取ったようなアイテムであるハーティエルバトンを召喚する。

 

「光の意思よ!私に勇気を!希望と力を!」

 

そして、彼女がハーティエルバトンを名前の通りバトン型へと変化させるとそれが正面で自動で回転。そのままルミナスの手の動きに準ずる形で動かすと彼女は一度バトンを放り投げてから構えを取り、技を発動させた。

 

「ルミナス・ハーティエル・アンクション!」

 

ルミナスは地面を強く踏み込んでから両腕を前に翳すとハーティエルバトンの回転はゆっくりになりつつも、その動いた後に円形状の形をした虹色の光が出現。そのままそれがドリームに向かって飛んでいく。

 

「くっ……まさか、あの小娘に……む!?」

 

そのタイミングでムシバーンの視界が戻り始めるが、もう遅い。ドリームは跳び上がると先程同様に蝶型のエネルギーを纏って突進する。

 

「プリキュア!シューティングスター!」

 

ドリームがシューティングスターを発動させたタイミングでドリームの体を後ろから前へと通り抜ける形でハーティエルアンクションの効果がドリームへと適用。その能力が一気に底上げされる。

 

「はぁああっ!」

 

「ッ!?うわぁあっ!!」

 

ムシバーンは先程までのドリームの力なら止められると考えていたが、流石にルミナスがブーストをかけた後は無理なようで。彼はドリームからの攻撃をまともに受けてしまうのだった。

 

その頃、水晶の外ではシャドーとカバトンの二人がかりで魔女の水晶を狙い続けている。

 

「その水晶をさっさと寄越すのねん!」

 

「そうしたら破壊するでしょうが!」

 

魔女は手を翳すと闇のエネルギー弾を連射。その攻撃はシャドーが二刀流の刀を使い、全て捌く形で切り裂くと真っ二つに切れて消失していく。

 

「カバトン、お前はアイツにあの一撃を至近距離で決めることだけに集中しろ。その間の守りは俺が担ってやる」

 

「お前が守ってくれるなら俺様は迷い無く行けるのねん!」

 

「チッ、お前達もプリキュアに敵対する者だろう!何故プリキュアみたいな戦い方をする!」

 

「確かに、俺達にこんなやり方が似合わないのは心得ている。だが、ダークネスって奴の降臨までに時間が無いのだろう?だったらこうするのが手っ取り早い!」

 

魔女は二人が連携してくる事に苛立つとこの姿での本気を出すと言わんばかりにダークネスの力による新能力である影分身を発動。無数に増えた。

 

「おい、アイツ増えやがったのねん!」

 

「……問題無い。全て斬る!」

 

シャドーは二刀流の刀をもう一度一刀流にすると普段は背中に差している刀の鞘を手に持つと居合斬りの要領で構えるとそのまま高速での連続斬撃波を発動。

 

魔女の体を分身だろうが本体だろうが関係無いと言わんばかりに片っ端から切り裂いていく。

 

「ッ!?まさか、お前……」

 

「ああ。俺に本体と分身を見抜く術は無い……だから分身を全て斬らせてもらう!」

 

シャドーの言葉に魔女は戦慄を覚えるが、彼女にはその高速斬撃を止める術なんて無い。何しろ分身達が攻撃態勢に入る時には既にシャドーに斬られてしまっているのだ。そして、数が減った事で動揺した魔女はとうとう本体の所へとカバトンに肉薄されるのを許してしまう。

 

「見つけたのねん!」

 

「なっ!嘘だろ!?」

 

「喰らえ!俺様自慢の……ヘブゥ!」

 

その直後、カバトンは後ろを向くと彼の得意技である強烈なオナラを噴射。

 

「く……く……臭ぁあああっ!」

 

ギャグみたいな攻撃方法だが、実際の所侮れないくらいにこの攻撃は強烈だ。そしてそれはブラックとホワイトが以前大苦戦した相手である魔女にも十分通用している。流石、彼の得意技と言った所だろう。

 

「見たか!本当ならプリキュア相手に使おうと思ってここ数日間程溜めていた俺様のとっておきなのねん!」

 

「お前……この私にこんな下品な攻撃を……」

 

「YOEEE奴の言い訳なんて聞きたく無いのねん!それと、俺様ばかり見てて良いのねん?」

 

「は?」

 

その瞬間だった。そこにはいつの間にか魔女の背後にシャドーが接近しており、魔女はそれにようやく気がつくと振り向く。

 

「なっ!?」

 

「遅い!ひろがる!シャドーブラッドムーン!」

 

シャドーから振り下ろされた刃は魔女が手にしていた水晶へと的確に振り下ろされると一撃で真っ二つに砕け散る。

 

「なっ!?しまったああっ!」

 

その直後、魔女の水晶があった場所から15の光と5つの闇のエネルギーが飛び出すとそれが空中に飛び出してから地上へと次々と降り注ぐ。

 

「クソッ、ダークネス様降臨まであと少しだったのに!」

 

魔女は慌ててそちらに対応するために地上へと降りていく。それを見届けたシャドーは得意げな顔をするカバトンへと話しかける。

 

「どうやら俺達の目的は達成できたか」

 

「シャドー、それにしても何でこんな事をやろうと言ったのねん?プリンセス・エルを今の内に連れ去る事もできたのねん」

 

実際問題、カバトンは最初そうしようと思っていた。今ならプリキュアがいないので、エルを連れ去る事も簡単である。魔女と協力すれば尚更それができただろう。ただ、それをしようとしたらシャドーが全力で止めに入ったのだ。

 

折角ならプリキュアを再起不能にしてから連れ去るべきだと。そうしなければ追跡されてしまうというそれらしい理由も付けて。

 

「……さぁな。何故か俺の体がそれをしたらいけない……そんな風に考えたからだろう」

 

「何なのねんそれ……」

 

「ま、俺達にしてはらしく無い事をしたのはそうだろうな」

 

シャドーはこんな事をするのは悪役の自分達には似合わないとわかっていた。しかし、それでもプリキュアを……プリンセス・エルを助ける道を彼は選んだ。シャドーはそんな道を選んだ自身の思考に疑問を浮かべつつカバトンと共に近くの建物の屋上に降り立つ。

 

「……これ以上考えても仕方ない。カバトン、行くぞ」

 

「あっ、置いていくななのねん!」

 

それからシャドーとカバトンはここから先はプリキュアのやるべき仕事だと言わんばかりに即撤退。いなくなってしまうのだった。




また次回もお楽しみに。
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