プリキュア達はシャドーとカバトンの活躍によって救出され、無事にこちらの世界に戻ってきた。そして、敵である五人の所に魔女が合流するとプリキュア達はそれと対峙する。
「ぷいきゅあ!」
「エルちゃん!?何でここに……」
「あっ、もしかして外に出られた?」
スカイは虹ヶ丘家にいたはずのエルが来た事に驚く中、スノーはこの事から外に出る事ができたのだと察する。ただ、そのタイミングでサンライズは疑問符が頭に浮かぶ。
「でも、確かあの空間を壊さないとダメ……じゃなかったっけ?」
「あっ、もしかして誰かが外側から水晶を壊してくれた……のかな?」
プリズムはそう予測すると周囲を見渡す。しかし、それらしい人影は見当たらない。プリキュア達は知らない事だが、この時点で彼女達を外に出したシャドーとカバトンはもうこの場からいなくなっている。
一応エルは誰が助けてくれたのかわかってはいたが、彼女にはプリキュア達相手に伝える手段が無いので結局プリキュア達からしてみたら今回の事は謎が残るばかりだ。
「そういえばさっきからスルーしてたけど……」
「うん、何で赤ちゃんがスリングに乗って浮いてるの!?」
「ぶっちゃけ、有り得ない!!」
ブラック、ブルーム、ドリームの主人公組がエルの姿を見て唖然とした顔つきになる。彼女達はここまで数多の妖精達を見てきたので不思議な能力とかを見るのは慣れていた。勿論不思議な能力持ちの赤ちゃんも見た事はある。
ただ、その時はあくまで普通の人間の子に近く。移動も基本的に他の人間に抱かれる事が多かったため、赤ちゃんが一人で勝手にスリングを運転してフワフワと宙に浮いているパターンは初めてだったのだ。
「アンタ達、そういうのにはもう慣れてるでしょ……」
「まぁ、ブルーム達の気持ちはわかるし仕方無いよね……」
「うん、これがブラック達って感じだし」
この光景に主にツッコミ担当を担うルージュは唖然とした顔を浮かべ、ホワイトやイーグレットはそんな主人公組の言葉に共感したような顔つきになった。
「おのれ……プリキュア!折角分断したのにまた集結して……許さん!」
魔女はそう言うと手を掲げ、禍々しい力が込められた巨大なエネルギーボールを生成。それを投げつける。
「ッ!」
「皆さん!」
ルミナスが声を上げるとその攻撃を回避するためにプリキュア達は前に飛び出す形で爆発から回避。そして、プリキュアオールスターズでは定番の爆発から飛び出すプリキュア達の構図が完成するとスノーが声を上げる。
「許さないのは私達の台詞だよ!」
「俺達の絆は例え分断したって断ち切れはしない!」
「ここから私達の反撃だよ!」
「皆さん……プリキュアの出番です!」
スノー達ひろプリ組が目の前に現れた敵組に啖呵を切ると目の前に揃った六人の敵達は自分達の因縁の相手を潰すために飛び出してくる。
〜挿入歌 DANZEN!ふたりはプリキュア Ver.Max Heart〜
まずはブラックとホワイト対フリーズン・フローズンだ。フリーズンとフローズンはブラック、ホワイトへと殴りかかると二人はそれを受けて後ろに後退。ただし、建物の壁を使って足場にすると手を繋ぎ、前を向く。
「今度こそ俺達のコンビネーションで打ち砕いてやる!」
「そして、最強のコンビは俺達だと証明してやるよ!」
フリーズン、フローズンはダークネスの力で強化された氷の能力を使うとそれぞれの腕に氷を纏わせて突っ込んできた。
「いいえ、前にも言ったはずよ!」
「アンタ達は最強のコンビなんかじゃない……アンタ達のそれは偽物だって!」
それに対してブラックとホワイトが同じように飛び出すと手を繋いだまま二人によるダブルキックがフリーズン・フローズンコンビの体へと突き刺さる形で命中。二人はそのダメージに顔を歪めた。
「「があっ!?」」
「だぁああっ!」
そのまま二人は手を離すとブラックは怯んでガラ空きとなっているフローズンの腹へと凄まじい速度でのラッシュを打ち込む。
「だだだだだだっ!」
「うがああああっ!」
フローズンはあまりの速度と威力に反撃すらできず。一方的に殴られてしまう。
「調子に乗るなよ!」
それに対してフリーズンは苛立つと目の前のホワイトへと右腕に渾身の力を込めて拳を突き出す。しかし、ホワイトはそんな彼の攻撃に対して跳び箱でハンドスプリングをするが如く拳を足場にフリーズンを飛び越えてしまう。
「は?」
「やぁあああっ!」
ホワイトはそのまま回転しながら落下しつつガラ空きとなった彼の左腕を掴むと落下の勢いを利用してフリーズンを真下に投げつける。
「うぐああっ!?」
フリーズンは地面に激突してダメージを負い、何とか立ち上がるとそのタイミングでブラックによって一方的なサンドバッグ化されていたフローズンが吹き飛んでくる。
「だああっ!」
ブラックがフローズンの胸に渾身の一撃が命中させるとそのパワーによって彼を一気に吹き飛ばし、そのまま地面に落下していたフリーズンの上に落ちる形で激突。
「なっ……ごはあっ!」
「くそ……」
「フローズン……早く退け……潰れるだろうが」
「何だと、お前こそこんな所にいやがって……」
二人は相次ぐ形勢不利を受けて苛立つとそうやって相手を貶し始めた。そして、それを見た途端ブラックはすかさず指摘する。
「ほら、何回復活してもアンタ達は何も勉強してない」
「「……あっ」」
「本物の絆の力、見せてあげる!」
フリーズン、フローズンがブラックからの指摘に唖然とする中でブラックとホワイトは空に手を翳すとそこから降り注いだ光がブラックの右腕のホワイトの左腕にブレスレットを授ける形で集まっていく。
それは銀を基調としてハートの意匠が散りばめられており、ブラックはピンクのリボン。ホワイトは水色のリボンが結ばれていた。このブレスレットの名前はスパークルブレス。そして、それを付けたという事やる事は一つしか無い。
ブラックとホワイトは構えを取ってからすかさずブレスレットをしていない方の手を繋ぐ。
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
そして、掛け声と共に手を空に掲げるとそこに黒と白の雷が降り注ぐ。そのエネルギーを纏って虹の光を全身に纏う二人。
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
ホワイト、ブラックの順で掛け声を言うと二人は繋いでいる手を強く握りしめると同時に声を上げる。
「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」
二人はここで技名を叫びつつ手を前に翳すが、実際はここで終わりでは無い。更にもう一段威力を上げるために二人は黒と白の電撃を高めている状態のブレスを装着した腕を後ろに引っ込めた。
「「マックス!」」
二人が更なる掛け声と共に手をもう一度前に出すと電撃は限界を突破したかのように増幅。混ざり合うと凄まじいエネルギーでフリーズン・フローズンへと飛んでいく。
「チッ!仕方ねぇ!」
「ああ、やるぞ!」
これに対してフリーズンとフローズンは黙ってやられるつもりは無いと言わんばかりに手を重ねる形で二人の最強最大の技、フリージングブリザードを放つ。
「「フリージングブリザード!」」
マーブルスクリューとフリージングブリザード。二つの強大な力はぶつかり合うと拮抗。ただし、フリーズンとフローズンの方はこの時点で最大出力になっているのに対してブラックとホワイトにはまだもう一つ上があった。
それを示すかのように二人が付けているスパークルブレスには電撃が増幅されるようなエフェクトが出てくる。
「「スパーク!!」」
そして、二人の叫び声のような声と同時に黒白の電撃は一瞬だけ黄色い物になってから虹色の輝きを纏う。
「「ぐうぅうう……うわぁあああっ!」」
フリーズン、フローズンは電撃の嵐の中に巻き込まれると爆発と共に肉体が消滅。中から黒い魂のような物が飛び出して行くのだった。
〜挿入歌 まかせて★スプラッシュ☆スター★〜
場面が切り替わり、次はサーロインと戦うブルームとイーグレットへ。サーロインはこの状況なら先程使っていたアクセラレート封じは使えないと判断して再度発動する。
「アクセラレート!」
「無駄だよ!」
しかし、ブルームはイーグレットと呼吸を合わせると精霊の力による全方位防御を展開。どれだけサーロインが加速できてもバリアを突破できなければ彼は二人にダメージを与えられない。
「な!?」
「あなた、その感じだとさっきからその能力ばかり使ってるみたいだけど……」
「逆にそれにばかり頼り過ぎ。何なら、それに頼ってない分だけ前の方が手強かったわ!」
ブルームとイーグレットは完全にアクセラレートに対応し切っていた。これはサーロインが新しい力を得たせいで逆にそれに頼り切りになってしまった事が大きい。
「ぐ……。だったらこれでどうだ!」
サーロインが手を翳すと凄まじい砂の竜巻が生成されて破壊光線のように二人に向かって放たれる。その力を受けた二人の姿は竜巻の中に飲み込まれてしまった。
「ふふ……ははっ!どうだ。あれだけ偉そうな事を言いながら結局お前達では私に勝つのは……ッ!?」
サーロインはプリキュアを制圧して笑みを浮かべる中で、ある光景を見るとその笑いは止まってしまう。その視線の先には二つの輝きが竜巻の隙間から漏れ出していた。
「未来を照らし!」
「勇気を運べ!」
その光の色はブルーム、イーグレットの色であるマゼンタや白では無く、黄や水色である。その直後、光が大きくなると竜巻が吹き飛んでブルーム、イーグレットが姿を現す。……ただ、二人の姿は先程までと比べるとかなり印象が違っていた。
ブルーム(?)の方は髪の雰囲気はそのままに黄色や黄緑を基調としたコスチュームに変化している。服装の特徴は先程までと似てはいたものの、腰のベルトの形状やスカート、レッグカバーのフリル部分が違う等の細かい差が明らかになっていた。
イーグレット(?)の方はブルーム同様に髪の雰囲気はそのままなものの、コスチュームは水色をメインにしたカラーリングへと変化。彼女もスカートの形状等細々とした所で差があるが、一番の差異は肩の部分に天女の羽衣のような物がある所だろう。
「貴様等、それは!」
「天空に満ちる月!キュアブライト!」
「大地に薫る風!キュアウィンディ!」
キュアブルーム改め、キュアブライトとキュアイーグレット改め、キュアウィンディは二人同時のパンチをサーロインへと命中させるとそのパワーに思わず押し戻されてしまう。
「三度その姿でこの俺を葬ろうとするか、どこまでも忌々しい!はぁあっ!」
サーロインは一度目、そして二度目で自分を倒した姿に変化した二人のプリキュアへの怒りを募らせるとその姿を本気モードである巨大な赤い牛の姿へと変化させる。
彼は筋骨隆々とした上半身の筋肉を軋ませる音を響かせながら二人へと拳を構えた。
「フープ、ムープ!」
「お願い!」
『月の力!』
『風の力!』
『『スプラッシュターン!』』
ブライトとウィンディは妖精に呼びかけるとスプラッシュコミューンに入っていたフープとムープが力を発動。ブライトは自身の腰にベルトとして、ウィンディは自身の左腕へとブレスレットとして星の形をしたアイテム……スパイラルリングが装着される。
「「はぁああっ!」」
二人が手を翳すと増幅された精霊の力がバリアとして放出。サーロインからの拳を受け止めると逆にバリアから放出した光で彼を吹き飛ばしてしまう。
「ぐはああっ!?お、おのれ……」
「はああっ!」
ブライトは光の力による光弾を連射。サーロインはそれを喰らってダメージを負う。
「ぐううっ……おのれ、小賢しい!」
サーロインはどうにか反撃するために手からエネルギー砲を放とうと構える。
「させない!はああっ!」
しかし、今度はウィンディが風の力でサーロインの体勢を崩すと彼は仰向けに叩きつけられる。
先程までのブルーム、イーグレットの力は近接戦に向いた能力だったが、どうやらブライト、ウィンディという全く別のプリキュアになった事で遠距離攻撃が主体になるというバトルスタイルの変化が起きていたのだ。
また、フォームチェンジ能力をプリキュアは二人の後も度々出てきてはいる。ただし、フォームチェンジする事でプリキュアとしての名前ごと変わるタイプなのはこの二人だけの唯一無二の個性だ。
「決めるよ、ウィンディ!」
「うん、ブライト!」
それはさておき、二人は一気に決めるためにスパイラルリングに備え付けられている二本のリングを手にすると中央部にある星型の回転式のプレートに装着。それからプレートを回転させてから手を翳す事で精霊達の光が集まっていく。尚、その精霊の光の色はブライトが黄緑、ウィンディがピンクである。
それから二人は手を繋ぐと精霊達の光の集約で自分達に漲る力を感じつつ掛け声を言う。
「精霊の光よ、命の輝きよ!」
「希望へ導け、二つの心!」
そして、二人が手を繋いでいた方の腕。つまり、ブライトの左腕とウィンディの右腕をクロスさせるように構えてからそれぞれの腕を体の反対側の斜め上に持って行くような動きをし、同時に腕の先端にある意匠からそれぞれの光が飛び出す。その光は二人の周囲を飛び回ってから最終的に二人の目の前に巨大なエネルギーボールとして留まる。
「くっ、またこの力でやられてたまるか!今度こそ俺は!!」
サーロインは今度こそこの技を打ち破ると言わんばかりに走って行くと二人を潰そうとする。しかし、二人に技を発動された時点でもうサーロインの命運は定まっていた。
「「プリキュア!スパイラルスター・スプラッシュ!」」
そのまま二人が技名を叫んでから後ろからその光を押し出すような形で両腕を前に突き出すと二つの光は破壊光線と言わんばかりに勢い良く放出。その力は向かってきたサーロインを包み込むようにして虹の球体の中に閉じ込めるとエフェクトとして出てきた宇宙空間に星のマークが浮かび上がる。
「ちくしょおおお!」
そのままサーロインの体は精霊の力に耐えられずに浄化。闇のエネルギーが消し去られると肉体が消滅。最後に核となっていた黒いエネルギーが飛び出すのだった。
また次回もお楽しみに。