ダークネスが襲来し、他の街にいるプリキュア達との邂逅牙あった翌日。とうとうアサヒとましろの春休みも最終日である。ユキ達四人は居間に集まると今日の予定について話す事にした。
「今日こそショッピングモールで遊ぼう!」
「あ、アサヒ君?急にどうしたの?」
四人での話し合いを始めた瞬間、開口一番でアサヒはそう提案する。すると彼からのいきなりの話にユキは驚いたような顔つきを見せた。
「何しろ今日で春休みが終わってしまうからな。春休みが終わってしまったらそれ以降は学校に行く関係上俺達が長時間一緒にいられる機会が一気に減る。本当だったら昨日行くつもりだったけど……」
「あー……。そういえば昨日は良い所で邪魔されちゃいましたからね……」
ソラが苦笑いすると思い出すのは昨日あったダークネスの件である。昨日はソラシドモールで買い物を終えた四人が遊ぼうとした瞬間にダークネスがいきなり襲来。
そのせいでその日は街の防衛をしなければならず、時間も大きくロスしてしまったのだ。
「それに、昨日フリータイムで色々しようって言い出したのはましろだからな?」
「確かにそうだけど……」
「えっと、私は折角なら皆と楽しい思い出を作りたい……かな」
ユキはこうやって皆で遊べるチャンスが少なくなるのだとしたらチャンスがある時に遊んだ方が良いという考えであり、そのため彼女は他の三人に遊ぶ事を提案する。
「そうですね!学校に行く事で一緒の時間が減るというのは気になりますが、学校は本来勉強をする所ですし。遊べるチャンスがあるのなら遊びたいです」
ソラからの発言にアサヒやましろは違和感を覚えるものの、ひとまずそれはスルーする事にして遊びに行くという意見が三人に増えたのでましろもそれを了承する事になる。
「皆が遊びたいって考えになるなら……うん。私も良いよ!」
「それじゃあ早速準備しよっか」
四人の意見が纏ったという事で遊びに行くために準備を開始。ただ、そのタイミングで窓の外から居間へと睨みを効かせる小さな白い鳥の視線が飛んでいた。
それから少しして四人がそれぞれの部屋の中に入るとアサヒは一人で準備しつつ嬉しそうな顔つきを浮かべていた。
「ユキ、凄い嬉しそうな顔してて。やっぱり笑ってると可愛いんだよな……」
どうやらアサヒはユキの笑顔を見て思わず顔が緩んでしまっていた。先程まではどうにか顔が緩まないように我慢していたものの、もうそろそろ限界だったらしく。自分の部屋で少し顔が崩れてしまったのだ。
「……でも、あれだけ可愛いならスカイランドとかに彼氏とかいるんだろうか……」
アサヒはそう考えるが、慌てて首を横に振る。そして同時に今の考えをユキの前で言わなくて良かったとホッと胸を撫で下ろす。……その理由は単純だ。
「(危っぶね……。そうじゃん、ユキはスカイランドにいた頃は他人の事をあまり深く信頼できてなかったから彼氏作るどころの心境じゃないだろ……)」
アサヒはついユキに無神経な質問をしてしまう所だと考えると自重しようと考える。そんな時だった。
「……やっぱりユキ姉相手に変な事考えてるな、この女たらし!」
「……へ?」
アサヒはまた窓際から声が聞こえてきたのを驚いて振り向くとそこには前にユキの事を泣かせてしまった時に自分を責めてきた白い髪の少年である。そして、少年はアサヒを睨むとまた声を上げた。
「ユキ姉が信頼してるのを良い事に鼻の下伸ばして!お前なんかがユキ姉と付き合えるなんて絶対に有り得ないからな!」
「ちょっ。お前毎回俺への当たり強くね!?」
「当たり前だろ!ユキの弱みにつけ込んだだけのくせに!」
少年から一方的に文句を言われたアサヒ。また前回は自分がユキを傷つけてしまった意識があったが、今回に関しては完全な言いがかりである。確かにユキの可愛さに見惚れた時はあったが、まだそういう関係とは程遠い。だからこそ彼は反論に転じる。
「だから、お前さっきから何でそんなに俺に対してキツい言い方してくるんだよ!それに、ユキの弱みにつけ込んだって言ったけどあの時のユキは知ってる通り弱ってたんだ。お前だってわかってるだろ」
「そりゃあ、ユキ姉を助けたい気持ちは一緒だったけど……」
「だったらお前の方こそユキを慰めれば良かっただろうが!外野から文句ばかり!」
「ッ……煩い!お前なんかに俺の立場や気持ちなんてわかるもんか!」
白い髪の少年はアサヒ相手に言い負けてしまったと感じたのか、捨て台詞と言わんばかりの言葉を残すとその場から逃げ出す。
「あっ、お前逃げるな!」
アサヒが慌てて少年を追いかけようとするが、窓際に来たタイミングでアサヒは目を見開く。その視界の先に少年の姿が全く無いのだ。
「あれ!?何で……」
自分が窓際にまで詰めるまで10秒すら無い。そんな短時間でどこに逃げてしまったのか。アサヒはそう考えつつキョロキョロと周りを見渡すが、やはり白い髪の少年の姿は無い。いたとすればまた前のような白い小鳥がちょこんと座っているだけである。
「くっ……。また逃げられた。あの野郎、何で俺に対してあんなに文句言ってくるんだよ」
アサヒからしてみればユキと何かある度にこんな事をされてしまうのは良い迷惑である。できるなら少年を捕まえたいと思ったが、ひとまず今はどうしようもできないので準備を再開する事にした。
「ひとまず、あの謎の少年についてはまた警戒しとかないとだな……」
アサヒはそう考えつつ遊びに行くための準備を整えると部屋を出る事に。彼がいなくなった後、窓際に座っていた白い小鳥の元にオレンジの鳥が寄ってくると白い小鳥の手を引っ張って窓から引き剥がすことになるのだった。
それから少しして。ユキ、アサヒ、ソラ、ましろの四人と彼女達が連れてきたエルの計五人はソラシドモールへと到着した。
「そう言えば遊ぶって言いましたけど、ここにはどんな遊びがあるんですか?」
「そうだな……。例えばゲームセンターとか?」
「げーむせんたー?何それ……」
「うーん、やっぱり二人は初めてだよね」
「じゃあそこから行こうか」
「える!」
ユキ達五人は早速ゲームセンターへと移動するとその中に入っていく。するとその光景を見てスカイランド組の二人は初めて見るゲームセンターの雰囲気に圧倒されていた。
「な、何ですかこの音と光が充満したような空間は!?」
「鉄の箱から音が聞こえて光がチカチカして……」
「えるぅ……!」
「あはは、やっぱりそういう反応になるよね」
ましろは二人が予想通りな反応をした事に苦笑い。アサヒは早速中を案内しつつゲームの中の幾つかで遊ぶ事にした。
「うわあっ!?た、太鼓の上に光る板が!?」
「えるぅ!」
「え、えっと……なんか赤い丸と青い丸が流れてきてて……もしかしてこれに合わせて何かするの?」
最初に見たのは太鼓の○人と呼ばれるゲームだった。ルールは単純で曲に合わせて流れてくる赤と青のマークを見つつ、タイミング良くバチで目の前にある巨大な太鼓を叩くだけだ。赤い丸の時は鼓面、青い丸の時は太鼓の縁を叩けば良い。
「ああ。この丸が来た時にタイミング良く太鼓を叩けば良いんだけど、百聞は一見にしかずって言うし……」
「まずは私達二人がやってみるね」
「百聞は一見にしかず?」
「人から何回も話を聞くよりも一回見た方がわかりやすいって事だよ」
ソラはまた新しいことわざを学んで手帳にメモすると早速二人はお金を投入して曲を選択。早速ゲームを開始するとその様子を見てソラもユキも興味津々と言った様子だった。
すると早速赤と青の丸が流れてくる中でアサヒはタイミング良く次々と太鼓を叩いていく。対してましろの方はやはりアサヒよりは熟練度で劣っているのか幾つか打てていなさそうだった。
「凄い。アサヒ君、あんなに沢山流れてくる赤と青の丸を簡単にタイミング良く打ててる」
「ま、練習すればここまでできるよ。でもこういうのって体が慣れないとできないし、かなり回数はやらないとだから直ぐには難しいかな」
「私はアサヒみたいには中々できないかな……」
それでも見ている限りはそれなりに回数を打つ事はできているので可も無く不可も無くと言った所だろう。
「良し、じゃあやり方はわかっただろうし……やってみようか」
「うえっ!?わ、私にできるかな……」
「ユキさん、折角ですしやりましょう」
ユキはそう言われてコクリと頷くと早速アサヒ、ましろの二人と交代して太鼓の前に立つ。
「えっと、二人ができそうなのは……これかな」
それからアサヒは二人が初心者であるために割と簡単にできるような曲を探して選曲。
「じゃあスタートするね」
アサヒがスタートすると曲が始まると同時に沢山の丸が流れていく。それに合わせて二人は太鼓を叩く。
「ッ!?これ、難しいですね!」
「うん、息つく間もなく来るから……でも、楽しい!」
二人はアサヒやましろ程上手くやれなかったが、少しずつコツを掴んでいくと最後の方はある程度打てるようになっていた。
「楽しいです!この世界にはこんな遊びがあるんですね!」
「ほんと、スカイランドにも普及したいくらいだよ!」
それから二人がゲームを終えるとやり切ったような顔つきであった。これを見た提案者のアサヒはゲームを楽しんでくれたとわかってホッとする。
「それじゃあ今度はこれをやろっか」
続けてましろが大人びた美しい女性の顔が外面に描かれた四角い個室のような場所である。
「はわわわっ……ま、ましろちゃん!アサヒ君がいるのに何をするの!?」
「え?」
「凄い美人の絵が描かれてる部屋ですね……。もしかして、私達もこんな風に変わるのでしょうか?」
ましろが行こうと言い出したのは所謂○リクラと呼ばれる場所だ。ただ、外面に描かれているのは大人の女性が写っている写真であるためにユキは変な勘違いをしたようで。
「何って○リクラだよ?」
「な、何それ……も、もしかしてこの中で私達は……」
「ユキちゃん?変な想像してないよね!?」
ましろがここでユキが変な勘違いをしている事に気がつくと慌ててツッコミを入れる。
「○リクラって言うのはこの中で皆で写真を撮るんだよ。それでその後に撮った写真を可愛くカスタマイズしてシールの上にプリント。持ち帰る事ができるんだ」
アサヒがそう言うものの、そもそもスカイランドに写真という概念が無いためスカイランドの二人は揃って頭に疑問符を浮かべる始末だ。
「とにかくだよ!ひとまず中に入って写真を撮るよ!」
ユキとソラはイマイチ状況を理解できてなかったが、プリクラの中に入ると早速写真を撮る事に。
「ほら、ユキちゃんソラちゃん。笑って笑って」
「える!」
「え、えと。こうですか?」
「そうそう。じゃあ、3・2・1!」
五人は写真を撮ると早速写真が完成する……が、ユキとソラは撮られた写真を見てまた驚きの声が上がっていた。
「な、何これ……目が、目が!」
「私達こんな目してないよ!?というか、アサヒ君の目は特に違和感ありすぎだよ!!」
そこにあったのは○リクラ特有の撮られた後の加工の効果で肌が綺麗になっていたり、目が普通より大きくなるというのがあるのでその違和感に二人は思わず異議申し立てをしたのである。
「こんなので驚いてたらこの後が保たないぞ?」
「へ?それってどういう……」
アサヒに言われてユキがそう言っている間にあっという間にアサヒが試しで色々操作。そこには加工の影響で目がキラキラしたり口元で可愛らしく舌ペロしていたりと自分達の顔が色々可愛くされてしまっていた。
「うええっ!?」
「え?え?私達こんな顔してませんって!」
「だから、これが○リクラのカスタマイズ。自分達で撮った写真をある程度自由に弄る事ができるんだよ」
アサヒに言われてようやく二人はこれが○リクラによる加工だと気がつくと自分達が変な顔になっていないという事でようやく落ち着く。
「ひとまず色々弄ってみる?」
「え、えぇ。そうですね。やってみましょうか」
その後二人は色々と写真を弄ることになった。尚、二人はそういう操作に不慣れな事もあって写真が色んな意味で大惨事になってしまったのだが、それは皆さんのご想像にお任せしよう。
「もう、ソラちゃんってば……」
「はうう……まさかあんな事になってしまうなんて」
「うん、やり過ぎは良くないって事だよね」
「それでも楽しかっただろ?」
「はい!」
「こっちの世界には色々面白い物があるってわかって良かった」
「える!」
それから暫くの間、五人はゲームセンターで楽しい時間を過ごす事になる。同時刻。ソラシドモールのとある場所。その空中に突如として青い空間の穴が開くとそこから一人の少女が飛び出してくる。
「ッ!!うわあっ!?」
少女はいきなり空中に放り出されたせいで着地に失敗し、尻を地面に打ちつけた。その時幸運だったのはこの光景を誰も見ていなかった事だろう。
「痛たた……どこよここ」
その少女は灰色の服のパーカーを着ており、頭にはフードを被っていた。少女はフードの隙間から緑色の髪が薄らと飛び出しており、下は短パン姿なので動きやすい格好ではある。
ただ、彼女から出るオーラは彼女が陰キャと言わんばかりの物で周囲に暗い雰囲気ですと教えているような物だった。
「見た感じソラシドモールみたいだけど……何でいきなりこんな所に」
少女は何故かここに出た事に困惑した様子を見せると立ち上がって歩き始める。
「こうしちゃいられない。このままじゃソラ達に心配をかける」
どうやら彼女はソラと知り合いであり、早速ソラ達の元へと行くために進む。ここが彼女の……風波らんこが元々いた世界とは違うとは知らずに。
また次回もお楽しみに。