熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

5 / 252
迫り来るランボーグの恐怖

ランボーグが向かってくるソラ、ユキ、アサヒの三人をターゲットにすると早速拳を振り下ろす。

 

「ショベレ!」

 

「ランボーグ!」

 

ショベルカーのバケットによる一撃を三人はバラバラに跳んで回避。地面に攻撃が命中した瞬間、凄まじい音と同時に地面が抉れてしまう。このパワー相手に正面から張り合うのはどう考えても得策では無い。

 

「お二人共、あの化け物の攻撃を受けたらひとたまりもありません!だから!」

 

「うん。少しずつアイツの注意を逸らして……」

 

「少しでも時間を稼ごう。その間にましろが遠くにまで逃げてくれれば俺達の勝ちだ!」

 

三人の今の目的はランボーグ相手に勝つでは無い。むしろ下手に真正面から戦えば隔絶した力の差を見せつけられた挙げ句、敗北は免れない。だからこそ三人はましろが逃げられるだけの時間を作る事をこの戦闘の目的とした。

 

「こっちです!」

 

それからまずはソラがランボーグの前に出るとランボーグは当然の如く、ソラをターゲットにする。

 

「ランボーグ!」

 

その瞬間、ランボーグの背後。先程のランボーグの攻撃で抉れた地面から発生したそこそこ大きめな石をアサヒは拾ってランボーグへとぶつける。

 

「ラン?」

 

しかし、ランボーグが振り返ってもそこにアサヒはいない。アサヒは石を投げてからすぐにその場から離れてランボーグの視界から外れたのだ。そのタイミングでユキがランボーグの視界に入る。

 

「こっちだよ!この化け物!」

 

ランボーグは視界に入った上で声をかけてきたユキを攻撃するべく視線がユキへと向く。

 

「はあっ!」

 

そこにすかさずソラからの飛び蹴りがランボーグの膝辺りに不意打ちとして決まる。しかし、ランボーグはそこまで大したダメージを受けない。それでも鬱陶しいと感じたのかランボーグは脚を動かすものの、もうそこにソラはいない。

 

「ほらほら!こっちに来てみろよ!」

 

更に今度はアサヒから煽られてランボーグが彼の方を向いた瞬間、今度はユキが接近してランボーグの顔面の目の辺りに石を投げて命中させる。

 

「ランボ!?」

 

ランボーグは至近距離から目潰しを喰らったせいでまた混乱する。このやうに即席だったが三人がかりでの連携は上手く行っていた。アサヒは他の二人と比べて運動量が足りないものの、アサヒは罵倒をメインにして直接的な攻撃の役割をソラとユキの二人に任せる事で体力差をカバー。ランボーグの注意を引き続ける。

 

「このまま注意をこっちに向けさせれば……焦って絶対に隙を見せてくれる。そこを見計らって少しずつダメージを与えたらもっと時間を稼げるはず……」

 

 

三人による連携によってランボーグは上手く各個撃破をする事ができず。ランボーグの苦戦に少しずつカバトンは苛立ちを露わにしていた。

 

「何やってるのねん!ランボーグ!こうなったら……カバトントン!」

 

その瞬間、カバトンがまた魔法を使うと突如として三人の顔付近に黒い煙が発生。それによって完全に視界を奪ってしまう。

 

「「「なっ!?」」」

 

そしてこれにより三人の脚は止まってしまうと同時にランボーグは三人の姿を完全に認識。すかさずランボーグが巨大な腕を地面付近に近づかせるとその上を引き摺るようにして横に薙ぐ。

 

「「「ッ!?うわぁああっ!」」」

 

三人は纏めて吹き飛ばされると揃って地面に強く体を打ちつけてしまう。たった一撃で三人は体への痛みで動けなくなってしまうとカバトンは勝ち誇ったように笑った。

 

「にゃーっはっはっは!YOEEE!」

 

そんな中でカバトンはエルを抱いて逃げ出したましろを追いかけるためにランボーグに乗るとランボーグへと目配せをする。

 

「ラン!」

 

そのままランボーグは一気に追いつくべくその巨大からは考えられないくらいの大ジャンプで移動して行ってしまう。そして傷ついて倒れていた三人の中でソラとアサヒは傷ついて動けなかったが、ユキはピクリと手を動かすと必死に痛む体に力を込めてどうにか立ち上がる。

 

「はぁ……はぁ……私が、頑張らなきゃ……」

 

ユキはフラフラになりながらも三人の中で一番に立ち上がると後を追いかけるのだった。

 

その頃、エルを抱えて必死に逃げるましろ。彼女は他の三人が危険な目に遭う中で自分だけ逃げる事をしたく無かったが、それでも自分が残っても足手纏いになるとわかっているのでとにかくあの場所から走って逃げる以外の手段は無かった。

 

「(ソラちゃん、ユキちゃん、アサヒ……ごめんね……)」

 

ましろは普段はあまり運動をしない。加えて赤ちゃんのエルを抱えながらなのですぐに体はバテてしまう。こんな事になるくらいなら普段から運動すれば良かったと後悔するましろ。

 

その直後、逃げるましろの前にいきなり影が降ってくるとランボーグとそれに乗ったカバトンがやってきてしまう。

 

「はい、ストップなのねん!」

 

「ッ!?」

 

ましろは三人が稼いでくれた時間を無駄にしないために全力で逃げた。それなのにランボーグはそれを嘲笑うように追いついてしまうと今こうしてましろの前に立ちはだかる。

 

「そんな……アサヒは?ソラちゃん、ユキちゃんは?」

 

「あんなYOEEE奴等、さっさと倒してしまったのねん!」

 

カバトンからの言葉を聞いたましろは心の中に絶望感が広がっていく。自分とエルを逃すために体を張って守ってくれたあの三人が痛々しい姿になっているのを想像するだけで恐怖が止まらないのだ。

 

「そん……な」

 

「……それ以上、それ以上ましろちゃんに近づかないで!」

 

するとましろの後ろから声が聞こえるとユキがフラフラと歩いてきた。そんな彼女を見てカバトンはニヤリと笑い、見下す。

 

「ソラの隣にいただけの脇役風情が何の用なのねん?」

 

「ッ……はぁ、はぁ……ましろちゃんには……手を出させない。私の大切な物は自分で守ってみせる!」

 

ユキは息切れしながらも、ましろの前に立つと両手を精一杯広げて守ろうとした。しかし、カバトンはランボーグの腕から飛び降りるとユキの前に歩いていく。

 

「……ッ」

 

ユキはいつでもカバトンに対応できるように構えようとするが、体は言うことを聞いてくれない。その間にカバトンはユキの目の前に立つと彼女の頭をグシャっと掴んで無理矢理持ち上げる。

 

「あうっ!?」

 

「YOEEE雑魚のくせに粋がってるんじゃないのねん」

 

「ユキちゃん!」

 

「う……ううっ」

 

ユキは頭を掴まれたせいで顔を歪ませる中、次の瞬間にはユキの腹にカバトンは思い切り拳をぶつける。

 

「がふうっ!?」

 

ユキはカバトンに腹を殴られたせいで激痛と共に意識が一瞬飛びかける。それでもユキは意識を飛ばしたら終わると感じたのか、ギリギリの所で踏み留まる。

 

カバトンはユキにはこれ以上痛みを与えなくても問題無いと思ったのか、手を離すとユキはドサリと落下し、あまりの痛みに腹を抑えて悶えた。

 

「ゲホッ……ゴホッ……」

 

「ふん。これ以上痛い目に遭いたく無かったら大人しくしているのねん」

 

ユキは腹をやられてもどうにか動こうとするが、流石にダメージが大きいのか立つことさえできなかった。

 

「さて、良い加減プリンセスを……ぶっ!?」

 

その瞬間、ましろの後ろから影が走ってくるとカバトンの顔面に拳が叩きつけられた。カバトンがその拳の威力に思わず数歩下がる。そこにいたのは首から下げたくすんだ色のアクセサリーを赤く光らせ、体から燃えるようなオーラを纏ったアサヒが怒りを顔つきで立っていた。

 

「おい、ユキに何しやがるんだ。このブタ野郎!」

 

それを見たカバトンはアサヒからの目線に僅かに狼狽える。だが、カバトンは先程の戦闘の影響でアサヒの負っているダメージがかなりのものだと思い出すと笑みを浮かべた。

 

パワーアップしても手負いのアサヒに負けるわけ無い。カバトンはそう考えていたのだ。

 

「そんな体でランボーグに勝てると思ってるのねん?」

 

「勝てるとか勝てないとかじゃねーよ。ユキをこんな目に遭わせて……こんなに傷つくまで戦ってくれたんだ。俺が意地見せなくてどうするんだよ!」

 

その瞬間、アサヒの気持ちに呼応したのか、体のオーラは更に力を増すとカバトンはランボーグへと指示を出す。

 

「ランボーグ、こっちの脇役ボーイをやれ!」

 

「ランボーグ!」

 

「だああっ!」

 

アサヒは突き出されたランボーグの拳に対して正面から拳を叩きつける。その直後、ましろはランボーグと拳なんてぶつけ合わせたらアサヒの腕が折れると思って思わず目を逸らす。

 

しかしアサヒの拳は直接ランボーグとぶつかったわけでは無く、アサヒの拳を包むように発生したエネルギーが赤い空気圧の壁のような物を作り出してランボーグと拮抗。そのままランボーグのパンチを跳ね除けてしまう。

 

「えっ!?」

 

「何だと!?」

 

カバトンやましろが驚く中、ランボーグが衝撃でよろけるとアサヒがそれを見てすかさず追撃しようと踏み込む。しかし、がむしゃらに力を振るっているせいか拳に纏われていたオーラはすぐに消え去ってしまう。

 

「なっ!?」

 

「ラン!」

 

アサヒはいきなり消えた力に動揺する中、その間にランボーグがカウンターのパンチをアサヒに命中させるとアサヒは吹き飛ばされて壁に激突。激突の際にアサヒの背中に赤いオーラが出て衝撃を和らげてどうにか致命傷は避けたものの、アサヒもダメージが大きく動けなくなってしまう。

 

「ぐああっ!?」

 

「あ……あぁ……」

 

そんな中で倒れていたユキはアサヒが自分を庇ったせいで大怪我をしてしまったと自覚。先程までのやる気の顔から打って変わって絶望感に塗れると混乱し始めた。

 

「私の……せいだ。私が余計なことをしたから……私のせいでアサヒ君は……」

 

そのままユキは崩れ落ちると発狂。それからあまりの惨状に頭を抑えて顔を青ざめさせる。

 

「嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ……私のせいで、私のせいで……」

 

それを見たましろはどうにかユキを落ち着かせようと動こうとする。しかし、そんな彼女を邪魔するようにランボーグが出てくるとましろは止まってしまう。

 

「ユキちゃ……ッ!?」

 

「おっと、ここから先を進みたければその子を大人しく渡すのねん」

 

カバトンはここで大人しくましろがエルを渡せば見逃そうとする。しかし、ましろはエルを渡すのは嫌だとばかりに首を横に振って拒否した。ここでエルを渡したら後悔すると思ったのだ。

 

「脇役が何カッコつけてるのねん!さっさと渡さないと……」

 

「ダメ……ましろちゃん、渡したらダメ!」

 

ユキはこれ以上状況を悪くしたく無いと言わんばかりに悲痛な声色で叫ぶ。

 

「煩い脇役だなぁ。ランボーグ、そいつを黙らせろ」

 

カバトンが指示を出すとランボーグはユキの方を向く。ランボーグに睨まれてユキは恐怖心を感じるが、ダメージで体は動かない。そのため無抵抗な彼女をランボーグは捕まえるとユキの華奢な体を思い切り締め上げる。

 

「ううっ!?ゔぁあああ!!」

 

ユキが凄まじい痛みのせいで悲鳴を上げる。このままではユキの体は砕かれてしまいかねない。ユキはどうにか我慢しようとするものの、どんどん意識が遠のくのを感じていた。

 

「(ダメ……もう、限界……)」

 

「ユキさんを……離しなさい!」

 

するとその時、ユキを離すように声が聞こえると全員の視線が声のする方向に向けられる。そこにいたのは痛みに耐えながらどうにか後を追って歩いてきたソラの姿であった。




また次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。