熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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ツイスターの窮地 到着する援軍

ひかるが乗っ取られて誕生したランボーグと対峙したツイスター。そしてそれを生み出した少女の指示で早速ランボーグのターゲットはツイスターへと定められた。

 

「ランボーグ!」

 

ランボーグはツイスターを見据えるとその巨体を動かして走ってくる。それに対してツイスターは一瞬考える。

 

「(できればさっきみたいなヒットアンドアウェイをしたいけど……もう体力的に無理。こうなったら……)」

 

ランボーグの突撃に対してツイスターは正面から殴り合う肉弾戦に入る。正直ツイスターにとってはただぶつかるだけというのは苦肉の策だった。ただ、変に策を巡らせてもそれを実行する体力が無い以上はこうするしか手が残されていないのである。

 

「はああっ!」

 

「ランボーグ!」

 

まずはお互いに挨拶と言わんばかりの拳が激突。ツイスターはその拳の重さに思わず顔が歪む……と言うよりは相手の拳に重みがあるのでは無く自分の拳に重さが無いのだ。

 

「くっ……」

 

しかし、だからと言って力を抜けば即押し切られてしまう。そのためツイスターは少しだけ下がって距離を離してからすかさず跳び上がっての蹴り上げ、更に蹴り上げた脚がランボーグに防御されたのを利用してそこを足場にもう片方の脚での蹴り込みを入れる。

 

「ラン……」

 

「まだまだ!」

 

続けてツイスターの蹴りでランボーグが下がったタイミングを見計らっての再度の突撃からの左脚による回し蹴りをランボーグの顔面にぶつけた。

 

「どうよ!」

 

それを見た少女は体力が落ちても尚、ランボーグ相手に善戦する彼女を見て感心していた。

 

「おー、やるじゃないか。初変身したばかりの日でしかもここまで連戦続きなのによくそこまで動けるね」

 

「ッ、そうやって戦ってないのに余裕そうにしてるのは腹立つわね!」

 

ツイスターが必死にランボーグに喰らいつく中で少女は余裕そうに状況を見ているだけという現状に思わず声を荒げる。ただ、それでも少女が動く様子は無い。

 

「まぁ落ち着きなって。怒ると余計に体力を使っちゃうよ?それに……見ての通り私だけじゃなくてランボーグもまだまだ余裕だからさ!」

 

その瞬間、ツイスターが突き出した拳をランボーグは巨大な片手で簡単に受け止めてしまう。

 

「ッ!?」

 

「ラァン……ボー!」

 

そして、ツイスターを捕まえたままランボーグは彼女を振り回すとそのまま地面や近くの壁に叩きつける。

 

「があっ!?ごふうっ!?あがああっ!」

 

「グ!」

 

最後には地面に強く打ち付けてようやく離すとツイスターの体は傷だらけで彼女は深いダメージを受けてしまった。

 

「う……ううっ……」

 

ツイスターはどうにか痛みに耐えて立ち上がるものの、一瞬揺らいでしまう。

 

「おーおー、容赦無いねぇ。ツイスター。悪いことは言わないからこのまま大人しく捕まってくれるかな?そうすればもう痛い目には遭わないよ」

 

「誰が……アンタなんかに!」

 

「えー?それは残念。ランボーグ、続きだ」

 

ツイスターは向かってくるランボーグに対してまた正面からぶつかる。そのまま激しく殴り合うが、既にツイスターは酷く傷ついている状態。そのため、スピードはギリギリ追いつけてもランボーグのパワーに対して拮抗する事ができていなかった。とうとうツイスターの体力の底が見えてきてしまっているのである。

 

「はぁ……はぁ……お願い……まだ倒れるわけには!」

 

「ラン!」

 

「うわぁああっ!」

 

ツイスターは体力切れ目前の状況でも諦めずに抵抗するが、ランボーグからの強力なストレートパンチを受けて堪らず後ろに吹っ飛んでしまう。

 

「ランボーグ!」

 

更にランボーグは追撃とばかりに地面を殴るとそこから深緑色の植物の蔓が生えていくとツイスターが吹き飛んだ先にまで追いつき、そのまま彼女を縛り上げる。

 

「しまっ……ぐうっ!?」

 

ツイスターは吹き飛ばされて身動きができなかった一瞬の隙を突かれたために成す術が無かった。そして、彼女を縛った蔓は更に上に伸びていくとツイスターを高所にまで連れて行ってしまう。

 

「このっ……あうっ!?」

 

ツイスターは必死に得意の風を放出しようとするが、体が拘束されているのに加えてその拘束がジワジワと彼女の残り少ない体力を搾り取るようにすり減らしていくので抵抗自体ができなくなっていく。

 

「あーあ。だから抵抗しない方が楽だったのにさ。向こうの世界のカバトン君の電車ランボーグの時から連戦続きでしょ?君」

 

「その連戦続きで疲れた所を狙ったくせに……あぐうう……」

 

ツイスターは必死に蔓からの圧力に耐えながら少女を睨むが、その少女はやれやれとばかりのポーズを取ると無慈悲に更に告げる。

 

「ランボーグ、まだへらず口が叩けるみたいだし。もう少しくらいなら力入れて良いよ」

 

「は?……あがああああっ!?」

 

少女からの宣告を受けたランボーグが蔓の出力を更に向上させるとそのせいでツイスターは強い力で締め上げられ、体中に激痛が走る。

 

「あ……ああっ……」

 

ツイスターの体がそろそろ限界なのか軋む音を上げ始める。同時に彼女の声も意識が途切れる寸前の物になっていた。

 

「ランボーグ、そろそろフィニッシュだよ」

 

「ラン!」

 

「うわぁああっ!」

 

少女から言われてランボーグは地面から生えてツイスターを拘束するのに使っている蔓を操って彼女を地面に激しく激突させるとようやく拘束を解いたが、ツイスターは気絶したのかうつ伏せでグッタリとしていた。

 

「……」

 

「ふーむ。連戦続きで手負いの状態ならこんな物か。ちょっと呆気ないかもしれないけど、ラボに連れ帰ればじっくり解剖できるし……まぁ良いか」

 

少女は倒れたツイスターを見てやっと念願の実験台を手に入れられると言わんばかりの嬉しそうな声色でランボーグへと促す。

 

「ラン!」

 

そして、ランボーグはツイスターを捕えるために手を伸ばした瞬間だった。

 

「勝手に……終わりにしないで!」

 

その瞬間、ツイスターは満身創痍の体で抵抗するために首元に手をかけると先程も使用したマフラーを展開。それをランボーグの腕に巻き付かせるとそのままマフラーが巻き戻る勢いで一気に加速。これなら体が動かせなくても勢いが付けられる。

 

「はぁあっ!」

 

そして、ツイスターは自らに風を纏うと竜巻のエフェクトがドリルのような形状となり、そのままランボーグへと突撃。ただツイスター自身の体力が落ちている影響か、浄化技の威力にまでは達しなかった。

 

「ラン!?」

 

それでも威力自体はそこそこあったのか、ランボーグは一気に押し込まれるとダメージを受けていく。

 

「ラ……」

 

「良し、このまま……ッ!?」

 

ツイスターはこのまま一気に押し切れると考えた。しかし、彼女が何かに気がつくとそこには自分の残っている力のほぼ全てを振り絞った一撃が少しずつ弱くなっていくのを感じ取る。そしてそれは自分がダメージを与えていたはずのランボーグが攻撃に耐え切ってしまった事を意味していた。

 

「ラン!」

 

「嘘……でしょ……」

 

ランボーグはツイスターの突撃の際に発生した竜巻を完全に受け切ってしまうと脚に力を入れる事で大地に踏ん張ってしまう。

 

そして、ランボーグはツイスターの体に纏われていた風が全て止まってしまったタイミングを見計らうとランボーグはツイスターの体を挟むようにして両腕で捕まえる。

 

「あうっ!?」

 

ツイスターはランボーグの両腕に挟まれたせいで全身に痛みが走る。そしてランボーグは容赦無く真上にツイスターを振り上げてから地面に思い切り叩きつけてしまった。

 

「ごふぅ!?……ゴホッ、ゴホッ……はぁ、はぁ」

 

ツイスターは運悪く激突の衝撃で発生した土煙を吸ってしまうとむせてしまう。その行為はタダでさえ息切れしていた体を更に苦しめるが、彼女にはどうしようもできない。

 

しかもその間にランボーグはツイスターの目の前にまで歩いて来てしまうとツイスターを見下ろす。

 

「くうっ……」

 

ツイスターはもう既にまともに抵抗できるだけの力が残っておらず。体を動かす気力さえ残っていなかった。そもそも体が動かせるのなら先程のようにランボーグの体を利用して攻撃のための勢いを出すなんて事はしない。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

ツイスターはどうにか立ちあがろうとするが、体は少しも動かせない。正に満身創痍も良い所だ。それを見た少女はため息を吐いてからつまらなさそうにする。

 

「良い加減諦めたらどう?私としては仮に抵抗してくれてもデータ集めくらいはできるかなと思ったけど、ランボーグがここまで圧倒するんじゃデータが取れないんだよねぇ。だからもう今から君が抵抗しても正直無駄な時間ってわけ」

 

少女が一人で話している間、ツイスターは何とか逆転の手は無いかと必死に考えを巡らせた。しかし、体への疲労感が原因か。それとも心に見え始めた絶望が原因か……肝心な時に何も打開策は浮かんでこない。

 

「っと、あまり長く話をしていると余計な邪魔が入るかもしれない。多分こっちの世界にもスカイやプリズムはいるだろうからね」

 

「ッ……」

 

ツイスターは少女に言われてようやくその事実に気がつく。この場所がソラシド市という事。そして自分の元いた場所と土地の構造が似ているなら当然こちらのソラとましろもいるという事だ。

 

「(そうだ、ソラとましろ……二人が来てくれ……ッ)」

 

しかしツイスターには二人が来る事には自分でもよくわからないが、どこか抵抗感があった。何故か助けという光があるはずなのに胸の中ではどんどんザワつきが大きくなっていくのだ。

 

「(何……この違和感。こっちのソラとましろにだったらまだ私は恨まれてないはずなのに……何で……)」

 

ツイスターは先程ソラやましろが怒っていると思っていたために二人に会いづらかった。ただ、ひかるの件があるためにその二人とこちらのソラやましろが別の人であるとわかる。……だからこそ、ツイスターの心には何かの違和感が駆け巡っていた。

 

「さぁ、ランボーグ。そろそろデータ集めも無駄になるし、時間を稼がれるのも厄介だからツイスターを捕まえて」

 

「ランボーグ!」

 

少女からの言葉にランボーグはまた地面に手を置くとそこから蔓が飛び出す。その蔓はツイスターへと迫っていき、彼女の体を絡め取ってしまった。

 

「く……ううっ」

 

ツイスターは呻き声を上げつつ無駄だと知りつつも抜け出そうともがくが、やはりもうどうしようもできない。そして、蔓はそのままツイスターのお腹に加えて四肢を拘束してしまう。

 

「(もう……無理なの?……まだソラやましろ達の元に戻ってすら無いのに……)」

 

「さぁ、ランボーグ。キュアツイスターを殺さない程度に気絶させて」

 

ランボーグの目が光るとツイスターを拘束する蔓が締められていく。ツイスターの体はその痛みを訴えるが、彼女の意識は既に途切れ途切れのため不思議と痛みは来なかった。その代わりにツイスターの心に絶望感が広がっていく。

 

「(……どう足掻いても無理みたいね……せめて、せめて最後にソラ達の顔だけでも……)」

 

ランボーグからの締め付けによってとうとう限界を迎えたツイスターの意識が消えてしまう……その時だった。どこからともなく走ってくる二つの足音。そして、その音はランボーグを使役する少女にも聞こえてきた。

 

「チッ、後少しの所で来ちゃったか。キュアスカ……は?」

 

少女は二つの足音からこの世界のキュアスカイ、キュアプリズムが来たと想像。そして改めて音のする方を向くと彼女は目を見開いた。そこにいたのは……少女が想定した二人では無かったからだ。

 

「「……ひろがるチェンジ!」」

 

少女が振り向いた瞬間、そこには炎と氷のエフェクトに似た光を纏った二人がいた。そしてその二人は明らかにスカイやプリズムとは違う、別の何かだったのだ。

 

「キュアスカイとキュアプリズム……じゃ無いだと!?」

 

「「はぁああっ!」」

 

二つの光は一気に接近するとランボーグの腹へと思いっきりダブルキックを叩き込む。

 

「ラン……ボォオオッ!?」

 

ランボーグは二人からの強烈な蹴りに思わず吹き飛ばされると地面に体を打ちつけながらバウンドして倒れ込む。

 

「どうにか間に合ったか?」

 

「ッ、サンライズこれ!」

 

そこにいたのは先代プリキュアの力が宿ったスカイトーンに導かれてソラシドモールから急行してきたユキとアサヒ……いや、キュアスノー、キュアサンライズであった。

 

そして二人はランボーグから切り離されたものの、相変わらず地面から生えっぱなしの蔓に囚われたツイスターである。彼女は傷だらけでグッタリとしており、スノーはこれに気がついたのだ。

 

「これは、地面から生えた蔓に捕まってるって所か?」

 

「早く助けないと」

 

「ああ、だったら」

 

二人は素早く目配せするとスノーが蔓にしがみつくとツイスターが囚われた場所にまで移動。

 

「冷たいけど少しだけ我慢してて。……氷雪拳」

 

スノーは手加減した状態で氷雪拳の力でツイスターの体だけを凍らせて冷凍保存状態に。そして、スノーがその場から退くとすかさずサンライズが腕に炎を纏わせる。

 

「これでどうだ!」

 

そして、サンライズが蔓に触れるとあっという間にツイスターを捕らえていた蔓は焼き消えていく。そのままツイスターに炎が燃え移ってしまう……という事も無かった。先にスノーがツイスターを丸ごと氷漬けにしたおかげでツイスター自身に炎が到達する前に氷が壁になって代わりに炎の熱さを受けたのだ。

 

そのため炎が消え去ると同時に氷が砕けてツイスターが無傷で解放され、スノーが彼女をお姫様抱っこする形で受け止める。

 

「っと、大丈夫?」

 

「あんた達は……」

 

ツイスターは見た事の無いプリキュアのような姿をした二人に困惑すると今にも消えてしまいそうな弱々しい声色で話しかけると二人はツイスターに意識がある事を改めて確認する。

 

「良かった……意識はあるよ!」

 

「ああ。ひとまず、安全な所に」

 

そして、二人は少女が唖然としている間にツイスターを近くの物陰に隠すように下ろすと優しく話しかける。

 

「あなたはここで待ってて」

 

「君の事をこんな風にしたアイツらを俺達が倒してくるからな」

 

「ッ……待っ……」

 

「行こう、スノー!」

 

「うん!」

 

ツイスターは二人に話をしようとしたが、二人はさっさとランボーグを倒しに行ってしまう。ツイスターは自分が付いていけない事に悔しそうにしつつも、今は自分を助けてくれた二人にこの場を任せるしか無かったのだった。




また次回もお楽しみに。
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