ひかるが取り込まれたランボーグに対して人が取り込まれてるかもしれないという疑念を抱いたスノー、サンライズのコンビは手が出せない現状。そこに来てしまったツイスターへとキメラングは容赦無く攻撃を指示した。
「逃げて!ツイスター!」
「えっ……」
そして、ランボーグの蔓が迫っていた事にツイスターは気が付けず。気が付いた時にはもう目の前にまで来てしまっていた。
「(しまった……避けられな……)」
このままではツイスターが蔓によってまた囚われる……そんな時。ツイスターの前に二つの影が降り立つとその拳が蔓へと叩きつけられる。
「「はあっ!」」
「ラン?」
ランボーグはいきなり現れた二つの影によって蔓を弾かれて混乱したのか、思わず攻撃の手を止めてしまう。そこにいたのは勿論ヨヨからの連絡を受けて後から合流しようと動いていたソラ、ましろが変身した姿だった。
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!」
そして、二人が来てくれた事にツイスターが目を見開いているとスノーやサンライズが早速声をかける。
「スカイ、プリズム!来てくれたんだ!」
「お待たせしました!」
「遅いぞ二人共!」
「ええっ!?」
スカイとプリズムが来てくれた事に歓喜するスノー。しかしサンライズはそんな彼女とは一転して厳しい反応を見せた。それにスノーは思わず驚いてしまう。
「そりゃあ、サンライズがスカイトーンに導かれる形で私達二人を置いて行ったからでしょ!」
「そんな事言ったって一刻を争ってたんだからな?あと少し遅かったらあの子だってどうなったかわからないし!」
そんな風に来て早々に言い争う二人。ただ、どちらかと言えば今回のそれは喧嘩よりも家族同然に育った幼馴染同士の仲の良い口論である。
「(プリズム……って事はましろかしら。……何で、何で私よりもあっちの子と……)」
そんな中でツイスターは自分よりもサンライズと話す事を優先するプリズムを見てサンライズへの嫉妬の感情が少しずつ膨れ上がってきていた。ただ、この感情に関しては前にツイスターの元いた世界でのあげはとの件で解決済みなはず。それなのに何故か湧き上がるこの感情にツイスターは疑問を感じていた。
「それでスノー、サンライズ」
「うん」
「……これは一体どういう状況なんですか!?」
「……あれ?」
すると今度は来たばかりで状況把握が全く追いついていないスカイの方が驚いたような声を上げてしまう。それを見てスノーは僅かに嫌な予感がした。
「誰ですかあの白い服を着た子は!?ランボーグがいるのはわかりますけど、私達の見た事のないプリキュアまでいて!いつの間にエルちゃんに力を貰ってたんですか!?」
「えるる!」
スカイが荒ぶってしまうのを見て思わず苦笑いを浮かべるスノー。そして、彼女は後からフワフワと浮かぶ小舟に乗ってやってきたエルの方へと視線を向ける。しかし、そのエルも知らないと言わんばかりに首を横に振っておりこうなると何が何だかわからなさすぎる状況だった。
「そうだ、そんな事を話しているよりも! 」
スカイは今ここで長々と考えても仕方ないという事でまずはツイスターを心配して話しかける。
「えっと、お怪我はありませんか?」
「えぇ、大丈夫よ……」
「危ないので下がっててください。今のあなたの体ではとても戦えるようには思えませんので」
「ッ……」
スカイからの反応を見たツイスターはまるで心を抉られてしまうようだった。何しろツイスターにとってはスカイも、そしてサンライズと話をしているプリズムも自分をよく知ってくれている存在。心の支えだった。
「ねぇ、スカイ……」
「はい?」
「……私の事、知ってる?風波らんこよ、風波らんこ……わからない?」
ツイスターは目の前にいるスカイは別人だとわかっていた。それでも彼女ならきっとわかってくれる……そう信じて自分の本名を名乗った。
「え……」
しかし、当然そのスカイもプリズムさえも全くその名前について知らないためにツイスターにとって絶望的な言葉を口にしてしまう。
「すみません……その、風波らんこさんって言うんですね。……私、そのような名前に聞き覚えが無くて……」
「ッ……」
「ツイスター、サンライズから聞いたけどさっきキメラングって人がランボーグの中に人を閉じ込めたって聞いたけどほんと……」
その瞬間、ツイスターは慌てたような顔つきでプリズムへと詰め寄っていく。
「ましろ、アンタは覚えてるよね?私だよ、らんこ。本当に覚えてないの?」
「えっ……」
質問するつもりがいきなり詰められて困惑した顔のプリズム。ツイスター
は……らんこは二人を信じていた。しかし、二人の反応はらんこの事を知らないという様子だったのだ。
「ごめんなさい……私はあなたの事を知らなくて」
「ッ……そっか、そうだよね……」
ツイスターはちゃんとわかっていた。別の世界の二人であるなら自分を知らないのは当然の反応だと。
「(そうだ……私は目を背けていただけ。さっきの胸のザワめきも見て見ぬフリをしていただけなのよね……。目の前にいる二人は……私の知ってる二人とは違う……)」
勿論ツイスターが今抱いている感情は間違いだ。何しろ目の前のスカイとプリズムは別人なので自分を知らないのは当然。それなのにツイスター自身は二人から裏切られたような気持ちに駆られてしまう。
「えっと、それでツイスター。あの中に人が捕まってるのは本当なの?」
そんなツイスターの気持ちを他所にスノーが改めてキメラングの言ってる事が正しいかどうかの確認を取る。ここが違うと彼女に騙されていた事になるからだ。
「……間違い無いわ。実際に捕まる所も見たし。むしろ、私はそれを伝えに戻ってきたの」
「なるほど……そういう事か」
これにより、スノーとサンライズは疑惑を確信に変える事はできた。ただし、だからと言って状況が改善したわけでは無い。むしろ、ここからが勝負。ランボーグに囚われているひかるを助けないといけない。
「あのさー、長々喋ってる所悪いけど。まだランボーグはやられてないからね?」
「ランボーグ!」
その瞬間、ランボーグが地面に手を置くとまたまた地面から蔓が生えてきて五人へと攻撃を再開。
「ッ、不味い!」
咄嗟にスノーは近くにいたツイスターを抱えるとスノー達四人は素早く回避行動に入る。直後に五人が今いた場所が丸ごと抉られており、ツイスターはスノーに助けられたために恥ずかしさから少しだけ顔を赤くしながらお礼を言う。
「ッ……ありがと……」
「ううん、このくらい当たり前だよ」
そして立て直したランボーグは更なる反撃を開始。スカイやプリズムも加わった四人を相手に蔓を触手のように操りつつ遠距離から一方的に攻撃を仕掛けた。
「くっ!?」
「うわあっ!」
「不味いな、近づけなくなったぞ」
ランボーグが容赦無くプリキュアを倒そうと攻撃してくるのに対してプリキュア側はどうしてもひかるを傷つけないようにするために攻撃を遠慮してしまう。
「どうしよう……下手に攻撃できないよ……」
「卑怯です!」
「いやいや、私はマッドサイエンティストだよ?このくらいは普通にするからね」
「おまっ、開き直ってんじゃねぇよ!」
キメラングは悪びれる様子すら見せずにプリキュア達への攻撃を継続。プリズムは気弾での反撃を考えるが、ランボーグにダメージを与えると内部にいるひかるにもダメージが伝わる事になりかねない。
「とは言ってもだねぇ。私も実験のためにやった事なんだ。ほら、成功のためには犠牲が必要なのはわかるだろ?だから仕方ないとしか言えないんじゃないかな」
「平気で関係無い人を巻き込んでおいて……」
キメラングからの開き直りに対してスノーは怒りが込み上げてくる。そんな中、ツイスターはある事を思いつくと四人へと呼びかけた。
「皆、一つ案があるわ」
「「「「え?」」」」
「これを成功させれば多分あの子を助け出す事ができると思う。……だけど、これは彼を洗脳した際に使った物の実物を見た私にしかできないやり方になると思うの」
「実物……と言う事は洗脳のために使った何かしらの物があるという事ですね?」
「えぇ。そうよ。……それを破壊するためにもあのランボーグに隙を作ってくれる?」
「ああ、任せてくれ」
「私達ならきっとできるよ!」
ツイスターから提示された話に四人は頷くと何としてでもツイスターに望みを繋ぐため、ランボーグへと向かって飛び出す。
「それと、ツイスターは相当疲れてる。もし狙われたら俺達四人でフォローするぞ!」
「わかりました!」
「まずは私が!はあっ!」
最初に攻撃を仕掛けたのはプリズム。彼女が気弾を撃つとランボーグの周りに着弾。しかし、ランボーグ本体には何故か一発も当たらなかった。
「ふふっ、やっぱり真相を知ってしまえばランボーグを直接攻撃なんて君達にはできないよね!」
キメラングはプリキュア達なら人質を取れれば心理的に有利を取れるとわかっており、だからこそ強気になっている。そして彼女は指を鳴らすとランボーグが蔓による攻撃が再開された。
「ラァアア!」
「この蔓、生きてるみたいに私達を的確に追いかけては攻撃してきますね」
「でも、この程度なら全然問題無い!」
ツイスター以外の四人は自分をターゲットにしてくる蔓を上手く対処し、ついでにランボーグの注意も自分達に向けさせる。そうすれば少しでもツイスターが隙を見る時間ができるのに加えて、彼女の失われた体力をほんの少しでも回復させようとしていたのだ。
「なるほどねぇ。確かに君達は良い作戦を取るよ。元気な四人が注意を引く間に鍵となるもう一人。ツイスターのための時間を作るなんてさ。……けど、それは狙いが相手にバレてないから通用する手だよ?」
その瞬間、キメラングはランボーグへとサインを送るとランボーグは更に一本分蔓を追加。それがランボーグの隙を見極めていたツイスターにも向かってしまう。
ツイスターはそれに気がついて回避しようとするが、今回避に体力を使ったらひかるを助けられない。そう考えてしまったせいでもうすぐ近くにまで蔓が迫ってきていた。本来なら体力温存ばかり考えてダメージなんて受けたら意味が無いという判断になるはずなのにツイスターの体力低下による思考力の鈍りが誤った判断を決めてしまったのだ。
「ッ!?危ない!」
そして、その瞬間に危険な状況となったツイスターに気がついたスノーは地面を凍らせるとそこを滑るようにして移動しつつツイスターを突き飛ばすとスノーの左脚にツイスターに目掛けて放たれた分と自分が相手していた分の合計二本の蔓が直撃。スノーの左脚に激痛が走ると彼女は痛みに顔が歪む。
「うぐっ!?」
「「「スノー!?」」」
「大丈夫……今はランボーグを!」
スノーは痛みに耐えながらどうにか平然を装うと周りに自分は平気だと伝えた。
「ッ……スカイ、プリズム。スノーの事は後だ。まずは助ける事を優先しよう」
サンライズは悔しそうにしつつも、今は優先順位があるために一度スルーせざるを得なかった。それを見てキメラングが邪悪な笑みを浮かべる。
「おやおや。仲間が脚を痛めてるのに随分と冷たいねぇ」
「煩え……。さっきから蔓ばかり使ってきて、芸が無いんだよ!」
すると再び自分達を攻撃してきたランボーグの蔓に対し、サンライズは自ら炎に包まれると熱線を放出。
「はぁああっ!」
その熱量でランボーグの蔓を全て同時並行して燃やしていった。ただ、これを使っている間は彼も隙を晒す事になってしまう。キメラングがそこを狙わないわけが無い。
「おお、熱で周囲を同時に熱したか。中々面白い技だね……でも!」
キメラングが促す事でランボーグが飛び出すと熱に耐えながらサンライズを狙う。そこにスカイが立ち塞がると拳のラッシュを放つ。
「少しだけ我慢してください!だああっ!」
「何だ、その気になれば普通に攻撃できるんじゃん」
キメラングはランボーグの中に人を取り込んだ状態でも助けるためであればプリキュアが普通に立ち向かってくる。その事実を彼女は見るとこれは今後に活かせると考えた。
それはさておき、スカイからの攻撃の連打に防御姿勢を取って後手に回ったランボーグ。そして、すかさず防御の無い真上からの踵落としでスカイはランボーグを地面に叩きつけさせる。
「ツイスター、これで良いですか?」
「ありがとスカイ!これなら行ける!」
ランボーグが完全に地面にダウンした事でツイスターは攻撃を防御されないと判断。風を纏って跳び上がると浄化技を発動させる。
「ヒーローガール!ツイスターストライク!」
ツイスターが高速回転しながらランボーグへとドリルキックを放つその一撃は丁度起き上がったばかりのランボーグの体に命中。
「ラァアア!?」
ランボーグがダメージによって悲鳴のような声を上げる中、ツイスターは回転の勢いでランボーグの体を構成するアンダーグエナジーを押しのけながら突き進む。
そしてランボーグの中に取り込まれた少年の姿が露わになるとツイスターがその少年の手を掴み、引っ張り出すように離脱する。
「なっ!?」
「やった!」
「後は……これを!」
ツイスターがすかさずひかるの頭に被さっていたドローンが変化したヘルメットを引き剥がす。丁度ドローンがリンクしていたランボーグからいきなりひかるの体を物理的に引き剥がされた影響で壊れていた事もあってすんなりとドローンは外される。
「もうこれに用は無いわ!」
ツイスターはひかるからドローンが外れたタイミングですかさずドローンを破壊。これで再度の洗脳はできなくなってしまう。そんな時、ツイスターがひかるを助けるためにドローンを外した事で彼の顔が出てくるとプリズムとサンライズは驚いたような顔に変わる。
「「ひかる(君)!?」」
どうやら二人にとってひかるは知り合いだったらしい。だが、今はそんな事をこれ以上言及しても仕方ない。加えてひかるを助けた以上は残ったランボーグを残しておく必要性は無い。
核であるひかるが抜けたランボーグはその瞬間に姿を変えると巨大な人型となって四人を見下ろす形となる。
「ランボーグ!」
「サンライズ、決めよう!」
「ああ!もうひかるは助けたし、遠慮の必要無しだからな!」
だが、ランボーグが捕らえていたひかるを助け出してもう中にいる人を傷つける心配が無くなったためにスノーとサンライズは技を発動させた。
「サンライズフレイム!」
「スノーアイス!」
「二つのプリキュアの魂が!」
「闇の僕達を打ち砕く!」
「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」
そして、二人が手を繋ぐとそれぞれの体に高められたエネルギーを放つ。そして、二人から繰り出された炎と氷の力が合体してエネルギーの奔流として変化そのままランボーグを飲み込むとその体を強制的に浄化させていく。
「スミキッタァ〜」
これにより、ランボーグが消滅。ただ、キメラングが浮かべていた顔つきはプリキュア相手に負けた後とは思えない程に笑顔であった。
「ぷっ……くくっ……あはははっ!最高だよプリキュア。そう来ないと研究しがいが無いねぇ。また来るよ。キメランラン♪」
このようにキメラングはカバトンのような呪文を口にして撤退。こうしてプリキュア達はどうにか一時的に彼女を退ける事に成功するのだった。
また次回もお楽しみに。