熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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エレメントスクリューの弱点 助け出した雷

シャドーからの挑発に半ば乗る形で発動したエレメントスクリューを放った二人。そしてそれがシャドーへと向かって飛んでいく。

 

「「はぁあああっ!」」

 

「ぬん!」

 

シャドーは一刀流として刀を抜き放つと真正面からそのエネルギー波を受け止める。その様子をキメラングはドローンを使いつつ興味深そうな顔つきで観察していた。

 

「いや〜シャドー君は随分と体を張るねぇ。あんなのまともに喰らったらひとたまりも無いでしょ。特にカバトン君辺りはさ」

 

一応キメラングはあの技をまともに喰らっても生存できると思っていた。ただし、かなりダメージを負って撤退に追い込まれる事にはなるだろうが。

 

「それにしても素晴らしい力だよね。見た所あの炎と氷が混ざり合う事で相乗効果を発揮している。炎と氷って普通なら相反する属性なのに」

 

キメラングの観察が続いていると押し合っているスノー、サンライズとシャドーの間で異変が起きていた。

 

「「はぁあああっ!」」

 

二人は前のように押し切るべく更に力を込めて威力を増大させようとする。だが、スノーは僅かに違和感を感じていた。それはどれだけ力を入れても技の威力が上がってない事である。

 

「ぐうう……確かにお前達のこの技は強い。だが、致命的な弱点がある」

 

一方のシャドーはこの技、エレメントスクリューの弱点のような物に気がついたような感じであった。そしてそれはすぐに現れる。

 

「ッ!?嘘……」

 

「結びつきがしっくり来ない……」

 

スノーとサンライズが実際に技の方に異変を感じ取るとそこでは実際にシャドーが受け止めている場所。そこで突如としてエレメントスクリューの炎と氷のエネルギーが分離を始めてしまっていた。

 

「どういう事だ?見た感じ技威力が減衰し始めてる……ッ!そうか。あの炎と氷が混ざり合う事で相乗効果を発揮していたという事は裏を返せばその結びつきを解けば……」

 

プリキュア・エレメントスクリューの技威力は先程から説明している通り、サンライズの炎とスノーの氷。二つの光の力が合わさる事で相乗的に威力を上げる事が可能となる。だが、逆に言えば二つのエネルギーが分離してしまえば威力は格段に落ちるという事だ。

 

「……やはりそうか。二つの力が手を取り合うという何ともお前達らしい技だが、こうやって正面から受け止められれば!」

 

その直後、二人の技はシャドーが刀を振るう事で消失してしまう。恐らくエネルギー放出の限界値に来てしまったのだ。

 

「そんな……」

 

「なるほど、スノーの感じた違和感の正体がこれか……」

 

二人は先程の一撃に体力をそこそこ使ってしまったのか息切れしており、精神的にもかなり来ていた。一方のシャドーも息こそ切らしてないものの、多少は苦しそうな雰囲気を見せている。恐らく彼にとっても真正面から受け止めて相殺するのは厳しいと言った所だろうか。

 

「なるほど、これは良いデータを見れたねぇ。それにしても、シャドー君。当て馬にするには割と優秀なんだよなぁ。カバトン君と違って当て馬にされても彼自身に戦いたい気持ちがあるから不満はほぼゼロで済むし」

 

キメラングは自分達と住む世界が違わなければ本当に業務提携関係になっても良いのではないかと思うくらい、シャドーの性格と行動理念には感謝していた。

 

「さ〜て。自らの最大の技を止められたプリキュア達はどうするのかな?」

 

キメラングがそう言っている間にスノーとサンライズはどうにか息を整えて持ち直す。そんな彼女達をシャドーは態と待っているようにも見えた。

 

「ふふっ。落胆する事は無いぞ、プリキュア。俺にここまで力を使わせたのはお前達が初めてだ」

 

「それ言えるってことはまだ全力じゃ無いのかよ。ムカつくなぁ」

 

「でも、私達は負けない……負けたく無い!」

 

「そうか。ならば俺を倒して見せろ」

 

「「勿論だ(よ)!」」

 

それから二人はシャドーに真っ向勝負を仕掛ける。何しろ合体技が対策されている以上、結局シャドー相手に正面からぶつからざるを得ないのだ。

 

こちらでの戦闘が始まった頃。少し時間を遡ってスカイとプリズムの方はひかるのランボーグをどうにか引きつける形で対応していた。

 

「ランボーグ!」

 

「はぁああっ!」

 

ランボーグから放出される電撃をプリズム、単純な物理攻撃をスカイが止める形で状況を拮抗させる二人。ただ、消耗戦が良いという事では決して無い。むしろ可能ならできる限り避けたい所ではあった。

 

「ツイスター……まだ来なさそうですね」

 

「……もしかするとスノーのヘルプが間に合っても体力が残ってないのかも……」

 

「ッ!移動で時間を取られているという事ですか!?」

 

スカイやプリズムもここでようやくツイスターが移動さえも厳しい体力であるという事を察する。ただ、移動に関しては結果的には杞憂で済む事になるだろう。何故なら……。

 

「うわぁああああ!?」

 

「……あれ?なんか聞き覚えのある声が……」

 

「ラン?」

 

いきなりどこからか声が聞こえるとランボーグを含めたその場の全員がその方向を向く。

 

「「って、えええっ!?」」

 

「ちょっちょっ!このままランボーグの所に落ちろって事!?」

 

そこに飛んできたのは先程スノーが無理矢理投げ飛ばした事で体力を温存したまま移動してきたツイスターである。

 

「もうこうなったら自棄よ!これでも喰らいなさい!」

 

「ラ?ラ?ラ?」

 

ツイスターはもうランボーグへの落下は避けられないために手を翳すと竜巻を放出。それが未だに状況がわかってないランボーグへと直撃するとランボーグは倒れて目を回す。そして、その代わりツイスターは風を使った事で先程までの勢いが消えたためにどうにか着地に成功する。

 

「はぁ……はぁ……し、死ぬかと思ったわ……」

 

「ツイスター、大丈夫ですか?」

 

「ええ。何とかね……。もう少し優しく運んでくれた方が良かったんだけど」

 

「あはは……。それはそうとツイスター。まだ戦える?」

 

プリズムは確認の意味も込めてそう問いかけた。これについてはプリズムがツイスターの残り体力次第では救出方法を少し変えないといけないかもしれないと感じたからである。

 

「大丈夫……って言いたいけどもうギリギリね。スノーが投げてくれたおかげで体力は多少戻ったけど、立ってるのが割と精一杯。多分肉弾戦にはついていけないわ」

 

「そっか。じゃあ、私達二人がチャンスを作るからツイスターはそれを見逃さないで」

 

「ッ……そんな、良いの?プリズム達だって」

 

ツイスターは自分程では無いとはいえ目の前にいる二人も無茶しているはずだとわかっていた。それなのに二人に負担をかけるのを気にしたのである。

 

「大丈夫ですよ!……私達はあなたの世界の私達じゃありませんけど、困っている人を助けずにはいられないヒーローです。そしてそれはどちらの世界の私達も同じように持ってると思いますよ」

 

「……そうね。あなた達はそういう人だったわ。だから信じさせて。二人共、お願い」

 

ツイスターは目の前にいる別世界の二人を信じる事にした。そうすればきっと上手くいくと思えたのである。

 

「任せて!」

 

「行きましょう、プリズム!」

 

それから二人が飛び出すと同時に倒れていたランボーグが復活する。ただ、復活直後だけあってまだ電撃は放っていなかった。

 

「「はぁああっ!やあっ!」」

 

そこにスカイとプリズムがダブルパンチをお見舞い。起き上がりたてのランボーグはそれを防御する暇も無く受けてしまう。

 

「ラン!?」

 

そして、ランボーグがその攻撃に少し下がるとすかさず反撃の電撃攻撃を仕掛けてきた。対して二人は分散しつつ回避し続ける。

 

「良い加減電撃の傾向も読めてきましたよ!」

 

「うん。バラバラに散らしているように見せて結構法則あるよね!」

 

「ラ!?」

 

二人はランボーグ相手に長く耐久したおかげか段々ランボーグの攻撃の傾向が掴めてきた。これにより二人は回避に専念せずとも電撃を見切る事に成功。ランボーグとの距離をどんどん詰めていく。

 

「ランボーグ!」

 

「「それも対策済み(です)(だよ)!」」

 

するとランボーグは電撃がダメならと手から蔓を召喚。鞭のようにしならせて攻撃に使用する。だが、二人はそれを正面から捕まえてしまう。そして、それを持ったまま動き回るとランボーグはいきなりの事に困惑して蔓を出している腕ごと動かされてしまった。

 

「ラ!?ラ!?」

 

しかも先程対策されたという事でプリキュアへと放出していた電撃は丁度切ってしまっており、そのまま自分の蔓でランボーグは雁字搦めとなってしまう。

 

「本当にランボーグの動きを止めた……」

 

「スカイ!」

 

「ええ!」

 

そして、この段階でようやくひかるを救出するための動きを始める。それはスカイとプリズムが合流して放つ二人の技である。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

二人がスカイトーンを装填すると手を繋ぎ、上空に円盤を出現させる。そこからトラクタービームが照射され、ランボーグに降り注いだ。

 

「ラン!?」

 

ただ、ランボーグはトラクタービームに対して当然のように抵抗。その体は中々吸い込まれていかない。

 

「「くうう……」」

 

だが、これはプリキュア達が狙って作り出した瞬間。実際の所、全力で使えば吸い込むことは可能だし恐らく浄化もできる。だが、ひかるが囚われている以上はこのままでは浄化はできない。ただし、ツイスターに対して約束した大きな隙は生じた形となる。

 

「ツイスター!」

 

「今だよ!」

 

「ッ!任せて!!」

 

ツイスターはこのチャンスを逃すつもりは無い。ほんの少しだけ回復したが限界が近い体に鞭打つようにして動くと首のマフラーを抵抗するランボーグの体にある棘の突起に巻きつける。

 

「ラ?」

 

「はぁああっ!ヒーローガール!ツイスターストライク!」

 

そのままツイスターはマフラーが戻ろうとする勢いを利用してランボーグへと急接近。そのまま回転しながらのドリルキックを放つ。

 

「ランボ……」

 

「お願い!届いて!!」

 

ツイスターの一撃がランボーグの体に命中すると先程同様に少しずつアンダーグエナジーが押し退けられていく。そのままランボーグがガリガリと削られていった。

 

「ラン!」

 

するとランボーグは目を発光させて電撃を高めようとする。それを見てツイスターの顔に絶望色が見えてしまう。

 

「そんな……このままじゃ……」

 

「「させない!!はぁああっ!」」

 

「ラ、ラァ……」

 

しかし、そこですかさずスカイとプリズムが技威力を強化。完全にランボーグを封じ込めてしまう。そして、同時にランボーグの体からひかるが露出。ツイスターは手を伸ばした。

 

「ひかる、手を!」

 

「ッ……ツイスター」

 

するとひかるの頭のドローンに火花が散ると故障。そのまま強制的に外れるとツイスターは意識が戻ったひかるを抱き抱えてそのままランボーグを突き抜ける。

 

「やりました!」

 

「今度は……同じ失敗はしない!」

 

ツイスターはすぐに彼の耳に付いたピアス型の強制転移装置に小さな竜巻を模した浄化の力を流し込んで粉々に砕く。

 

「はあっ!」

 

更に念には念をという事でプリズムが気弾を放ってドローンを完全に破壊。こうしてひかるは救出され、ランボーグを構成していたアンダーグエナジーはキメラングのいる方向へと飛び去っていくのだった。

 

「これでもう洗脳も、強制転移も無いよね?」

 

「見える範囲だけでも一度体を調べましょう」

 

「そうね、ここで隠し球なんてあったらたまったものじゃ無いわ」

 

ツイスターはスカイの意見を受け入れるとすぐに体を調べていく。その結果、特にキメラングは何も新しい物は仕込んでないという事になった。そして、同時に彼が薄らと目を覚ます。

 

「ツイ……スター……」

 

「ひかる!大丈夫?どこか痛い所は?」

 

「……ああ、特に違和感とかは無いよ。でも流石に少し休ませて……」

 

そのままひかるは疲れからか眠ってしまう。あれだけ元気で頑丈そうだったひかるも一日に二度洗脳されてランボーグ化したのは堪えたようだった。

 

「ひかる……」

 

「多分大丈夫だよ。この感じだと寝ただけだし」

 

「そう……ね」

 

ツイスターはまだ少し不安だったが、ここから先の処置をするのは自分達では無い。するとそのタイミングでプリズムからの連絡を受けて先程まで安全な後方に待機していたあげはが車で到着。

 

「皆、ひかる君は私がプリズムやサンライズが住んでいる家まで責任を持って送り届けるから。私に任せて!」

 

それを聞いてツイスターは早速あげはの車にひかるを乗せる形で預けた。そして、あげはへと頭を下げる。

 

「あげはさん、ひかるをお願いします」

 

「わかった。らんこちゃんも気をつけて。私もらんこちゃんの事を大切に思ってるし、だから無事に戻ってきて」

 

ツイスターはあげはからも心配の言葉をかけられて少し驚いたような顔になるが、すぐに真剣な顔に戻って頷く。

 

「わかってます。だから、絶対に無事に戻ってみせますよ」

 

「オッケー。約束だからね!」

 

あげははそう言って車を運転しつつ慌ただしく戻っていく。後は彼女に任せるしか無い。

 

「あげはさんに預けられたわ。ひとまず大丈夫だと信じたいけど……」

 

「それよりも今はランボーグですね」

 

「見た感じキメラングの所に戻ったみたいだけど」

 

「多分素体が居なくなったから元の持ち主の元に戻ったのよ。ひとまずスノーやサンライズの事もあるし、私達も合流しましょう」

 

こうして、三人は頷きあうと彼女達はシャドーと交戦中のスノー、サンライズ。そしてその戦いを高みの見物で見ているだけのキメラングの元に向かうのだった。




また次回もお楽しみに。
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