熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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虹ヶ丘家にお邪魔します!

ソラはキュアスカイとして迫り来るランボーグを撃退。カバトンをも退けるとましろにヒーローなのかと問われる。しかし、彼女には自分がヒーローなのかわからなかったためにわからないという答えを返した。

 

そんなソラの答えにましろが苦笑いする中、ユキはそんなソラへと微笑んだ顔つきで自分の考えを話す。

 

「ううん……ソラちゃんは私達にとってのヒーローだよ」

 

「ユキさん……」

 

「ま、普通に考えて俺達を窮地から救ってくれたわけだしな。これでヒーローじゃ無かったらどんな奴がヒーローって言えるんだよ」

 

「えるぅ!」

 

するとエルは自分を助けてくれたソラへと手を伸ばす。そんな彼女をソラが優しく受け取った。

 

「おいで」

 

エルが嬉しそうにソラの腕に抱かれる中でその様子を見ていたユキは安心してホッとすると周りを見る。その直後、ユキは何かに気がつくと顔が強張った。そして、それはましろやアサヒも同じ様子である。

 

「ユキさん?ましろさんにアサヒ君も。どうし……」

 

「あのね、ソラちゃん……。良い雰囲気になってる所本当にごめんなんだけど……」

 

「私達メッチャ注目されてる!」

 

それを聞いてソラもふと周りを見渡すと人だかりができており、何かを話しているのがわかる。少なくともそれらは好意的な目線では無さそうだった。

 

しかも、中にはユキやアサヒの受けた体の傷を見て救急車まで呼ぼうとする人がいる始末だ。このままでは確実に大騒ぎにまで発展してしまうだろう。

 

「はわわわわ……」

 

ユキが焦る中、ソラは何かを思いつくと周囲の人々に向かって大声で呼びかける。

 

「皆さーん!もう安全です!」

 

「「いっ!?」」

 

「そ、ソラちゃん。今それを言っても逆効果というか……」

 

「え?そうなんですか?」

 

それを聞いてアサヒやましろの二人はギョッとしたような顔になって慌てる。幾ら自分達の中で事件が解決しても周囲からして見ればユキ達は異常なのだ。そんな中で更に目立つような事を言えばどうなるか。

 

ユキ達はもっと悪目立ちするのは目に見えて明らかである。そのためにソラ以外の三人は彼女を宥めようとするが、その直後に遠くからサイレンの音まで聞こえ始めてしまった。

 

「何の音ですか?」

 

「この感じ、絶対聴こえてきたら不味い音だよね?」

 

「ああ……。こうなったら、ましろ」

 

「うん」

 

ユキの脳裏に嫌な予感がよぎり、ソラが疑問符を浮かべているとましろやアサヒの二人はソラやユキを優しく押しつつ四人で別の場所へと移動する事になる。

 

「「お騒がせしました……」」

 

四人はランボーグが暴れた現場から遠ざかっていくと暫くして、歩いているユキが痛みを必死に我慢しているのにアサヒは気がつく。

 

「ユキさん?体の傷、痛むのか?」

 

「ふぇっ!?だ、大丈夫だよ!このくらいの怪我なんて全然へい……ッ……」

 

ユキは慌てて取り繕おうとするが、やっぱり体の痛みには耐える事ができず。顔を苦痛で歪めてしまう。そんな彼女を見てアサヒは一度溜息を吐いてからしゃがんだ。

 

「ほら、おぶってやるから早く乗って」

 

「そんな……アサヒ君だって怪我してるのに私だけこんな……」

 

ユキはそんなアサヒを見て躊躇してしまう。アサヒだって体へのダメージはそれなりに入ってしまっている。それを考えたら自分一人だけ背負ってもらうなど我儘すぎると思っているのだ。

 

「俺の傷はさっきの光を浴びて回復してる。でも、ユキさんは元々のダメージ量が多かったから傷を治しきれなかったんだろ?少しでも安静にした方が良い」

 

「でも……」

 

ユキはソラの方を向くと彼女もアサヒの意見の方を受け入れてユキへと心配の声をかける。

 

「ユキさん、気持ちはわかりますがここはアサヒ君に任せてあげてください」

 

「うえっ!?ソラちゃんまで……」

 

「今のユキさんにこれ以上無理をさせたくありませんから」

 

ソラにそう言われてはユキも頷くしか無かった。周りの人達全員が納得した上でのおんぶされた方が良いという意見なので仕方ない。

 

「じゃ、じゃあ乗るね……」

 

「ああ」

 

ユキはしゃがんでいるアサヒへと大きな負担をかけないように背中へとそっと乗ると彼に背負われた。

 

「……ッ!?」

 

アサヒはそれからユキを背負った状態で立ち上がるとその感覚に驚きを感じる。そんな彼を見てユキは不安そうにするが、アサヒの心境はそれどころでは無かった。

 

「(ユキ、思ってたよりも軽い……というか、こんな華奢な子があんなにも無理してたのか!?)」

 

ユキの体はアサヒが思っていたよりも小柄で細く、ソラとトレーニングしていたので筋肉はちゃんと付いている。ただ、それでも筋肉ばかりというわけでは無い。それどころか、必要な所にしか付いてないタイプの子だったのだ。

 

「(これ、あと少し解放されるのが遅かったら本当に体が危なかったかもしれないな)」

 

ユキのこの肉体ではとてもではないが、カバトンやランボーグからの攻撃をそう何度も耐えられるような耐久力なんて無いとアサヒは感じていたのだ。むしろ、よくあれだけランボーグに痛めつけられて一箇所も骨が折れなかったと思っているくらいである。

 

それから四人は暫くの間歩いていくと坂道を登っていき、丘の上に見える豪邸のような一軒家へと到着。ここはましろとアサヒが住んでいる虹ヶ丘家である。そして、アサヒがユキを降ろすと早速ソラがその大きさに目を輝かせていた。

 

「ふわぁああ……ここがましろさんやアサヒ君の家……もしかしてお二人はこの世界のプリンセスにプリンス、ましろ姫にアサヒ王子ですか!?」

 

「あはは……そんな事無いよ」

 

「こんな大きな家に住んでたら勘違いされるかもだけど、流石にお姫様や王子様の家って考えたら小さいと思うぞ?」

 

そう言葉を返す二人。ただ、その脳内では色々と不安が募っていた。まずはましろの家族に今回の事を説明しないといけない。

 

ただ、ランボーグの事を普通に話したとしても納得はしてもらえないだろう。下手したらまともに受け止めてすらくれないかもしれない。

 

「ついお家に連れてきちゃったけど……これからどうしよ」

 

「そんな事言ってもまずは話さないと解決しなさそうだしなぁ……」

 

二人がどう話すかで悩んでいるとそのタイミングでドアがガチャリと開くと同時に白髪をして眼鏡をかけ、穏やかな顔つきをしたましろの祖母……虹ヶ丘ヨヨが出てきた。

 

「ましろさん、アサヒさん、おかえりなさい」

 

「ヨヨさん、ただいま」

 

アサヒが帰ってきた挨拶をするとましろは早速ヨヨへとユキ、ソラ、エルの三人が来た経緯についてを必死に説明した。

 

「おばあちゃん……こ、これ……絶対信じて貰えないと思うけど聞いて!この子達が空の上からピューって!それからモンスターがバーって!それから、それから、キラキラってなってフワーって!」

 

ただ、ましろの説明は慌て過ぎているせいで語彙力が足りず。それでもどうにか説明しようとするものの、話す程にわけがわからなくなっていく。

 

「ましろ、非日常的な事が起きまくってるせいで慌てるのはわかるが多分それじゃヨヨさんだとしてもわからないと思うぞ」

 

「そうだよ……ましろちゃん。ひとまず落ち着いて……」

 

「……大変だったわね」

 

「「「……え?」」」

 

そんな中、ヨヨは微笑んだような顔つきをすると先程からの意味不明なましろの説明に対してヨヨは落ち着いた様子で五人へと優しく話しかける。

 

「さ、お上がりなさい」

 

「「「え?」」」

 

「え?え?自分で言うのも何だけど今の説明でオッケーっておかしくない!?」

 

「とにかく、ヨヨさんが大丈夫なんだから良いんじゃないか?」

 

「まぁ、そうなるんだけど……ちょっと腑に落ちないというか」

 

ましろは何故ヨヨが理解してくれたのかがわからない。ただ、それでもヨヨはましろの説明を聞き、了解すると入って良い事になったのでユキとソラは入るための挨拶をしてから中に入る。

 

「「お、お邪魔します!」」

 

四人が虹ヶ丘家に入っていく中、その様子を家の玄関のアーチの上からオレンジの鳥と白い鳥がジッと見つめていた。白い鳥の方についてはユキの姿を見て目を見開く程に驚くと飛び出そうとしていたが、オレンジの鳥が片方の翼を掴んで引っ張る事で止める事になる。

 

それから少しして。リビングに通してもらったユキ達は早速今回の件の事情を説明する事になった。

 

「スカイランド……こことは別の世界があるなんて……まだ信じられないよ」

 

ユキやソラからの一通りの説明が終わるとましろはほっぺたを抓りながら信じられないと言った様子で話していた。それもそうだろう。非現実的な出来事が立て続けに起きたのだ。信じられなくて当たり前だろう。

 

「そうだな。普通なら起きないことがいっぱい起きてるわけだし」

 

「私達も変なトンネルから出た瞬間にこの世界に落ちちゃったし、ちょっとまだ気持ちの整理が追いついてなくて」

 

「私だって別の世界にいるなんて信じられません。それに自分がキュアスカイに変身したことも」

 

ソラは先程まで胸ポケットにしまっていたミラージュペンを出すとそれを深刻そうに見つめる。

 

「キュアスカイといえば、ソラ。さっき変身するときに使っていたアクセサリー、出してくれるか?」

 

「はい……わかりました」

 

ソラが同じく胸ポケットに入れていたスカイトーンを見せるとアサヒが自分の持つ色がくすんだアクセサリーを出して横に並べる。

 

「あ、それなら私のも」

 

するとユキも自分が持っていたアクセサリーを出すとやはりこちらも色がくすんでこそいるが、アサヒのアクセサリーと似たような形をしていた。

 

「やっぱり私のにもそっくり……でもどうして私達のは色がくすんでしまったんだろ……」

 

こうして見ると謎は深まるばかりだ。そんな中でソラがふと疑問に思ったのか問いかける。

 

「確か、アサヒさんのそれは預け主さんが持たせてくれていたんですよね」

 

「ああ。……実はその預け主っていうのが俺の父さんらしくて。十年ぐらい前からずっと持ってる」

 

「そうなんだね。私の方も大切なお守りだってパパやママが言ってたような気がするけど……でも、私。パパとママの顔すらも思い出せないんだよね」

 

「ユキさんが預けられたのは本当に生まれたばかりの頃ですから仕方ないですよ」

 

ユキとアサヒが持っている二つのスカイトーンに似たアクセサリー。そしてソラのスカイトーン。この三つがこの場に揃っている。……偶然という一言で片付けてしまうには出来すぎているだろう。ただ、事実はこんな奇跡のような事が起きている。

 

「ヨヨさん、前にも聞いたと思うけど、これについて父さんから聞いてないですか?」

 

アサヒからの質問に対して首を横に振るヨヨ。ヨヨでもアサヒのアクセサリーについて何も知らないらしい。三人の持つアクセサリーは造形も似ているために何らかの関りはあると思われるがその真相は闇の中だ。

 

「アクセサリーもそうだけどその不思議なペンは何なんだろう?プリキュアって何だろう?」

 

「どうしてこの三つはここに揃ってるんだろ……」

 

「わからない事が多すぎて正解を考えるのも難しいな」

 

わけがわからない事ばかりで混乱する一同。気になる事はてんこ盛りだ。するとましろがヨヨへと声をかけた。

 

「ねぇ、おばあちゃん。お部屋の百科事典にプリキュアのこと載ってたりしないかな?」

 

「ましろ?」

 

「お願い、調べてあげ……」

 

「私のことより、この子をお家に帰してあげる方法を見つけるのが先です!……約束したんです、パパとママの所に帰してあげるって!」

 

「そうだよ!私なんかの事なんてどうなっても良い。だからお願いします!この子の事をお家に帰すのを優先してください!」

 

二人の言葉にアサヒやましろは驚きつつも頷く。ユキの自分の身を捨てる件については一旦置いておくにして、エルを帰すのを優先したいのは二人も同じだ。

 

「……この子はいきなりカバトンに拉致されて知らない世界に放り出されたから。早く安心できる家に戻してあげたいよ」

 

ユキがそう言った直後、ソラは立ち上がると共に気合いを入れようと決意を新たに大声で叫んだ。

 

「ヒーローは泣いてる子供を絶対に見捨てません!」

 

ソラがそうやって大声で叫んでしまうとスヤスヤと眠っていたはずの赤ちゃんは驚いて目が覚めてしまう。また、そのせいかそのままの流れで泣き始めてしまった。

 

「むしろ泣かせたーっ!」

 

「ソラさん、流石に寝てる赤ちゃんを起こすのはダメだろ!」

 

「うわぁ、ごめんね!ごめんね!?」

 

泣き出した赤ちゃんを必死にあやすソラ。ましろもどうにかするために変顔を披露する。

 

「ほら、いないいない……ばぁ!」

 

だが、ましろの変顔を見せてもエルは泣くのを止めてくれない。更にアサヒ、ソラ。ましろが慌てる中でユキは一人冷静に考えると何かを思いついた。

 

「もしかしてお腹が空いてるのかも?」

 

「「「それ(だ)(です)!」」」

 

ユキの意見に三人は同意する。しかし、それはそれで新たな問題が発生してしまう。それはミルクを買いに行かないといけないという事だ。しかも、赤ちゃん用のミルクとなると普通のミルクではダメなので知識のない四人にはどうすれば良いかわからない。

 

「取り敢えず私が街にまで走って買って……うぐっ!?」

 

ユキが走って行こうと慌てて立ち上がる……が、完全に自分が大怪我を負っている事を失念していたユキは身体中の痛みでガクリと倒れそうになってしまう。

 

「ユキさんは怪我してるんですから安静にしていてください!」

 

「絶対無理はしたらダメだからね!」

 

ソラとましろに言われて悔しそうに俯きながら大人しくするユキ。だが、状況は何も変わってない。すると慌てる三人を見たヨヨが口を開いた。

 

「キッチンの棚。一番下に粉ミルクとマグがあるわ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「ミルクは人肌でね。ふふっ……」

 

ヨヨの指導を受けた四人は何とか赤ちゃんにミルクを飲ませるとソラが手際良く赤ちゃんにゲップをさせてましろとアサヒは関心していた。

 

「ソラさん。赤ちゃんをあやしてからミルクを飲ませて、最後にしっかりとゲップさせる所まで上手だな」

 

「家に歳の離れた弟がいるので慣れてるんです!あ。私よりもユキさんの方が手慣れてますよ」

 

「ふえっ!?そんな事無いよ!私なんか上手く無いから……」

 

「それにしてもヨヨさん、どうして粉ミルクとマグが準備されているんですか?」

 

「オムツだってあるわよ」

 

「「「「……ええっ!?」」」」

 

それを聞いて四人は驚きを隠せない。まさかそこまで用意が良いなんて誰も思わないからだ。

 

「出会いに偶然はない。人と人が巡り会うこと、それはいつだって必然……運命。物語の始まり……わかる?」

 

ヨヨの言葉に四人は全くわからないと言った様子で顔を見合わせてから首を傾げる。いきなりこんな事を言われても普通は混乱してしまうだろう。

 

「……あなた達の世界に戻る方法が見つかるまで、二階の空いている部屋を好きにお使いなさい」

 

「え!?おばあちゃん!?」

 

ましろの言葉にヨヨは答えることなく一人、立ち上がると自分の部屋へと戻っていってしまう。

 

ひとまず四人は二階へと上がると夕日が窓から差し込む中、ユキとソラの二人はそれぞれ部屋を借りて中に入る。

 

そんな中でユキは安静にするため、ベッドの上で大人しくするようにアサヒとましろから言われてやむを得ず一旦座らせた。

 

その上でまずはソラの部屋にエルを寝かしつける。今ソラの部屋に他にいるのはアサヒ、ソラ、ましろの三人だ。

 

「お家から攫われて、別の世界に放り出されて……モンスターにも狙われて。……大変な一日だったね」

 

ましろがエルへと優しく話しかける中でソラは申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「ましろさん。この部屋、本当に使わせてもらって良いのでしょうか……」

 

「……良いんじゃないかな?多分」

 

「ごめんなさい。私、できるだけ早く出て行きます。家のお手伝いも……だから!」

 

ソラは真面目であるために長期間もの間、ましろの家に負担をかけるのは嫌だった。だからこそそんな風に言ったのだが、アサヒもましろも気にしていない様子である。

 

「大丈夫だよ」

 

「ていうか、できるだけ早く出て行った所でソラさんはスカイランドに帰る術が無いなら路頭に迷うだろ。だったらここにいるのが安全だと思う」

 

ソラは二人からの言葉を聞くと少し考えてから突如として片膝をついて二人の前にひざまづく。それはまるで時代劇でよく見るような光景だった。

 

「うえっ!?」

 

「ちょっ!?」

 

「ましろさん、アサヒ君。今日のご恩は決して忘れません。今より私、ソラ・ハレワタールはお二人を守る騎士となり全身全霊。忠義を尽くし……」

 

そんなソラはいたって真剣そうな顔でそう言っているものの、アサヒもましろも苦笑いを浮かべると恐る恐るソラへと話しかけた。

 

「時代劇かな……?」

 

「ソラさん。俺達は二人とも騎士なんていらないよ?」

 

「えっ!?じゃあ、どうすれば……」

 

ソラは困惑したような顔つきを二人に向ける中、アサヒとましろはこんな時どうすれば良いか少しだけ悩む。しかし、その答えはすぐに出てきた。

 

「んーっと、そうだ!お友達からお願いします!」

 

「この場にいないユキさんも含めて、今日から俺達四人は友達だよ」

 

それを聞いてソラは嬉しそうな顔になると立ち上がる。そして、彼女は感謝の気持ちで頭を下げた。

 

「はい!でしたら今日から四人は友達です!」

 

「あ、そうだ!着替えは取り敢えず私のジャージで良いかな!ちゃんとした物は明日買いに行こ!」

 

「確かに、そのままの格好だと逆に目立っちゃうし。良い案だと思う。ソラさんもそれで……」

 

二人で話が纏まるとソラの方を向く……が、そこには誰もおらず。二人が視線をベッドに移すと既に彼女はベッドの上で横になってしまっていた。

 

「秒速すぎるよね!?」

 

「寝るまでがかなり早いなぁ。ま、でも仕方ないだろ」

 

「うん。そうだね……。おやすみ、ソラちゃん」

 

そんな風に言う二人。それから二人は部屋から出て行くと早速ある物を取りにどこかへと移動する。

 

ソラの部屋でそんなやり取りをしている間、ユキは一人ベッドに座り込むと身体中の痛みがぶり返してきて悶える。それからましろ達が来る前に一度怪我の様子を確認。その酷さを見て驚く。

 

「嘘。痛いと思ってたらまだこんなに怪我してたんだ……」

 

ユキが自分の体を見渡すと至る所に擦り傷、あざがあった。カバトンに殴られた腹部に至っては大きめな青いあざになってしまっている。

 

「でも、アサヒ君もあんなに怪我してた。私がもっとしっかりしないといけないのに……」

 

ユキが一人、思い詰めるようにして考えていると部屋の扉がノックされる。どこかから戻ってきたアサヒとましろが入ろうとしてきた。

 

慌ててユキは少しだけ待ってもらうと服を着る。それから二人を出迎えると突然ユキは強制的にベッドに寝るように言われた。

 

「ユキさん、まずはベッドで横になって」

 

「え、でも……」

 

「良いから横になる!ユキさんのその怪我を流石に手当てせずにそのままは無理があるからな」

 

ユキら二人にそう言われて困惑しつつも言われた通り、ベッドの上で横になる。

 

「あ、その前にアサヒはあっち向いて!女の子の裸を見るのはダメだから!」

 

「お、おう……」

 

アサヒはましろに言われて反対方向を向くと念の為、顔に手を当てて見ないようにする。

 

それを見たましろは手際良くユキの体にヨヨが作ったと思われる治療のための塗り薬や包帯を巻いたり、湿布を貼ったりして応急的な手当てをしていく。

 

「どうして……何で私をこんなにも」

 

「友達だからだよ!」

 

それを聞いてユキは目を見開く。まさかいきなりそんな事を言われるなんて思わないからだ。ユキの知らない所で四人は友達と決まったから彼女はまだ知らないというのもある。ただ、ユキとしては自分なんて捨て駒にされても仕方ないと思っているぐらいの認識だった。

 

「何で……何で……」

 

ユキは嬉しい反面混乱した。自分を受け入れてくれる人なんてソラやハレワタール家以外にはいないと思っていたからだ。

 

「はい、おしまい!アサヒ、こっち向いても大丈夫だよ」

 

それからユキは起き上がるとベッドに腰掛けたまま俯くとましろ、アサヒへと小さく話しかけた。

 

「二人は私なんかとどうして友達に?私、役立たずだったでしょ?結果的に見たらあの赤ちゃんも守れなかったし」

 

「何でって……そんなの俺達のためにあれだけ頑張ってくれたんだ。それに俺は、俺達は皆ユキさんに感謝してるんだよ。そしてそれはましろも同じ。だから友達になってほしい。それ以外に理由いる?」

 

ユキはそれを聞いて頬に涙が伝った。そのため、彼女は慌てて涙を拭うと二人の顔をちゃんと見て優しく微笑む。

 

「嬉しい……私を友達だなんて呼んでくれたの……ソラちゃん以外だとアサヒくんとましろちゃんだけだから」

 

ユキがそう涙ぐみながら話す中、アサヒは何かを思い出すとユキへと質問を投げかけた。

 

「あ、そうだ。どうしてユキさんはあんなにも無理するんだ?」

 

アサヒからの質問にユキは複雑そうな顔つきへと変わると小さく呟くようにして理由を話す。

 

「……私には力が無い。何かを守るためには無理をしないといけない。私のような弱い人間なら尚更……」

 

「そんな事無いよ。だってユキちゃん、私達の事を守ろうとしてたんだし……そんな人が弱い訳が無いよ」

 

「そうだぜ。俺達は皆ユキさんに救われたんだ。だからもっと誇っても……」

 

そこまで言ったところでドサリという音が聞こえるとそこにはベッドに倒れて可愛らしい寝息を立てるユキがいた。

 

「あ……寝ちゃったか」

 

「本当にお疲れ様だよ、ユキちゃん」

 

「ああ……ユキさん。これからはそんなに苦しそうな顔なんてさせないくらいに幸せいっぱいにしたいな」

 

アサヒはそう呟くと共に体に疲れと僅かに残っていた傷の痛みがやってきた。そのため、彼はましろと共に部屋を出るとましろに手当てされてから自分の部屋に戻る。

 

「ましろ、ご飯ができたら起こしてくれるか?ちょっと俺も疲れたからさ」

 

「うん。わかったよ」

 

それを聞いてましろは頷くとアサヒは部屋に入っていく事に。そして、アサヒは一人ベッドで寝転ぶと考えていた。

 

「ユキ……やっぱりあの子を危険な目に晒すのは危なっかしすぎる。俺が……守らないと」

 

アサヒがそうやって新たな決意を固めるとそのまま眠りにつく事になる。こうして、四人にとって運命が動き出す一日が終わりを告げるのであった。




また次回もお楽しみに。
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