熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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校門前での別れ 新たなクラスでの一幕

この日から学校が始まるという事でソラシド中学校に来たユキ達四人。ただ、学校に通っているわけでは無いユキとソラのスカイランドコンビはここで別れないといけない。そんなわけで必然的に四人は校門前で別れるという流れになった。

 

「ソラちゃん、ユキちゃん、それじゃあ後でね」

 

「ましろさんとアサヒ君も勉強を頑張ってください!」

 

「ああ。頑張ってくる」

 

ソラとましろがすんなりと挨拶を済ませる中、ユキは中々言葉を口にする事ができず。そのため一人だけ何も言えてなかった。

 

「あ、アサヒ君……」

 

「どうした?ユキ」

 

ユキはどうにかして挨拶しないといけない。そう思って言葉を絞り出すが、アサヒ向けて言おうとしたその言葉は結局途中で止まってしまう。

 

「……」

 

「ユキ、悪いけどあまり長くは……」

 

アサヒは登校時間もあるためにそこまで長くは止まっていられない。そのため改めて彼女に何か言うなら言ってほしいと促す。しかし、ユキは何故かモジモジとしているためにアサヒは痺れを切らして聞いた。

 

「ユキ、本当にどうしたんだ?何か言いたいなら……」

 

「ッ……」

 

だが、ユキはその瞬間。結局何も言う事ができずにサッと後ろを向くと走っていってしまう。それを見たソラは慌ててユキを追いかけた。

 

「えっ!?ちょっとユキさん!?どうしたんですか!」

 

それを見たアサヒは頭に疑問符を浮かべると首を傾げ、隣でましろがジト目を向ける。

 

「アーサーヒ?」

 

「いや、別に急かしたわけじゃなくてだな!?」

 

「はぁ。ユキちゃんはこういう時の圧に弱い事くらいわかってるでしょ」

 

「それはそうだけどさ……。でも、何か言いかけたのなら気になるじゃん」

 

「もう、程々にね。……ユキちゃんの気持ちのためにもさ」

 

ましろがそう言うとアサヒは少し申し訳なさそうに頷く。そのままの流れで二人は学校へと入っていく事になる。

 

それから二人はまず学年を跨いだ新学期という事で早速二年生の時のクラス分けを見に行く。そこにはましろとアサヒの二人が同じクラスとして書かれていた。

 

「おっ、ましろと同じクラスだな」

 

「あれ?でも私達、同じクラスになった事あんまり無いよね?」

 

「そうなんだよな。だから凄い珍しい気がする」

 

「うんうん」

 

ちなみに、普通は双子とかの親戚は学校に行った際に同じクラスにはならない。これはクラス内で二人が一緒になる事でその二人だけで会話をするようにしてしまうのを避けるためだろう。ただ、今回に関しては珍しく違ったようであるが。

 

このように二人で雑談をしているとそのタイミングで後ろから三人の男女が声をかけてきた。

 

「私達も同じクラスだよ!ましろん!虹ヶ丘君!」

 

「やっほー、二人共」

 

「おはよう。今年一年よろしくね」

 

そこにいたのは黒髪のボブカットをした少女、仲田つむぎ。茶髪でポニーテールにした少女、吉井るい。黒髪で眼鏡をかけた少年、軽井沢あさひだ。ちなみに、軽井沢に関してはアサヒと名前がどうしても被るので呼び分けるために同学年の人達は皆苗字の方で呼んでいる。

 

「皆!」

 

「ったく、お前は新学期になっても変わらないな。軽井沢」

 

「へへっ、それは虹ヶ丘もだろ。今年一年よろ!」

 

「ああ。よろしく」

 

アサヒと軽井沢の二人はお互いの友情を確認するかのように挨拶を交わす。

 

「それじゃあ、早速教室に……」

 

「ちょーっと待ったぁあっ!」

 

それから五人が行こうとすると更にそこへと駆け寄ってくる影がいた。それは、昨日助けた雷田ひかるである。どうやら彼もまたアサヒやましろと同じクラスらしい。

 

「よっ!皆、久しぶり!元気にしてたか!」

 

「ひかる君!」

 

「うっ、またうるさいのが増えた」

 

「あはは……」

 

吉井は割とうるさい系男子のストッパーのような役割をしているのだが、そんな吉井がかなり手を焼くほどにひかるは元気が有り余っている。すると早速軽井沢が揶揄いを入れた。

 

「そういや、今回は遅刻しなかったな」

 

「あー、そんな事あったな」

 

実はひかる。前学年の夏休み明けの始業式の日に思い切り遅刻をかまし、先生に怒られたことがあるのだ。そのために悪い意味で他の生徒達に認知されている所もある。

 

「そんなの仕方無いだろ!俺の好きなアニメが良い所までやってたんだ。リアタイせずして何とする!」

 

「それで遅刻したら意味ないでしょーが」

 

吉井が開き直ったひかるの言葉を聞いて呆れつつ頭へと軽いチョップを入れる。

 

「ほんと、ひかるのアニメ好きも相変わらずだよ」

 

「そうなんだよね……」

 

「そういや、ひかる。お前、間に合ったと言えば宿題はどうにかなったんだろうな?」

 

アサヒはふと前日のやり取りを思い出す。それはひかるが春休み終わり前日にも関わらず、宿題を済ませていなかった事についてだ。

 

「ふっふっーっ。甘いな。どうにか徹夜して終わらせたぜ!」

 

「よくそれで今日の朝起きれたな」

 

「よく見たら目元にクマっぽいのあるし、本当にしたんだね……」

 

ましろはひかるの目元にクマがある事を見て本当にやったのだと感じると苦笑い。それから一同はここで長話するのも良くないために一旦教室の方へと移動する事になった。

 

「そういえばよ、皆はここ最近出てきた噂を知ってるか?」

 

「え?」

 

軽井沢はクラスに到着すると早速ある話題を出す。それはこの春休み前後からソラシド市内で妙に噂されるようになった事象だった。

 

「あ、軽井沢君の言ってる事ってもしかして……」

 

すると軽井沢はスマホのある画面を開くと他の面々に見せた。そこには突如として街中に現れては暴れる怪物ことランボーグとそれと戦う少女達……プリキュアが映っていた。

 

「「ぶーっ!?」」

 

そして、当然それを見たましろとアサヒは吹き出してしまう。確かにあれだけランボーグやらダークネスやら色々な敵が暴れ回ればいつかはバレると思っていた。

 

しかし、そうなるにはあまりにも早過ぎる。まだ一ヶ月も経ってないのにここまでの噂になっているとは思わなかったのだ。そしてクラスメイトはいきなり吹き出した二人を心配する。

 

「ましろん?虹ヶ丘君?大丈夫?」

 

「だ、大丈夫だ……」

 

「これって?」

 

「えぇ!?二人共知らないのかよ。これは街に出る怪物と密かに戦う戦士達。プリキュアだよ!」

 

軽井沢がそうやって得意げに話をする。ちなみに映像に映っているのはショベルカーのランボーグ。つまりこれはカバトンがこちらの世界に来て初めて出した個体であると同時にキュアスカイのデビュー戦の相手だった。

 

「これ、最初のランボーグじゃん」

 

「うん、じゃああの時もう誰かに撮られてたんだね……」

 

ただ、その時のシーンはランボーグが暴れている所だけ。幸いにもプリキュアがいるシーンは撮られていなかった。

 

「今の所確認されているのは四人だ」

 

「へぇ、四人もプリキュアがいるんだね」

 

「うん、もしかして四人でチームなのかな?」

 

軽井沢の言葉に仲田や吉井も感心したように聞いていたが、正直アサヒやましろはいつ正体がバレてしまうかヒヤヒヤ物である。

 

「内訳は元気いっぱいで青空のように晴れ渡る戦士・キュアスカイ。優しくチームメイトを照らす光・キュアプリズム。静かに戦場にて舞い踊る雪の美少女・キュアスノー。太陽のように燃えたぎる灼熱の炎・キュアサンライズ。皆それぞれファンも増えてるって話だよ」

 

それを聞いて二人は複雑な心境だった。人々に人気なのは嬉しい事ではある。なのだが……これはちょっと目立ち過ぎだった。そのせいでこれから先、学校中で噂になってしまうのも時間の問題。こうなると正体がバレた時がかなり不味そうに思える。

 

「折角なら会って見たいな……」

 

「バカ、そんな事したら怪物にも会うでしょ!」

 

「平気平気、その時はプリキュアに助けて貰えば良いから」

 

「いや、それ結局危険な所に行くって事だよね!?」

 

軽井沢のまさかの危険行為を平然とする発言に仲田と吉井が必死になって止めに入る。この言動を受けてアサヒとましろは精神的に大きな負担を強いられている所、そこに今度はひかるがとんでもない事を言い出した。

 

「プリキュアね。それなら俺、昨日会ったぜ!」

 

「「……へ?」」

 

「うぉっ!マジで?ひかる、どこで会ったんだ?」

 

「ふっふーん。何を隠そう俺……むぐっ!?」

 

その瞬間だった。ましろが慌ててひかるの口を手で塞ぎ、すかさずアサヒが体を拘束する。

 

「ごめんね……ちょっとひかる君に大事な用事を思い出しちゃって」

 

「すぐ戻って話の続きをするから悪いけど待っててくれ」

 

「「「?」」」

 

仲田、吉井、軽井沢の三人が頭に疑問符を浮かべているとその間にもアサヒとましろは見事な連携でさっさとひかるを教室の外に連行。そして、教室から近くの階段の踊り場の端にひかるを追い詰める状態を作って彼を戒める。

 

「ひかる、俺達が何を言いたいかわかるか?」

 

「えっと……お前らがプリキュアの正体だって事は秘密って事?」

 

「そうそう。さっきのひかる君のあの勢いだと全部言ってたでしょ」

 

「うん、それは否定しない」

 

ひかるは二人が止めていなければ先程プリキュアの正体を白状する所まで言ってしまったとカミングアウト。これにより二人は大惨事を未然に回避した事になる。

 

「でもダメなのか?言った方が周りからも……」

 

「それ以上に正体が知られちゃうと色々と大変だから!」

 

「お前みたいに巻き込まれ被害に遭う人が増えると困るんだよ!」

 

「お、おう……正体は黙っておく」

 

ひかるが正体をバラしても問題無いのではないのかと考えて二人へと説得しようとするが、逆に強く念押しする程に否定されて思わずその圧にたじろいでしまう。

 

「「絶対だからな(ね)!」」

 

「そ、そりゃ勿論。だけど、お前らも大変だよな。あんな化け物達相手に戦うなんて」

 

「……そんなの、友達が頑張ってるんだから当然だし。それに……俺達が一緒に戦わないと色々危なっかしい子もいるしな」

 

アサヒはそう言いつつユキを思い浮かべる。少なくとも彼女を一人で戦わせる事になったらどうなるかわからない。その気持ちが特に強いらしい。そして、ましろも何となくアサヒが誰を想像したのか予想できてしまった。

 

「ふーん」

 

「その内お前もわかるようになるよ。プリキュアの戦いに何度も巻き込まれたら。勿論そうさせるつもりは無いけどさ」

 

「あー、確かに俺もあんな思いを何回もするのは身も心も保たないかな」

 

「じゃあ、そろそろ戻るよ」

 

それから三人は話が終わったという事でさっさと仲田達の元に戻ると先程の話は何でもないと訂正。ひとまず続きを話す事になる。

 

「皆カッコ良いんだよなぁ。あ、でもスノーやプリズムに関しては可愛いの方が目立つけど……」

 

「確かに。キュアサンライズは男の子だからカッコ良いと思うけど、キュアスカイもカッコ良い側のプリキュアだよね」

 

「うん。あのマントも含めて正にヒーローって感じだよね!」

 

サンライズは男の子なので当然として、スカイも可愛いよりは人々を救うヒーローとしてカッコ良いの意見が結構見られている様子だった。

 

「サンライズはスカイと比べると力強いって感じだよね。戦う姿を見ててもさ」

 

「プリズムは暗い闇の中を優しく照らし出すと言えば良いのかな。他の三人と比べると温かさがあるよね」

 

その話の流れでアサヒとましろは自分達が変身するプリキュアの事もクラスメイトから褒められてどこかこそばゆいような気持ちになっていく。そして、話題は最後の一人であるスノーの方に移った。

 

「あ、でもさ。キュアスノーと言えばあの子、頑張り屋さんだけどどこか危なっかしい感じがするんだよな」

 

軽井沢からの意見を聞いてアサヒとましろは心の中で共感する。むしろ、それについては心当たりがあり過ぎるぐらいだ。

 

「そうなのかな?私は普通にこの子凄く綺麗って感じがする」

 

「うん……。正直隣に立てる自信が無いって言えば良いのかな。それこそ他のプリキュア達なら並んでも大丈夫そうなんだけど……」

 

どうやら女子達の中でスノーは憧れの美人みたいなイメージが立っているようで。彼女の立ち振る舞いからも儚い美しさが際立ってるようにも感じられた。

 

「ううーっ、何だかもどかしいぜ。二人の言う通り、キュアスノーは可愛いし、応援したいんだけどどちらかと言えば保護してあげたい!」

 

「軽井沢、流石にそれは……」

 

「ちょっと。保護って何よ」

 

「スノーの変身者の人、多分私達と同年代だよ?」

 

軽井沢の発言に仲田、吉井、雷田の三人は完全に引いてしまう。そしてましろは苦笑いを浮かべてしまう。実際の所、ユキの特徴を正体を知ってるひかるがいるからとはいえ大体当ててしまっているから複雑なのだ。

 

自分だってユキを一人にしたら何をするかわかったものでは無いので保護する必要はあると思っているくらいである。するとその会話の隣で一人アサヒは心の中でモヤっとした。

 

「虹ヶ丘君?どうしたの?」

 

「え?あ、いや。何でもねぇ」

 

「何だか難しそうな顔をしてたよ」

 

アサヒは仲田から問われて首を横に振るとその考えをさっさと飛ばす。これは彼の中で今のモヤモヤは気のせいだと無理矢理片付けてしまったからだ。その後、話はプリキュア達の実力の話題へと切り替わる。

 

「それでさ、今の所四人の中で誰が一番強いんだろ?」

 

「うーん。どうだろう?キュアスカイかキュアサンライズ?いや、実力で考えたらサンライズよりスノー?」

 

尚、この話題の話し手の中心は勿論ひかると軽井沢だ。何なら他の女子達を置いてきぼりにしているくらいである。

 

「サンライズはパワー型って感じだけど荒削りって感じだよな。戦い慣れしてない新人って感じ?」

 

「(うっ……。やっぱり周りから見てもそうなるのか……)」

 

軽井沢からの容赦の無い指摘にアサヒはダメージを受けている様子であり、ましろはそんな彼に同情の視線を向けている。それからアサヒは一応会話に混ざる事に。

 

「経験値って話ならキュアスカイだと思うぞ。あの子の動きはサンライズよりも戦い慣れしてる」

 

「アサヒもそう思うか!」

 

アサヒは自分を疑われる可能性を下げた。ここで逆に会話に混ざらないと不自然だからである。ひかるもそんなアサヒの意図を察した……かはわからないが、援護するように付け加えた。

 

「経験値だったらキュアスノーもありそうなんだよなぁ。あ、だけど一人だけ遠距離攻撃手段が使えるキュアプリズムも……」

 

「……ほんと、男子ってすぐバトル漫画とかのキャラを見ると強さに優劣を付けたがるよね」

 

「そうそう。街を守ってくれるヒーローに失礼だよ。ましろんもそうだよね?」

 

「う、うん。そうだね。私もそう思うかな……」

 

ましろも正直気不味かったが、ここで会話に参加しないのは不自然過ぎるために同調する事に。そして軽井沢は声を上げる。

 

「あぁーっ!どうにかしてプリキュア達と会いたいぜ。取り敢えず会えたらその勇姿を動画に収めたい!アサヒ、ひかる、何か良い案は無いか?」

 

「あるわけねーだろ。そんなのは運の問題だからな」

 

「まぁでも俺みたいに日頃の行いが良かったらすぐ会えるかもな!」

 

「お前のどこに日頃の行いが良い要素があるんだよ……」

 

ひかるが得意げな顔をすると軽井沢は悔しそうにし、アサヒがひかるを咎めた。するとこのタイミングで予鈴が鳴り響いたためにひとまず話はお開きとなるとそれぞれの席に戻り、ホームルームの時間に入る事になる。




新年明けましておめでとうございます。今年もこの小説をよろしくお願いします。また次回もお楽しみに。
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