熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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シャドーの新たな技 危険な巻き込まれ

サンライズが持ち直す少し前。シャドーとの一騎打ちを開始したスノーはやはりシャドー相手に押されていた。

 

「キュアスノー、お前の力はそんな物か!」

 

「ッ……」

 

シャドーの刀は速く、重い。それに対してスノーはどうにか氷の剣で応戦するものの、攻撃を捌くので手一杯と言った感じである。

 

「その程度で俺に勝とうと思っているのなら笑止!」

 

シャドーが刀による右斜上からの振り下ろしを行うとスノーは氷の刀で受け太刀するが、そのパワーの差を前にガクリと片膝を付く形となってしまう。

 

「く……ううっ……」

 

「今までは仲間と協力してようやく互角だったんだ。こうなる事くらいわかっていただろう?」

 

シャドーはそのままスノーを仕留めようと力を込める形でスノーの受け太刀ごと押し切ろうとする。

 

「ううっ……」

 

スノーが必死に耐えるために力を込めるが、抑えるので精一杯。そして、シャドーにはまだ余裕がある。

 

「ふん、ギリギリ止めているのが限界か。ならこれでどうだ!」

 

シャドーはスノーの剣に押し付けていた刀を引っ込めるとそのまま左脚で回し蹴り。スノーは堪らずそれをまともに受けると吹き飛ばされてしまう。

 

「ああっ!?」

 

スノーが吹き飛ばされて地面に叩きつけられる中、シャドーがすかさず踏み込んで追撃を仕掛けようとする。

 

「ッ、まだだよ!」

 

しかし、スノーもただやられっぱなしでいるつもりは無い。すかさず倒れたまま地面に手を当てると地面からシャドーの足元に氷の壁を生成。彼は下から上に押し上げられる形で宙を舞う。

 

「何……!?」

 

「やぁああっ!」

 

そこにすかさずスノーが立ち上がるとシャドーへと剣での突きを放つ。それでもシャドーはこれを読んでいたのかカウンターする形でスノーの突きを避けながら上段から刀でスノーの体を斬りつけた。

 

「がっ……」

 

「……むっ?」

 

その瞬間、スノーが痛みに顔を歪めたかとその姿が薄く溶けて消える。こうなった理由は勿論氷雪拳・雪ノ型の力だ。

 

「たぁああっ!」

 

シャドーが一瞬だけ見せた動揺の隙を突く形でスノーがもう一度手にした剣でシャドーを斬りつける。

 

「ッ……嘘!?」

 

しかし、スノーはその先の光景を見て驚いたような声を上げる。完全にシャドーの裏をかいて放ったはずの斬撃。それをシャドーは刀で受け止めていた。

 

よくよく見てみるとシャドーは二本の刀を持っており、先程幻のスノーを斬りつけた瞬間に彼が保険として刀を短い物二本分にして対応できるようにしたのだろう。

 

「惜しかったな。……お前はまだ詰めが甘い!」

 

「くっ……」

 

スノーはもう奥の手を用意してないのか悔しそうな顔になる。そして、シャドーはそのままスノーの剣を押し返すとそのまま二本の刀をクロスさせて斬撃波を放つ。

 

「ッ、きゃああっ!?」

 

スノーはシャドーからの斬撃波を今度こそまともに喰らって撃墜されてしまう。そして、この時の声を先程のサンライズが聞いたのだが……それはさておこう。

 

「う……ううっ……」

 

スノーは地面と激突して待っていた砂煙が消えると体の痛みに悶えていた。そこにシャドーが少し離れた場所へと降り立つとスノーを見下ろしつつ話しかける。

 

「キュアスノー、少しは強くなったが俺と対等に戦うにはまだ遠い」

 

「そんなの……わかってるよ。私があなたと比べて劣ってる事くらい」

 

「……だったら何故そこまでして戦う。俺のように戦いを求めているわけでは無い。むしろここまで手合わせしてわかったが、お前は戦いを好まないだろう」

 

スノーはそれを聞いて少しだけ止まってしまう。その時頭の中に浮かぶのは幼い頃に周りから受けた虐めの数々だ。そして、その時自分は一人で立ち向かう事ができなかった。人々の力になれる人になりたい。そう願って強くなったのに逆に周りから攻撃されて、他人と話すのが怖くなってしまった。

 

「……うん。だって私……あなたみたいに強くなる事を目的で戦いを選んだわけじゃない。プリキュアになれたのは運命かもしれないけど、それは私が誰かを助けたいって願ったからだよ」

 

スノーが痛みに耐えながら立ち上がると深呼吸。シャドーと正面から向き合う。対してシャドーはそんなスノーへと懐疑的な目を向ける。

 

「わからないな……。誰かを助けたいって気持ちで強くなる。少なくとも俺には理解できない」

 

「そっか……。多分今のままだと私もあなたもお互いの気持ちを全部理解するのは難しい。だけど、一つだけ確かな事はあるよ」

 

「ほう?なら言ってみろ」

 

シャドーはスノーへと興味深そうな視線を向ける。それを受けてスノーは手にしていた剣を消滅させた。

 

「私もあなたも自分の気持ちを通すには戦うしか無いって事」

 

「……ふっ、確かに……お前の言う通りだ。なら見せてみろ。そして、その想いを俺を相手にぶつけてみろ!」

 

シャドーがそう言うと同時にスノーの視界にサンライズが発したと思われる凄まじい炎の一部が映る。これはランボーグの桜吹雪からスカイ達を守るために使った物だ。そしてそれが示す事実はただ一つ。

 

「わかった。……サンライズも立ち直ってくれたし、ここからはもう遠慮無しだよ!」

 

「む?」

 

スノーが踏み込むとシャドーへと向かっていく。シャドーが手にした刀を振るおうとする。しかし、スノーがシャドーに近づききる前に手を翳して氷の礫を生成。それを射出した。

 

「ッ!?」

 

シャドーが咄嗟に刀でそれを斬り捨てて破壊。しかしそのタイミングでスノーはシャドーの懐に入ると拳を二発命中させる。

 

「ぐおっ!?」

 

「はあっ!」

 

そのままスノーが跳び上がりつつ無駄の無い動きで左後ろの回し蹴りをシャドーへ放つ。

 

「ッ!?」

 

シャドーは咄嗟に刀をクロスさせて防ぐ。しかし、そのパワーによって彼は後ろに吹き飛ばされる。

 

「お前……戦いの中で腕を上げたのか?」

 

シャドーは先程まで完全に押していたはずのスノーが更に強くなったように思えて困惑する。

 

「ううん。多分強さは変わってないよ。だけど、ちょっと戦い方を変えてみただけ。あなたの刀は確かに速いし一撃一撃が重くて強い。だから私もその対策を試してみただけ」

 

「なるほどな。やはり力で押してくるサンライズとは違う強さ。自信を取り戻すだけでここまで違うか」

 

シャドーはスノーが自分の対策をして先程以上の善戦を見せた事で心の中に嬉しさが湧き上がってきた。しかもスノーはサンライズが立ち直ったのを何となく感じており、その分の憂いが消えたという気持ちの余裕ができたのが大きい。

 

「ならばキュアスノー。お前が自信を取り戻し、俺を楽しませてくれたお礼だ。俺の持つ二つ目の奥義を見せてやろう。

 

「……?」

 

スノーはそれを聞いて警戒心を高める。奥義という事は少なくともシャドーブラッドムーンと同じくらいには強いという事だ。するとシャドーは背中に装着していた刀の鞘部分を外して手に取ると刀を鞘に仕舞う。

 

「(武器を仕舞った?ううん、多分これは、予備動作……)」

 

そしてスノーの予想した通りにシャドーが構えを取ると彼の背後に三日月のエフェクトが現れた。

 

「来る。だったら……」

 

スノーはシャドーの動きに合わせる形で自身の技を発動。吹雪の勢いで前に飛び出すと右脚によるボレーキックを放つ。

 

「ヒーローガール!スノーインパクト!」

 

対してシャドーは突如として姿を消すと突撃してくるスノーの目の前に姿を現す。

 

「えっ!?」

 

「ひろがる!シャドークレセントムーン!」

 

シャドーは居合斬りの要領で刀を抜き、スノーへと振り下ろす。そのためスノーは突然の事に慌てて脚を振り抜くとそれぞれの技がクロスカウンターする形で相手に命中。それによって爆発を引き起こすが、不意を突かれた分今回の技の撃ち合いはシャドーに分があったようで……。

 

「きゃあああっ!?」

 

スノーは地面に叩きつけられるとそのまま地面の上を引き摺られるように転がり校舎の壁に激突。

 

「ごふっ……」

 

対してシャドーも体にダメージこそ入っていたが、スノーの方が致命的な一撃を受けた事は明白。その証拠にシャドーは平然と立っていたが、スノーは壁に激突したダメージでグッタリしてしまうのだった。

 

「あ……うぅ……」

 

「どうだ?俺の一撃を受けた気分は」

 

「ッ……何で、今のを不意打ちにしなかったの……。瞬間移動するなら……背後から斬る事もできたのに」

 

スノーは先程のシャドーの動きを思い出しつつ、痛みの影響で弱々しくなった声で問いかける。

 

「お前の成長を認めた上で真正面から叩き潰す。それ以外に理由は無い」

 

「ッ……」

 

スノーはそれを受けて悔しそうな顔を浮かべた。未だにあるシャドーとの実力差は自分がちょっと戦い方を工夫した程度では埋まらない程に大きいという事実を思い知らされたからである。

 

その頃、サンライズ達の方ではランボーグを相手に三人が分散する形で走り回っていた。

 

「ぐぬぬ、ランボーグ。あんなチョロチョロ動いてる奴等、さっさと片付けるのねん!」

 

「ランボーグ!」

 

それに対してランボーグは両腕の桜の咲く枝から先程よりは小さい規模の桜吹雪を発生させて攻撃を仕掛ける。恐らく先程のような大出力を使うには両腕を合わせる必要があるのだろう。

 

「おいおい、どこ狙ってるんだよ。もっと真面目に狙ってみろ!」

 

「ラン!?ララ!」

 

しかし、ランボーグの攻撃は三人に対して中々命中しない。そのせいでランボーグは困惑したような様子を見せていた。

 

「おら、ボケっとするな!攻撃しろ!」

 

混乱するランボーグに対してカバトンは攻撃をするように指示。だがやはり当たらない物は当たらない。

 

「「はぁあああっ!」」

 

スカイは建物のちょっとした出っ張りなどを使ってパルクールをするように校舎の上に登っていき、プリズムも校舎の壁を駆け上がる。そして、ランボーグは後者の上の方に向かっていたスカイとプリズムに気を取られてしまっていた。

 

「ラ?ララ!?」

 

「俺への対応ができなくなってるぞ?」

 

「へ?」

 

そんなランボーグの死角を突く形でサンライズが飛び出すとその腕に炎を纏わせる。

 

「だぁああっ!」

 

サンライズからの一撃がランボーグに命中するとその体が発火して大ダメージを受けて吹き飛ばされるランボーグ。それを見たカバトンは唖然としていた。

 

「う、嘘ぉおん……」

 

「ランボーグ……」

 

「俺達三人のコンビネーションを甘く見てもらったら困る。スノーの事を待たせているんだ。良い加減決めさせてもらうぜ!」

 

サンライズが一気にトドメまで持って行こうとしたそんな時だった。カバトンは悔しそうにしつつこうなったらヤケクソだと言わんばかりに声を上げる。

 

「ぐぬぬ……こうなったらお前だけでも倒すのねん!ランボーグ!」

 

「ランボー……」

 

カバトンの言葉を聞いたランボーグは先程と同様に両腕を突き合わせるとフルパワーを解放。一気にプリキュアを叩くために渾身の一撃を放とうとする。

 

「良いぜ、さっきのリベンジだ!ひろがる!サンライズブレイク!」

 

「グー!!」

 

ランボーグからの強烈な桜吹雪とサンライズからの炎の拳が先程同様にぶつかり合う。そして、先程と同じであるなら結果も同じなのか……サンライズの方が少しずつ押されていく。

 

「「サンライズ!!」」

 

「にゃーっはっはっは!残念ながら何度やっても結果は……」

 

「まだ……だぁ……俺がそう何度もやられて……たまるかあっ!」

 

その瞬間、サンライズブレイクがランボーグの桜吹雪を少しずつ前進していくと爆発。二つの攻撃は相殺される事になる。

 

「なっ……」

 

「はぁ、はぁ……ざっとこんな物だぜ」

 

カバトンが唖然としてサンライズが先程のリベンジを果たしたと考える中、屋上から見ていたスカイが何かに気がつく。

 

「ッ!?サンライズ、後ろです!」

 

「は?後ろ……ッ!?」

 

スカイに言われてサンライズが振り返ると視界に映った光景を見て慌てたような顔になる。その視線の先、そこには校舎と校舎を繋ぎ、この中庭に出る事ができる渡り廊下があった。

 

そしてそこには何故かウキウキとした顔つきの軽井沢と慌てている様子の仲田、吉井がプリキュア達を見ている所である。

 

「わぁ……怪物がいるって聞いたからここに来てみたら本当にプリキュアがいた!」

 

「ちょっ、ちょっと軽井沢アンタ。危ないわよ」

 

「そうだって、怪物に見つかったらどうするの」

 

「平気平気。その時はプリキュアが助けてくれるって」

 

軽井沢は先程ひかるの話を聞いた際、プリキュアに会いたいという気持ちが今まで以上に高まっていた。そして、そんな彼の近くで怪物が暴れる=プリキュアと出会うチャンスがあるのならそれを逃すなんて考えは彼の辞書には無い。

 

そのせいで軽井沢は軽はずみな考えでこの戦いの現場にやってきており、それを止めようとした仲田と吉井がついてきた形である。

 

「皆さん、危ないです!」

 

「今すぐその場から逃げて!」

 

スカイとプリズムが慌てて三人に声をかけるとそのタイミングで先程サンライズとランボーグの技の撃ち合いの際に相殺し切れなかった分なのか……。桜吹雪の一部が小さなエネルギー波として三人の元に流れ弾のような形で飛んでしまう。

 

「ッ、ヤバっ!?」

 

「に、逃げないと……」

 

「で、でももう間に合わない」

 

そして、三人がプリキュアや軽井沢に気を取られたせいで桜吹雪の存在には気がつくのが遅れてしまっていた。

 

「しまった!?」

 

「ッ……」

 

そして攻撃を相殺したサンライズやシャドーにやられて倒れているスノーも気がつくものの、反応が遅れたせいでもう間に合わない。更にスカイやプリズムは校舎の屋上にいるため、動き出しても絶対に間に合わない。

 

「「「ッ!?」」」

 

そのまま三人が桜吹雪を受けてしまう……そんな時だった。突如としてスノーにトドメを刺せる状況だったシャドーが凄まじいスピードで動き出す。

 

「えっ……」

 

「ぬん!」

 

そして、スノーは何故かシャドーが動いた事に困惑。彼女がその理由を知る前にシャドーは三人の事を助ける形で桜吹雪を長い一振り状態の刀で受け止めて真っ二つに斬り裂くのだった。




また次回もお楽しみに。
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