サンライズとランボーグの攻撃が相殺する前後ぐらいに戦いの現場付近に来てしまった仲田、吉井、軽井沢。その三人の元に桜吹雪が流れ弾として飛んでいってしまう。そして、逃げ遅れた三人を助けたのはまさかのシャドーだった。
「「「「えっ!?」」」」
「はぁ!?」
プリキュア達が何故かシャドーが三人を助けた事に驚きの声を上げると仲間であるカバトンも唖然としてしまう。そして、シャドーが三人の方を振り返ると声をかけた。
「戦う力の無い一般人は早く去れ。今みたいに巻き込まれて死にたく無いのならな」
「ッ……」
「は、はい!」
三人は慌ててその場から逃げるように避難する。その際、シャドーへとお礼を言いたかったが言う事ができなかった。何しろ、彼の鋭い目で見られてしまったために三人共彼への恐怖心が勝ってしまったからである。
「シャドー、お前何で……」
「別に……戦いの邪魔になるくらいならさっさとここからいなくなってもらった方がマシなだけだ」
シャドーはそう言うものの、いなくなってもらうだけなら別に今の攻撃を止める必要性は無い。むしろ、止めない方が良かったまである。スノー達はそんなシャドーの矛盾した言動に違和感を覚えていた。
「ぐぬぬ、シャドーの奴め。あんな脇役共なんて放っておいてキュアスノーを倒せば良かったものを……。ランボーグ、シャドーは役に立たないのねん!今度こそキュアサンライズを……」
カバトンは今のシャドーは信用できないと言わんばかりにランボーグにプリキュアへの攻撃を指示。しかし、それよりも前に屋上にいた二人のプリキュアが動き出していた。
「これ以上はさせないよ!たあっ!」
まずはプリズムが二発程気弾を放つとそれは攻撃しようとしていたランボーグの頭部へと命中。咲いていた桜の花がそれによって一部散ると花弁が空を舞い踊る。
「ラン!?」
「だぁああっ!」
そして、ランボーグがそれに驚いている間にすかさずスカイが飛び出すと拳を繰り出してランボーグへと一撃が命中。
「ラァアアッ!?」
「えっ、ちょっと……何でこっちに!?」
ランボーグはスカイからの強烈な一撃を受けたせいで後ろに倒れ始める。そしてその先にはカバトンがおり、彼はいきなり倒れかかってきたランボーグを見て動揺。慌てて逃げ出そうとするがそれも間に合わずに押し潰されてしまう。
「ぐぇええっ!?重いぃいっ、何トン!?」
カバトンはランボーグの重さに悲鳴を上げる。そのため早くランボーグに退いてほしかったが、ランボーグはダメージの影響で目を回しているためにすぐに移動するのは難しそうだった。
「私達の学校で」
「あなたの好きにはさせません!」
スカイとプリズムがその間に地上へと降り立つとカバトンへとそう言い放つ。カバトンはこのままだと不味いと考えて慌てて抜け出そうともがいた。
「このままじゃ不味い。早く退けなのねん!」
カバトンはそう言ってもランボーグが倒れたまま動いてくれないために自力で無理矢理ランボーグの下から抜け出す。
そんな中でサンライズは倒れていたスノーへと手を差し出していた。それを見てスノーは少し驚いたような顔になる。
「スノー、立てるか?」
「えっ……あ、うん。ありがと」
スノーはサンライズに引っ張ってもらう形で立ち上がると彼はホッとしたような顔つきを見せる。
「スノー、俺達で決めるぞ」
「うん。一緒にやろ!」
スノーとサンライズはそのままの流れで合体技を発動。スカイミラージュにスカイトーンを装填。二人で手を繋ぐとスカイミラージュから飛び出していた炎と吹雪が二人へと吸収される。
「サンライズフレイム!」
「スノーアイス!」
そのまま二人の体へと赤と白の神秘的なオーラが発生。それぞれが掛け声を言いつつ繋いだ手を強く握りしめる。
「二つのプリキュアの魂が!」
「闇の僕達を打ち砕く!」
最後に二人が手を正面に翳す形で体に高めておいたエネルギーを一気に解き放つ。
「「プリキュア!エレメントスクリュー!」」
二人から放出された炎と氷のエネルギー波は螺旋状に混ざり合い相乗効果で強力なエネルギー波へと進化。ランボーグを浄化するために飛んでいく。
「スミキッタァ〜」
そして、炎と氷のエネルギーの奔流をまともに受けたランボーグの体は浄化されるとそのまま元の桜の木へと戻る事になるのであった。
「ああ……また負けたのねん!カバトントン!」
カバトンはランボーグが負けてしまったためにどうする事もできずに撤退。シャドーもそれを見届けると溜め息を吐いた。
「はぁ……やはり最後にはこうなるのか」
「後はあなただけです。シャドー!」
その時、スカイが未だに撤退しないシャドーに声を上げるとそこに他の三人のプリキュアも合流。ただ、それでもシャドーは手にした刀を仕舞おうとしなかった。
「ふん、四人がかりか。……良いだろう」
「えっ……もしかしてこのままやるの?」
プリズムが四対一ならシャドーでも流石に退いてくれると思っていた。何なら今までだったら退いてくれたはずである。
「む?何を当たり前の事を言っている。当然やるに決まっているだろ」
「ええっ!?」
プリズムはまさかの戦闘続行宣言に唖然としていた。シャドーとしては四人が相手だとしても勝てると思っているらしい。
「確かにシャドーは私達二人で戦ってた時も余裕だったけど……」
「ッ、コイツ。もしかして本気を出すつもりじゃ」
四人相手となると流石にシャドーも手を抜かずに勝つのは無理だろう。そのため、彼がとうとう本気を出すつもりになったのかと四人は身構える。
「せいぜい楽しませてく……ぐっ!?」
シャドーが攻撃開始のために構えた瞬間。突如として彼が一瞬だけ揺らぐとその体に異変が起き始める。
「うぐ……な、なんだこれは……」
「……え?」
「アイツ、なんか様子がおかしいぞ」
プリキュア達が先程までやる気だったシャドーがいきなり苦しむような声を出した事で困惑。するとシャドーの脳裏に何かの映像が映った。
その映像に浮かんだのはスカイランドに似たような雰囲気のとある街中。一人の少女がプリキュアのような衣装を着た状態で傷ついており、その周りには様々な形をした量産型のランボーグが囲んでいた。
“やっぱり……私なんかには無理なのかな……”
少女は悔しそうな声色で小さく弱音を吐く。するとそのタイミングで周囲にいたランボーグは次々と浄化されて消えていく。
そしてそんな彼女の周囲に降り立ったのは赤、白、ミントグリーン、紫の衣装に身を包んだ四人のプリキュア達。その中の二人、赤と白のプリキュアは紛れもなく先代プリキュアであるキュアバーニングサンとキュアブリザードであった。
“ッ……”
四人のプリキュアは自分を励ますかのように微笑むと手を差し伸べる。それから黄色い衣装のプリキュアは一緒に立ち上がり、再び目の前のランボーグ達に立ち向かうのだった。
そしてシャドーの中に浮かんだ映像は終わり、彼は困惑したような顔で呟く。
「この光景……まさか……うぐっ……俺は、プリキュアなのか?」
「「「「え!?」」」」
四人は思わずシャドーの発言に驚いて顔を見合わせる。まさかシャドーの口から自分がプリキュアだという事を言い出すとは思わなかったからだ。
そして、当のシャドーはこうなってしまうと戦いをする所の気分では無くなると手にしていた刀を落としてしまう。
「嘘だ……俺は、俺はシャドー。孤独に戦いを追い求める者だ……そんな俺なプリキュアで仲間がいるなんて……あり得ない!!」
シャドーはそのまま狂ったように頭を抱えて発狂。そして、暫くしてからどうにか落ち着いたのかプリキュア達をギロリと睨んだ。
「クソッ……興が醒めた……。今回はこの辺にしてやる」
そう言ってもシャドーは撤退。ただ、どうも彼の様子がおかしかった事に四人のプリキュアは疑問に思う。
「行ってしまいましたね……」
「だけど、さっきの話……本当なのかな?」
スカイが唖然とした様子で彼を見送る中、プリズムはふと先程のシャドーの発言を指摘する。
「シャドーがプリキュアだったって事かな……」
「ですが、今の彼はプリキュアとは程遠いですよ?そもそもプリキュアになるには私達と同じようにミラージュペンとかを使うはずですし」
「いや、でも技名言う時に俺と一緒で“ひろがる”って言ってるんだよな……。それにほら。ブラック達みたいに俺達とは違うアイテムで変身してる事もあり得るだろ」
サンライズの発言に四人は成程と頷く。いずれにせよ、謎に包まれたシャドーの正体に関してはまた後々ゆっくりできる時に話をしないといけないと感じる事になる。
「ひとまず、皆さんが心配してるでしょうから戻りましょうか」
「あっ、そっか。私達勝手に教室を飛び出しちゃったもんね」
「というかこれ、お昼ご飯食べる時間残ってるかな……」
「「「あっ………」」」
三人がサンライズからの指摘に一瞬唖然としてからその事実に気がつく。そして、慌てて時計を見るともう昼休みが終わってしまいそうだった。
「い、急いで戻りましょう!」
「このままじゃご飯もあまり食べられないまま終わっちゃう!」
こうして、四人のプリキュアは変身解除してから急いで教室へと戻っていく事になる。
そして、そんな時。先程のシャドーの話に対して呼応するかのようにユキとアサヒの持つスカイトーンが密かにチカチカと光を放つのであった。
それから時間が経過して夕陽が照らし、オレンジ色の空になった放課後。
学校が終わって下校の時間となると校門付近ではこの学校の生徒達が家に帰るために生徒達が沢山行き交っていた。尚、先程戦っていた光景は他の複数の生徒達バッチリ見られていたようで。昼休み以降、学校の生徒達の中では特にプリキュアが自分達の学校を助けに来てくれたという話題が広まっている所である。
「さっきの何だったんだろ?怖かった〜」
「でもあのヒーローさん達……カッコ良かったね!」
「うん!」
そんな生徒達の噂話はさておき。四人は先程の桜の木の下に来て話をしていた。勿論話題は今日の学校についてである。
「転校初日、色々ありすぎてあっという間に終わってしまいました!」
「あはは。色々あったけど、終わり良ければ全て良しだよ」
この一日の中で沢山イベントやアクシデントが起きた。ましろはそれらに振り回されたものの、それでもこうして笑顔で一日を終われたのならそれで十分だと考えている。ただ、アサヒはまだ一つ解決してない事があるようでユキへと申し訳なさそうに話しかけた。
「……ユキ」
「うん?アサヒ君、どうしたの?」
「その……さっきはごめん。俺が一人で突っ走ったばかりにユキに気を使わせて……」
ユキはアサヒからの話を聞いてキョトンとした顔をしていたが、すぐに何の事か思い至ると優しい笑顔を向けつつ答えを返す。
「気にしなくて大丈夫だよ。……私だって前に同じような状態だったんだしお互い様。むしろ、今日は背中を押してくれてありがと。アサヒ君がいなかったらきっと皆と話せるようになったのはもっと先の事だと思うから」
「ッ……」
するとユキから笑顔を向けられたアサヒはまた胸がドキッとする。そして同時に先程何故突っ走ったかの理由を改めて思い出すと恥ずかしさでいっぱいになった。
「(ゆ、ユキにだけは俺が勝手に突っ走った理由……内緒にしておこう。そうしないと、流石に恥ずかしいしユキに嫌われそう……)」
「アサヒ君?」
「い、いや。何でもない!!」
「?」
ユキはアサヒが誤魔化したのを見て気になったが、変に勘繰る必要性も無いと考え、それ以上は聞かない事に。するとそんな四人に声がかけられた。
「お、いたいた!ヒーローガール!」
「ソラちゃん、ましろん!」
「虹ヶ丘にユキさんも!」
「一緒に帰ろー!」
そこにいたのはひかる、仲田、吉井、軽井沢の四人。今日は皆で一緒に帰るという事でユキとソラは嬉しそうに顔を見合わせると頷いて四人の元に行く。
「はい、今行きますね!」
「私も一緒に帰りたいと思ってたんだ!」
「ふふっ、もう二人ともすっかりクラスメイトと馴染んだね」
そして、ユキが幸せそうな顔をして友達の所に行くのを見たアサヒは先程まで収まっていたはずの胸がモヤモヤがどうしても再発してしまう。アサヒはユキ、ソラ、ましろの三人がひかる達の元に歩いていくのを見る間に今自分が感じている感情が何なのか。その答えに思い至った。
「(あぁ……そうか……。俺がこんなにもモヤモヤするのって、俺がユキの事を……異性として好きになったからだ)」
アサヒは自分がユキに恋してしまうのを感じて頬を僅かに赤くしてしまう。そんな時、ユキは一人だけ未だに来ないアサヒへと声をかけた。
「アサヒ君、早く来ないと置いて行っちゃうよ〜」
「ッ……」
アサヒはユキからそう言われて思わずまた胸がドキッと高鳴る。そして、直後に彼は胸が撃ち抜かれるような感覚と共にドクンドクンと心臓が早く鼓動を打つ。
「あ、ああ……今行く」
どうにかアサヒは平然と答えを返すが夕陽によって照らされていたからか、ユキの笑顔はいつも以上に輝いていた。そして、アサヒは彼女の美しさに魅了されてしまう。
「(……ユキ、お前は嫌がるかもしれないけど……俺、ユキの事が好きになっちゃった……。いつか、ユキにこの気持ちを絶対に伝えるからな。待っててくれ)」
こうして、アサヒはユキへの気持ちを自覚するとその胸の内に彼女への想いを強める事になる。
その頃、スカイトーンの中。そこではユキとアサヒが割と近くにいる影響か、惹かれ合うようにして先代のプリキュアであるキュアブリザードとキュアバーニングサンが出会う。
「バーニングサン、シャドーの中からあの子の気配……感じた?」
「ええ……どうやらあの子がやっと目覚めてくれたようね」
どうやら二人はシャドーが先程混乱していた際に彼の中に眠っていた何かの気配を察知したらしい。ただ、二人はその気配の主に対して心配している様子だった。
「……だけど、まだ完全に表には出て来れなさそう」
「うん。確かあの子、私達五人の中で一番気弱だったから」
二人は自分達がプリキュアとして降り立った頃……つまり、昔の記憶をその脳裏に浮かべる。
「今はあの子を信じましょう」
「そうね、キュアルーセントムーンを……」
二人は何故かシャドーの中に存在すると思われる三人目の先代プリキュア。キュアルーセントムーンが無事である事を祈りつつ今は見守る事を決めるのだった。
今回ラストで先代プリキュア三人目であるキュアルーセントムーンの名前が出ましたので改めてCVを表記しておきます。
キュアルーセントムーン……会沢紗弥さん
それではアニメ7話分のリメイクが終わったので次回からはアニメ8話です。また次回も楽しみにしてください。