熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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楽しいショッピング ソラの憧れ

ユキとアサヒが会話をしているその時、ましろはヨヨからお金の入った財布を受け取っていた。

 

「これでユキさんやソラさんの服を。それに、昨日お願いしていた物も忘れずに買ってきて頂戴ね」

 

昨日はアサヒとましろの二人でのお出かけだったが、カバトン及びランボーグの襲撃のせいでまともに買い物をできずに戻ってきてしまったのだ。今日の買い物は改めて買いに行くという意味も入っているのだろう。

 

「うん!ローズオイルにシナモンスティック。あと干したカエルだっけ?……前二つはともかく干したカエルなんて何に使うの?」

 

ましろはそうやって疑問が浮かんだ顔つきでヨヨへと質問する。正直干したカエルに関しては使うための用途がよくわからないのも仕方のない事だろう。

 

「ふふっ。……お買い物の間、この子の面倒は私が見ておくわね」

 

ヨヨはましろの質問には答えずに笑って誤魔化すと買い物中はエルの面倒を見ておくと言った。勿論それにユキやソラはヨヨに悪いと思うわけで。

 

「え?でも……」

 

「そんな、家を貸してもらってるのにこれ以上なんて……」

 

「心配しなくても大丈夫よ」

 

「える!」

 

ヨヨの言葉に同調するかのようにエルも彼女の腕の中で嬉しそうに返事をする。どうやら、エルがヨヨに懐かない問題は起きなさそうだった。

 

「ふふっ、言い子でお留守番できますか?エルちゃん」

 

「ヨヨさんに迷惑をかけたらダメだからね」

 

「えるぅ!」

 

ソラやユキはそれぞれ少ししゃがんでエルの目線になり、彼女へと優しく語りかける。そんな中、ましろは聞き慣れない単語が聞こえてきたために改めて言及した。

 

「エルちゃん?……あ、そっか。本当の名前がわからないからね」

 

「“える”って言葉を頻繁に話すから“エルちゃん”か。ちょっと安直な気はするけど、それが一番わかりやすそうな付け方だし、可愛い名前だから良いか」

 

「エルちゃん、ヨヨさんの所にいたら安心だからね」

 

「える!」

 

そんな風に四人が話をしているとヨヨはキョトンとしたような顔つきを見せる。それは、ここまでどんな事があっても動揺しなかったヨヨが始めて動揺に近い感情にも見えた。

 

「……ヨヨさん?どうかしました?」

 

「いいえ、素敵な名前って思っただけよ。さ、いってらっしゃい」

 

「「「「はい!」」」」

 

それからユキ達は早速買い物に行くために準備を終えると出かけていく。暫く歩いて街に入ると昨日の怪物の話になった。

 

「そういえば、昨日襲ってきた奴。……えっと……ザブトンだっけ?カツドンだっけ?」

 

「違う違う。ワシントンだから」

 

「大体そんな名前だったと思います」

 

「……あれ?皆、アイツの名前を間違って覚えてない?確かカバトンだった気が……」

 

三人共カバトンの名前について議論するが、揃いも揃って間違えた覚え方をしている。そのため、ユキが三人に苦笑いして訂正。しかし彼の名前などどうでも良いのかましろは話を続ける事にした。

 

「まだその辺にいたりするのかな?バッタリ出くわしたらどうしよう……」

 

「その時は私が追い払います!」

 

「ごめんね、私達が弱いせいで……」

 

「プリキュアの力があれば大丈夫ですよ!」

 

「それは頼もしいな」

 

「ですから安心して私に任せて……うわぁっ!?」

 

ソラがプリキュアの力を得て強くなったから自分に任せて欲しいと言った。しかし、直後に前から通りすがる人の持つスマホの着信音が鳴り響くとソラは驚いて構えてしまう。

 

そしてそんな風にこの世界の機械に驚いたソラを見てましろは苦笑いしつつ彼女へと聞いた。

 

「……任せちゃって大丈夫かな?」

 

「ソラちゃん、流石に今ので驚いてたら……」

 

尚、ユキは割と冷静で平気そうにしていた。ユキも初めて聞いたスマホの着信音に驚かなかったというわけでは無い。しかし、ユキはあくまで冷静な顔つきのまま、ソラみたいなリアクションも取ってない所から見て彼女の落ち着きが見られる。

 

「うぅ……。取り乱しました……例え火の中、水の中、どこにいてもヒーローは冷静沈着でなければなりません!この世界の機械に驚くのはこれが最後です!ふん!」

 

「先が思いやられるなぁ……」

 

ソラは鼻息が出るほどに張り切った様子であるものの、他の三人は苦笑いする事になる。特にアサヒは口に出る程にソラの頼りなさを溢すのだった。

 

それから三人は程なくして今回の目的地、ソラシドモールに到着。早速四人が中に入るとスカイランドからやってきたユキやソラにとっては初めての光景が沢山広がっていた。

 

「何ですか!?た、建物の中に市場が……」

 

「な、何これ!?私達の世界にこんな一つの建物内に市場が何段も重なるような場所なんて無いよ!」

 

「ショッピングモールだからこれは当たり前だよ」

 

「「しょっぴんぐもーる……?」」

 

「早く買い物を済ませるから行くぞ」

 

ユキとソラは初めてのショッピングモールに困惑するとそんな二人をましろとアサヒは二人に行くように促す。それから一同は上の階に行くためにエスカレーターへ。ただ、それを見たスカイランド組の二人はまた驚きの声を上げる事に。

 

「か、階段が動いてる!?」

 

「こんな動く階段なんて知らないよ!?」

 

「おーい」

 

「………」

 

アサヒとましろはさっさと乗って上に行ってしまうとそんな中でもソラとユキは動く階段ことエスカレーターを警戒。

 

ただ、いつまでも下にいると置いていかれるので手を繋いで恐る恐る乗って移動。二人がモタモタしている間に上にいるアサヒ、ましろコンビは目的の店を探すべく案内用のロボットに話しかけていた。

 

『いらっしゃいませ』

 

「プッパー君。洋服売り場って何階だったっけ?」

 

ましろが聞いているのはユキやソラの服を買うためのお店である。ただ、ソラにとって見たらこのロボットはいきなり近寄ってきた怪しい存在なわけで。慌てて先に話をしていたアサヒやましろとロボットの間に割って入ると両手を広げた。

 

「に、人形が喋ってる!?お二人共、離れてください!これは何だか怪しげです!」

 

「え、えっと。どっちかというと私達の方が怪しげかな……」

 

「ソラちゃん、凄い敏感……。でもこんな事してたら目立っちゃうし、流石に恥ずかしいよ……」

 

「ソラさん……頼むからこれ以上不審に思われるような事をしないでくれ……」

 

ましろは苦笑いしながら答え、ユキはソラの奇行に恥ずかしがるとアサヒは呆れ果ててしまう。

 

その後、アサヒとましろの二人はユキとソラにこのロボットについて説明をしてから再度場所を聞く。更に四人は移動して服を売っているお店に到着。それからレディースのエリアに入ると二人の服を選ぶ事になる。

 

「ふーむ、どっちのジャージにするべきでしょうか」

 

「ジャージ以外の選択肢があっても良いんじゃないかな?」

 

「はっ……。その考えはありませんでした!」

 

「無かったんだ……」

 

「ソラ、この感じだとファッションには大分疎いみたいだな」

 

そんなやり取りがあった後にソラは神妙な面持ちになるとましろへと話しかける。

 

「……ましろさん、アサヒ君。お願いがあります。……私の服を選んでもらえませんか?どんな服が良いかわからなくて……」

 

ソラのその声は本当にどの服を選ぶのが正解かわからずに困り果てたような物だった。そのため、ましろが微笑むとそれに答えを返す。

 

「うん!任せて!」

 

「とは言っても俺の方は女の子の衣装には疎いからなぁ……。ここはましろに任せるよ」

 

「それじゃあ、ついでにユキちゃんの服も見よっか」

 

「……え?」

 

ユキはましろからの言葉に唖然とする。ユキは最初、自分で選ぼうとしたのだが、その意見を聞いてもらう前に彼女はましろに連れて行かれてしまうのだった。

 

「ヒーローになるには、どうすれば良いんだろう。小さい事からその事ばかり考えてきて……。服の事まで気が回らなくて……」

 

「ソラちゃんに足りない事は大体私が覚えたんだけど……。実際にソラちゃんに教えられるタイミングが無くて……」

 

それを聞いてアサヒやましろは首を傾げる。毎日家で一緒に過ごしてるのなら幾らでも時間はあるのだ。現に、トレーニングの事に関しては二人は確実に情報を共有できているのである。

 

「ユキちゃん。教えられるタイミングが無いってどういう事?」

 

「………ごめんね。それは……」

 

ユキはそれと同時に脳裏に嫌な事を浮かべると顔が明らかに悪くなったように青くなり始めた。それを見てアサヒは慌ててユキにその想像を止めさせる。

 

「ユキ、嫌な事思い出してるだろ。……ユキが苦しむくらいなら言わなくて大丈夫だから」

 

「うん……」

 

それからユキとソラの二人はアサヒやましろのプロデュースの元、色んな服を着せられる事に。ボーイッシュな物からお姫様のような物、ゴスロリにワンピース、クラシックと言ったように様々なジャンルの服を試着した。そんな中でユキの方は毎回恥ずかしがりながら服を着ているので、かなり精神をすり減らしているように見える。

 

「はぅう……ましろちゃん、そろそろ終わりにしない?恥ずかしすぎるよ……」

 

「まだダメだよ。あとこれとこれと、これと……」

 

「ましろちゃんは私にあと何着分着せるつもりなの!?」

 

「でもこれからユキが人前で着る服だぞ?選択肢は多い方が良いだろ」

 

「うぅ、でも多すぎだよ。もうソラちゃんの倍は着替えてるし……」

 

ユキはそう言って顔を真っ赤に染める。ユキは小柄な事もあって可愛い服が良く似合う。そのため、ましろが次から次へとキリが無いくらいに可愛い服を持ってくるのだ。

 

「でもユキちゃんは可愛いし、どの服も凄く似合ってるよ」

 

ましろに褒められたユキだったが、それを聞いて急に落ち込んだように俯いてしまう。

 

「……そんな事ない。私なんか可愛く無いよ。それに、そんな私がどんな服を着たって可愛くなんかなれないから……」

 

ユキは自信なさげにそういうとアサヒがそんなユキに何かを思ったのか、彼女の肩にポンと手を置くとそれを否定した。

 

「いや、ユキは可愛いよ。その白い髪は綺麗だし目だってつぶらで可愛い。それにユキは心が綺麗だから何を着ても輝けるよ」

 

「ふえっ!?え?え?本気で言ってるの……?それ?」

 

「当たり前だろ?むしろ本気じゃなかったら相手に失礼だろ」

 

「ふぇええ……」

 

アサヒからの褒めちぎりにユキは恥ずかしさで悶絶。暑さで顔から湯気を出すとソラの後ろに思わず隠れてしまう。

 

「ユキ!?」

 

「そういえばさ、朝からずっと思ったんだけど……」

 

「何だよましろ」

 

「アサヒ、何でユキちゃんの事呼び捨てするようになったの?」

 

「……あ」

 

どうやら本人も無自覚のうちにユキの事を呼び捨てするようになってしまったらしい。そのため、アサヒは失礼な事をしてしまったとユキへと謝る。

 

「ごめんユキさん……。いきなり呼び捨てしちゃって……」

 

「うえっ!?べ、別に大丈夫……だよ。むしろ、呼び捨てにしてくれた方が……良いよ」

 

ユキはソラの後ろで恥ずかしそうにしつつ、アサヒへと呼び捨てを公認した。

 

それから暫くして。ソラとユキの試着が終わり、ソラの方がましろが決定。ユキは試着しまくった中で自分が一番気に入った物を選んだ。

 

服装としては、ソラの方は青や白を基調としたツートンカラーの長袖に青いスカート。ユキの方は両肩に白のリボンが付いた水色のシャツに青いラインが入った白いスカート、青い靴を履いたオシャレな服装だ。

 

「ユキ、やっぱり似合ってるし可愛いよ」

 

「アサヒ君……あ、ありがとう」

 

「それにしてもユキちゃんのセンス良いね!」

 

「昔からユキさん、服を選ぶのは得意でしたから」

 

ソラがユキを自慢するようにそう言い、四人はそれからヨヨから頼まれていた買い物を済ませた上でソラシドモールの外に出ると町中に置いてあるベンチで休憩することになった。

 

「私の方も似合ってますか?」

 

「似合ってる!」

 

「本当ですか?」

 

「本当だよ」

 

ソラの方も服が似合っており、四人は改めて雑談をする事にした。最初に口を開いたのはましろである。

 

「ねぇソラちゃん、聞いても良い?」

 

「何ですか?ましろさん」

 

「ソラちゃんはどうしてそんなにまでしてヒーローになりたいと思ったの?」

 

「そういや俺も気になってたな。ヒーローを目指す理由。何か特別な事でもあったのか?」

 

ましろの質問にアサヒも同調。二人共その点に関しては気になっていたようでソラへと聞く事になる。するとソラは一度ユキの方へ視線を向けた。その瞬間ユキは再び血の気の引いた顔つきになると怯えるように体を震わせる。

 

「大丈夫ですよユキさん、あのことは話しませんから」

 

「「あのこと……?」」

 

ましろとアサヒはソラの言葉に首を傾げつつ呟く。ユキの反応を見るとそれは彼女にとって触れられたくない話題だと察したのだ。

 

「……最初に私がヒーローになりたいと思ったのは本物のヒーローを見てしまったからでしょうか……」

 

ソラとユキの二人は小さい頃に入ってはいけないという禁断の森へ足を踏み込んだ。そのせいでそこに生息する怪植物に襲われそうになってしまう。二人の心は恐怖で支配されて無いてしまった。そんな時、一人の女性が駆け付けると二人の窮地を救ったのだ。その日からソラはその憧れの人のようなヒーローになるために日々鍛錬を重ねた。そして、理想とするヒーロー像を模索しながら“私のヒーロー手帳”に書いてきたというわけだ。

 

ユキもそのトレーニングに参加する形で同じように強くなったのである。

 

「あの手帳、そんなに大切な物だったんだ……」

 

ソラの手帳は無惨にもカバトンに破り捨てられてしまったのだ。彼女がずっと書き連ねてきた手帳はヒーローへの思いが込められた大事な物と言える。ソラもそれを思い出して暗い顔を浮かべた。

 

「私のせいで……私に力が無いせいでソラちゃんの大切な物を……失わせてごめんなさい」

 

ユキはソラに頭を下げると涙を目に浮かべて謝った。友達の大切な物を守れなかったことが悔しくて仕方ないのである。落ち込んだ顔つきのユキを見てるとソラは慌てて慰めた。

 

「謝らないでくださいユキさん。ユキさんは何も悪くないです……」

 

「違う……私が悪いの!だって私がもっと強ければ、手帳だけじゃなくて……ソラちゃんや皆だって……ちゃんと守れたのに」

 

ユキは堪えきれず涙を流しながら嗚咽を漏らす。ソラはそんなユキを優しく抱きしめて背中をさすった。

 

「泣かないでユキちゃん……ユキちゃんは何にも悪くないから!」

 

「ましろの言う通りだ。それにユキだって体張って俺たちを助けようとしてくれたのに……俺達を守ってくれようとした。ユキは凄く頑張ってる。だから自分を責める必要なんてない」

 

アサヒやましろもユキを慰めに回るとユキはその温かさに心を癒される事になる。

 

「悪いのは手帳を破って捨てたワシントンだ。アイツ、次に会ったら……」

 

「た、助けてくれーっ!?」

 

アサヒがそこまで言った所で突如として悲鳴が聞こえてきた。四人が振り向くとそこには道路を挟んで反対側にあるハンバーガーショップの店長が悲鳴を上げている。その後ろには大量のハンバーガーをぶんどったカバトンがいた。

 

「にゃーっはっはっはぁ!それでは早速、いっただきまーす!」

 

カバトンは手にしていた大量のハンバーガーを頬張るとあっという間に食べ尽くしてしまう。

 

「美味ぇ!パワーが漲ってくるのねん!これだけ食べれば……あん?」

 

カバトンが反対側を見ると唖然としたような顔つきになるが、すぐにそこにいるのがユキ達四人だと気がつく。

 

「……お、お前ら!」

 

「ざ、ザブトン!?」

 

「座布団じゃ無いのねん!カ・バ・ト・ン!」

 

ましろの言葉にユキは思い切り滑る。先程カバトンだと言ったはずなのにわかっていない様子だったからだ。

 

「カバトン……で良いよね?」

 

「そうなのねん!何でそこの脇役は俺の名前を言い間違えるのねん!」

 

「そんな事より、性懲りも無くまた悪い事を……許しませんよ!カツドン!」

 

「そうだ!お前なんか今度はボッコボコにしてやるよ!ワシントン!」

 

「えぇっ!?」

 

「カバトンだって言ってんだろ。わざとか!というか、脇役ボーイの方はどっかの国の首都みたいな名前にしやがって!」

 

「むしろその方が覚えてもらえるだろ!それともスケルトンって言った方が良いか?」

 

「スケルトンって、勝手に骨だけにするななのねん!」

 

アサヒに煽り気味の言葉を言われて更に苛立つカバトン。ユキはこれはどうしようもないとばかりに半ば諦めてしまう。そしてカバトンは名前弄りを受けすぎて完全にキレた様子あった。

 

「えぇい!あのガキンチョはどこだ!」

 

「なっ!?まだエルちゃんの事を諦めていないんですか!?」

 

ソラは三人の前に出ると構えを取る。カバトンからは拳を握りしめてソラへの、キュアスカイへのリベンジに燃えた。

 

「ふっ、まぁ良い。昨日のお礼をするのが先だ!ボッコボコにした後、ネッチネチと聞き出してやるのねん!カモン!アンダーグエナジー!」

 

カバトンが手を地面に置くと昨日と同じように地面から黒いエネルギーが湧き上がる、そしてそれが近くにあった自販機の中に吸い込まれていき、昨日の怪物と同じようにランボーグとして変化。降臨した。

 

「ランボーグ!」

 

「昨日の奴とはまた違う!?」

 

「昨日は初見だったから遅れを取ったが、今回こそ覚悟するのねん!」

 

カバトンからの言葉に四人は気を引き締める。そして、これから起きるであろう戦いに備えるのであった。




また次回もお楽しみに。
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