熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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今回からアニメ8話分の話となります。それではどうぞ!


二人の少年 アサヒとソラが見た謎現象 旧・鳥になれる少年とその正体(パート1)

ある日の昼間。ユキとソラが初めて学校に行ってから暫くの時が経った。その間の学校生活は順調と言える程に平穏であり、ユキもソラもクラスメイトと仲良くする形でどんどん馴染んでいる。目立ったトラブルも起こらず、ユキは自分でできる範囲で人助けを率先して行っていた。

 

また、ソラも喧嘩の仲裁などでクラス内で真面目なヒーローガールの立ち位置を確立。正に順風満帆と言えるのものだった。ただ、この日は学校が無い休みの日である。そのため、ユキ達中学生組は家の中にいた。

 

「「………」」

 

そんな休みの日の虹ヶ丘家。その屋根の上には何故かそこでよく見る二羽の小さな鳥が並んで空を見上げていた。その姿だが、二匹共丸っこい体に小さめな羽。頭にはクルンと巻かれた鶏冠のような物があり、その可愛らしい容姿が特徴的である。

 

ここからはそれぞれの特徴だが、オレンジ色の鳥の方は首元に赤いネクタイのような物があり、鶏冠は茶色でお腹はベージュであった。白い鳥の方はネックレスのようなちょっと細めな首周りに真ん中にリングのような物がある。また、鶏冠やお腹の辺りはミントグリーンで少し中性的な雰囲気を与えた。

 

「「………」」

 

すると二羽の鳥は家の中から聞こえてくる声を聞いて別々の方向を向く。それから二人が別れて動き始めた。一方、オレンジの鳥が向かった際のソラの部屋の中ではエルがそこをはいはいしながら移動中である。

 

「えるえるえるぅ!」

 

エルは少し前からはいはいができるようになっていたわけだが、もうこの頃には慣れてきたのかその速度もある程度上がっていた。そんな彼女が部屋の中を移動すると偶々ソラのベッドの上にあった赤ちゃん用の玩具を取りたいと思ったのか。ソラのベッドを使って掴まり立ちをしようとする。

 

「えるぅ……」

 

しかし、はいはいが上手くなっても今の彼女はつい最近掴まり立ちをやり始めたばかり。つまり、まだ上手く掴まり立ちをする事ができないのだ。そのため、バランスを崩して後ろに倒れそうになってしまう。

 

「える!?」

 

エルはまだ足腰が弱いためにこうなった時に踏ん張って持ち直す事はできない。そのためこのままでは背中を床に打ちつけてしまう……そんな時だった。

 

「える!?……えるぅ?」

 

突如として後ろに倒れそうになったエルの背中に手が添えられると床に激突する前に難を逃れた。ただ、急に後ろから支えられたためにエルは少しだけ困惑して上を見上げる。

 

「……大丈夫?」

 

そこには何故か先程まで部屋にいなかったはずの小学校高学年くらいの少年がいた。その姿はキャラメル色の髪で前髪は全体的に左側に寄ってるのか、左目はそれに隠れてしまっている。

 

瞳は赤く、また頭頂部には鶏冠のようなクルンと丸まったアホ毛が存在していた。身長は外観年齢が小学生くらいという事もあってソラやましろよりも低い。当然ユキやアサヒよりも下だ。

 

「える?」

 

エルはそんな少年の登場に困惑しており、少しだけ首を傾げる。また部屋の窓が一箇所不自然に空いており、恐らくそこから少年は中に入ってきたのだろう。そんな中で少年はベッドの上に置いてあった玩具を手に取ると早速エルへと差し出した。

 

「っと。これが取りたかったんですよね?」

 

「える!」

 

エルは目的の物が手に入って嬉しいのか笑顔になる。そんな時、突如として下の階からドンドンと誰かが急いで二階へと上がってくる音が聞こえてきた。

 

「ッ、すみません。僕もう行かないと。また後で来るからね」

 

少年はこの家の住人には見つかっては不味いのか……エルへとそっと離れる事を告げると部屋の空いている窓から外へと出ていく。

 

「……える?」

 

そんな時、先程下の階から上がってきたソラが部屋の扉を開けて入ってきた。

 

「エルちゃん、お待たせし……」

 

「える!」

 

ソラはエルの姿を見た瞬間、困惑したように固まってしまう。何故なら先程までベッドの上にあったはずの玩具をご機嫌な様子で持っていたからだ。そして何より、先程までエル以外は誰もいなかったはずの部屋からエル以外の気配を感じてしまったのである。

 

「あれ……何でエルちゃんがそれを……。それに……」

 

ソラはこの部屋に心地良い風が入ってくるのを感じて窓を見ると閉めていたはずの窓が空いている事にも違和感を感じる。

 

「おかしいですね……。さっきまでここは閉めていたと思ったんですが……」

 

ソラは困惑しつつもその窓際に向かう。そこから外を見るものの、そこには先程までその場所にいたオレンジの毛並みの鳥が佇んでいるだけだった。

 

そのためソラは何故かそこにいる鳥へとこの不思議な現象が気になって何か知らないかと話しかける。

 

「鳥さん、誰か見かけませんでした?」

 

しかし、その鳥は今起きた事なんて知らないとばかりに少しだけ首を動かすばかりだ。しかも昼間のポカポカ陽気に眠くなってるのか……ウトウトしている様子である。

 

「……うーん?」

 

ソラは結局この違和感の正体がわからずにモヤモヤとした気持ちだけが高まってしまう。

 

そんな時だった。突如としてソラの部屋の近くの部屋からドタドタとした音が聞こえてくる。

 

「うえっ!?な、何の音ですか!?」

 

ソラがいきなり聞こえた騒がしい音に慌てて部屋を出るとそちらの方に向かっていく。

 

「ソラちゃんも聞こえた?今の音」

 

「はい、アサヒ君の部屋から聞こえたみたいですけど……」

 

そこには同じように騒ぎを聞きつけたのかユキもおり、二人は騒ぎの音の元凶であるアサヒの部屋の前で集まっていた。

 

「あ、アサヒ君。急にごめんね。入るよ?」

 

ユキは一応アサヒへと断りのノックと言葉をかけてから彼の部屋の扉を開ける。するとそこには開放された窓があり、その近くには丁度窓を開けていたのか……僅かに苛立ったようなアサヒが立っていた。

 

「クソッ、アイツどこから喋ってるんだよ。出て来いこの卑怯者め!」

 

アサヒが何故か誰もいないのに罵倒の言葉を言っていると彼の荒れように困惑しつつも二人は彼へと事情を聞く事に。

 

「えっと……アサヒ君?」

 

「ッ、ユキにソラ……。あっ、悪い……ビックリさせたよな」

 

アサヒは最初、何故二人がここにいるのかわからずに困惑していたが、自分が原因だと思い至ると申し訳なさそうに謝る。そして、そんな彼を見た二人はまずは事情を聞くべきという事で早速こうなった経緯を聞いた。

 

「アサヒ君、何があったんですか?」

 

「あー、これか。実は妙な事が起きててさ」

 

〜回想〜

 

アサヒが大きな音を立ててそれが原因でユキとソラが来る少し前。この部屋にいたアサヒは一人でユキの事を考えていた。

 

「ユキ……」

 

アサヒは自分がユキを意識する前の頃に彼女と撮ったツーショット写真を見て頬を赤らめている。これはもう明らかにユキを意識してしまっており、一人だけの自由時間ではユキの事ばかりが頭に浮かんでしまう。

 

「……どうやったらユキに嫌な思いをさせずに近づけるんだろ……」

 

アサヒはユキの事を異性として好きになったあの日以降、ユキ相手に積極的に行くようにしていた。具体的にはユキが困った際に自分を頼ってきたら彼女が不快にならない程度に距離感を詰めて話をする。逆にユキが少しでも距離感を置きたいという仕草を見せたらそれ以上は踏み込まないと。

 

前以上にユキとの距離感を気にするようになった。これらは過去に友達関係で失敗し、トラウマを植え付けられたユキへの配慮をすると共に彼女の気持ちを少しでも自分に向けられるようにするための動きである。

 

「ユキがトラウマを覚える影響となった原因も一方的な片想いが拗れた結果だし、恋愛その物を怖がってる危険もあるんだよな……」

 

アサヒはそんなユキの心理に配慮して彼女の気持ちをいち早く察知できるように隙間時間を見つけては女性の心理の本を図書館で借りて読んだり、ソラにさり気なく聞いてユキが好む行動や逆に嫌う行動を学習。

 

兎に角自分が好きだからガツガツ突っ込んでしまう……という事態を避けるように立ち回っていた。

 

「ひとまずユキが嫌がってるという事態は今の所避けられてる。後はどうやったらユキとの距離感を詰めるかだけど……うーん。それが一番難しいんだよなぁ……」

 

何しろユキは純粋かつ繊細な子。それこそ見た目の美しさも相まって彼女を何かに例えるなら雪の結晶であると言い切れるくらいには扱いが難しいのだ。

 

アサヒがユキとお近づきになりたいからと言って下手に強く触ればたちまちに砕けてしまう。

 

「何か……何かキッカケは無いかな……」

 

そうやってアサヒはユキの事を考えて色々と呟いていると突如としてどこからともなく彼へと声が聞こえてくる。

 

「さっきからユキ姉の事ばかり……。勘違いしてるようだからこの際言っておくけど、お前なんかにユキ姉が振り向くわけねーだろ!身の程を知れよこの勘違い男!」

 

「……は?」

 

アサヒはいきなり自分が罵倒された事に困惑。それからその声が聞こえた窓の方を向くが、そこには窓が空いているだけで誰もいない。

 

「な、何だ今の声……あれ、確かこの声聞き覚えが……あっ」

 

アサヒは最初唖然としていたが、少ししてこの声の正体に勘づく。それは自分が部屋の中に一人でいる時に毎回自分を罵倒してくるあの少年の物だった。

 

「誰かと思えばその声、前に二回くらい俺を罵倒しやがった挙げ句逃げた卑怯者か!?」

 

アサヒが思わず声を上げるとアサヒの声を向こうはしっかり聞いているのか……何故か窓の外に姿が見えないはずなのにその少年からの反応が返ってきた。

 

「あ?俺が逃げたって何だよ。どうせユキ姉とデートしてキスとかボディタッチとか……あわよくば一緒にベッドインしたいとか思ってるだろ!」

 

「何でいきなり話がそこまで飛躍するんだよ!?というかお前は俺を何だと思ってるんだ!!」

 

アサヒの考えは流石にまだユキとそこまでしようという所にまで至ってない。何しろ彼はユキ相手に無理に距離を詰められる程の仲には達して無いと考えている。*1そのため、いきなり自分が変な妄想を抱いていると誤解されるような少年からの言葉を聞いて苛立ちを露わにした。

 

「別にー?ただユキ姉の弱みにつけ込んでちょっと仲良くなったくらいでユキ姉の方から色々誘惑してくれるとか思ってる勘違い野郎に現実を教えてあげてるんですー!」

 

「はぁああー!?」

 

アサヒは自分があれだけユキとの距離感に気を使ってまだ次のステップに行きたい欲を抑えている最中でその物言いをされるのは我慢ならないという事で顔を怒りで赤く染めながら声のした窓へとドタドタと移動する。そしてこれがユキやソラが聞いたドタドタ音であった。

 

「お前なぁ!他人が散々ユキとの距離感に悩んでるって時にユキから変態って思われるような事をベラベラと……。俺がそんなエッチな事を考えてるわけねーだろ!」

 

「口に出してる時点で色々したいという欲自体は考えてるだろ!このエロ男!」

 

「煩ぇ!むしろユキ相手に下心無しで接せられる男がいると思うな!そんな事言ったらお前だって考えてる事は同じだろうが!!」

 

アサヒは少年からの罵倒の数々に我慢ならないというわけで窓に到達するとそこから外を見渡す。アサヒはその少年の姿を前に見ているために見つけたらプリキュアの力を使ってでもとっちめるつもりだった。

 

「……はぁ!?嘘だろ……」

 

しかし、アサヒは少年を捕まえると意気込んだ所までは良かったが……やはり先程までアサヒが会話していたはずの少年の姿はどこにもおらず。

 

アサヒがキョロキョロと周りを見渡しても自分のいる窓から見て左斜め前の所に先程オレンジの鳥と一緒にいた小さな白い鳥が背中を向けてチョコンと座ってるのみだった。

 

「クソッ。あの野郎また逃げたな……。俺が近づいた瞬間に逃げるぐらいなら初めから来んなよ。この腰の引けた間抜けが」

 

アサヒは今回は一切姿を見せない少年へと吐き捨てるとそのタイミングでユキやソラが部屋の扉を開けて入ってきたのである。

 

〜現在〜

 

そんなわけでアサヒは一切姿を見せないにも関わらず、自分相手に罵倒の言葉を言うだけ言ってきた少年に憤っていた。

 

「マジでアイツ神出鬼没かよ……。しかも今回は姿さえも見せなくなって。アイツには透明化能力か何かあるのか……」

 

ちなみにアサヒはユキについて考えていた事や罵倒合戦の内容についてを二人には言ってない。あのような話しただけで気不味くなりそうな内容なんて本人相手に言えるはずが無いのだ。実際問題、自分が年下の少年相手にあんな汚い言葉を吐いていたと知ればユキはドン引きだっただろう。

 

「うーん?アサヒ君。その子と話す時って毎回白い鳥さんが窓の近くにいるんだよね?」

 

「え?……あ、そう言えばそうだな。俺と言い争った後に窓の外を見ると不自然なくらいに毎回いる。だけど、ただの偶然だろ?」

 

アサヒはあくまでその白い鳥が近くにいるのは偶然であると切って捨てる。しかし、ユキは何か引っかかるようであった。

 

「もしかするとその白い鳥さんって……」

 

ユキがある仮説が頭に浮かぶとそれを伝えようとする。だが、その直前にソラが先程自分も不自然な現象に遭ったという事で声を上げた。

 

「あのさ……」

 

「そういえば、私も変な事がありました!」

 

「……変な事?」

 

「ッ……ソラちゃん。その変な事って?」

 

ユキはソラも変な現象に遭ったという事で自分よりもそちらの話題を優先。ひとまずはソラの方に対応したアサヒに倣ってソラへと質問し、ソラはそれに応えるように先程部屋であったエルが知らない間に玩具を持っていたという現象について話すのだった。

*1
ただし、ユキはアサヒに対して少しくらいなら無理に距離を詰めてきても大丈夫だと思っている




リメイク版、本編共に前々から出てましたが今更ながら、改めてこの白い方の少年についてのCVを表記しておきますね。

白い少年……内山夕実さん

それではまた次回もお楽しみに。
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