熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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スカイランド住民と鳥 怒りが湧き上がるユキ 旧・鳥になれる少年とその正体(パート2)

アサヒとソラの二人の前に起きた謎現象。その話がその場にいた面々に話された後に夕ご飯の時間でその場にいなかったましろやヨヨにも共有される事になる。

 

「……という事があったんですよ」

 

「へぇ……私達が買い物に行ってる間にそんな事があったんだ」

 

ちなみにましろが昼間いなかったのはヨヨと共に街へと買い物へと出掛けていたからだった。

 

「それにしてもこんな謎現象が二つ同時に起きるとか……まさか同一犯じゃねーよな?」

 

「うーん?私はちょっと違う気がする。アサヒ君が聞いた謎の声とソラちゃんの部屋から感じた謎の気配。二つの出来事が同時に起きてるし、それだったらソラちゃんもその謎の声を聞いてるはずだから」

 

アサヒは二つの事件が同じ人物によって引き起こされた事を疑うが、ユキは流石にそんな事は無いとアサヒの意見を否定。ましろも謎要素が多いアサヒの事は後回しにしてまずは解決しなさそうなソラの方の話を言及する事にした。

 

「アサヒの方は一旦置いておくとして。ソラちゃんの方は多分掴まり立ちして自分でベッドの上の玩具を取ったって事になるのかな?」

 

「え?えぇ、まぁ……玩具を持っている事に関してはそうだと思いますけど……」

 

「える?」

 

ソラはましろがまだ自分の言いたい事を理解できてなかったために少しだけ困惑しつつ答えを返す。そして、その出来事の違和感をあまり感じていないましろの方はエルの成長っぷりが感慨深い様子だった。ただ、エルはましろに対して何を言ってるんだろうと言わんばかりに首を傾げる。

 

「はい、エルちゃん。あーん」

 

「えーる!」

 

ましろはエル用の離乳食をスプーンで掬うと彼女へと優しく持っていく。それを食べたエルは幸せそうに微笑んだ。

 

「えるぅ!」

 

「どんどん色んな事が一人で出来るようになっていく。これまで以上に目を離さないよう、気をつけないとだよ」

 

ましろは満面の笑顔でエルの成長を喜んでいるとソラは改めて掴まり立ちの件の際に感じた謎の気配についてを話す事に。

 

「……でもやはり部屋に感じた気配……気のせいじゃ無いと思うんです。アサヒ君の件もありますし尚更……」

 

「うーん……だけど、気配を感じるとは言ってもそれこそあの部屋に入るのは難しくない?」

 

「うん。ソラちゃんや私みたいにトレーニングをしていて家の窪みとか使ってよじ登れるって事なら話は別だけど、普通そんな人が昼間に家を登ってたら目立つし……エルちゃんだって声を上げるくらいは出来るんじゃないかな」

 

ユキやましろは部屋の中に感じた気配が本当だったとしてもまずそもそも部屋の中に誰からも気が付かれずに侵入できて、尚且つエルがその侵入者に対して反応すらできないのなんて早々あり得ない。

 

また、もし仮にエルが反応できないくらいのスピードで連れ去る侵入者だったとしてもそれが出来るのならとっくにエルは連れ去られているはずだ。

 

「そう……ですけど、やっぱり私……どうしても胸騒ぎがして……」

 

「そっか……。ソラは真面目だからな。でももう過ぎた事だし、ある程度は割り切らないとダメだぞ」

 

「はい……わかっています」

 

ソラはアサヒから諭されてこれ以上変に悩んでも意味が無いと感じると一旦気持ちをリセットする事になる。するとふとましろがクスリと笑うと先程の件の際にソラがとった挙動について指摘した。

 

「それより、ふふっ……」

 

「ましろちゃん?どうしたの?」

 

「えっとね。さっきの謎の気配を感じた後に窓際に行ってさ。“誰か見かけませんでしたか?”って……鳥に話しかけちゃうソラちゃん……可愛いね!」

 

「確かにな。鳥は人間の言葉なんて喋らないのにさ」

 

ましろはまさか人間の言葉を喋らない鳥相手に質問を投げかけたソラに対して微笑ましい気持ちであり、アサヒもそれは同じなのか頷いた。しかし、ユキはその話を聞いて違和感を感じたのかキョトンとした顔をしていた。

 

「……あれ?そんなにおかしいかな。多分私がソラちゃんだったとしても普通に鳥さんに話しかけたと思うよ」

 

「「えっ!?」」

 

まさかのユキも鳥相手に話しかける発言をした事にアサヒとましろは二人揃って驚き、唖然となる。

 

「あっ、でもそっか!こっちの鳥は人間語を話さなかったよね」

 

「まさかの即前言撤回!?」

 

ユキは大事な事を忘れていたと言わんばかりに先程の自分の発言を即撤回。一人で納得した顔つきを見せたためにアサヒとましろは思わず彼女の反応が気になってしまう。

 

「えっと、ユキちゃん……今のってどゆこと?」

 

「あはは、実はスカイランドには言葉を話す鳥がいるんですよ。ですから私もユキさんも鳥さんと会話ができるって思っちゃったんです」

 

「へー、鳥が喋るんだ……はい?」

 

ましろの質問に対してソラがユキの分も含めて補足説明を入れる。ただ、やはり補足説明があったとしても鳥が喋るなんて事は二人の脳内辞書には載ってないために思わず声を上げた。

 

「「えっ、そうなの!?」」

 

アサヒとましろはまさかの事実に身を乗り出して聞き返す。そして、その様子をヨヨが微笑ましい顔つきのまま見守っていた。

 

「私達の世界では人間と鳥は大の仲良しなんです!」

 

「えっ、例えば?」

 

「うーんとね。背中に乗せて空を飛んだり、荷物を運ぶお手伝いをしてくれるかな」

 

「人や荷物を運ぶ……って事はこっちの世界の長距離移動手段で使う乗り物的な役割をやってるのか」

 

ソラシド市側の世界で例えるならバスや電車。トラックに船辺りの事をスカイランドでは鳥が引き受けている形である。

 

「中にはモデルの仕事をしてる鳥さんもいますし、王様の城で働いている鳥さんもいますよ」

 

「えっ、モデルさんに王城で働く鳥!?」

 

どうやら、スカイランドでは人々が生活を送る際に無くてはならない存在と言える程に人と鳥の結び付きが強いらしい。そして、ソラシド市に住むアサヒやましろはまさかのジェネレーションギャップに未だに信じられないと言った感じであった。

 

「マジかよ。スカイランドの鳥さん万能過ぎ……」

 

「もう割と今更だけどソラちゃんやユキちゃんってファンタジー世界の住人なんだね……」

 

ましろの言葉に対してユキは思わず苦笑いしつつも、そんな事を言い出したらユキやソラからしてもこの世界の常識には驚かされる事ばかりなわけで。

 

「あはは……あ、でも私達から見たらこちらの世界も十分ファンタジーだと思うよ」

 

「そうです!私達の目の前にあるこれだって……美味しいものがチーンってやるだけで出来ちゃう!こんなに簡単に美味しい物が作れるなんてその方がよっぽどファンタジーです!」

 

ソラが言及したのは自分達の目の前に置かれているレトルトカレーであった。実際、スカイランドにはレトルトカレーなんて物は存在しない。そのため、ユキやソラからして見るとこれもまた自分達の世界には無いファンタジーな物だと言える。

 

「あーむっ!カライライス、最高!」

 

「カレーライスだよ」

 

ソラが早速レトルトカレーをかけたご飯……カレーライスを食べるとその美味しさに舌鼓を打つが、名前をカライライスと間違えたためにましろが訂正。それを聞いてソラは首を傾げる。

 

「あれ?辛いからカレーって言うんじゃないんですか?」

 

「それが違うんだよね」

 

「あはは、この世界の食べ物も色々不思議でいっぱいだね」

 

まさかの辛いからカレーという名前になったわけでは無いという事実にユキもソラも興味津々だった。

 

「ちなみに、カレイっていう魚もいるよ」

 

「辛い魚ですか?」

 

「それとも湖の中を華麗に泳ぐからカレイだったりする?」

 

「どっちも違うかな……。そもそもカレイは海の魚だし……」

 

ましろはユキとソラの予想がどちらも違うために苦笑いを浮かべつつその意見を否定。

 

「それじゃあどういう魚なの?」

 

「えっとね、たんぱくな身の中に上品な甘みがあるよ」

 

そんな中学生組のやり取りにヨヨは特に口を出す事は無くあくまでも見守りに徹する。それから一同はご飯を食べ終わるとそれぞれが夜の時間を過ごす。そして、とうとう寝る間際の時間になった。

 

その時のユキは一人部屋の中でこの日やる分の宿題を終わらせた上で翌日の準備も済ませ、寝る前のやる事もある程度完了させた所である。

 

「……やっぱり、何か視線を感じる」

 

ユキは今まで特に気にしてなかったものの、ここ数日、妙に自分が窓の外から見られている感覚を感じていた。

 

「……んんっ……」

 

ただ、ユキはあくまで自然体を装うために欠伸をしつつ体を伸ばす。それから彼女はごく自然な動きで窓際に到着。それから部屋にある窓を開放。外の景色を見るついでに近くを見渡す。

 

するとその視線の先に屋根の上でちょこんと佇んでいる白い鳥を見つける。そして、ユキは少しだけどうするか迷ってから話しかけた。

 

「……ねぇ、さっきから私の事を見てどうしたの?白い鳥さん」

 

「………」

 

ユキからいきなり話しかけられたからか……屋根の上に佇んでいる白い鳥はビクンと肩を震わせる。……いや、震わせてしまう。しかし、それ以降は全く動こうとしない。白い鳥はまるでユキと話すのを避けるかのようにそっぽを向いたまま知らんぷりをした。

 

「あなたでしょ。昼間にアサヒ君と話したの」

 

「………」

 

ユキからそう言われて白い鳥はドキリとする。ただ、それでもまだ隠し通すつもりなのか反応を返さない。

 

「……どうしてアサヒ君をそんなに罵倒するの?」

 

ユキはあくまでそっと白い鳥に話しかける。しかし、その声色は普段の優しい声では無く僅かに怒っているようにも見て取れた。そのため、白い鳥はまるでユキが怒っているのがわかっているかのように反応しようとしない。

 

そして、自分が無視されていると感じたユキは怒りを押し殺すようにあくまで冷静な声で白い鳥へと話す。

 

「私の事を見てるならわかると思うけど、アサヒ君は私にとって大切な友達で恩人なの。だから、アサヒ君があなたから罵倒されてると見ててあまり良い気持ちにならないってわかるよね」

 

ユキは正直な所、この白い鳥へと怒りの感情を抱いていた。何しろアサヒの存在はユキにとって太陽のように温かい物である。この世界で彼と出会って、彼の影響を受けてユキは変わることができた。

 

つまり、今ここに明るい自分がいるのはアサヒのおかげなのだ。そのため、ユキにとってのアサヒは友達であり恩人でもある。

 

「……あなたも自分の恩人が他人から罵倒されていたら怒るでしょ」

 

「ッ………」

 

ただ、ユキの声は怒りを抑えてこそいるがどんどん厳しくなっていた。そして白い鳥も背中を向けてこそいたが、彼女のその気持ちを薄々感じていたために胸が苦しくなり始める。

 

「まだそうやって黙ってるんだね。すぅ……ふぅ……」

 

ユキは白い鳥がまだ粘っているのを見て気持ちを一旦落ち着けるために深呼吸。彼女も怒っているとはいえ他人へと高圧的な態度で接するのを躊躇っていた。

 

「(……正直こんな事は言いたく無い。だってこんな事を無抵抗のあの子に言うのは……私の事を虐めてきた人達がやってきた事と変わらない……)」

 

しかし、このまま黙って見過ごせばアサヒへの罵倒の言葉は更に強くなるかもしれない。それに、自分の恩人が困っているのをユキは見過ごせなかった。

 

そのため、彼女が気持ちを落ち着けている間も反応無しなのを確認してから改めて強めな口調で白い鳥へと警告する。

 

「あなたがそうやっていつまでも黙ってるなら……次にアサヒ君を貶した時……私はあなたを許さないから」

 

「ッ……」

 

ユキはとうとう白い鳥へと最後通告の意味も含めた言葉を告げた。もうこれで白い鳥が何も反応を示さないのなら完全にアサヒを虐めようとする敵として見なすという意思表示でもある。

 

そして、そんなユキの覚悟が届いたのか……。ユキからの言葉を聞いた白い鳥はゆっくりと振り返ると涙目を浮かべつつ彼女へと申し訳なさそうな顔つきを見せた。

 

「……何でだよ……何でユキ姉がアイツを庇うためにそこまで言っちゃうの?俺、ずっとユキ姉のために……」

 

「えっ……ユキ姉?」

 

白い鳥はユキから言われた強い言葉に酷く傷ついていたのか、ボロボロと涙を流すと彼女へと訴えるように話す。

 

「そんな……ユキ姉、これでも思い出せない?」

 

するとポンという音を立てると目の前で涙目になっていた白い鳥は前にアサヒの前に姿を見せた少年の姿へと変化。同時にユキは何かを思い出すと驚いたような目線を向ける。

 

「あなたは確か……幼い頃にプニバードの村の近くで出会った……」

 

「ユキ姉……ユキ姉……やっと会えたのに……やっと再会できたのに……何で、何であの男の肩ばっかり持つの……うぅ……」

 

「ッ……」

 

ユキは目の前の白い鳥に変身できる少年と過去に会ったことがあるようで。同時に先程自分が投げかけたキツい言葉の数々を思い出す。

 

「ご、ごめん……私もあなただと思わなくて……」

 

ユキが先程までの冷たい言葉とは打って変わっていつも通りの優しい話し方に戻ると慌てて謝ろうとする。するとその瞬間、ドシーンという音という音が鳴り響く。

 

「うわあっ!?」

 

ユキは庭の方から聞こえた大きな音に慌ててその方向を向く。彼女の視線の先にあったのは何故かパジャマ姿に裸足のソラが虹ヶ丘家の庭で立っており、その下には小さなオレンジの鳥が倒れて目を回していた。

 

「えっ、ソラちゃん!?何を……」

 

「そんな……ツバサ!!」

 

ユキは何故かソラが外にいて小さな鳥に馬乗りのような状態になっているかわからずに困惑。それと同時にユキと話をしていた白い少年がその様子を見て慌てたような声を上げるのだった。




また次回もお楽しみに。
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