熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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鳥になれる少年達の正体 プニバード族という種族 旧・鳥になれる少年とその正体(パート3)

ユキと白い鳥……いや、アサヒの事を罵倒していた少年との会話をしている最中に虹ヶ丘家の庭から大きな音が響く。それから二人がその方を向くとソラが部屋から飛び降りたのか、素足の状態でオレンジの鳥の上で馬乗りのような状態になっていた。

 

何故いきなりこんな事になってしまっているのか……話は少し前のソラの部屋の中の場面に遡る事になる。

 

「宿題良し!学校の準備良し!後は……ふぁああ……。ましろさん達に……お休みなさいを……」

 

就寝時間が近づいたソラは指差呼称のような事をしつついつも通り寝る前の挨拶をするべく部屋から出て行く。尚、翌日に学校があるという事実からこの日は日曜日であったのだと考えられる。

 

それはさておき、ソラがいなくなった事で部屋の中には赤ちゃん用のベッドでスヤスヤと眠るエルだけが残る状態になっていた。……そんな時の事である。

 

「……えるぅ……」

 

するとソラがいなくなったのに何故か部屋の窓が開き、そこに昼間に姿を見せていたオレンジの少年が姿を現す。そして彼の気配を察知したのかエルは薄らと目を覚ました。

 

「ッ、ごめん……。起こしちゃったね」

 

エルが窓の方をチラッと見るとそこにいた少年を認識。ただ、彼の存在が自分にとって害を与える物では無いという事はエルもわかっているのか……。特に大声で泣き喚く事は無く。むしろベッドから起き上がると笑って迎えてくれた。

 

「えるぅ!」

 

「心配で見に来ちゃった。それに、また来るって約束したから」

 

「えるえる!」

 

どうやら少年はエルの事を心配している様子であり、エルもまた少年が来てくれたのが嬉しそうである。

 

「……誰?」

 

しかし、そんな時だった。少年がエルへと近寄ろうとすると突如としてこの部屋の主であるソラの声が聞こえる。

 

「え?……あっ」

 

そして、少年が声のした方向。つまり、この部屋に繋がる入り口付近を見やるとそこには明らかに自分を怪しい者として疑った目線を向けるソラがいた。

 

「ジーッ」

 

「ッ……」

 

後から振り返れば少年はこのタイミングでさっさと身を翻して逃げに徹すれば逃げ切れたかもしれない。しかし、ソラに見つかってしまったという動揺に加えて彼女から向けられた相手を威嚇するような鋭い目線にビビッてしまった少年は咄嗟に逃げる事ができなかった。

 

「あなた誰ですか!?」

 

「ぼ、ボクは……えっとその……」

 

少年はどうにかソラ相手に彼女を出し抜けそうな言い訳を考えるが、動揺のせいでその案は全く浮かんで来ず……。その間にもソラからの疑惑の目線はどんどん強くなる。

 

「泥棒?人攫い?それとも……はっ、まさかカバトンやシャドーの仲間!?」

 

「いっ!?ッ、こうなったら!」

 

そして、モタモタしている間にソラはこの少年の事をカバトンやシャドーの仲間だと見なしてしまった。そのため少年はこのままだと確実にあらぬ疑いをかけられて捕まってしまうと感じ、破れかぶれだったがその場から踵を返して逃走。

 

「あっ!逃げた!?」

 

「たあっ!」

 

少年が慌てて窓から飛び出して華麗に逃げ去ろうとする。しかし、残念ながらここは二階。つまり、少年が飛び出した先はそれなりに高さがある空中だ。

 

「あっ……しま……うわぁああっ!?」

 

そのまま少年は重力には逆らえずに地面に体を強打。しかし、痛がってる暇は無い。このままだとソラ相手に逃げ切れないため慌ててうつ伏せの大の字の状態から手足で四足歩行をしつつ逃げ出そうとする。

 

「ぷぎゅうっ!?……あわわ……早く逃げないと……」

 

「逃しません!たあっ!」

 

完全に不意を突いて逃げ出した少年だったものの、今回は相手が悪過ぎた。ソラは逃げ出したツバサを即追跡すると窓から裸足のまま飛び降りてくる。

 

「えっ、嘘でしょ!?うわぁああっ!?」

 

その直後、少年の断末魔のような叫び声が響くと同時にソラが思い切り少年の上に脚から乗る形でのしかかる。そのためその場には二階まで響く程の大きな音が鳴るのだった。

 

そして場面は前話のラストシーンに繋がる。ソラが飛び降りた衝撃でユキと謎の白い少年が慌てたような声を上げ、同時に音を聞いたアサヒやましろも窓を開けて外を見た。

 

「いきなり何の音!?」

 

「まさかカバトンやシャドーが……って、あれ?」

 

アサヒは最初、カバトンとシャドーのコンビが襲撃してきたのではと予想する。しかし、危惧していた二人の姿はどこにも無く。アサヒはホッと胸を撫で下ろすとユキへと安全を伝えようとする。

 

「ホッ……。ユキ、あの二人じゃ……は?」

 

ただし、ユキの方を向くという事はアサヒは白い鳥に変身できる少年の事を視界に入れてしまうわけで。

 

「……あっ」

 

「お前は前々から俺に嫌味ばかり言いまくってきた……」

 

「アサヒ君ストップ!ちょっと待って!」

 

「ッ……」

 

アサヒは白い少年に掴み掛かろうと屋根に足をかけた所でどうにか踏み留まる。未遂だから良かったものを、このまま感情に任せて踏み込んで滑り落ちでもしたらかなり大変な事になってしまっただろう。

 

「アサヒってば、いきなり屋根の上に足をかけるとか無茶過ぎるよ……」

 

「そういやそうなっちゃうよな……悪い」

 

ましろにも指摘されてアサヒはようやく落ち着いたのか、自分がやろうとしてしまった事を恥じると改めてソラの方の話に戻す。

 

「ソラちゃん、改めてだけど何があったの?」

 

「はい!先程怪しい人を捕まえました!日中に忍び込んだのもきっとこの男の子ですよ!」

 

ソラは先程の少年の姿を想像しつつ他の三人へと答えを返す。ただし先程から言及している通り、ソラが押さえているのは人間の男の子では無い。

 

「え?えっと……男の子?」

 

「はえ?確かに男の子を……って」

 

ソラが指摘を受けて改めてそちらの方を向くとようやく彼女も自分が取り押さえているのが人間の男の子では無くオレンジ色の鳥であると認識する。

 

「ぐ、ぐ、ぐぐぅーっ」

 

「嘘、男の子が鳥さんに!?」

 

するとその時、騒ぎを聞きつけたヨヨが困ったような顔を浮かべつつやってくると未だにオレンジの鳥を押さえ込んでいたソラへと声をかけた。

 

「その子を離してあげて、ソラさん」

 

「えっ……で、でも……」

 

「私の知り合いなの。ユキさん、あなたが話していたそっちの子もね」

 

「ヨヨさんの知り合い……」

 

「あなたもずっとそこにいないで降りておいで」

 

「ッ……はい」

 

白い少年はヨヨに言われると頷く形で自分が立っていた屋根から飛び降りるとポンと音を立てつつ地面に着地。そしてまた小さな白い鳥の姿に戻るとソラもようやくオレンジの鳥を解放。それから二羽の小さな鳥は横並びで並んだ。

 

「あなた達は一体……」

 

ソラが困惑していると二羽の鳥はひとまず自己紹介をする形で話を始める。

 

「ボクはツバサ」

 

「わた……俺はヒョウ」

 

オレンジの鳥はツバサ、白い鳥はヒョウと名乗るとアサヒとましろはいきなり喋り出した鳥に困惑する。

 

「「鳥が……喋った!?」」

 

そんな二人を見ていたソラは二人が少年の姿と鳥の姿の二つを使い分けている所からある答えが思い浮かんだ。

 

「言葉を話して、人間に変身できる鳥さん……。あっ!あなた達はもしかして、スカイランドのプニバード族!!」

 

ソラがその考えに至ると二人は頷き、このまま外で話すのも色々と不便であるためにソラ、ツバサ、ヒョウ、ヨヨの四人は一旦家の中に戻って話をする流れとなった。

 

「そういえばユキ、プニバード族って何だ?」

 

下の四人が移動を開始したタイミングでユキ、アサヒ、ましろの三人が合流して移動しつつユキがあの二人の正体、プニバード族について軽く説明をする。

 

「えっと。元々は小さなあの鳥さんの姿がベースなんだけど、必要に応じて人間に姿が変えられる。勿論人の言葉を喋れるし、芸術への理解も高いんだ。中には展示会に出せる絵を描ける人もいるって噂だから」

 

「凄っ!?」

 

「そりゃあ、アイツも流暢に人間語を話すわけだよ」

 

それからユキ、アサヒ、ソラ、ましろ、ツバサ、ヒョウ、エル、ヨヨの8人が虹ヶ丘家の居間に大集合し、早速何故ツバサとヒョウの二人がこの家にいるのかという所の話になった。

 

「一年とちょっと前……ボクはこの世界に落ちてきました」

 

「俺はツバサがこっちに来て少ししてから来た感じかな」

 

「落ちてきたって……」

 

「あー、確かにユキ達も最初は文字通り空から落ちてきたもんな」

 

どうやらスカイランドからこの世界にやってくる際は過程はどうあれ、上空から落下してくるというプロセスは変わらないらしい。

 

そんなわけでタイミングこそバラバラだったものの、ソラシド市に落ちてきた二人。まずはツバサの方から自分の身の上話を始める事にした。

 

「ひとまずボクの話から始めますね。ボクがこの世界に来た日はある嵐の日の事でした」

 

今から一年と少し前、ある嵐の日のこと。ツバサは何かの拍子でスカイランドからソラシド市へと落ちてしまった。恐らくスカイランドの島の端の方で何かをやっていた所、運悪く足を滑らせたのだろう。

 

「ボクはこの世界に落ちてしまった影響で大怪我をして。そこをヨヨさんに助けてもらいました」

 

「俺も似たような感じかな」

 

「そりゃあ、私達の時はエルちゃんがいたから助かったけど……」

 

「普通に空から落ちたら大怪我しちゃうよね」

 

その時にツバサやヒョウはヨヨに助けられてこの虹ヶ丘家でお世話になるようになったのだ。

 

「そういえば、どうして二人共嵐の日にスカイランドからここに来てるんですか?」

 

「実はね、大きな嵐が起きると世界の繋ぎ目にひび割れが生じる。だから二つの世界が一瞬だけ繋がるの。そして、その時にヒビ割れに巻き込まれたスカイランドの物はどういうわけがこの世界に流れ着くのよ」

 

それを聞いてユキ達中学生組四人は何故スカイランドにしか無いはずのスカイジュエルがこの家の近くの裏山に存在するのか。そのカラクリにようやく納得が行った。

 

「という事は二人がこっちの世界に来れたのって奇跡に近いんじゃ……」

 

「そうね。下手をすればスカイランドの島から落ちた先で生きている保証すらできない所だったわ」

 

「「ッ……」」

 

それを聞いてツバサとヒョウは説明を前に聞いてわかっていた事ながらもゾクッと体に悪寒が走る。そう考えると二人がこうして虹ヶ丘家にいるのは運命が彼等を生かしたと言っても過言では無い事になるだろう。

 

「えっと、話を戻しますと。ボク達はこの世界にやってきてからずっとここでヨヨさんのお世話になってます」

 

「それにしても一年前って……」

 

「丁度ましろの両親が海外に行く影響で俺達がこっちの家に引っ越しした頃だな」

 

そうやって考えるとこの二人は一年間の間、自分達が鳥になれるという利点を使って異世界人である事を隠し続けた事になる。しかも、アサヒとましろにバレたら一発アウトになるリスクを負ってまで過ごしていたらしい。

 

「私達が近くにいてもずっとタダの鳥のふりをしていたんだ。それってどうして?」

 

ましろからの問いに対してツバサとヒョウは顔を見合わせるとツバサが申し訳無さそうに言葉を呟く。

 

「話しても……信じてもらえないと思って……」

 

「そっか……。確かに数ヶ月前の時点だと俺達はスカイランドの概念すら知らなかったからな」

 

そう考えると数ヶ月前まで自分達の正体を隠していた事については説明が付く。……ただし、今はその言い訳は通用しないとばかりにソラが割って入る形で声を上げた。

 

「ターイム!」

 

「「うわあっ!?」」

 

それは前にアサヒやましろが言った事のある言葉であり、それを大声で言われたせいで二人のプニバードは驚くと人間態へと変わってしまう。

 

「また変わった!?」

 

「ビックリすると……ついこうなっちゃうんだよ」

 

「そうなんだ。ファンタジーだね……」

 

「私も初めて姿が変わる所を生で見た時はビックリしたなぁ」

 

そんな風に二人の変身能力を話しているとソラがジタバタとしながら二人へと反論する。

 

「話を逸らさないでください!私とユキさん、エルちゃんがこっちに来た後ならいつだってスカイランドの事を話せたはずです。なのに黙ってた。どうしてですか!」

 

実際の所ソラの意見は正しい。スカイランドの事を知らない段階なら兎も角ユキ、ソラ、エルの3人が来た後ならスカイランドの事をこの家の全員が知っているはず。それでも自分達の事を言わなかった事に対してソラは言及。ただ、顔がかなり怖い物になっており、エルに至ってはその顔のせいでかなり不安そうな様子になってしまう。

 

「そ、それは……」

 

「こ、怖い顔になってるよ……ソラちゃん」

 

「ワン!」

 

ソラが不審者を睨む番犬のように犬の鳴き声で吠えるとましろが二人へと改めて質問する。

 

「でも、ツバサ君。おばあちゃんにトンネルを作って貰えばとっくにスカイランドに帰れてるはずだよね?」

 

それを聞いたツバサは俯き、ヒョウは言いづらそうな顔をしてしまう。そして、ソラはそんな二人の様子に納得がいかないとばかりにヨヨへと聞くことにした。

 

「ヨヨさん!エルちゃんに信用できない人を置いておくわけにはいきません!きちんと説明してください!」

 

ちゃんとした事情説明を求めるソラに対し、それを知っているヨヨが二人の方を見るとツバサは話さないでほしいと言わんばかりの顔つきをしつつ首を横に振ったためにソラの不満は爆発する。

 

「もう!良い加減に……」

 

「えるぅ……」

 

「待って、ソラちゃん」

 

ソラが更に大声を出そうとしたのに対してユキはすかさず話を止める。このままではエルが確実に泣いたためにこれは良い判断だった。それからユキは優しく話しかける。

 

「……ツバサ君、きっと言いたくない事情があるんだよね?私も自分の過去とかあまり人に話せない事があるからその気持ちはわかるよ」

 

「………」

 

ユキは先程もそうだったが、あくまで冷静な様子で話すとソラの方を向いて改めて話す。

 

「だからソラちゃん、今はそっとしておこう。それに、ツバサ君が信用ならない人ならきっとエルちゃんは今頃攫われてると思うから……ね?」

 

「むう……ユキさんがそう言うなら……」

 

そう言って何とかその場を抑えたユキ。それを見てヒョウは内心ユキの事を誇りに思う。

 

「(やっぱりユキ姉は凄い。昔俺を助けてくれたあの時からその優しさは変わってない……)」

 

結局その後、翌日に学校を控えているのとあまり寝るのが遅くなるとダメなのでヒョウの事はまた明日の夜にでも改めて聞くことにしてその場は解散となるのだった。




今回でヒョウの名前が明らかになりましたので改めてCVを表記しておきますね。

ヒョウ……内山夕実さん

また次回もお楽しみに。
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