熱き太陽 静かなる雪の輝きに照らされて   作:BURNING

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太陽の説得 もう一つの仲直り 旧・ヒョウの過去 ユキへの憧れ(パート5)

ソラシド学園での昼休み。屋上にてヒョウの話を聞いたアサヒとましろ。その中でアサヒはヒョウの話を一通り聞いて思った事を口にする事になった。

 

そして、ヒョウはアサヒへの罪悪感を感じつつ彼の言葉を待っていた。しかし、何故かアサヒは何も言わない。それを見てヒョウはキョトンとしてしまう。

 

「あ、アサヒ?」

 

「………」

 

それから数秒、アサヒは無言のままだった。ヒョウは流石にこの状況でいるのは気不味いので彼に何かを言ってほしい所である。

 

「あさ……」

 

「ダメだ。話し始めをどうするか迷ってたけど、やっぱヒョウにはこうするのが一番だ」

 

「えっ?」

 

その瞬間、アサヒは突如として人間態のヒョウの頬の両側を摘むと引っ張ってしまう。勿論こんな事をされたヒョウや見ていたましろは驚きの声を上げる。

 

「アサヒ何してるの!?」

 

ひょっ!?ひゃにしゅんひゃ!(ちょっ!?何するんだ!)

 

ヒョウが慌ててアサヒの手を振り払うとアサヒは改めてヒョウに向かい合う。

 

「つい昨日までバチバチ悪口言われてたのにいきなりしおらしく話されてもこっちがやりづらい。だからこうさせてもらった」

 

「いや、だからって何もヒョウ君と敵対しそうな事をしなくたって……」

 

ましろはアサヒからの言葉に苦笑いを浮かべており、ヒョウもアサヒへの警戒心を高めてしまっていた。しかし、そんなのお構いなしにアサヒは続ける。

 

「ヒョウ、お前。悔しく無いのかよ」

 

「………」

 

アサヒが先程までとは打って変わって真面目な話を始めたためにヒョウはその話を聞く状態に戻った。

 

「自分に才能が無いからって諦めて……それで家出してさ。そこまでは良いけど、この世界に来てその家族を見返すために何か努力はしたのか?」

 

「それは……」

 

ヒョウはそこまで言われて黙り込んでしまう。思えば、自分は一緒に過ごしてきたツバサとは違って他人に誇れるような何かをやってきたわけじゃない。

 

そして、アサヒはそんな状態のヒョウへと冷静に現実を突きつける事にした。

 

「今のヒョウは目の前の障害から逃げてるだけだ。家族の事、見返したいんだろ?それじゃあ何も変わらないぞ」

 

「そんなのわかってるよ……だけど、俺には兄さんや姉さん達を超えられる何かなんて無いのに……。俺がどんなに頑張ったって」

 

「ユキは……この世界に来て変わったぞ」

 

アサヒは未だに弱気な発言ばかりのヒョウに対して彼が慕うユキを例として挙げる。

 

「ッ……」

 

「ヒョウだって見てきただろ?あんなに心が弱くて、自分に自信を持てて無かったユキが……今は自分の気持ちをハッキリと話して、自分のやりたい事を自分から言えるようになった」

 

「それは……アサヒやソラさん、ましろさんがいたからであって……」

 

「ヒョウにだっているだろ!」

 

ヒョウが不安そうな顔を見せているとアサヒはすかさず彼を叱咤激励するように強く話しかけた。

 

「アサヒ……」

 

「正直さ、ヒョウに悪口をいっぱい言われてきて……ヒョウに対して悪印象を持ってないかって言われたら嘘になる。だけど、ヒョウの過去を聞いて気持ちが変わった。……だって俺達は同じだろ。ユキの事が大切で、そんな大切な相手を他人に取られそうになったから嫉妬してる。それに、今のヒョウは見てられないんだよ」

 

アサヒからそう言われてヒョウは手を胸に当てると先程まで辛い気持ちでいっぱいだった心に温かい光が差し込むような感覚を感じ取る。するとそこにましろも入ってきた。

 

「私もアサヒと同じだよ。今のヒョウ君は心配になっちゃうし、ヒョウ君が頑張りたいと思える事を応援したい。だから、私達で一緒に乗り越えよ!きっとユキちゃんやソラちゃんも同じ事を言ってくれる。勿論ツバサ君だって!」

 

ヒョウは二人からそう言われると嬉しさからか、自然と涙が溢れ出してくる。それだけ今のヒョウにとって、アサヒとましろの存在は大きな光になりつつあった。

 

「二人共……もう俺への疑いとか、恨みとか無いの?あんなに酷い事を言ったのに……」

 

「恨みは兎も角、疑いの気持ちはもうねーよ。それに、今のお前相手にそう言う事を言う気持ちにはならない」

 

「あはは……。私はどっちも無いよ。こうして仲良くしてくれるのならそれで十分」

 

ヒョウはそれを聞いて目元に浮かんでいる涙を拭き、深呼吸。それから改めて二人へと頭を下げることになった。

 

「二人共、ありがとう。俺……皆と一緒に頑張ってみる。だから、これからよろしくお願いします」

 

ヒョウはそう言ってアサヒへと手を差し出す。それを見たアサヒは力強い眼差しで頷くとその手を握り、ましろがその反対側からそっと合わせた。

 

「ああ。じゃあ仲直りも済んだし、これから俺達は友達だ。良いよな、ましろ」

 

「勿論だよ!あ、でも二人共。一緒に過ごすんだから喧嘩は控えめにね」

 

「「そんなのわかってるよ!!」」

 

その瞬間、ましろに釘を刺されて二人は思わず声を合わせて反論してしまう。そのため二人は驚きつつ顔を見合わせると微笑みを浮かべるのだった。

 

「おーい、虹ヶ丘、ユキさん、ましろさん!いつまで屋上で話をしてるんだよ!」

 

「早く戻らないと休み時間終わっちゃうぞ!」

 

すると軽井沢やひかるが屋上のドアを“バァン”という音と共に勢いよく開け、いつまでも教室に戻ってこないアサヒやましろへと話しかける。

 

「ッ!?」

 

その瞬間、ヒョウは慌てて人間態からプニバードに戻るとアサヒの背中にしがみついて隠れる。ひかるは兎も角、軽井沢にまでヒョウの事がバレたら色々と面倒だからだ。

 

それはさておき、二人の言葉が事実である事を知らせるかのようにこのタイミングで昼休み終了前の予鈴が鳴り響く。

 

「ヤバっ!?」

 

「授業に遅れちゃう!!」

 

「ほら、早く早く!」

 

「俺達先に戻ってるぞ!」

 

すると入り口付近にいるひかると軽井沢の二人は先に教室に戻っていき、ましろもアサヒへと声をかけつつ教室へと走り出す。

 

「アサヒ、私達もヒョウ君を鞄に入れて戻ろう」

 

「ああ、そうだな」

 

それからましろが言ってしまう中、ヒョウは背中をよじ登る形でアサヒの肩に乗るとそのまま流れでアサヒが鞄の中にヒョウを入れようとする。

 

「ヒョウ、悪いけどまたこの中に入っててもらうぞ」

 

「あ、うん。それは良いけどさ。最後に……」

 

「は?こんな時に何だよ」

 

アサヒは流石にこれ以上ここで手間取るのは不味いと考えており、ヒョウへと半分焦った様子で問いかける。

 

「……アサヒ。俺はユキ姉に対して恋愛感情を抱く事は絶対に無いよ。だから安心して」

 

「……は?」

 

アサヒはいきなりヒョウにユキへの恋愛感情はこれから先、ずっと無いという宣言をされて困惑。何しろ、ユキは男子に兎に角モテる。そしてそれはヒョウも例外では無いはずであり、いきなりそんな事を言われても信用なんてできないのは明らかだ。

 

「それじゃあ」

 

「ちょっ、ヒョウお前どういう……ああもう!」

 

アサヒもそう思ったために慌てて話しかけるが、そんな彼を放置してヒョウは鞄の中に引っ込んでしまう。加えてアサヒには昼の授業が差し迫っているためにこれ以上彼を問い詰める事ができなかった。

 

「……ほんと、そんな事言われたらユキ姉がアサヒに惚れるのも当たり前だよ……」

 

そして、そんなアサヒを尻目にヒョウは彼に聞こえないように小さく呟く。どうやらヒョウ視点だともうこの時点でユキがアサヒに惚れてると思ったらしい。

 

そんな事はさておき。アサヒとましろは授業の始まりに間に合うようにするべく慌てて教室へと急ぐのだった。

 

同時刻。街中では悪役コンビことシャドーとカバトンが人気の無い路地裏で会議中だった。

 

「……だーっ!もう!どうやったらプリキュアを打倒できるのねん!」

 

「……別に俺なら本気を出せばあの4人を倒すくらいできるぞ?」

 

「だったら本気を出すのねん!お前がプリキュアを引き付けている内にプリンセス・エルを……」

 

「はぁ、却下」

 

「ズコーッ!?」

 

シャドーは自分ならプリキュア4人相手にも勝てると豪語したためにカバトンは役割分担として自分がエルを連れ去り、シャドーがプリキュア打倒をすべきと言う。しかし、割とあっさり彼はその案を拒否。そのため思わずカバトンはズッコケてしまった。

 

「お前、じゃあ何でさっき勝てるなんて言ったのねん!?」

 

「……そのやり方は性に合わない。やるならプリキュアを全員倒した上で連れ去るだけだ。もしお前がそれをやりたいのなら自分でそれをできるような策を考えろ」

 

「ぐぬぬぬ……」

 

シャドーからの言葉にカバトンは悔しそうな顔つきを見せる。正直、自分1人でプリキュア4人をまともに相手にして勝ち切る自信が無いのだ。何しろ、プリキュア4人というだけでもただのランボーグでは力不足。更にプリキュアを窮地に落とせばエルのスーパーパワーで逆転してくるのだ。

 

幾ら脳筋寄りの思考であるカバトンでも馬鹿正直に挑めば返り討ちに遭う事ぐらいはこの時点で理解しつつあった。

 

「はぁ……。そう思うのならプリキュアと4人とまともにやり合わずに勝つ方法を考えてみろよ」

 

「そんな事言ったって、頭はからっきしの俺様に良い案が浮かぶとでも……」

 

「思ってないな」

 

「そうだろう……って、おい!?」

 

カバトンが自虐ネタを言い出したので珍しくシャドーがそれに乗るとカバトンが苛立ったような声色で反論。シャドーはそろそろ面倒に感じつつあると仕方ないと言わんばかりにアドバイスを送る事に。

 

「だったらヒントぐらいならやる。……お前の目的は何だ?」

 

「そんなの、プリキュアを倒してプリンセス・エルを攫う事だ」

 

「……違うだろ?プリキュアを倒しては余計だ」

 

「へ?」

 

カバトンは唖然としたような顔つきでシャドーを見る。シャドーが提案した案。それはプリキュアを倒せばエルを攫えるという考えのカバトンにはまず浮かばない考えであった。

 

「お前が絶対に達成すべきなのはプリンセス・エルを攫う事。プリキュアは最悪倒せなくても良いんだよ」

 

「だ、だがそれだとプリキュアが俺達の後を追って……」

 

「別に良いんじゃないか?プリキュアの撃退までは任務に含まれてないんだから。プリキュアが追ってきてからの先の話を決めるのはあのお方の役割だ」

 

「ッ……」

 

カバトンはシャドーの意見を聞いてそれも一理あるという考えに変わりつつあった。あくまで自分達がやらないといけないのエルの連れ去りのみ。そこから先の事は最悪後回しにしても問題無いのだ。何しろ、この前自分達の上司が催促してきた内容の中にプリキュアの打倒は含まれていなかったわけである。

 

「な、なるほどなのねん。それなら、それができる手……考えてみるのねん」

 

「はぁ……。本当に世話が焼ける同僚だな……」

 

シャドーはそう言いつつ作戦を立てるのはカバトンが勝手にやると考えると自分はカバトンの襲撃に合わせて想定されるプリキュアとの戦いに備えて自らの刀のメンテナンスを始める事になるのだった。

 

それから時間が経って夕方、ソラシド学園での事。アサヒとましろはこの日の授業を終え、帰りのホームルームの終わりの挨拶を済ませると二人揃って一目散に家へと戻ることにしていた。これはユキ、ソラとツバサの関係が大丈夫かの確認と学校での事を説明するためである。

 

「皆ごめん!今日も急いで帰らないといけなくて」

 

「悪い、話しながら帰るのはキツい!」

 

「あ、そっか。家にいるソラちゃんやユキちゃんが心配だもんね」

 

「今日は仕方ないかな。2人のためにも早く帰ってあげて」

 

ちなみに、今回ばかりはクラスメイトの友達も早く帰るのに割とあっさりと同意してくれた。流石にユキやソラが体調不良であればアサヒやましろが心配するのも仕方ないからである。

 

「じゃあな、2人共」

 

「また明日ね!」

 

2人はそんなやり取りをしてクラスメイトと別れると家に向かって走った。するとましろが学校での事を呟く。

 

「それにしても今日は2人が休んだ事の話ばかりだったよね。“最強の健康優良児コンビが休むだなんてーっ”って。しかもなんか学年も飛び越えて、学園中が軽くパニックだったし……」

 

「………」

 

「アサヒ?」

 

ましろが反応を返さないアサヒへと話しかけると彼は昼休みにヒョウが言い残した言葉がどうしても引っかかっていた。そのため鞄の中にいるヒョウへと話しかける。

 

「なぁ、ヒョウ。さっきのどう言う意味だよ」

 

「さっきの?」

 

「ああ、ヒョウの奴ユキには絶対に恋しないって。男のヒョウにそれを言われても説得力ねーんだよ」

 

「あはは、でもヒョウ君がそう言ってくれてるんだから信じてあげたら?」

 

ましろはアサヒからの事情説明を受けると苦笑いを浮かべた。ヒョウが信頼できる人だとましろは感じており、そのヒョウからの言葉なのだから疑う余地は無いという事だ。

 

「む……。確かにそうか……。ヒョウが俺に気を使ってくれたのかも……」

 

「そうだよ」

 

アサヒはましろに説得されるかのように言われると彼女の意見に納得。ひとまずヒョウの謎発言は置いておく事に。

 

「っと、やっと見えてきた!」

 

「うん、ソラちゃんとツバサ君……仲良くなっていますように……」

 

「ああ。こっちの事も色々話したいしな」

 

こうして、2人は虹ヶ丘家にいるであろう3人が仲良くしている事を祈りつつその扉を開ける事になるのだった。




また次回もお楽しみに。
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