透き通った世界の下の嫉妬心   作:хорошо!

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成り行きと趣味で始めた作品ですが思いの外キヴォトスとパルスィの相性が良くて困惑しております


澄み切った天然水の様な美少女による完璧な作戦

先生というのは、噂以上にお人好しらしい。

あそこまで二つ返事で了承されるとは思っていなかったので、少し拍子抜けしてしまった。

だが、これは私からすればラッキーである。

 

「これで会長の方に専念出来るわね…」

 

アリスと会長を救う、という私の使命は会長を救うという使命に変更されたわけだ。

単純な難易度低下、素晴らしい事である。

私はマゾではないのでLunaticよりは当然Easyの方が良いに決まっている。

まぁ、会長を救うという事自体の難易度が私にとっては難しいので、Hardくらいの難易度はありそうだが。

 

というわけで、私が向かっているのはヒマリとエイミがいる筈の特異現象捜査部だ。

ヒマリは相変わらずあまり得意なタイプではないが、会長の事を何も知らない私にとって貴重な情報源であるというのも確かだ。

それに、本人も会長が救われる事を望んでいる。

良い友人を持ってるじゃない、妬ましいわね。

 

そんな訳で、その部室に着いたのだが…

 

「…いないじゃない…」

 

そこには誰もいる気配がなかった。

もうこんな時間だ、家や寮に帰ってしまったのだろうかと思考するが、それはないだろうと結論付ける。

飲みかけの、まだ温かい珈琲が分かりやすい証拠だ。

ならば、先程まで此処にいたという事になる。

 

二人はこの後、私が来る事を知っていた筈だ。

だと言うのにこのタイミングで席を外すとは考えづらいし、何か考えがあっての行動なのだろうか。

頭を捻る、何を思ってこんな事をしたのだろうか。

何か手掛かりが残っているかもしれない、そんな希望的観測で部室を隅々まで捜索する。

 

何も無い、何も見つからない。

 

いや、面白そうな道具は色々とあるのだが、私が探しているのはこういう物ではない。

二人の行き先の手掛かりが欲しいのだ。

もしもの話だが、ヒマリが

 

『特異現象さんなら私達の居場所を特定する事くらい容易ですよね?』

 

などと思っているのなら買い被りである。

確かに能力で人探しをする事も出来るが、あんなポジティブの具現化のような人間の嫉妬心をピンポイントで絞り出すのは無理がある。

だからヒマリと私は相性が悪いのだ。

エイミの方は…その、感情が薄いと言うか読めないと言うべきか、此方も此方で難しい。

 

もっとヒナみたいに感情を表に出して欲しいのだが…

愚痴を言っていても仕方が無い、一旦落ち着くために机の上の珈琲を口に…これ飲みかけじゃなかった?

しくじった、久々の外出で疲れていたの思考が鈍っていたらしい。

ヒマリかエイミか、どちらが飲んでいたものかは知らないが心の中で謝っておく。

そして、その思考力の低下のお陰で気付いた。

 

「…あんにゃろ、分かる訳ないじゃない」

 

カップの底に、文字が書いてある事に。

ファッキンシットと叫んでやりたい、こんなの誰が分かると言うのだろうか。

…分かったじゃないかって?うるさいわ…

 

 

◇◇◇

 

 

ミレニアムサイエンススクール、その最上階。

水橋さんも訪れたであろう生徒会長室にいるのは、私と噂の生徒会長さんである。

 

「この会合が秘匿されている事くらいは、貴女も理解しているものだと思っていたのだけれど?」

 

「それはどうでしょう?」

 

確かにこの会合の事を知る者は私と目の前の彼女、その二人だけであろう。

だが、私の些細なミスで『カップの下に書いておいたメモ』を見てしまった人物がいるかもしれない。

この会合が秘匿されていると、誰が証明出来ようか。

 

「…そもそも、人目を気にするのであれば他の場所にすれば良かったのでは?」

 

幾ら此処が生徒会長であるリオと、この超天才である私が隠蔽している場所であると言えども、何らかの拍子に話が聞かれてしまう事があるかもしれない。

これは例え話ではなく、起こり得る可能性の話だ。

だから、他に場所の選択肢はあった筈なのだ。

 

「誰かさんがこっそり作っている…」

 

「『セーフハウス(悪趣味)』とか?」

 

それこそ、目の前の汚水がせっせと作り上げていた、来る厄災の為のセーフハウスだとか。

いくらでも、やりようはあった筈なのだ。

 

「…本題に入りましょう」

 

「あらあら、話を逸らすつもりですか?ふふっ…えぇ、別に構いませんが」

 

ここまでは、あくまでただの雑談だ。

強いて言うなら、セーフハウス(悪趣味)のを話してどれだけリオが狼狽えるか見たかっただけである。

まぁ、結果は得られなかったようなものだが。

 

「まず、お互いの認識の摺り合わせを」

 

リオは、ほんの少し前にミレニアムで起きた一連の騒動について語り始める。

『鏡』を巡ってゲーム開発部とヴェリタス、そしてC&Cが起こした、表向きではそうなっている騒動。

私とリオが、手を組んで起こした騒動について。

何故そんな事をしたのか?簡単な事である。

 

「そう…アリス(AL-1S)の正体を明かす為に」

 

出所の分からない、何もかもが不明の生徒。

異様な力を持ったソレに、目の前の泥水は警戒心を抱いていたのだ。

だからこそ、今回の騒動を起こす事になった。

 

「貴女の答えは…出たのかしら?」

 

「えぇ、勿論です」

 

騒動を通して、私が思った事。

そんな事など、考えるまでもない話だ。

 

「アリスの正体…それは…」

 

私は、私の回答というものを持っている。

だからこそ、正体不明の特異現象に協力を仰ぎ、敢えてエイミを連れる事なく此処へ来たのだから。

 

「無名の司祭が崇拝する『オーパーツ』であり…」

 

「遥か昔の記録に存在する…」

 

私は私の回答を、目の前の女に示すのみ。

 

「「名も無き神々の王女」」

 

これは水橋さんにも伝えた事だが、アリスはこのミレニアム…いや、キヴォトスを滅ぼしうる存在であり、言ってしまうなら危険分子である。

 

「つまり…『あの存在』の本質は…」

 

だが、それが何だと言うのだろうか。

無名の司祭?オーパーツ?確かに興味を唆られる内容だが、私にとって重要なのはそこではない。

 

「えぇ…アリス、あの子は…」

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