「世界を終焉に導く兵器」「可愛い後輩ですよね♪」
あの子は…
ただ、それと同時にあの子はミレニアムの生徒であり、私達の可愛い可愛い後輩なのだ。
「…貴女は一体、何を言っているの…?」
「リオこそ、一体何を言っているのですか…?」
口ではこう言っておくが、こうなるというのは事前に予想していた展開である。
合理主義者のリオの事だ、実に分かりやすい、分かりきっている答えだった。
「…そう、私達の同盟も此処で終わりという事ね」
だから、今、私がするべき事はなんだ。
私の目的は
そして、目の前の女の事を救う事である。
「そうですね、同盟ではなく休戦でしたが…」
私に出来る事、それはあくまで脇役としての働き。
出来る事ならこの私が華麗に全て解決して見せたい所だが、たまには縁の下の力持ちといった立場を担ってみるのも、また一興と言った所だろう。
「……………」
「……………」
今の私に出来る事、それは目の前の女から私への信頼を下げてヘイトを私に溜めさせる事だ。
彼女が私を敵だと、裏切ったと認識してくれれば、その心には確実に『隙』が出来る。
元々、こうなる事など分かりきっていたのだ。
ならば、事前に対策を打った上でチャート通りに動くのが、超天才というものではないのだろうか。
「これが噂の…最近貴方が作っている
だからこそ、目の前に展開された防衛ロボ達を見て、しめしめと思う訳だ。
計画通り、彼女に私の事を敵だと認識させる植え込みは成功したようだった。
此処まではチャート通り、問題は此処からである。
「ッ…私のオフィスがハッキングされた…!?」
照明が落ち、部屋が暗くなった事を確認した瞬間に車椅子の車輪を最高速度で稼働させる。
あとの私の役割は、逃げるだけ。
簡単なように見えて、恐らく一番難しい役目。
「(あの女の事ですから、いる筈です…!)」
5人目のC&C、秘匿されていたもう一人の部員。
リオ専属のボディーガードであり、恐らくリオが心を許しているであろう一人の人物。
恐らくだが、私はその人に捕まるだろう。
だが、またそれも一つのルートである。
私が捕まった所で、水橋さんがヘマをしなければチャートが崩れる事はない。
最悪、エイミにでも助けてもらえる。
だから今私が逃げている理由、それは…
「(この私が、時間稼ぎですか…)」
水橋さんが来るまでの、時間稼ぎなのだ。
カップの底に書いてあったメッセージには気付いてもらえただろうか。
いや、きっと気付いた筈だ、なんて言ったって彼女は私の追い求める特異現象その者なのだから。
「久々に見ましたが、相変わらずでしたね…」
私にどうにか出来るのなら、どうにかしたかった。
部外者である彼女を巻き込むような真似をしたくはなかったし、個人的にも話し合いで解決したかった。
だが、叶わなかったものは仕方が無い事である。
此処から先は、大人達に頼るしかない物語で、力に頼らねばならない物語なのだ。
「まぁ、超天才病弱美少女の私には無意味ですが♪」
私はその為に色々と考えて、此処に赴いたのだ。
私のこの行動が無駄にならないよう、どうか上手く立ち回ってほしいものである。
「さて、これでリオより先に…」
此処まで辿り着く事が出来た。
そう、言葉にする前に、私の後頭部に鈍い音と共に衝撃が走った。
視界が狭くなる、意識が遠退いていく。
此処で私は一時退場、此処から先は主役達が活躍する、注目の場面だ。
…だからどうか…頼みましたよ、特異現象さん?
◇◇◇
「…この手段は、取りたくなかったのだけれど」
合理的ではない、確かに今の私の行動はどちらかと言うのなら汚水と呼ばれても仕方が無いものだった。
だが、私に今更止まるという選択肢は、もう既に残されていないのだ。
車椅子から崩れ落ち、倒れるヒマリの姿を見る。
出来れば、彼女とは協力関係でありたかった。
私を分かってくれるかもしれないのは、彼女くらいしかいないと思っていたのだから。
こんな形になってしまって、非常に心が痛い。
やはり、私は理解してもらえないのだろうか。
「…リオ様…」
「よく分かるわよ、その責任感ってやつ」
そんな風に思い悩んでいたせいだろうか。
いや、トキも驚いていたようだから、私だけが油断していたという訳では無いだろう。
私達は、目の前に現れた人物に気が付かなかった。
◇◇◇
ヒマリのメッセージに書かれた場所に来てみたら、会長と誰か分からないメイドがヒマリを伸していた。
何があった、一体、何があったというのか。
情報を整理、いや読める…今なら、会長の感情を感じ取る事が出来る…
この感情は…後悔?責任感?…そして…
「えぇ、妬ましいわよね…楽観的に考えて、後に訪れる未来を考えない愚者達が…」
「清々するわね、感謝するわ?私がやろうとしていた事を、貴女がやってくれたのよね?」
「ぇ、えぇ…ヒマリを気絶させたのは私達だけど…」
今の彼女には、私の能力が通る。
過干渉になり得ない程の、ほんの僅かな思考誘導。
だが、弱っている人間にはこれで充分なのだ。
それ程までに、人の心というのは脆いから。
…もしや、これも全てヒマリの計算の内?
会長が変に弱っているのも、そういう事なのか?
その超天才的な思考が妬ましいッ…*1
「…成程、私と貴女の目的は同じって訳ね…」
今の状況、会長には能力が通っているが隣のメイドさんには全く効いていない。
ヘマをして怪しまれ、ナイフを投げられる。
そんな経験は紅魔館のメイドからだけで充分だ、もう既に怪しいのだから、どうにか怪しまれないように気を付けながらペラを回す。
「AL-1Sを壊すんでしょう?私も、協力するわよ」
多分、ヒマリが望んでいるのはこういう事だろう。
私には会長側に、先生にはアリス側に。
立場が違う大人に、違う立場からそれぞれの人を救ってもらう…それが、彼女の考えなのだろう。
ってなわけで、頼んだわよ、先生。
お願いしたのだから、ちゃんと役目を果たしてアリスを守ってあげなさいね?
私、貴方と対立する事になりそうだから。
ヒマリは常に3手先を考えてると思ってます