そもそも、私は何故此処に来たのか。
そう、私はこのキヴォトスという世界を知る為にと、ミレニアムの見学に来たのだ。
だと言うのに、ヒマリに頼まれ、会長の協力者になり、AL-1Sだかの騒動に巻き込まれている。
私は何処で間違ったのか、何故こうなったのか。
というわけで、暫くは行動を起こさないからと会長に開放された私は、本来の目的であるミレニアムの見学を行おうと廊下を歩いていた。
一度ヒナの下へ帰る事も考えたのだが、何かあった時にすぐ動けるようにとミレニアムへの在留を余儀なくされた為、こうして絶賛見学中というわけだ。
此処へ来る前にヒナに
『一度、報告をしに戻って来る』
と言っていたのだが、そんな余裕もなくなってしまったので実際は帰れていない。
あの子は大丈夫だろうか、と僅かながらに心配するがそもそも私がキヴォトスに来る前は一人暮らしだったらしいし、別に大丈夫だろうと結論付ける。
色々あって視界が狭くなっていたが、改めて見てみるとミレニアムとは凄い所だなと思う。
何やら珍妙な形の機械を爆発させている子達もいれば、サイエンススクールという名前なのに外で球技を行っている子達もいる。
エンジニア部だとか野球部だとか、あとはヒマリ達が所属している特異現象捜査部だったり、問題の生徒がいるゲーム開発部とやら。
寺子屋と違って色んな事が出来るのだなと感心しながら歩いていると、私はある部屋の前に辿り着いた。
なんだか重々しい、威圧感を感じる金属製の扉だ。
中から微かにだが声が聞こえてくるので此処も部活動の部室なのだろうかと予測し、部屋の中を覗いてみれば、そこには一人の少女が蹲っていた。
「…何、アレ」
しかも、何故かバニー姿で。
◇◇◇
「…ぁ、ロイスト」
「うあぁぁぁあぁ!?なんで!?」
なんやかんやあって、私はその子と二人でポーカーをやっていた。
ルールを知らなかった為、今教えてもらったのだが私の運が良いのか相手の運が悪いのか、先程からずっと私が連勝し続けている。
それとも俗に言う接待プレイというやつなのだろうか、私は初心者だから気遣われているのか?
おっと、説明を忘れてしまうところだった。
この子は黒崎コユキ、なんと会長と同じでセミナーに所属していたらしい…そう、『していた』らしい。
話を聞いてみれば、何やら問題を起こし続けた結果、セミナーという立場を剥奪されたという。
詳しくは知らないがセミナーに入れたというのは有能な証拠である、何をやらかしてしまったのか…
因みに此処は反省室であるらしく、その騒動の償いのために此処に閉じ込められて…と言いたい所だが、実際は自主的に引き籠もっているらしい。
理由を聞けば、メイドさんが怖いからとか何とか…
トキ、詳しくは知らないけど貴女の先輩方は一体どんな人達なのよ…
そんな問題児である彼女だが、話してみると意外と良い子と言うか、純粋な子だった。
子供らしい、変に取り繕わずに自分の欲望のままに行動する…まさに、私の知る子供であった。
まぁ、少々やりすぎな気はするが…
ヒナやリオがおかしいだけで普通はこうなのか、それともキヴォトスではあっちが普通なのか…
ヒマリみたいな私とは比べ物にならない程の天才もいるのを考えると、キヴォトスの子供ってのはハイスペックだなとつくづく思う。
こんなに長生きしてる私よりも有能なのだ、普通に妬んでも文句がないだろう。
…努力の賜物だから?努力だって運が絡むものだ。
努力をした所で報われるとは限らないし、だからと言って努力をやめる事も許されない。
そのくせ、努力をせずとも結果を残す者はいつの世も、一定数存在するのだ。
生まれの良さや容姿の良さは努力で変えられないのだから、結局の所は運なのだ。
不平等な世の中である、妬ましいものだ。*1
そうそう、運といえばだ。
この少女、コユキは運が絡む事が好きらしい。
自身の能力によって解く事が出来ない、完全なランダム性に心を惹かれるのだとか何とか。
コユキの能力、それは機械系統に関する暗号であればどんな複雑なものであろうと、感覚で全て簡単に解けてしまうというものらしい。
なんだそれは、妬ましいじゃないか。
それはもはや異能の類なのではないだろうか。
幻想郷の者が持っていてもおかしくないレベルの力である、尤も活かせるのは河童くらいだろうが。
普通に妬ましい、素直に凄い能力である。
それともキヴォトスでもこの程度の能力は日常的に持つ者が
いるのだろうか。
…いや、それはない筈だ。
恐らくだが、コユキがセミナーに入れていた理由というのがこの能力にあるのだろう。
この世界は科学が発展している、ならばこの能力はミレニアムの生徒からしたら喉から手が出る程に欲しい、魅力的なものな筈だ。
だからこそ、セミナーから誘いを受けたのだろう。
まぁ、その本人は会長や他のセミナーの者達の予想を遥かに越えるヤンチャっ子、手に負えなくてこうなっているというわけだろう。
私としては感情に従ったその行動を称賛したい所だが、行動自体は決して褒められたものではないので何も言わないでおく。
「イカサマしてませんよね!?」
「初心者にそんな事聞く…?」
だが、こうして純粋な子と遊べるのは案外楽しい。
キヴォトスに来てから…いや、幻想郷にいた頃も、こうして子供と遊ぶ機会など数える程しかなかった。
住んでいる場所の問題もあるし、私の性格と印象の問題もあるのだろう。
さとりや勇儀みたいに私の事をちゃんと分かっている人もいたが、それも一部の者達のみ。
こうして、一人の遊び相手として構ってもらえるのが嬉しかったのかもしれない。
まぁ、別に私自身が嫌われてるのは気にしていないのでどうでも良いのだが。
そもそも私は気に入った一部の者以外とはあまり関わりを持たないタイプの人間である。
皆に良い顔をしてしまっていたら、堂々と誰かを妬む事が出来なくなってしまうではないか。
それはいけない、嫉妬をする事は私の存在意義であり、私は嫉妬する事によって生きているのだから。
「にはっ!やっと私の勝ちですね!」
とは言え、たまにはこういうのも良いものである。
屈託のない笑みを浮かべる目の前の少女を見て、嫉妬の化身は柄にもない事を思った。
コユキを出したのは趣味です
特に意味はないです、伏線とかもないです
パル×コユキを皆も書きましょう!
パル×ヒナも良いですよ!
謎概念を広めるなって?仰る通りです…