透き通った世界の下の嫉妬心   作:хорошо!

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Christmas Eveとは本来クリスマス(Christmas)(Eve)の事だ

12月24日、ご存知クリスマスイブ。

妬ましきカップル共や一緒に過ごす者がいない悲しき人間など、人によって様々な過ごし方をするであろう、1年の中で最も嫉妬心が蔓延ると言っても過言ではないような…聖なる夜という名の割とえげつない日。

あくまで私なりの調査ではあるが、バレンタインなどもこの程度の嫉妬心が蔓延っている。

 

いつもだったら嫉妬心を回収しつつ、勇儀やヤマメ達と一緒に次の日まで呑み明かす、そんな日。

だが、今年の私がいる場所は幻想郷ではなくキヴォトス…当然、勇儀達はいない。

今までの過ごし方が出来ない、ならばどうしようかと気楽に考えていたのは昨日の出来事。

 

『パルスィ…その、25日…予定、空いてる?』

 

そんなヒナの言葉に対し、何も考えずに了承してしまったのは今考えても軽率が過ぎた。

昨日の買い物の際、ついでにとイチカにはプレゼントを渡す事が出来たが…まぁ、当然ミレニアムの皆にはまだプレゼントを渡す事が出来ていない。

明日はヒナとの予定がある、だから今日の内に渡してしまおうとミレニアムへ赴こうとしたのだが…

 

「イブだからって、混みすぎじゃない…?」

 

幻想郷よりクリスマスという文化に親しみがあるのか、何処もかしこも人で溢れかえっている。

当然、電車などの交通機関もその犠牲となっている。

ならば飛んでいこうと考えたが、片道ならまだしもゲヘナからミレニアムを往復するというのは流石に疲れるし、時間も掛かってしまうだろう。

ヒナとの約束を無下にする事は出来ないので、絶対に今日中には帰ってこなければならない。

 

駅の時計に目を向けてみれば、短い針が指す数字は5。

…アクションが遅れた私にも責任はある、プレゼントを渡す時間も考えるとどう考えても間に合わない。

というかコユキにも25日に会おうと言ってしまった、自身の計画性のなさが妬ましい…

もう自分自身が赴くというのは無理だろう、そう思い立った私は駅から離れ人の少ない路地裏へ向かう。

 

懐から出すのは、愛用の藁人形。

僅かに妖力を込めれば、緑色の光を伴って変形し私と瓜二つ…同じと言っても過言ではない程に容姿の似た少女へと姿を変える。

アリスの監視にも使った『雀』の本来の使い方だ。

私の並列意識のようなものであり、私よりは少ないものの妖力を扱う事が出来る…使い魔と言うか、分身と言うか…そんな、よく分からない存在。

一定以上の損傷を受けると周囲に弾幕をばら撒きながら自爆するという機能もある。

 

「…どしたの、アリスちゃんが暴走でもした?」

 

「仮にそうなっても、私一人で止められるわね」

 

まぁ、私より言動が軽い所があるし雰囲気も何処と無く違うので見分けは割と付く。

いや、私も素で話している時は割と軽いのだが…

私は誰かを呼ぶ際に『ちゃん』付けなんてしない、大体は名字呼びか呼び捨ての二択である。

…リオ会長?アレはその…例外?

そんな彼女に頼むのは、当然プレゼントの件。

 

「で、これよろしく…」

 

「…さては収集が付かなくなった感じだな〜?」

 

「察しが良くて助かる…と同時に怖いわ…」

 

彼女に持っていた紙袋を手渡せば、全てを察したといった様子でドヤられる。

私の使い魔なんだからある程度の事を共有出来るのは確かにそうなのだが、これは流石に怖い。

そのうち私の意思に関係なく付喪神化するんじゃないか、冗談抜きでそんな事を考える。

 

「ま、任せておきなさいな…ミレニアムに行けば良いんでしょ?どうすれば良い感じ?」

 

「リオ会長に連絡して…まぁ、軽く事情を説明して宿泊用の部屋でも用意してもらうわよ…」

 

スマホを取り出し、言葉の通りにリオ会長に連絡を…相変わらず既読が早い、これで暇人という訳では無いのだから普通に凄いと思う。

先生もそうだが、睡眠時間とか…いや、ヒナを見るにマトモに寝てない可能性すらあるのか…

今にも飛び立とうとする彼女の後ろ姿を見て、一応言っておこうと注意を促す。

 

「…その口調、表で出さないようにね」

 

「分かってますよ〜」

 

そんな事を言い残し飛んでいく彼女。

…意識的には繋がっているとは言え、変にヘマをしないか普通に心配である。

 

 

◇◇◇

 

 

『自分の主人の人望が憎い』

 

パルスィの使い魔、もとい『雀』はそう思った。

プレゼントを渡すのは明日、特にするべき事もない自分は用意された部屋で休もうと考えていた。

が、今の状況はどうだ?

 

「勇者アリスは魔法使いパルスィをパーティーに招待します!!」

 

「落ち着いてくださいアリス…すいません、水橋様」

 

「…あぁ、うん、別に良いわよ」

 

そのプレゼントを部屋に置いた後、軽く飲み物を買う為に外へ出たのが間違いだった。

生徒達が主人に抱いている好感度の大きさを舐めていた、短時間外に出ただけ見つかるとは思ってなかった。

 

『…ごめん、アリスとケイに見つかったわ』

 

馬鹿じゃないの!?(バカジャネーノ)

 

『そんな上海人形みたいな怒り方しないでも…』

 

いや、彼女達が寝ている間にプレゼントを渡すだけで良かった筈なのに不用意に顔を合わせたのは私だ。

責任は私に…実質本体の責任と変わらないのでは?

そんなくだらない事を考えている事も共有されているので、少し呆れたような声で本体は続ける。

 

『…ガッツリ顔合わせちゃってるじゃない、やらかしたからにはちゃんと構ってあげなさいよ?』

 

『えぇ…本体的には、それで良いの?』

 

と、少し間が空いた後に続ける。

 

『…まぁ、貴女も実質は私みたいなモンだし?』

 

『適当だね、そういう所…』

 

周囲の者達は勘違いしているかもしれないが、私を含め水橋パルスィという人物は、結構適当である。

というより計画性があったら今こうして彼女達と鉢合っていない、私も本体も本質的には同じなのだから。

 

「どうですか?アリス達と一緒に探索しませんか?」

 

「アリス…迷惑ですよ、ここはモモイ達に…」

 

「…そうね、付き合ってあげるわ」

 

「!!パンパカパーン!!パルスィがパーティーに加わりました!!戦力増加です!!」

 

「…良いのですか…?」

 

「ん…まぁ、良いんじゃない?」

 

ケイから好かれている事にも気付いている筈なのに、本体はヒナと過ごす事を優先したのだ。

どちらかに対して贔屓している、という訳では無いのは分かっているが…まぁ、可哀想だろう。

模造品みたいな物…所詮は偽物だと言えど、私だって水橋パルスィではあるのだ。

少しくらいは、彼女達の我儘に答えてあげよう。

 

『って、本体でもそうするでしょ?』

 

『…貴女がそう行動している時点で、それは私の意思なのよ…分かってて言っているわよね…?』

 

『そりゃ当然、その通りだけどね』

 

そんなこんなで『雀』を含めた御一行(水橋パルスィ達)は本体とはまた違った形でイブを過ごすのだった…

次の日、結局帰る前に見つかりコユキやトキにも絡まれたりしたのだが…それはまた、別の話である。




因みにヒナとケイにはそれぞれに色の違う自身の編んだ手袋を渡しています。
パルスィがミレニアムに行くのが遅れたのもソレが原因です、キヴォトスにクリスマスがあるという事を知らなかったのだから仕方がありません。
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