透き通った世界の下の嫉妬心   作:хорошо!

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あゝ妬ましき聖夜祭(ホワイト・クリスマス)

12月25日、クリスマス。

巷では24日の方が盛り上がり、25日になった時には既に熱は冷め始めていると言っても過言ではない。

それはそれとして、性夜だとか何だとか言って昨夜からお盛んな者達もいるのだろう…別に憧れがある訳では無いが一応言っておく、妬ましい。

 

そもそも私はリア充爆発しろとかメリークルシミマスとかを軽々と口にするような性格ではない。

爆発しろを実現できる力があるのだ、私がいくらそんな事を語った所でそれはただの冗談になる。

そもそも毎年勇儀達とクリスマスを過ごしてきた私はどちらかと言えばリア充だろう。

 

まぁ、今年はキヴォトスにいる関係上勇儀達とは一緒にいないが…結局、隣にはヒナがいる。

本人的には昨日から一緒に過ごしたかったようだがそこは風紀委員長…クリスマスイブという人々が浮かれる日に仕事を休む事は出来なかったらしい。

じゃあ逆に何故今日は休めたのかと疑問に思うが、恐らく昨日とんでもなく働いた事を口実に自身に降り掛かる仕事を全て後輩達に押し付けたのだろう。

普段からして働き過ぎなのだ、これくらいの我儘を許さないような世の中ではないだろう。

 

「それにしても…雪なんて、久々に見たわ…」

 

「…そんなに珍しいものでもない気がするけど…?」

 

約束だったらからと外へと赴いた私達だったが、タイミングの良い事に…いや、私としては寒いから微妙なのだが…丁度、雪が降っていた。

ホワイト・クリスマス、というヤツだろうか。

雪を見るのは当然初めてではないが、こうしてクリスマスの日の雪を見るのは長らく地底に引き籠もっていた私にとって初の経験かもしれない。

私だってロマンは感じる為少しは心が踊るものだが、それはそれとして寒いものは寒い。

…まぁ、せっかく渡した手袋を付けてもらえているのだから寒くてよかったのかもしれないが。

 

「ぁ〜・・・以前住んでた場所の環境的に色々あって…」

 

「そうなんだ…幻想郷って、色々あるんだね」

 

そう、本当に色々あるのだ。

空が紅色に染まったり、冬が続き春が来なかったり、宗教戦争が勃発して争いが起きたり…

…最後のは普通に外の世界でも起きている気がする。

ともかく、幻想郷に真っ当な常識というものを求めてはいけないのである。

いや、これはキヴォトスでも同じ事が言えるが…まぁ、キヴォトスには妖怪や妖精はいないのでまだ常識の範疇に収まっていると言えるのではなかろうか。

 

私が言うのも何だが、幻想郷全体はまだしも地底だけを見るならキヴォトス以上に荒れている。

キヴォトスでの喧嘩は銃撃戦だが、地底での喧嘩は普通に容赦のない殺し合いである。

弾幕ごっこだなんて言葉を使ってはいるが、普通に殺意の塊を飛ばしているようなものだ。

その点、妖怪達がいないキヴォトスはまだ平和だ。

あくまで地底や夜の幻想郷と比べればだが、出歩くだけで人が死ぬよりは幾分もマシだろう。

『冬は元気いっぱいよ〜っ!』なんて言いながらレティが飛び回る程に、キヴォトスは平和…

 

「待って…幻覚、幻覚かしら…?」

 

「…どうしたの?」

 

本来その場にいない筈の妖怪が見えたような気がするが、気の所為だろう…気の所為であってくれ。

いや、キヴォトスで幻想郷の住民に会えるのは割と嬉しい事ではあるのだが今は受け入れられない。

再び辺りを見回してみるが…うん、やはりいない。

きっと雪が降っていたからと潜在意識からレティを連想して幻覚を見たのだろう、きっとそうだ。

 

「…うん、なんでもないわよ…多分」

 

「…本当にどうしたの…???」

 

現実なのか幻覚なのか分からない妖怪の姿に、私はこの後も暫く頭の中を占領されていた。

 

 

◇◇◇

 

 

「本当に、私と過ごす方が良かったの?」

 

いかにも高級そうな…実際お値段がとてつもなく高いビルの最上階にある店でディナーを嗜む私達。

そんなタイプでもないので緊張したりはしないが、こんな所を平然と予約して何事もないように注文を行うヒナの姿には少し驚かされた。

見た目はコレだが、中身は仕事が出来る組織のリーダーなのだから当たり前か…いや、私の前では度々シナっているしそちらが素な気もするのだが。

 

「…何の話…?」

 

「パーティーとまではいかないにしても、風紀委員会の方でも軽い集まりがあったんでしょう?」

 

クリスマスはトラブルの対処に追われている風紀委員会、彼女達は大規模な事は行えないにしても、その日の夜に食事会的なものを開くらしい。

そうする事でクリスマスを楽しみつつ、何か問題が起きればすぐにメンバーを総動員出来る…

私から見ても、実によく考えられている催しだと思う。

そんな毎年やっているであろう行事に参加しなくて良かったのか、そう問い掛ければ彼女は答える。

 

「…それでも、私はこっちの方が良い…」

 

「…そう、なら良いわ…」

 

ヒナといいケイといい、彼女達は私に対して向ける好意が大きすぎるような気がする。

この二人に関しては私の接し方が悪かった気もするが、それでもここまで好感度が上がるのはおかしい。

私に対する期待的な要素も大きいのかもしれないが…

過大評価というか、私にそこまでのスペックはない。

トキでもだいぶ距離が近い方なのだ、この二人のソレは少し積極的が過ぎるのではなかろうか。

 

「…ん…?…笑ってる?」

 

「笑ってないわ、気の所為よ…」

 

…嘘である、自分でも表情が緩んでいるのが分かる。

私だって承認欲求が満たされれば嬉しい、どんな形であれ人から好意を受けるのに悪い気はしない。

それに対し、好意を返す事が出来るかはまた別だが。

 

「…雪、綺麗ねぇ…」

 

だから誤魔化す、有耶無耶にする。

自身の表情を取り繕い、いつものように無愛想な…自分で言っていて悲しくなってきた、妬ましい…

…まぁ、緩んでしまった表情を元に戻す。

 

「うん…月も、綺麗…」

 

「…それ、今のタイミングで言う事かしら?」

 

「…何の事…?」

 

…無自覚でこういう事を言う人というのが一番怖い。

そういうのは創作の中のキャラがやるものだ、現実で見ると改めて凄いなと思わされる。

恐らくだがキスメですら意味を知っているだろう。

 

「はぁ…何でもないわよ、何でもない…」

 

その日の夜、自分の発言を思い出したヒナはベットの上で荒ぶった…パルスィはちょっと引いた。

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