この作品がきっかけでパルスィの人気投票の順位が上がったら良いなぁ…なんて、思ってみたり?
やはりと言うべきか、私のスペルカードではヤツを破壊するには至らなかった。
それでも致命傷を与える事は出来たのか、ヤツは逃げるように砂の中へと潜って逃げて行った。
ラストワードならいけたのかもしれないが、外して倒れるなんて事が起きてしまったら洒落にならないので、きっとコレで良かったのだろう。
「…疲れた、もう動けない」
思えば黒服に会いに行った時から今の今まで、ずっと妖力を使い続けている。
集中力も切らすタイミングが無かったのだから、全て終わった今は少し休んでも文句は言われないだろう。
そう思い地面に座り込んだ瞬間に、彼女が私の目の前に銃口を突き付けてくる。
「何、今なら私を殺れるって算段かしら?」
「…冗談だよ〜、重い冗談だって〜」
「笑えないわよ…」
私の肉体は脆くはないが、そこまで頑丈ではない。
こんな至近距離でショットガンをモロに喰らえば、いとも簡単に肉体が弾け飛ぶだろう。
それで死ぬかどうかは別として、痛いものは痛いし再生するのにだって時間かかる…特に今は妖力が枯渇しているのだから、尚更だろう。
流石に撃たれないだろうとは思っていたが、それはそうと心の奥底では恐怖を感じても仕方無いと思う。
幾分かマシになった気もするが、彼女が私を見る目からは何処か寒気のするような感覚を感じるのだ。
彼女はなんだかんだ言いつつも、とても優しい子だ。
此処で私を撃ってしまったらきっと、彼女は壊れる。
死にはしないとは言えど、目の前で人が鮮血を散らし弾け飛んだら誰だってトラウマに…あぁ、いや…
「…改めて聞かせてもらうけど、ホシノ」
「貴女は…大丈夫なの?…その、生徒会長の事…」
彼女にとっての大切な人は、もう死んでいるのだ。
既にトラウマになっている筈だ、今更私を撃った所で変わらな…いや、流石にそれはないか。
どちらにせよ、彼女の心にはもう深い傷が刻まれているという事は確かである。
「…ん〜・・・大丈夫、ではないかなぁ…」
「でも…おじさんはそんなに、辛くはないよ」
そんな私の心配に対して、彼女はそう返す。
一瞬辛そうな表情を見せたものの、すぐに笑ってみせて言葉を続ける。
「確かに、ユメ先輩はもういないけど…おじさんは、後輩達に恵まれたからねぇ〜・・・」
「仲間達がいるのにくよくよしてたら…先輩失格だと思うんだ〜・・・まぁ、先輩って柄じゃないけどねぇ〜?」
アビドスの生徒…私は、彼女達の事を詳しく知らない。
けれど、シロコの様子や少し顔を合わせた時の印象から、少なくとも良い子達である事は分かった。
「忘れる事は出来ないし、絶対に忘れてやらない…けど、前を向く事くらいは出来るようになったかな?」
「それは…先生のお陰でもある感じかしら?」
「うへぇ、わかる〜?」
シャーレの先生、本当に罪な男である。
無自覚にハーレムを作り上げていくタイプの主人公気質なのだろう、顔が良いから許されると思うな。
モテたいとは思わないが、流石に妬ましい…
「ったく、あの人も大概…女誑しよね…」
「…風紀委員長ちゃんを誑し込んだのは誰だっけ〜?」
「…ノーコメでよろしく」
私もヒナやケイからは相当好かれている自信があるが、先生のソレはちょっと異次元過ぎるだろう。
道中での会話からシロコは完全に堕ちていたし、この様子だとホシノも同じ様なものだろう。
…そうか、ホシノはもう切り替えられているのか。
「…そうね、貴女は強いのね…」
「そんな事無いかなぁ…おじさんは、弱いよ」
「強いわよ、守護神様が言ってんのよ?ホシノは強い…肉体的にも、精神的にもね?」
こうは言うが、私はあくまで橋の守護神。
位で言えば
所詮はその程度、されど一応神ではある。
彼女の持つ力は…何と言ったら良いか、神に匹敵するレベルのモノを感じるのだ。
まぁ、完璧に使いこなせていると言うよりは力を垂れ流しているように見えるが。
「んん…そうかなぁ…」
「えぇ、ゲヘナの最強とミレニアムの最強を見た私が保証するわよ…これなら説得力があるでしょう?」
トリニティ最強と呼ばれる…剣先ツルギだったか、彼女の事は見た事が無いが…他の二人はよく知っている。
何ならネルに関しては一回絡まれた、直接撃ち合ってはいないものの、じゃれ合いで実力は測れる。
そんな私から見てちゃんと強いのだ、弱い筈がない。
「…じゃあ、そういう事にしておこっかなぁ?」
「いや事実なのよ、認めなさい」
それに彼女は、今此処に立っている。
大切な人を失った上で、狂わずに今までを立派に生きてきているのだ…それだけで、十分強い。
私からしたら、彼女はとても眩しく見える。
「…家に帰ったら、自棄酒ね」
大切な人を失い、復讐に駆られた愚かな少女。
大切な人を失い、それでも再び前を向いた少女。
時代も場所も何もかも違うが、自然と重ねてしまう。
そんな自分に苛立ちながら、溜息を零すのだった。
◇◇◇
「…大切な仲間達、か」
アビドスから帰宅…いや、自宅ではないのだが。
すっかり住み慣れてしまったヒナの家に戻ってきた私は、ヒナが寝ている事を確認し冷蔵庫から一本の酒瓶…そして、買っておいた猪口を取り出す。
「妬みたいけど、私にも大切な人はいるんだよね」
勇儀、ヤマメ…他にも、私にとって親友だと…仲間だと言えるような人は結構いるのだ。
今はキヴォトスにいる為会う機会がないが…まぁ、数年程度なら私達にとっては『ちょっと』の時間だ。
猪口に口を付け、少しずつお酒を口に含む。
「貴女にもいるでしょ、困ったちゃん?」
何も無い、虚空に向かってそう問い掛ける。
…まぁ、当然だが言葉が返ってくる事はない。
だが、多分…いや、ほぼ確実に彼女は私の事を見ているのだろう…声が聞こえているのかは知らないが。
「…はぁ、聞いてるのかどうかは知らないけど…コレ、キヴォトスのお酒…珍しいでしょ?」
幻想郷で外のお酒を口にする事は、極稀であった。
口にするとしても外の世界…私が橋姫となり幻想郷に移住する前に住んでいた世界のお酒であった。
そもそもキヴォトスではお酒の流通があまりされていない、憶測だがきっと貴重な品なのだろう。
「此処に置いとくから…ヒナが起きたら片付けちゃうからね、間違って飲まれてもアレだし…」
何も買ってきたのはコレ一本だけではない、此処で彼女にこのお酒を渡そうが、あまりダメージはない。
そもそも私は一人酒はあまり好きではないのだ、そんなに飲まないのだから一本程度、誤差の範囲だろう。
そう考えながら私は床に就いた。
翌朝、机の上の酒瓶は消えていた。
それを見た私は、安堵しつつ軽く笑みを浮かべる。
「…ふぅ、コレで恩を一つ売れたわね…」
今回の件で学んだが、私はやはり力不足である。
私じゃ救いきれない生徒もいる…それこそ、アビドスの生徒会長さんの様な人などだ。
だから恩を売っておく…まぁ、コレが通用するのはどうせ一度限りなのだろうが…
一度でも恩を返してもらえるなら、万々歳だ。
とは言えコレを恩にカウントしてもらえるのかは分からない為、結局のところは賭けに近い。
流石は困ったちゃんだ、全てを操れる立場にいながら傍観を決め込むのだから…タチが悪い。
…それでもきっと一度くらいなら助けてくれる筈、そう自分に言い聞かせ、朝餉の支度を始めるのだった。
アビドス編、これにて終了です!
ここからは私もよく分かってない補習授業部編…パルスィは補習授業部に関わらないので名前は変わりますが、時系列的にはソレが始まります…
本当にここからは無計画に突っ込んでいきますので、どうかご容赦を…出来るだけ毎日投稿は頑張ります…