雰囲気でブルアカをプレイしている私には何が何だか…
『ん、私とも友好関係を結ぶべき』
「え〜っと…此処、よね…?」
私は今、ある人物から呼び出されD.U.に来ている。
キヴォトスの首都であるこの場所には先生の本拠地であるシャーレやキヴォトスの中枢であるサンクトゥムタワー、やらかし過ぎて指名手配された者が収容される連邦矯正局などがあるらしい。
あとはやはり首都というだけあって、飲食店やショッピングモールなどの店もそこら中にある。
「ん、私は此処にいる」
「…変な声出そうになったじゃない」
何時の間に背後を取っていたのか、私の首筋を軽く突いて自身の存在を主張したのは…シロコ。
彼女こそが私を此処に呼び出した人物である。
私はシロコとモモトークを交換していなかったのだが、先生経由で私にその事を伝えてきた。
先生から電話が掛かってきたと出てみたらシロコの声が聞こえた時、複雑な感情になったのを覚えている。
なにせ掛かってきた時間が夜中だ、いかがわしい事をしている最中なのだと思っても仕方無いだろう。*1
今は誤解だと分かっているが、シロコが先生の事を狙っている事も知っているし、まだ軽く疑っている。
まぁ、それは今は関係のない話だ。
「で…ファミレスで良いんだっけ?」
「うん、あまり高い店じゃない方が良い」
何故だか食事のお誘いを受けていた私は、シロコと共に近場のファミレスへ足を踏み入れるのだった。
◇◇◇
「…本当に何も知らないの?」
「何もって程じゃないけど…私はあの人とそこまで関わってないわよ、貴女達の方が親密でしょう?」
蓋を開けてみれば、目的は恋愛相談だった。
何らかの経緯で私がミレニアムに来訪していた事を知った…というより、この場合は先生から直接聞いたと言うのが多分正解だろう。
先生個人が生徒を信頼してるというのは別に良いのだが、それに私を巻き込まないでほしい。
黒服の件もある、見逃しているだけで案外情報は漏れているのかもしれない。
…ともかく、それを知った彼女はミレニアムで何かそういう…恋愛展開なイベントが無かったかと心配して私に聞きに来たという訳だ。
何もなかったというより知らない、四六時中先生の事を見ている筈がない、何ならミレニアム滞在中に一番見ていたのはアリスだ。
私は先生に特段興味がある訳では無い、妬ましいとは思っているが所詮はそれだけである。
幻想郷への帰り方を知らないと分かった今、私が彼に拘る理由など何一つ無いのだ。
「逆に、何かは知ってるんだ」
まぁ、知ってはいる。
別に先生との付き合いは長くないし、連絡先は知っているものの関わりは殆ど無いようなものだ。
と言うよりは、私が意図して先生を避けている。
ヒナやケイのような一部の生徒しか助ける気がない私と、全ての生徒を救うと語る先生。
私は場合によっては生徒だって平気で殺める、だが彼はそれを良しとする事はないだろう。
だからこそ、一歩距離を置いているのだ。
それはそうと、彼の好みは軽く知っている。
ヒナがよく愚痴る内容の中に、いくつか先生の…ちょっと教師としてはアレな真偽の分からない行動の記録があったりするのだ。
因みに『雀』で確かめた、本当だった。
風紀委員の足を舐めるような先生なんだから事実でも何らおかしくはない、ただ少し引いた。
そして噂によればその生徒は褐色、そして他に彼がアレな行動をした中に褐色のメイドさんが…
…ミレニアムにいた気がするな、そのメイドさん。
「…やっぱり、褐色に対する執着心が高いのかも…」
彼の心を覗いた訳では無いので確実ではないが、結構良い線を行っている予想なのではなかろうか。
他の生徒にも時々アレな行動をしている時はあるらしいが、褐色の生徒に対するソレは少し違う気がする。
先生も男だ、好みの女だって普通にいるのだろう。
因みに私が好きな人は私の事を心から愛してくれる人だ…誰に需要があるのだろうか、この情報。
「ん、焼いてくる」
「そこは妬くだけに留めときましょう?」
何と言ったら良いか、シロコは行動力の塊だ。
多分私が止めなければ明日辺り…いや、下手したら今日中に肌を焼いてくるレベルである。
人を見た目で判断してはいけない、ヒマリとかと同じタイプの人間である…いや、全然違うかもしれない。
少なくとも、私はシロコを妬ましいとは思わない。
その前向きな所は良いと思うが、色々とズレてるその感性が足を引っ張りまくっているのだ。
「他には無いの?」
「モテてるって事は分かるわ」
「ん、それは知ってる」
顔が良い、性格も良い、オマケにキヴォトスで数少ない人の顔をした男性である…黒服はどうなんだろうか、生徒的にはアリなのだろうか。
…まぁ、当然モテる、モテない筈がない。
やはり初対面の時にハーレム扱いしたのは間違っていなかったと思う、実際ハーレムだろうアレは。
シロコはコレ、ホシノも多分堕ちてる、他は知らないが何となく堕ちているような気がする。
そもそもキヴォトスにおける『男性』や『大人』の定義的に先生が狙われるのは当然の事な気がする。
一部の生徒を除いて、頭が犬猫だったり異形だったり、機械だったりする相手を狙う人は少ないだろう。
いるにはいると思う、それは否定する気はない。
というよりそれは幻想郷でも散々見てきた、獣っ娘や獣が多いんだから当然そういう人もいる。
「…あまり新しい情報はなかったけど…ありがとう、相談に乗ってくれて…あと、奢ってくれて」
「私が奢る前提なのね…呼ばれた側なんだけれど?」
「大人は子供に奢る、先生はそうする」
「先生基準で考えないでほしいわ…まぁ、良いけど」
図々しい生徒である…いや、本来あるべき子供の姿とはこういうものなのかもしれない。
そもそも私の持っているお金の出所は全てヒナである、ヒモまっしぐらである、そろそろ申し訳なくなってきたので本格的に働きたいと思っている。
…と、ヒナに伝えたのだがソレは嫌らしい…甘えさせてくれるというのが私の役割なんだとか。
ホスト狂いみたいな事を言っている気がする、仮にも風紀委員会顧問という立場なのにそれで良いのか。
「先出てて良いわよ、後から会計済ませるから」
まぁ、ヒナの心の支えになるというのも立派な仕事なのかも…いや、それはないな、断言できる。
ヒマリかリオ会長に相談したら仕事が見つかるだろうか…いや、ミレニアムで仕事を得るのはゲヘナとしてはマズイのかもしれない。
難しいものだ、派閥争いというものは。
「…ホシノ先輩の事、ありがとう」
───不意に、そんな言葉が耳に届く。
「…なぁんだ、知ってたんだ」
彼女の本来の目的はコッチだったのかもしれない。
…いや、熱の入りようからして先生の方もきっと本気だったな、付き合いは短いが何となく分かる。
「私は何もしてないわ、寧ろ邪魔したかも?」
「ん、嘘は良くない」
「嘘じゃないわよ、あの子はちゃんと強かった」
そもそもヤツとの戦闘が起きたのも、私が彼女をあの場所へ連れて行ってしまったからである。
きっと私が邪魔をしていなかったら先生や他の対策委員と共に倒す事が出来ていただろう。
ノッてない、嫉妬心を抱いていない相手に私で勝てたのだ…先生達にも、当然勝てる筈だ。
ホシノだって私と組むより、目の前のシロコ達と戦った方が十二分に実力を発揮出来ていただろう。
「ちゃんと、君達の事を信頼してたわ」
「…そっか…」
そう、彼女は対策委員を信頼していた。
私の心配などいらなかった…恐らくだが、先生が既に解決していたのだろう。
本当に私は邪魔だったのだ、上手くいったように見えているだけで私は最初からいらなかったのだ。
まぁ、後になってやった事を後悔するようなタチでもないので悔やんだりはしないが。
「…また奢ってもらえるの、楽しみにしてる」
「次は奢んないわよ、弁えなさい」
奢られる前提なのは多少腹が立つが、食事の誘いくらいならまた受け入れてあげるつもりだ。