今の私は逃げるコマンドを選択出来ません…()
何にせよパルスィの知名度と人気が上がるのは嬉しいのでこのまま突っ走っていきます!!
「…やっぱ私…キヴォトスに来てから不幸じゃない?」
ティーパーティーの二人への挨拶が終わり、張り詰めていた空気が緩んで出た一声目がコレだった。
仕方無いではないか、私の経歴を振り返れば分かる。
「ミレニアムの騒動に巻き込まれ、アビドスでは機械の大蛇と戦わされ…トリニティでは、コレって…」
まだキヴォトスに来てから数ヶ月、まだまだ半年にも満たないような短い期間なのに幻想郷にいた時よりも体験している出来事の内容が濃い。
例えるならば、幻想郷にいた時に紅白巫女達が地底に乗り込んできた時と同じレベルの騒動…それに、数週間単位の周期で巻き込まれているのだ。
幻想郷にいた時もヤマメの能力の暴走だったりこいし閉眼事件だったりと色々騒動はあったが、流石にここまで短期間で連続しては起きていない。
やはりキヴォトスはとんでもない所なのでは…?
「…私との出会いは、不幸でしたか?」
そんな風に後ろ向きに考えていたせいか先程の発言が原因か、ケイからそんな言葉を掛けられた。
そもそもケイがこうして生徒として暮らしているのは私の我儘によるものであり、巻き込まれたというよりは私自身が巻き込みに行っている。
別にケイと一緒にいて不快に思うような事はないし、何なら人外同士親近感も湧いているのだ。
…ケイは人として扱ってもらいたいのかもしれないが…そもそも私が人じゃないし、それは別の話である。
「ぁ〜・・・ごめんなさい、そんなつもりはなくて…」
「…ふふっ、分かっていますよ…そのくらいは」
だからこそ、弁明する為に言葉を連ねようとしたわけだが…全部、分かった上でやられていたらしい。
…見た目はアリスと瓜二つなのに、こういう悪戯が成功したような笑い方は妙に大人びている。
下手したら私より色気があるのではなかろうか…羨ましいとは思わないが、少し妬ましい…
「…上手いわねぇ、揺さぶり方が…」
「えぇ、水橋様の真似をしていますので…」
その言い方だと私が人を揺さぶってばかりいるような事実があるように聞こえてしまうではないか…
事実である、伊達に嫉妬心を煽っていない。
だが、私のコレは能力や種族柄仕方無くやっているのであって子供が真似するような事ではない。
…果たしてケイは、子供なのだろうか…?
ともかく、自分で言うのも何だが教育にはよろしくないような事なのである。
「…私なんかを手本にしない方が良いわよ〜・・・?」
「では、誰を手本にしろと?」
改めてそう聞かれると返答に困る。
キヴォトスにおける大人というのは人の形ではなく犬猫だったり機械だったり…何と言えば良いか…
あのラーメン屋の店長のように普通に良い人もいるのだが、何処と無く頼りがいが無い。
その場合、誰を手本にするべきかと聞かれると…
「そうねぇ…真面目モードの先生とか、かしら?」
「…彼は確かに凄いかもしれませんが、問題行動を度々起こしている事を考えると…少し…」
「…まぁ、そうね…」
後から確認した事だが、実際に風紀委員会の生徒…イオリの足を舐めたらしいし、生徒の下着に顔を埋めて匂いを嗅いでいたという話も聞いた。
どうしていざという時は頼りになるのに、こうも色んな所が残念なのか…そういう縛りなのか?
勇儀もそうだが、普段からもっと頑張ってほしい。
…まぁ、仕事の方は頑張っているらしいが…
「…ま、雑談もこれくらいにしておいて…トリニティ観こu…見学、楽しみましょう?」
「…見学と言って、彼女達について調べる気では?」
その通りである、調べる気満々だ。
別に嫉妬心の為に動くとかそういうのではなく、あの雰囲気の上層部とエデン条約…詰まる所和平条約だったか…を結ぶのは無理があると思うからだ。
別に条約が結ばれようが結ばれなかろうが私には関係のない事だが、ヒナにかかる負担が全然違う。
ヒナに対する恩は大きいのだ、私が役に立てるような場面があるなら積極的に行動していきたい。*1
「ふっ…私、貴女みたいな勘の良い子…結構好きよ?」
「っ!!…ありがとう、ございます…」*2
だから、わざわざ説明せずとも私の行動を理解して着いてきてくれるケイはとても有能だと思う。
空気が読める…出来る女、とでも言おうか。
ヒナと言いケイと言い、ちゃんと仕事が出来る生徒というのは話が通じて私としても接しやすい。
「ゲヘナの私が出張るのはアレかもだけど…まぁ、ミレニアムの騒動にはガッツリ関わっちゃったし、今更感も強いし…首、突っ込んじゃいましょう?」
まぁ、何かあったら能力を使って黒幕ムーブをすればゲヘナの方には被害は行かないだろう。
明らかに損得の得の方が大きい、そう考えると行動したほうが明らかにメリットがある。
「えぇ、私は水橋様の判断に従います」
「…もっと、自分の意思を言っても良いのよ…?」
まぁ、いくら自分の事を慕ってくれているとは言えどイエスマンなのはどうかと思うが…
「いや・・・一応ですが、今の私は護衛ですので…」
「ぁ、そうね…ならそれで良いのか…」
そもそも今は立場的に私に従うべきだった。
確かに普段のケイはもう少し自分の意思を伝えてくるし、多少は我儘だって言ってくる。
…それでも大人びている事には変わりないが。
「では、聞き込みでもいたしましょうか?」
「そうねぇ…人の多い場所、に…」
と、辺りを見渡した所で見つけたのは一軒のお店。
横文字には強くないので全部読める訳ではないが、
キヴォトスの洋菓子は、幻想郷には無いような洒落たものが多く、トリニティにもなると…
「…ケイ、甘味処って自然と人が集まるわよね?」
「…えぇ、そのようなデータがありますね…」
「…っし、行きましょうか!」
トリニティの洋菓子、それに釣られた私…いや、私達はそれらしき理由を付けて自分に言い訳をした上で、店の扉を通り抜けるのであった。