「…と、言う訳でして…」
飴を舐め始めてから暫く経ち、落ち着いてきたレイサが語ったのはカズサの過去の事。
そして、私達を捕らえようとした理由。
トリニティ自警団だとかいう組織に所属しているらしい彼女…レイサは、かつて不良だったカズサと談笑していた私達を怪しく思ったらしい。
あとはケイの存在…恐らくアリスと間違えているのだが、結局ケイの地雷を踏んだ事には変わりない。
「カズサって元スケバンだったのね…まぁ、いずれにせよソレだけの理由で突っかかってきたのは…」
「…開口一番であの発言をした水橋様も…」
「一番最初にキレたのはケイよね?」
「ぉ、落ち着いてください二人共…」
だって尾行してきたのはレイサの方だし?
ちょっと威嚇しようと冗句を言っただけだし?
見苦しい言い訳のように聞こえるかもしれないが、先に喧嘩を売ってきたのは間違いなくレイサだ。
確かに私達にも非はあるかもしれないが…
「「元凶は貴女なん
「何も言えません…」
そもそも、レイサがこの場にいなかったら起きなかったであろうトラブルである。
騒動になるまでは発展しなかったから良いものの、これで撃ち合いなんか始まってしまっていたら悪目立ちしてしまうところだった。
私達は客人、他校の自治区では好き勝手出来ない。
…ミレニアムの騒動はヒマリからお願いされたからやっただけでノーカンだ、私は何も悪くない。
「それにしても…トリニティ自警団、ねぇ…?」
「はいっ!!トリニティの平和と安全を守る組織です!!」
「うるさっ…もう少し声量落とせない…?」
喋れるコミュ症ってこういう人の事を言うんだな…
身近に世渡りが上手い陽キャ共が無数にいた私から見ると、明らかに人付き合い下手くそだ。
私のあの発言が刺さってたのを見るに本当に全く友達がいないんじゃなかろうか…?
…意図せずして話の流れが暗くなってきてしまった。
私だって友人に恵まれただけで積極的に友人を作れるようなタイプではない、だから今の話は実は自虐だったと言う事で終わらせておこう。
「…非公認の治安維持組織…正義実現委員会だったっけ?アレとは具体的に何が違うのかしら?」
トリニティ自警団はトリニティ総合学園…よく分からないが多分ティーパーティーのような上層部から認められていない組織なのだそうだ。
まぁ、正義実現委員会とか言う公式な治安維持組織があるんだから当然とも言えるだろう…イチカと同じような制服を着た子も所々で見かけたし…
わざわざ非公認の組織に所属するより公式な組織に所属した方が良いと思うのだが…
「むっ…それは〜・・・」
「…正義実現委員会は他学園の治安維持組織と比べても規則に縛られている面があり、上の指示によって動く事が多い…組織として拡大し続けているからこそ、臨機応変な動きが出来ないんです」
そんな私の疑問は、トリニティ自警団に所属している張本人のレイサ…ではなく、ケイによって解消された。
公式な組織であるからこその不便さというか、動きづらさがあるのだろう…
何かの下に付く組織という時点で、基本的に上に逆らえなくなってしまうという事だ。
風紀委員会と…万魔殿?の関係と同じなのだろう。
幻想郷の組織で例を挙げると…妖怪の山…多分、天狗あたりの組織が一番近いんじゃなかろうか。
「…随分と他校の情報に詳しいわね…?」
「…まぁ、ある程度の事なら答えられますよ」
元が私には理解出来ないような凄いオーパーツ?なのである、検索的な事も出来るのだろう。
それか此処に来る以前には既にデータとして学習していたのか…いずれにせよ凄いのだが。
先程の話題とは全く関係ない事ではあるが、こういう何気ない所々の行動から改めてケイの凄さというか…ヤバさを実感させられる。
恐らくこの世界の理から外れているであろう私でも出来ない事が平然と出来るのだ、妬ましい…
「つまり、非公認の組織として活動を縛られてないからこそ臨機応変に対応できるって事ね…やっぱり政治って面倒臭いのねぇ〜?」
「仮にも風紀委員会所属の貴女が言う事ですか…?」
「面倒なのは事実だもの?」
上下関係という仕組みは上の者が有能でなければマトモに作用しないようなものなのだ。
それでも無理に通そうとすれば崩壊するし、下の者が何かをしでかすかもしれない…
上も下も上手くコミュニケーションを取らねば絶対に何処かで綻びが出てしまうような面倒な仕組みであり、それと同時に愚かなシステムだ。
…まぁ、一番愚かなのは上下関係を作らねば社会を回していけない人間自身だと思いはするのだが…
私は橋姫である、人間の理屈なんて関係ない。
「それで、彼女の処遇はどういたしますか?私としては客人に無礼を働いた愚か者としてティーパーティーの者共に突き出すのが良いと思うのですが…」
「んな酷い真似しないわよ…それに、本気で不快な気分になってたらきっと今頃貴女は生きてないわ」
「ぇっ…私命の危機に晒されてたんですか…?」
「貴女は冗談ってものを覚えましょうね?」
銃を持とうが身体が頑丈だろうが、所詮は人の身。
レイサに限らずヒナやケイ、ホシノのような者達だって殺す気になればサクッと殺せてしまう。
私は別に人食い妖怪とかではないのでそんな事はしないが、自分達の能力と耐久力を過信している子供なんか私からすれば苦戦する程の戦力ではないのだ。
先程のはあくまで冗談だが、もし私が本気で不快な気分になるような出来事があったら…そんな出来事自体ない気がする、もはや仮定として成立しない。
まぁ、そもそも私はキヴォトスの人間ではないので出来る限り直接的な戦闘は控えたい所である。
「でも、このまま何もせずに解放するのも癪ですよ」
「まぁ…そうかもしれないわね…?」
私が言うのもなんだが、ケイも中々に良い性格になってきたと勝手に思っている。
私の悪影響か…はたまた、本来の気質なのか…
前者だった場合は先生から色々とお叱りの言葉をいただきそうなので本当に勘弁してほしい。
先生は明らかに聖人だ、善人とかじゃない…生徒の為に何でも出来るような、ある意味狂った人だ。
じゃあ、同じ大人である私はどうだ?
嫉妬心の塊だ、少なくとも善人とは言えないだろう。
今はまだ関係が浅いからどうにかなっているが、そのうちヒナやケイの件について問い詰められる気がする…
良いじゃないか、少々悪い影響を受けるような経験をするのもまた青春というものだろう…知らないが。
「折角暇なトリニティ生徒と知り合えたんです、詫びも兼ねて案内係をやってもらいましょう」
「一応パトロールの最中だったんですけど!?」
「貴女は暇です、良いですか?」
「…ハイ、暇です…」
ケイ の にらみつける !
レイサ の メンタル が 傷付いた !
…まぁ、冗談はさておきトリニティの生徒が直接案内してくれるというのならそれに越した事はない。
言ってて悲しくなるが、土地勘がない私じゃそのうちケイとはぐれてしまう可能性すらあったのだ…その可能性が減ったというのは嬉しい誤算である。*1
それを加味しても突然突っ掛かられたのには納得出来ないが…ここは、目を瞑っておくとしよう。
「じゃ、レイサ…これからよろしく頼むわよ?」
「…はいっ!!」
「…返事は良いんだけどねぇ…?」
新しく加わったメンバーと共に歩く道のりは、なんだか賑やかに感じた…主にレイサが煩わしいせいで。
新作を投稿したいんですが、この作品の投稿が滞ってしまうのは避けたいので頑張って書き溜めてます…
執筆初心者すぎて…てんてこ舞いですわ〜!!!!