…評価と…感想が…欲しいです…ッ
先程の場所から少し動いて、トリニティの生徒達が集まる学園の入口手前に移動した私達。
何処となく周囲からの視線が集中しているように感じるのは恐らくケイの服装と装備が我ミレニアム生徒ぞ、と主張しているからだろう。
…私?私はどうだろうか…そもそもこんな特徴的な服装をしている生徒が他にいたらちょっと困惑する。
「さて、今から私達は最近のティーパーティーの不穏な動きを聞き込みで調べる訳ですが…」
あまり目立ち過ぎないようにと能力の応用で軽く人払いしている最中に、ケイがそう切り出す。
「バーっといって、バーっと聞きましょう?」
「人間関係…聞き込み調査…ふっふっふ、いずれも宇沢レイサにお任せくださいっ!」
「…これは、大丈夫なのでしょうか…」
自分で言うのもアレだが、駄目だと思う。
問題解決に動いている癖に何も理解していないのがそもそも間違いなのだ、明確な目標がないからどう動けば良いかすらまだ分かっていない。
分かっている事は百合園セイア?の入院がフェイクという事だけ…だが、それについて聞き込みをして回った所で偽造されている情報の真実をそこら辺にいる一般生徒が知っている筈もない…
というか、知っていた所で話す筈がない。
「大丈夫よ大丈夫…私、人と話すの上手いから?」
まぁ、それでも何とかする事は出来る。
私だって、さとりみたいなチートを除けば話術で人を相手にするのは得意な部類だ。
こんな聞き込み調査で嫉妬心を曝け出してくる輩がいるとは思えないが、それを抜きにしても人の心に付け込むというのは私の得意分野である。
「それだから誑し込むんじゃ…?」
「…あらあら、妬いているのかしら?」
ケイの中の嫉妬心が僅かに増えた事を感じそう呟けば、図星と言わんばかりに顔を背けられる。
アリスの中にいた時の感情を表に出さなかった彼女がこうして感情豊かになったのだ…もっと素直になれと指摘した私としても結構嬉しい。
…私は嫉妬の化身だ、こうも透き通った嫉妬心を見せつけられたのだから…それに、応えてあげよう。
「大丈夫、私にとってもケイは特別だから…ね?」
ケイの顎を軽く掴んで此方へ顔を向けさせ、耳元でそう呟く…ケイの身体の何処の部分から音声を聞き取っているのかは知らないが…
あのエンジニア部の事だ、きっとそこらへんの構造にも拘っている事だろう。
…自分からこういう事をやるのは初めてだが、いざやるとなると少し恥ずかしい。*1
もしこれでスベったら立ち直れなくなる気がする。
「!!・・・〜・・・っ…///」
目に見える程に顔を赤らめるケイを見て、頭の中にそんな文章が浮かび上がる。
…ゲーム開発部と関わり始めてからというものの、こういうくだらない事を思い付くようになった。
それにしても、機械の身体における感情と表情の対応というものはどんな仕組みになっているのか…
科学に疎い私からしたら到底理解不能な範疇だが、機会がある時に河童の連中共にケイの事を紹介したら面白い反応が見れるかもしれない。
もし帰り方…行き来の仕方が分かったらケイの事を幻想郷に連れて行ってみようか?
「ま、魔性の女…!?」
「冗談は通じないのにそういうのは分かるのね…」
と、何気に失礼なレイサの一言によって先程までしていたくだらない思考が途切れる。
無知なのか馬鹿なのか分からない、とは言えこれでも高校生なのだから多少は学があるのだろう。
なら尚更人間関係の築き方を学んでほしい、だから友達が出来ないんじゃなかろうか…
「…で、聞き込みって言っても具体的にはどんな事を聞いて回れば良いのかしら?」
「…ん、んん…コホンッ…ただの一般生徒にティーパーティーの事を聞いた所で、私達が求めている答えが返ってくるとは到底思えません…」
結局解決していないその話題について再び問えば、その点は考えてあると言わんばかりに口を開くケイ…
先程までダウンしていたせいでレイサから凄い目で見られているが…どうか、気にしないであげてほしい。
あの状況から立て直せただけ十分だろう…まぁ、ダウンさせた元凶は私なのだが…
「じゃあ、どうするんですか…?」
「悟られないように、気付かれないように…いくら巧妙に隠蔽しても、綻びというものは生じます…」
完璧な嘘を付ける人間なんて、滅多にいない。
例えいたとしても、異様な程に勘の優れた人や地獄の閻魔様のような例外だっている。
全てを騙すというのは基本的に無理な事なのだ、それこそ特異な能力でも持っていない限り…
…神秘という力の詳細が分かっていない関係上、ないと断言できないのがまた酷い。
コユキのアレだってそうだ、もしコユキが幻想郷にいたのなら『〜程度の能力』みたいな名称が付けられる程度には特異な力だと思う。
「まずはその綻びを探しましょう、きっと普段のトリニティとは違う点がある筈ですから」
「…そう判断した理由は?」
だが、そういう予想しても仕方のないイレギュラーを除けば綻びというものは確かに生じる筈だ。
キヴォトスに来てからも、そういう綻びというものは何度も見てきている。
それこそ、目の前にいる彼女のように…
「…ミレニアムの件がまさにそうでした…」
「当事者が言うと説得力が違うわぁ…」
バレずにエリドゥを作り上げようとしたリオ会長はヒマリにバレたし、存在を隠してアリスの事を操り鍵としての使命を果たそうとしたケイは私にバレた。
世の中隠し事なんて上手くいく筈もない、だからこそさとり妖怪なんていう伝承が生まれたのだから。
まぁ、時には暴かぬ方が幸せな…知らない方が良かったと思うような嘘もあるのだが…
今回の件はきっと、暴くべき隠し事だろう。
「…これで、聞くべき事は理解しましたね?」
「まぁ、ある程度は…」
「…ぁ〜・・・ハイ!完全に理解しました!」
一名何も分かっていなさそうな人がいるが、別に難しい事を聞く訳じゃないからどうにかなるだろう…
これでどうにかならなかったら怖い、対人が下手な事も相まってもはやそういう才能な気すらする。
…とは言え、やってみない事には始まらないだろう。
「それでは、聞き込み開始といきましょう」
「いえっさ〜っ!!」
「随分とテンション高いわねぇ…?」
そんな訳で、所属の違う三人組による愉快な…愉快かは分からないが、聞き込みが始まった。