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「…まさに教会って感じね…」
補習授業部という存在の情報を手に入れた私達が赴いた場所はシスターフッドの本拠地…
どう見ても教会だ、やはりトリニティでもキリスト教の信仰文化というものはあるのだろうか…?
それともキリストとはまた違う何かを信仰しているのか…気になる所ではあるが、それは特に必要のある情報ではない為胸の奥底に仕舞っておく。
「水橋様は教会を見た事があるのですか?」
「いや、実物はないわ…私の住んでた場所、こっち系統の信仰文化があんまりなかったからね…」
幻想郷には様々な信仰文化がある。
神道、仏教、天道…それはもう、色々とある。
何処ぞの巫女さんは当然の如く神道を…というか、妖怪の山にはそもそもれっきとした神がいる。
…いや、私も一応神だし外の世界には神社もあるのだが…これは幻想郷の話だし、ノーカンって事で…
話を戻そう、次は…そう、仏教の話だったか。
仏教といえば命蓮寺…魔法使いの住職さんとその下に入門する妖怪達で溢れかえっている。
まぁ、住職本人はまだしも他は割と緩そうだが…
天道というと、外の世界でも有名なあの厩戸皇子殿やその配下である者達が該当するんじゃなかろうか。
直接会って話した事がある訳ではないが、あの邪仙の様子を見るにあまり信頼は出来そうにないが…
「あれ、じゃあなんで『教会』だと?」
「…ん〜・・・そう言われると説明出来ないわ…」
私は実物の『教会』というものを見た事がない。
幻想郷に教会はないし、私が生きていた頃の…私がまだ正気を保って外の世界にいた頃も教会というものを目にする機会はなかった。
というかその頃の日本にキリスト信仰はない…あれ、無かった筈よね?そうよね?
…まぁ、幻想郷でキリスト教は信仰されていない…それか、あまりメジャーではない訳だが…
「固定概念…偏見、とでも言うのかしら…コレは教会だって私は認識した…」
実物を見た事がなかったとしても、私の中には確かに教会像というものは存在していた。
それが目の前のソレと一致した…それだけである。
というか、いくら幻想郷で信仰されていないと言っても外から来た者共が『教会』という物に対する印象を言いふらす関係上、大体の外見は予想出来るもので…
「…なんか難しい話になってきたわね、特に深い事は考えなくても良いと思うわよ?」
まぁ、こういう難しい話は私の仕事じゃない。
私だって元は人の身でありながら信仰されるようになった神…ではあるが、私と彼じゃそもそものスケールというものが違いすぎる。
橋姫の事を本気で信仰している人なんて本当に少数である、日本に限ったとしてもメジャーとは言い難い。
というか私の神社のすぐ近くに観光名所があるのが悪い、そっちに人が吸われる…本当に妬ましい…*1
と、自分語りもこれくらいにして…果たして先程のものが自分語りなのかは分からないのが…
目の前に聳え立つ教会に視線と意識を戻す。
辺りには修道服を着た生徒達…自身が聖職者だという事を分かりやすく主張している。
俗に言うシスター服というやつだ、実に分かりやすい…何なら似たような外見の服を見た事すらある、主に香霖堂とかいう場所で…
「さて、と…シスターフッドねぇ…?」
シスターフッドという組織はトリニティの上層部…言ってしまえばティーパーティーの息のかかっていない数少ない組織でありながら、それと同時に権力もあるという特殊な組織であるらしい。
それを知ったからこそ嘘偽りのない有力な情報が得られるかもしれない、と此処に来たわけだが…
「なんの連絡もせずに来ちゃいましたけど…私達の質問、聞き入れてもらえるんですかね…?」
「ん〜・・・正攻法なら無理だと思うわよ…」
シスターフッド、その上位に位置する人がどれくらいの権力を持っているかは私には分からない…
が、どんな規模であろうと組織のトップである事には変わりないのだ。
話そうと…面会しようとすればそれなりの許可がいる筈だし、それなりの段階や立場が必要になる筈だ。
私達にそんな事をしている暇はない…というか、ゲヘナの人間である私とその妹…という体で来ているケイ、一般トリニティ生徒であるレイサ。
そもそも取り合ってもらえるかすら怪しい。
「でもね…どんな組織にも綻びはあるの」
だが、その理論が通用するのは人間の話だ。
私は人の理から外れた橋姫…人知を超えた範疇にいる鬼であり、嫉妬を司る神だ。
…さっきは自身の事を卑下していた癖に調子の良い事を言うなって?
細かい事は気にしなくて良いのよ、人なんて八割くらいが嘘で出来た生物なんだから。
…いや私は人間じゃないんだけど、うん。
「…それは、どういう…?」
「ってなわけで…行ってくるわね」
だからこそ、ここから先は私の仕事だ。
彼女達がいた方が良いというのは確かな事なのだが、私に彼女達を連れて此処に潜入して…なんて、高度な事をやり遂げる事は出来ない。
せいぜい私一人が限界である、そもそもの話だが能力的には嫉妬心を操るだけの私がこれだけ出来るという事の方が凄いという事を理解してほしい。
分身とか…もはや、嫉妬心関係ないじゃない?
「了解しました…では、お気を付けて」
「あれ!?私だけ理解出来てない感じですか!?」
と、私の意図を汲み取ってくれたケイを背に目の前の教会へと潜入す…お邪魔する。
正確には、嫉妬心によるヘイトの集中を応用し、自身に認識阻害の結界を張った上で…だが。
「ぇっ、あっ…え!?消えっ…!?」
…やってる私としてもちょっと困惑している。
なんでこんな事が出来るのだろうか…此処の嫉妬が濃い故か、それとも外の世界から流れ着いてきた信仰心が私の力を伸ばしているのか…
能力の延長線上である分マシなのか…博麗の巫女だって能力とは別に何故か無敵になるし…*2
このままいくと勇儀より強くなれるんじゃ…いや、いくらなんでもそれはないか。
「…あの方の行う事にいちいち驚愕していたらこの先水橋様と関わっていく事は至難の業ですよ」
「ぇ、えぇ…」
『…なんか、罵倒されてるような気がするんだけど』
背後から聞こえるケイの言葉を聞き流しながら、シスターフッドのトップである人物…
歌住サクラコとかいう生徒がいる場所を探しながら教会内を歩き始めた。