「…本気で言ってる…?」
「まぁ、あくまで推論ではありますが」
…私といいケイといい推論って言って保険を掛ける癖があるんじゃなかろうか…?
いや、私に似たのかコレは、私のせいなのか…?
まぁ、無責任に確定してない情報を語るよりは保険を掛けた方が良いのは事実なので何も言わないが…
…うん、私も気を付けた方が良いかもしれない。
「まず、今までの考察の結果からナギサさんは犯人の候補から外しても良いと思われます」
「というか、ナギサが黒幕でしたなんてオチだったらぶっちゃけ私達にはどうしようもないしねぇ…」
「私達はあくまで部外者ですからね、犯人の候補を絞らなければ行動が制限されてしまいます…」
補習授業部の面々を退学にさせようとしている所まで含めてナギサの計画なのだとしたら、流石に私としても天晴と言わざるをえない。
言っちゃなんだが私は割と馬鹿である、そんな計画を練られて対応出来るほど柔軟じゃない。
もしそうだったとしたら私はお手上げである、出来る事だけして大人しく退かせてもらうしかない。
「私は部外者なんですかね?」
「部外者ではないかもしれないけど…そもそも非公認の組織に所属してるじゃない、貴女も…」
「いくらトリニティの生徒とは言えど…相当な権力を持ってでもいない限りは自由に動くのは少々難しい話になると思いますよ」
トリニティにおける自警団の存在がどのようなものかは分からないが、場合によっては正義実現委員会とも争うような組織に権力を求める方が無理がある。
寧ろ温泉開発部に権力を求めてるようなものなんだか…いや、ゲヘナに権力を問う時点で間違ってるか…
「そうですか…」
「…それを無視できるシャーレは何なのよ…」
「アレは例外です…超法規的機関ですからね、言ってしまえば反則なようなものですから…」
「それを聞いちゃうとねぇ…やっぱり、良くも悪くも先生がお人好しで良かったと思うわ…」
もし先生が聖人じゃなかったら…それこそ私みたいな人だったら、多分キヴォトスがこれほど上手く行く事はなかっただろう…
今が上手く行っているかどうか、という疑問はあるが…少なくともケイやアリスみたいに救える筈だった生徒も救えなかった可能性がある。
というか、あの先生がある意味で狂ってるだけで普通だったらこのキヴォトスで犠牲も無しにここまで上手くやっていくのは無理なんじゃなかろうか…
「…では、話を続けさせてもらいます」
うん、私のせいで話の話題が逸れたわね…
私に気にしないで続けてくれ、そうしないと絶対何回も話が脱線するから…
「この際ティーパーティー以外の力を持った組織…トリニティで言うとシスターフッドのリーダーや救護騎士団の団長などは候補から除外しましょう」
「サクラコと、後者はまだ知らない人ね…」
シスターフッドのサクラコ…彼女は何というか、色々と抜けてる人だという印象を抱いた…
が、それと同時に大勢の人を率いる事が出来るようなカリスマ性もきちんと感じられた、例えるならば紅魔館の主のような人間だったと思う…
…人付き合いは、もっと練習した方が良いと思うが。
「救護騎士団の団長は蒼森ミネさんという方です!」
「そうなのね…どんな人なの?」
「凄い強い人です!」
「性格とかの印象じゃないのね、そこは…」
レイサのいう『強い人』がどの程度のレベルなのかは分からないが、一定以上の強さはあるのだろう…
…医療部隊のリーダーである生徒に対して真っ先に抱く印象がソレってどうなんだ…?
いや、医療行為を行うという事は少なからず戦闘する機会や戦闘中の場に赴く場面もあるだろうから戦闘能力があるに越した事はないのだが…
…うん、やっぱりその印象で良いのだろうか…?
「…んで、なんでその人達は除外するの?」
…まぁ、ここは取り敢えず飲み込んでおこう。
もしこれからミネという生徒の情報が必要になったらその時に個人的に調べよう、うん。
「仮にティーパーティー以外の方々が黒幕だったとしても私達がどうこう出来ないからです」
「そうねぇ…そりゃそうだわ…」
というか私達はトリニティの生徒じゃないんだ、トリニティの力関係にも詳しくない。
私が名前も見た目も知らないような…それこそ先程話していたミネという生徒が黒幕だったとしても、それは私がどうこう出来る問題じゃない。
というかそんな時間がない、もっと残された時間が多かったらまた話は違ったかもしれないが…
「それに、仮にそうなったとしてもティーパーティーの方々や先生が解決してくれる筈ですから」
「ぁ〜・・・まぁ、確かにその場合は私達がどうこうしなくても解決出来そうではあるわね…」
ティーパーティーの中に裏切り者がいたらマズいという話であって、もし裏切り者が外部にいるのならティーパーティーの方でどうにか出来そうでもある…
というか、今トリニティには先生もいるのだ。
たとえ私達がヘマをした所で彼が上手くやってくれる…筈である、確証はない。
「じゃあ、ケイさんは誰が犯人だと思うんですか?」
「私の予想ではセイアさん…」
「それか、ミカさんのどちらかだと思います」
「それ、絞り切れてなくない…?」
ティーパーティーという組織にどれだけの人数がいるのかは調べていないので分からないが、代表として動いているのはナギサとミカとセイアの3人…
その中の2人が怪しいというのは絞れているとは言い難いのではなかろうか…
「正直、この時期にピンポイントで姿を消しているセイアさんが一番怪しいとは思うのですが…」
「だとしたら、私にセイアさんの行方を聞かれた時に御二方は嘘を付く必要性がなかった筈なのです」
それは私達がトリニティに来た初日の事。
ケイにセイアの行方を聞かれた時に彼女達は二人揃って嘘を吐いた…
その嘘が気になったからこそこうして問題解決を目指して動いている訳なのだが、その嘘のせいで頭を悩ませられるとは思ってもいなかった。
「これ以上は流石に情報が少なすぎます、今持っている情報を使って本人に直接聞いた方が良いかと…」
「ん〜・・・流石に危険じゃないですか…?」
「…まぁ、大丈夫だと思いますよ」
そう言いながら私の事を見つめるケイ。
それに釣られてレイサも私の方を…やめて、そんなに私の事を見つめないで…
私はそんなに有能じゃないのよ、勘違いしないで…
「…そんなに期待されても困るんだけど…?」
「期待しております、パルスィ様」
「ぇ〜・・・じゃあ私も期待してます!」
「うげっ、プレッシャーが重いわ〜・・・」
注がれる視線に、何度目か分からない溜息を零した。