透き通った世界の下の嫉妬心   作:хорошо!

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本日は4月10日、つまりは嫉妬の日…
というわけで、更新です。



これが、私の『覚悟』です

「…そこに、どのような根拠がおありで?」

 

微塵も信じていないような声色で、彼女はそう疑いの目を持ってこちらに問い掛けてくる。

無理はない…というより、話の流れ的にこの返答が返ってくるのは当然の事だろう。

尤も、説明不足という訳ではなく敢えて事実を濁した上で伝えるつもりだったのだが…

 

「説明してほしい?」

 

「してほしいも何も、突然そのような事を言われた所で信じろという方が無理があります…」

 

「ま、そうだけどねぇ…」

 

この様子じゃ、それも叶わないだろう。

難しい話である、別に彼女の行動や思考が間違っているとはまた言い難いからだ。

ティーパーティーの面々の交流がどのようなものかは知らないが、仮に仲が良かったとして友人を真っ先に疑うというのは…

度の過ぎた疑心暗鬼か、実行者がよっぽどのマヌケでもない限りは難しいだろう。

 

とは言ったものの、そんな簡単な決着が付けられる程に今の状況というものも良くはない。

レイサとケイからの連絡がない、即ち交戦中である事を意味する。

問題というのは刻一刻と此方に迫って来ており、もう既に目を背ける事の出来ない程の距離まで近づいて来てしまっているのだから。

否が応でも、向き合わねばならない。

 

「じゃあ、逆に聞くけど」

 

「貴女、覚悟は出来てるのよね?」

 

「覚悟、とは?」

 

覚悟とは、道を切り開く為にあるッ!!

…なんて、格好を付けたワンフレーズなのだけれど。

感情論を語るにしても、理性的に物事を突き詰めていくにしても。

いずれにせよ、覚悟を持っていなければそのうち壊れるのが人間という生き物である。

それだけ脆く、それだけ弱いのが人間だから。

…と言うより、それで壊れた果てが私みたいなならず者連中なのだから。

 

「私はあくまで言伝にしか聞いてないけれど…」

 

「補習授業部にあれだけの仕打ちをして、自らの手で呼び出した先生への対応もあれで…」

 

「貴女は、今まで行ってきた事と向き合うその覚悟があると言えるのね?」

 

仮に、その行動が間違っていたとして。

仮に、その行動を悔やむ日が来たとして。

貴女にそれを償う覚悟はあるのか、貴女にそれを受け止める覚悟はあるのか。

 

単純なように見えて、とても難しい事だ。

人間は常に自己保身のために逃げる事を選ぶんだから、進んで自らを傷付けるような真似をする事は難しい。

肉体の傷と違って、心の傷は一生残り続けるだなんてよく言った言葉ではあるが…

その言葉の通り、精神的に打ちのめされる覚悟は彼女に出来ているのだろうか?

 

「えぇ、えぇ…」

 

「…私は、自分のしてきた事に思う所があります」

 

彼女は、頷きながらそう続ける。

なんと言ったら良いか、感情を隠すのが上手いと言うべきなのか…

…いいや、違うかもしれないわね。

この場合は、隠すのが上手いんじゃなくて…

 

「ですが、後悔はすれど自分のした事が全て間違いだったとは思えません」

 

「それはまた、どうして?」

 

「私がトリニティを守らずして…」

 

「誰が!トリニティを!守るのです!!」

 

隠す隠さない以前に、使命感が不安を上回ってるのだろう。

 

…褒めるべき所ではあるのだが、これはこれでおいたわしいと言うかなんと言うか…

ヒナやリオも上に立つ者として色々と可哀想に見えるのだが、ナギサは別ベクトルと言うか…

…まぁ、色々と苦労してるんだろう。

ともかく、彼女がそれを受け入れられるかはさておき覚悟がある事は分かったのだ。

 

「…その言葉、しかと聞き届けたからね」

 

この場には、私がいるんだ。

本来この世界にいるべきではないであろう、イレギュラーたる私が。

何の因果か、何が理由かは知らないが私はこうして此処に立っているんだ。

ならば、イレギュラーはイレギュラーなりに場を引っ掻き回してやろうじゃないの。

まぁ、それはそれとして…

 

「尤も、貴女の場合はもう少し周囲の人間を信頼して頼る事も大切だったんだと思うけれど…」

 

と、外から聞こえるのは爆音。

その爆音に続いて、今までは全く聞こえていなかった銃声が一斉に鳴り響いてくる。

 

「…こんな時間に、何が…?」

 

「うわぁ〜…一応認識阻害の類は掛けといたんだけど…」

 

掛ける対象の数と範囲を無茶し過ぎた、あのレベルの爆音は流石に無理だったようだ…

私のコレはあくまで認識を妨害するだけに過ぎない、一度何らかの原因でソレを認識されてしまえばこの術は全くの意味を成さない。

これは後でサクラコに土下座コースだろう、私の認識が少々甘かった。

というわけで、急がねばならないようだ。

 

「っしょ…!!」

 

「なっ、なにを…!?」

 

椅子に座るナギサを持ち上げ、抱き抱える…

…まぁ、なに、比べるのが悪いけどヒナやケイ、レイサと比べちゃうと結構な違いがあるくらいには重…

…やめましょう、この話をした所で誰も幸せになる未来が見えないわ。

 

「何よ、覚悟は出来てるんでしょう?」

 

「百聞は一見にしかず、所詮は部外者の私から信用出来ないような情報を聞かされるよりも…」

 

「直接見た方が、早いでしょ!!」

 

窓を蹴破り、そのまま身を宙に投げる。

ガラス片が刺さってるって?こんなの銃弾とか弾幕に比べれば軽傷よ軽傷…

そんな事よりも、今は速くあの子達の下へと赴く方が優先だ。

 

「とっ、飛ん…っ!?」

 

「…そこまであからさまな驚き方をするのも、逆に珍しく見えるわね…」

 

キヴォトス全土を探せば、空を飛べる生徒の数名くらい見つかりそうではあるのだが…

まぁ、私って飛べるけど羽とか翼とかないし?

ヒナもヒナで驚いてはいたのだ、常識的に考えれば飛べる生徒なんているもんじゃないのだろう。

…私的には銃弾を無傷で弾く人間とかの方がよっぽど異常に見えるんだけども…

 

「…ナギサ、貴女って自衛くらいは出来る?」

 

「…謙遜でも何でもなく、自信があるとは言い難いですね」

 

「そう…じゃ、私から離れちゃ駄目よ?」

 

勢いで連れ出してはいるが、ナギサをここで外へと出すのは悪手だろう…

…ま、多分どうにかなると思うし?

変に疑心暗鬼状態の彼女を置いて行くより、着いて来させた方が私が干渉しやすいだろうし?

やらかした時はやらかした時に考える、それと同時にやらかさないように善処する。

これくらいの精神の方が、変に張り詰めるよりもよっぽど物事を上手く運べるんだから。

 

「さ、早く行くわよ…こうしてる間も私のお仲間さん達が頑張ってるんだから」

 

相変わらず聞こえる銃声、今も続いているであろう交戦。

事前に話していた計画は狂いに狂っているし、思ったより時間は掛かってしまった。

…それでも、彼女達ならきっと大丈夫だろう。

柄にもない事を言っている自覚はあるが、彼女達は強いからね。

それに、ヒーローは遅れてやって来る、なんていう言葉があるくらいなんだから。

…ま、私は自分がヒーローだなんて思わないけど。

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