「まずは貴様らの適正を見る! 両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!」
朝が来たと同時に兵士として初めての訓練が始まった。
皆がロープに必死にぶら下がっているのを見て、凄く懐かしさを感じる。
アンヘルが立体機動装置の試作を持ってきてはモルモットにされ、上手く扱う事が出来ずによく怪我をしていたものだ。
懐かしい記憶に浸っていると遂に自分の番。
何度も訓練兵を経験していたこともあり、苦戦することなく腰にワイヤーを付ける。
そしてふわりと体が浮いた。
この感覚、やっぱり好きだ。
「何をやってる、エレン・イェーガー!! 上体を起こせ!!」
リラックスしながらぶら下がっていると、すぐ隣から教官の怒鳴り声が聞こえてきた。
何事かと隣を見るとエレンと呼ばれた少年がひっくり返っている。
彼も混乱しているようで、動けない様子だ。
そんな彼を見てか周りから耳障りな笑い声が聞こえる。
あぁ、嫌だ。
過去に出来損ないだと指を差され、嗤われた記憶が脳裏によぎった。出来損ないのまま為す術もなく、すぐ巨人に捕食された頃の記憶。
その記憶を振り払うように後ろへと体重をかける。
「ノア・リピーツ! 貴様も何をやっている!!」
鬼の形相でまくし立てる教官が逆さに見える。
逆にポカーンと阿保面でこちらを見ているエレンとは綺麗に目線が合った。
「うーん、難しいね」
「え、いやだってさっきまで……」
エレンは口をパクパクさせて何か言いたげだったが、口を噤むとぷはっと笑い始めた。
「お前かっこ悪いな!」
「君がそれを言う!!?」
お互い可笑しくてただただ笑い合う。
そして無事教官に頭を握り潰されたのであった。
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「エレン、自主練??」
エレンとその友達であろう2人が集まっている所に声をかける。3人の視線を一気に感じ、彼らは驚いたような顔をしていたが直ぐに表情が戻った。
「お前は確かノア、だったか」
「偉いね。私も見習わないと」
「いや、お前は必要ないだろ。出来んだから」
あれ? バレた?? と笑うと、当たり前だバカと言われてしまった。心外だなぁ。
ミカサとアルミンにも軽く自己紹介してから、ついでにエレンの訓練に参加する。
「上半身の筋肉は固く、下半身は柔らかく。前後のバランスだけ気をつけて」
「落ち着いてやれば出来るよ。運動苦手な僕にだって出来たんだから」
彼らのアドバイスを元にやってみようと意気込むエレン。不意に彼とまた視線が絡み合う。
「ノア、お前も何かアドバイスないか?」
「うーん、こればっかりは練習してコツを掴むしかないかな。大丈夫、エレンなら出来るよ」
「そ、そうか……」
エレンは少し考え込む素振りを見せてから、アルミンに上げるように指示をした。
その瞬間彼は大きくバランスを崩す。
「すっすまねぇ、ノア」
エレンの顔面が地面に行くギリギリで何とか体を支える。咄嗟に手が出てよかった。
「いいよ、エレン。最後まで付き合う」