【進撃の巨人】英雄の帰還   作:シズキ

3 / 9
3話 兵士の素質

「まずは貴様らの適正を見る! 両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!」

 

朝が来たと同時に兵士として初めての訓練が始まった。

皆がロープに必死にぶら下がっているのを見て、凄く懐かしさを感じる。

 

アンヘルが立体機動装置の試作を持ってきてはモルモットにされ、上手く扱う事が出来ずによく怪我をしていたものだ。

 

 

懐かしい記憶に浸っていると遂に自分の番。

 

何度も訓練兵を経験していたこともあり、苦戦することなく腰にワイヤーを付ける。

そしてふわりと体が浮いた。

 

この感覚、やっぱり好きだ。

 

 

「何をやってる、エレン・イェーガー!! 上体を起こせ!!」

 

リラックスしながらぶら下がっていると、すぐ隣から教官の怒鳴り声が聞こえてきた。

 

何事かと隣を見るとエレンと呼ばれた少年がひっくり返っている。

彼も混乱しているようで、動けない様子だ。

 

そんな彼を見てか周りから耳障りな笑い声が聞こえる。

 

 

あぁ、嫌だ。

 

 

過去に出来損ないだと指を差され、嗤われた記憶が脳裏によぎった。出来損ないのまま為す術もなく、すぐ巨人に捕食された頃の記憶。

 

その記憶を振り払うように後ろへと体重をかける。

 

「ノア・リピーツ! 貴様も何をやっている!!」

 

鬼の形相でまくし立てる教官が逆さに見える。

逆にポカーンと阿保面でこちらを見ているエレンとは綺麗に目線が合った。

 

「うーん、難しいね」

 

「え、いやだってさっきまで……」

 

エレンは口をパクパクさせて何か言いたげだったが、口を噤むとぷはっと笑い始めた。

 

「お前かっこ悪いな!」

 

「君がそれを言う!!?」

 

お互い可笑しくてただただ笑い合う。

そして無事教官に頭を握り潰されたのであった。

 

###

 

「エレン、自主練??」

 

エレンとその友達であろう2人が集まっている所に声をかける。3人の視線を一気に感じ、彼らは驚いたような顔をしていたが直ぐに表情が戻った。

 

「お前は確かノア、だったか」

 

「偉いね。私も見習わないと」

 

「いや、お前は必要ないだろ。出来んだから」

 

あれ? バレた?? と笑うと、当たり前だバカと言われてしまった。心外だなぁ。

 

ミカサとアルミンにも軽く自己紹介してから、ついでにエレンの訓練に参加する。

 

「上半身の筋肉は固く、下半身は柔らかく。前後のバランスだけ気をつけて」

 

「落ち着いてやれば出来るよ。運動苦手な僕にだって出来たんだから」

 

彼らのアドバイスを元にやってみようと意気込むエレン。不意に彼とまた視線が絡み合う。

 

「ノア、お前も何かアドバイスないか?」

 

「うーん、こればっかりは練習してコツを掴むしかないかな。大丈夫、エレンなら出来るよ」

 

「そ、そうか……」

 

エレンは少し考え込む素振りを見せてから、アルミンに上げるように指示をした。

 

その瞬間彼は大きくバランスを崩す。

 

「すっすまねぇ、ノア」

 

エレンの顔面が地面に行くギリギリで何とか体を支える。咄嗟に手が出てよかった。

 

「いいよ、エレン。最後まで付き合う」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。