「おい、ノア」
解散式も終わり、食堂にて皆がお疲れ様ムードの時にジャンがズカズカとこっちに寄ってきた。
「ジャン、6番おめでとう」
そう彼に声をかけるが、表情がなんだが不機嫌だった。エレンが5番で不貞腐れてるのか?
「もっと喜びなよ。10番以内に入れたのは凄いことだし、ジャンもずっと目標にしてきたことでしょ?」
「そうだぞー、ジャン。どうせ憲兵団に入るんだろ?」
周りの皆も口々にジャンに話しかけるが、なぜだか彼の様子が悪化しているような気がする。
そしてついに感情が爆発したのか、私の両肩を激しく掴んで揺さぶってきた。
「ノア! 卒業試験で手を抜いただろ!! お前の実力なら10番以内は楽勝なのに」
「ジャン落ち着けって、これが結果なんだからしょうがないよ」
「俺が納得いかねーんだよ!」
「ジャン」
ピシャリと名前を呼ぶと、ジャンは口をキツく結んだ。そんな彼になるべく柔らかく声をかける。
「これで良かったんだよ。私は調査兵団に行くから」
「はっ、どいつもこいつも調査兵団かよ。分かったよ、もう勝手にしろ」
ジャンはそのままドカッと椅子に座ると、やけになったかのように飲み物を一気飲みし始めた。
ジャンの気持ちが落ち着くまでとりあえず距離を取った方がいいと思い、その場からそっと離れる。
どこに座ろうか迷っていると、エレンたちが「おーい、ノア」と手招きしていた。
なんだろうと彼らの元に行くと、エレンが空いている隣の席を指差している。
「ノア、座るところ探してたんだろ? ここ空いてるから座れよ」
「え? いいの?」
「ダメだったら最初っから誘わねーよ」
エレンはそう言うと手に持っていたジョッキをコクリと飲んだ。
お言葉に甘えて席に着くと、向かいに座っていたアルミンに声をかけられる。
「ノア、さっきまでジャンと言い合ってたみたいだけどどうしたの?」
エレンやミカサ、ライナーも気になるようでこちらに目線が集まった。
話していいものかと一瞬悩んだが、あんだけ騒いでいたらな……。
「成績上位者に私がいなかったから、卒業試験で手を抜いたんじゃないかって思っているらしくて」
「確かにノアの実力じゃ、選ばれてもおかしくないな」
「ライナーまで……」
皆して私に対して評価が高すぎるよと呟くと「嘘は言ってない」と返された。
「別に私は成績上位にならなくても良かったんだよ」
「それはまたなんで?」
アルミンが不思議そうに聞いてくる。
「私は調査兵団に入るから」
一瞬の静けさと共にエレンが口を開いた。
「……もしかしてそれ、さっきジャンに話したか?」
「え? うん。なんで??」
「はぁ、ジャンが怒るわけだ」
皆が頭を抱えている意味が私には分からなかった。