とある休日。私は鏡と睨めっこしていた。
「よし出来た」
白塗りで生気のない表情に真っ黒の瞳。
鏡に映っていた不気味な自分に大満足する。
これで皆を驚かせたいが、なんせ1人ではな……。
そうだ。
「コニー! コニー!! ちょっと来て欲しい!」
「どうした、ノア」
私が大声で呼ぶとコニーが私のところに寄ってくる。
そして私の顔を見るとギョッとした。
「おま、どうしたんだよその顔。こわ!」
「これが噂の不気味の谷メイクです」
「何言ってんのか分かんないけどさ、こんなことしてどうするんだよ」
コニーの言葉に待ってましたとばかりにニィッと笑うと、怖かったのか後退りをされる。
彼に怖がられたままじゃ話が進まないため、すぐに表情を直した。
「これで皆を驚かせない?」
私がそう言うと、コニーも理解したのか悪そうな顔で笑う。
「いいねぇ。でも俺はどうすればいいんだ??」
メイクなんてやったことないぞー? と言うコニー。
えぇ、分かっておりますとも。
「私がするからとりあえずそこに座って」
彼も楽しんでいるのか私の指示をすんなりと聞き入れた。
「ノアってさ、真面目そうな雰囲気のくせに意外と問題児だよなー」
メイクをされながらコニーがそんなことを言い出した。
「そうかな?」
「まぁ、がちっがちの真面目よりも仲良くなれそうだからいいけどな」
コニーと雑談しているうちに、彼のメイクも完成した。
「いや、こえーな!!」
鏡を見ながらコニーはケラケラと笑う。
「それで、ノア。この後はどうするんだ?」
「もうすぐ皆、部屋に戻ってくると思うからその時に」
「いいね、ワクワクしてきたぞ」
明かりも薄暗くして、お互いどの配置だと怖いかをじっくり話し合いながらスタンバイをする。
コニーもメイクで分かりづらいが楽しくてしょうがないような表情をしていた。
そしてがやがやと廊下が騒がしくなり、ついに部屋のドアも開かれた。
「うわぁぁぁ!!?」
「アルミン!? どう―――うわぁぁ!!?」
予想通りアルミンやエレンたちはびっくりしたような声を上げ作戦は成功した。
「やったなノア、大成功だ!」
いえーい! とコニーとハイタッチをすると、彼らは目をぱちぱちさせながらも状況を理解した様子。
「なんだよ、コニーとノアかよ。どうしたんだその顔」
「不気味の谷メイクでーす」
真っ先に声をかけてくれたエレンにコニーと一緒に話す。
「いや意味分からんが、とりあえずお返しだー!」
そうエレンは私を羽交い締めしようとし、それを合図に部屋の皆もドッと攻め込んできた。
流石にこの人数に叶うわけなく、もみくちゃにされる。
「なんだよその顔、おかしいだろ」
「怖くない?」
「怖いというか不気味」
皆でワチャワチャしながらも、部屋からは笑いが絶えなかった。