龍亞と龍可に代わってディマクを倒した俺だが、このダークシグナーとの戦いにおいて、俺が大きく介入できたのはそこまでだった。他のメンバーは全員が強い因縁持ちで、俺はそこに割り込めるような“何か”を持っていなかったし、ディヴァインおじさんがミスティの弟の死因について、口を滑らせるのを妨害するわけにもいかなかったし……。
そういうわけで、ディマク戦後の俺は基本的に賑やかし役程度にしかなれず──超官との決戦の際に、冥界の王の眷属排除に協力したぐらいか──幸か不幸かダークシグナーとの戦いは原作通りに終わった。そしてダークシグナーとの戦いという非日常を終え、再びアカデミアに通う日常に戻った俺はしばらくして──。
「遊星ー! ついに完成したってー!?」
封鎖が解かれたサテライトから出て、マーサの知人だというゾラのガレージに拠点を移した、遊星たち3人の元へと
「ユージか。ああ、ちょうど最終調整を終えたところだ」
「こっちに来いよ! バッチシ仕上がってるからよ!」
俺の声に反応して、遊星とクロウがそう返事を返す。そんな2人の目の前には、白く輝く新品ピカピカのDホイールがあった。
ちなみにダグナーとの戦いを経て、シグナーのみんなとは普通に仲良くなったんだよね。特にクロウは元からコミュ力高いし、遊星が仲介してくれたのもあって即座に打ち解けられた。……まあそんなことより、今はDホイールだ。
「おおー! これが……!」
「ああ、お前のDホイールだ。予定よりも少し時間がかかってしまったが……その分の性能は保証しよう」
「全く、最新のパーツをこれでもかと搭載しやがって。おかげで遊星が張り切っちまって大変だったんだぜ?」
自慢気にDホイールをコツンと叩く遊星と、ニヤニヤ笑いながら俺の脇腹を肘でつつくクロウ。……そう。俺はこのシティで新しく仕事を始めることとなった遊星に、Dホイール製作の依頼をぶん投げたのだ。もちろん代金は親父持ち。だって俺学生だし~。
いやー、この世界では“男の子はDホイールを欲しがるもの”だとはいえ、こんなにあっさりと購入許可が降りるとは思わなくて、俺も驚いてるんだけどな。
デュエルエナジーやらが働いてるせいか知らんけど、デュエリストがやたら頑丈なせいか、安全に対する感覚がかなり違うみたいでね。デュエルアカデミアもDホイール通学OKみたいで、これで通学も楽になるから万歳だぜ。
「取り扱い説明書はこれだ。このDホイールの売りは安定走行用の3輪モードと高速走行用の2輪モードの切り替えだが、2輪モードはあくまでライディングデュエルを想定したもの。長時間の使用はオススメできない」
遊星がお手製のマニュアルを渡しながら、このDホイールに関する簡易説明をしてくれる。俺が遊星に依頼したDホイールは、大まかなシルエットこそ通常のDホイールとそう変わらないが、安定性を求めた結果として、前のタイヤが2個並んだ形になっている。俗に言う、リバーストライクってやつだな。タイヤが増えた分、純粋な加速性能やらは普通の2輪タイプに比べて劣ってしまうのだが……そこは我らがメ蟹ック。フロント部分を合体させるという変形機構を搭載することで、その欠点を補ってくれました。
「りょーかーい。……にしても『できる』って言うから頼んだけど、本当に変形機能を搭載できるなんてな。遊星すげえよ」
「そう大したものじゃないさ。コストと需要の問題があるから作らないだけで、大手のメーカーなら、もっと耐久性のあるものを作れるはずだ」
遊星は謙遜してみせるが、どうだかなあ。遊星ってばブルーノちゃんとの共同作業とはいえ、チーム太陽のDホイールを、ジャックのホイール・オブ・フォーチュンに匹敵するくらいに仕上げちゃうくらいだし。
「それにしてもリバーストライクとか、お前もまた珍しいタイプを選んだもんだな」
「俺ってばガチの初心者だから。最初は安全性重視の方がいいかなーって」
前の世界での俺は、Dホイールのような大型のバイクに乗ったことが無かったからなー。そっちの意識に引っ張られて、安全性重視でこういう注文となった次第だ。……実は見た目が好きだからって理由もあるけどさ。だって格好良くない?
「ま、別にコレはコレで良いもんだぜ? グリップ力があるからコーナーが連続するようなコースには強いし、雨の日も強気に行ける」
「なるほど……じゃあつまり、プリメラに雨を降らしてもらえば完璧って事か」
「うお、それは反則……」
俺とクロウは顔を見合わせると、ハハハと笑い合い。それに釣られて遊星も笑い出す。いや本当に雨を降らせるかは知らんけどね。魔法使い族だからできるんじゃね? って単純な発想なだけで。
「ところで、このDホイールの名前はどうする?」
「名前?」
「ああ。治安維持局に届け出を出さなければいけないからな。どうせならここで済ませてしまおうと思って」
名前……名前かあ。……そういやこのDホイール、フロント部分から伸びたエアロパーツを、ウサギの耳に見立てられんこともないな。たぶん遊星が、センチュリオンのデザインをそれとなく組み込んでくれたんだろう。ならばこのDホイールの名前は……。
「ホワイトラビット、なんてどうかな?」
見た目にもマッチしてるし、アイテムドロップ率と取得経験値も15%上がりそうだしで、我ながら悪くない名前なんじゃないかなと思う。ねぇ、アンタ達、本当にお城に行くの?
「ま、無難だな。縁起もいいし、悪くないんじゃねえか?」
「では、その名前で登録しておこう。すぐ終わる」
俺がかつての苦行を思い返してジーンとしている間にも、遊星は手早くキーボードを叩いて情報を打ち込んでいく。おー、はやいはやい。あっという間にデータを打ち込んで、もう申請完了だ。
「さーて、ライセンスはこの前手に入れた。そしてDホイールも今手に入れた。となれば……やる事は1つだよなあ?」
申請を見届けたクロウが、俺に対し挑発的な物言いをしながらニヤリと笑ってみせる。まあなんて事のない、ライディングデュエルのお誘いだが。
ちなみにクロウの言う通り、俺は既にDホイールのライセンスを取得済みだったりする。だってしばらくすると、ライセンス取得希望者が爆増した影響で“落とす試験”に切り替わっちゃうからね。そうなる前に、遊星たち3人に基礎的なことを教えてもらって、さっさと取得した次第だ。
「Dホイーラーの先輩として、ライディングデュエルの何たるかを教えてやるぜ!」
「望むところだぜ! 負けて吠え面かくなよ、セ・ン・パ・イ!」
「はは……なら俺も着いて行こう。テストは済ませたが、実際のライディングデュエルでは何が起こるかわからないからな。直接この目で、ユージのDホイールが走るところを確認しておきたい」
バチバチと火花を散らす俺とクロウを見て、遊星は軽く笑いながら自分も同行することを告げてきた。遊星が横から見てくれるってんなら、マニュアルモードでやるのもいいかもな。運転のダメなところを後から教えてくれそうだし。
「よっしゃ決まりだな。ちょっと待ってろよ着替えてくる!」
「ユージ。このライディングジャケットはジャックからの、Dホイーラーとしてのデビュー祝いだ」
ドタドタと慌ただしく着替えに行くクロウを見送っていると、遊星がライディングジャケットを手渡してくれた。俺のエースである、レガーティアを意識してくれたのだろう。白を基調としつつ、所々に金色と赤色のアクセントが入ったジャケットだった。
「おお、マジか。次に会ったらジャックにお礼言わないとな」
ジャックみたいなイケメンが着るのならともかく、俺が着るとなると少し気恥ずかしい衣装だが……まあ、メット被れば顔はほとんど隠れるしいいか。
「そうしてやってくれ。あいつもあれで、ユージの事は気にかけているんだ」
それは理解してるつもりだ。Dホイールのラップタイムを測らされたり、買い出しに(強制的に)付き合わされたり、面倒ごとを押し付けられることも多いが……でも『貴様のデッキには合うだろう』と使わないカードをくれたり、逆に世話を焼いてくれる事もあるしな。不定期に開催されるカップ麺パーティー&感想会も面白いし。
「お、そのジャケットはジャックが用意したやつじゃねえか。似合ってるぜ!」
「へへ、サンキュー。せっかくだし、これに似合うプロテクターも探さないとな」
「デザインも重要だが、安全性もきちんと確認するんだぞ。粗悪品を掴まされないようにな」
おかんのようなことを言う遊星に頷きを返しつつ、俺は遊星がポンと投げ渡してきたヘルメットを手に取り被る。このメットもホワイトラビットに合わせたデザインと色合いなので、ジャケットとも合っていい感じだ。……プリメラが物足りなさげな感じでメットを見ているが、さすがに
「よーし、それじゃあ行こうぜ! 遊星もユージも、ちゃんと着いて来いよ!」
こうしてレーシングスーツに着替えた俺とクロウ、そして遊星はガレージからDホイールで出ていく。目的地はもちろん、WRGP開催に備えて最近建造された、ライディングデュエル専用のデュエルレーンだ。
◇
「さあ行くぜ! スピード・ワールド2、セット!」
〈デュエルモードオン、オートパイロットスタンバイ〉
「ライディングデュエル・アクセラレーション!」
『当レーンはライディングデュエルが開始されます。一般車両は直ちに退避してください』
俺とクロウがスピードワールド2を発動するのと同時に、道路に立体映像の壁が出現。その壁をすり抜けて、一般車両がデュエルレーンから退避していく。一見すると物凄い迷惑な光景に見えてしまうが、この時代の車両は自動運転がデフォなので何も問題はない。この隔離もDホイーラーを専用レーンへと誘導する間の一時的なものだしな。
〈レーンセレクション、使用可能な最適レーンをサーチ。デュエルレーン、セントラルに申請──AUTHORIZATION〉
『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください。デュエルが開始されます──』
電子音声による認可取得の合図と同時に道路がせり上がっていき、こうして完全に一般車両から隔離された俺たちは、その道を通ってライディングデュエル専用レーンへと乗り込んだ。
運転はオートパイロット。クロウからの『初めて乗ったDホイールでいきなりマニュアルモードはキツイからやめとけ』という
「行くぜユージ! オレのターン!」
クロウ LP4000 手札5→6
先攻はクロウか。クロウ相手に先攻を取られるのは痛いが、こればかりは運だしな。いや第1コーナーを取った方が先攻のマニュアルモードだと、俺の
「俺は手札から
BF-蒼炎のシュラ
ATK/1800 DEF/1200 星4
「さらにカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
クロウ 伏せカード1枚 手札4枚
さてさて、プリメラやトゥルーデアと一緒に投入するカードを話し合い、実体化したプリメラに練習相手を頼んだりなんかして調整したこのデッキ。スタンディングとライディングの違いから、カード不足で構築がまだ甘いところはあるのは否めないが……それでも俺たちの絆がパンパンに詰め込まれているんだ。クロウには悪いが負ける気がしねえ!
「俺のターン、ドロー!」
雄二 LP4000 手札5→6 SPC0→1
スタンバイフェイズに入ると同時に、俺とクロウのSPCが1つ増えた。ライディングデュエルはこのSPCの数を参照、または消費する
いや使おうと思えば2000ダメージと引き換えに使えるんだけど、ライディングデュエルで通常魔法を使うのは無粋である──的な感覚が広まってるせいで、実質使用不可なんだよね。まあ俺もライディングデュエルでの通常魔法は否定派なんだがな!
「俺は手札から
従騎士トゥルーデア
ATK/1000 DEF/2000 星4
俺のフィールドに現れたトゥルーデアは、こちらに向かって振り返ると、照れ臭そうに微笑みながらウィンクを飛ばしてきた。あざとさMAXな仕草だが、トゥルーデアはこれを素でやってるんだよな。お前の可愛さで俺がヤバい。
「トゥルーデアの効果発動! トゥルーデアはフィールド上の自身と、デッキに存在するセンチュリオンを魔法&罠ゾーンに永続罠として置くことができる! 俺はデッキから
「へ、ワガママ娘が2人揃ってお出ましか……」
俺のフィールドに現れた半透明のプリメラを見て、クロウがニヤリと笑う。チーム・5D’s(未結成)のメンバーは俺が実体化したプリメラたちに日々振り回されている事も知っているからな。
プリメラもトゥルーデアも、2人揃って独占欲が強くて我儘な子たちだが……でも逆にそこが可愛かったりする。それにプリメラもトゥルーデアも最高に可愛いし、それが実体化して触れ合えると来たら……もうこちら側の好感度もマキシマム召喚ですよ。この2人に見捨てられたらショック死するね俺は。
エメトⅥ? あの子は普通にいい子だよ。善良だし純粋だしで癒される。遊星にDホイールの依頼投げた時は拗ねてたが、お前が先輩だなと言ったらすぐ機嫌直ったし。チョロかわ。
「俺は魔法&罠ゾーンにいるプリメラの効果発動! プリメラを攻撃表示で特殊召喚!」
重騎士プリメラ
ATK/1600 DEF/1600 星4 チューナー
トゥルーデアと入れ違いに出てきたプリメラが、ドヤ顔でその手に持つ槍を掲げる。それと同時にデッキのサーチ機能が勝手に起動するが、俺はもうツッコまない。まあ俺とプリメラたちの絆は極限まで深まっているからな。プリメラは俺が何のカードを求めているのか、完全に理解しているのだ。
「プリメラは特殊召喚に成功した時、デッキからセンチュリオンカードを手札に加えられる。俺はデッキから
俺はサーチ機能により飛び出してきたカードを引き抜き、手札ホルダーに差し込みながら考えを巡らせる。
ライディングデュエルは大嵐を──似たようなカードはあるが──警戒しなくていいし、全体除去の代名詞であったブラックローズ・ドラゴンもアキさん専用カード。万能除去持ちのシンクロモンスターも高額で所持者が少ないので、基本的にカードは伏せ得──なんだけど、クロウのデッキには伏せカードを一掃できるデルタ・クロウがある。調子に乗ってガン伏せするのは怖いが、だからといって伏せないと押し負ける可能性もある。何枚伏せるべきか……。
「俺はカードを2枚セットして、ターンエンドだ」
雄二 伏せカード2枚 手札4枚
「ははは、どうだユージ。ライディングデュエルは」
俺がターンを終えたタイミングで、ブラックバードで先行していたクロウがスピードを落として接近。そのまま声をかけてきた。
「風を感じられて面白いけど、やっぱりスタンディングとは色々と勝手が違って戸惑うな……!」
Spにも強力なカードは多々あるが、強力なカードは要求するSPCの量も多いし、どうしてもデュエルスピードはスタンディングの時に比べて落ちる。Dホイールに乗って、高速で
「だろうな。お前の使うセンチュリオンは仲間が仲間を呼び、あっという間に超大型のシンクロモンスター、
クロウは頷きながらそう言うと、ブラックバードを加速させていく。ああそうだ、あと今はオートパイロット任せだから普通に考えられるけど、マニュアル運転でやるとデュエル以外にも思考を割かないといけなくなるってのもあるな。試験の時は、そのせいで苦労したもんだ。
「だが専用のサポート魔法を使えねえのは相手も一緒。SPCを必死こいてやりくりする事でそこを補い、新たに生まれた駆け引きを楽しむ──それがライディングデュエルだ! 俺のターン!」
クロウ LP4000 手札4→5 SPC1→2
「俺は手札からBF-上弦のピナーカを召喚だ!」
BF-上弦のピナーカ
ATK/1200 DEF/1000 星3 チューナー
「そしてバトルフェイズ! 俺は蒼炎のシュラで重騎士プリメラを攻撃する! 行け、蒼炎のシュラ!」
BF-蒼炎のシュラ ATK/1800 VS 重騎士プリメラ ATK/1600
チューナーと非チューナーが並んだが、クロウはシンクロ召喚をしてこなかった。まあ蒼炎のシュラはバトルで相手を破壊するとデッキからBFをリクルートできるので、それが狙いなんだろう。俺がクロウでもそうする。……だが、俺がプリメラを戦闘破壊なんてさせるわけがないだろう!
「永続罠、ディメンション・ゲート! このカードの効果で、俺はプリメラをゲームから除外する!」
「何ぃ!? 自分から場をがら空きに……!? まあいい、ならダイレクトアタックだ!」
ディメンジョン・ゲートの効果により発生した時空の穴にプリメラが飛び込んでいき、それを見たクロウが困惑の声を上げるが、それも一瞬のこと。気を取り直したクロウはダイレクトアタックを宣言してきたが……それもさせんよ。
「続けて永続罠、深淵のスタングレイを発動! このカードは発動後、モンスターとしてフィールドに特殊召喚される!」
深淵のスタングレイ
ATK/1900 DEF/0 星5
表になった永続罠より、全身に複雑な文様が走った巨大な電気エイが飛び出してくる。
「お得意の罠モンスターか。ま、そりゃ防いでくるよな……」
「深淵のスタングレイの攻撃力は1900。蒼炎のシュラの効果発動を狙ったんだろうが、シンクロ召喚をしなかったのは失敗だったなクロウ!」
「へへ……そいつぁどうかな? 蒼炎のシュラ、深淵のスタングレイに攻撃続行だ!」
「なんだとぉ!?」
BF-蒼炎のシュラ ATK/1800 VS 深淵のスタングレイ ATK/1900
……まあ流れで一応驚いては見せたが、知ってる知ってる。手札にカルート握ってるんだろ? そのためにわざわざ攻撃表示で出したんだし。
「この瞬間、オレは手札のBF-月影のカルートの効果発動! このカードを墓地に送ることで、蒼炎のシュラの攻撃力を1400アップさせる! これで深淵のスタングレイの攻撃力を上回ったぜ!」
BF-蒼炎のシュラ ATK/1800→3200 VS 深淵のスタングレイ ATK/1900
攻撃力が3200という大台に達した蒼炎のシュラが、深淵のスタングレイをその鋭い爪で引き裂く。そして攻撃を食らった深淵のスタングレイは、黒い爆煙に包まれた。
「へへへ、見たかユージ! そしてバトルでモンスターを破壊したことにより、蒼炎のシュラの効果が発動──してねえ!?」
「深淵のスタングレイは、バトルでは破壊されないのさ! アテが外れて残念だったな!」
「なにぃ、そんな効果があったのかよ!? だが戦闘ダメージは受けてもらうぜ!」
「くっ……!」
雄二 LP 4000-1300=2700
だが切れ味以下略。そこそこ手痛いダメージを食らってしまったが、レガーティアやらの大型を返り討ちにされるよりはマシだろう。
「予定が狂っちまったが仕方ねえ。オレはレベル4の蒼炎のシュラに、レベル3の上弦のピナーカをチューニング! 黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ! シンクロ召喚──BF-アーマード・ウィング!」
BF-アーマード・ウィング
ATK/2500 DEF/1500 星7
「そしてカードを2枚伏せて、エンドフェイズ時に上弦のピナーカの効果が発動! その効果でデッキからBF-極北のブリザードを手札に加えて、ターンエンドだぜ!」
クロウ 伏せカード3枚 手札2枚
吊り上げチューナーのブリザードをサーチしたか。今クロウの墓地には蒼炎のシュラがいるから、星6シンクロが確定していると言ってもいい。迂闊にスタングレイを守備表示にしたりすると、アームズ・ウィングでぶち抜かれて即死するから気を付けねえとな。
「俺のターン、ドロー!」
雄二 LP2300 手札4→5 SPC2→3
SPCがようやく貯まったので、これで手札のSpがようやく使えるようになった。さあて、それじゃあ暴れさせてもらいますか!
「俺はSp-ハイスピード・クラッシュ*1を発動! その効果で俺のフィールドのディメンション・ゲートと、クロウの伏せカードを破壊だ!」
「ほう……Spを使うか! だが甘いぜ、お前が破壊したのはBF-マインだ! セットされたこいつは相手の効果で破壊された時、俺の場にBFがいれば、相手に1000ポイントのダメージを与えてカードを1枚ドローする!」
ディメンション・ゲートのカードとクロウの伏せカードにバチバチと紫電が走るが、クロウの伏せていたカードは相手に破壊された時に効果を発揮する、文字通りの地雷カード。BF-マインから放たれた光線が俺を撃ち抜き、ライフを1000削っていく。
クロウ 手札2→3
雄二 LP2300-1000=1300
「残念だったなユージ!」
「く……だがそれでも、目的の片方は果たした! ディメンション・ゲートが墓地に送られたことで、その効果により除外されていたプリメラを特殊召喚できる! 戻ってこい、プリメラ!」
重騎士プリメラ
ATK/1600 DEF/1600 星4 チューナー
ワームホールを通って、俺のフィールドに異次元空間へとお出かけしていたプリメラが帰ってきた。BF-マインを踏んでしまった精神的ダメージはデカいが、まだデュエルは続いている。落ち込んでいる場合じゃねえ。
「なるほどな、そういうコンボだったのか……!」
「俺はプリメラの効果でデッキから
従騎士トゥルーデア
ATK/1000 DEF/2000 星4
「そしてトゥルーデアのもう1つの効果だ! フィールドのトゥルーデア自身とデッキの
プリメラとトゥルーデアが自分から効果を使ってくれるおかげで、ほんの少しだけ処理が楽になっているのは、ライディングデュエルではありがたいかもしれない。俺はそんなことを考えながら、エメトⅥをフィールドに呼び出した。
重騎兵エメトⅥ
ATK/2000 DEF/3000 星8
「来るか……!」
「俺はレベル8のエメトⅥに、レベル4のプリメラをチューニング! 今こそ頂点の誓いを果たす時! 熱き絆を力に変えて、起動せよ! シンクロ召喚──騎士皇レガーティア!」
騎士皇レガーティア
ATK/3500 DEF/2000 星12
「レガーティアの効果! 特殊召喚に成功した時、デッキからカードを一枚ドローして、その後相手フィールド上の最も攻撃力が高いモンスターを破壊する!」
「オレのアーマード・ウィングが……!」
レガーティアの放った魔力砲撃に飲み込まれ、アーマード・ウィングが消滅していく。これでクロウの場は開いた、あとはレガーティアと深淵のスタングレイで殴れば俺の勝ちだが……。
「バトルだ! 俺は深淵のスタングレイで、クロウにダイレクトアタック!」
「させねえよ! 俺は手札からBF-熱風のギブリの効果を発動! このカードを守備表示で特殊召喚する!」
BF-熱風のギブリ
ATK/0 DEF/1600 星3
「そして熱風のギブリが特殊召喚されたことで、罠発動! ブラック・リターン! お前の騎士皇レガーティアを手札に戻し、その攻撃力分俺はライフを回復する!」
ですよねー。やっぱ妨害札ありますよねー。ま、あのクロウがこんなあっさりと終わってくれるわけがねえよな。でも流石にこれを通すのはちと不味い。そういうわけで……。
「罠発動、
伏せてて良かった騎士魔防陣。コイツは墓地でも仕事をするので、破壊されてもいいか的な感覚で伏せられるのが実にいい。
「やるじゃねえか! ブラック・リターンは相手モンスターを手札に戻せなかった場合、ライフを回復できねえ!」
「まだだぜクロウ! まだスタングレイの攻撃は続いている! 熱風のギブリを破壊しろ!」
深淵のスタングレイ ATK/1900 VS BF-熱風のギブリ DEF/1600
「ちっ……! さすがにマズくなってきたな……」
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
雄二 伏せカード3枚 手札3枚
うおおー、魔法&罠ゾーンが足りねえー! 伏せたいカードがあるのに伏せきれねえー!
これがスタンディングならマジック・プランターのコストにしたり、蘇生魔法でプリメラを呼び戻して、
「オレのターン、ドローだ!」
クロウ LP4000 手札2→3 SPC3→4
このクロウのターンでSPCは4。かなりの数のSpが解禁されることになるが、クロウはどう動くのだろうか。
「このスタンバイフェイズ、騎士魔防陣で除外していたレガーティアが帰ってくる。そして俺はレガーティアの効果で1枚ドロー!」
「完全に流れを持っていかれちまったな……。だがクロウ様の本領発揮はここからだぜ! オレは手札からSp-エンジェル・バトン*2を発動! デッキからカードを2枚ドローし、手札を1枚墓地に送る!」
エンジェル・バトンか……。伏せてある
「行くぜ、オレは手札からBF-極北のブリザードを召喚! そのまま極北のブリザードの効果発動だ!」
BF-極北のブリザード
ATK/1300 DEF/0 星2 チューナー
よし来た、ここで止める! “止めるなら命より重い通常召喚権を使った時”ってよく言うしな!
「リバースカード、オープン! 騎士皇爆誕! 永続罠扱いのトゥルーデアを墓地に送ることで、極北のブリザードの効果を無効にして破壊する!」
俺の場にいるレガーティアが全身から光の波動を放ち、その波動に触れた極北のブリザードが砕け散る。通常召喚権を消費した以上、これでクロウはもう動けまい。いやクロウの運命力なら墓地で発動するカードを、さっきのエンジェル・バトンで墓地に送っていてもおかしくはないが……それでもバトンを止めていたら、今度はブリザードが素通しだったしなあ。
「……へへ。お前なら、絶対ここでカウンター罠を切ってくるよなあ! だが甘いぜ! オレは墓地からBF-先鋭のゼピュロスの効果発動! このカードは400ポイントのダメージを受け、自分フィールドのカードを1枚手札に戻すことで、墓地から特殊召喚できる!」
BF-精鋭のゼピュロス
ATK/1600 DEF/1100 星4
クロウ LP4000-400=3600
「そして自分フィールドにBFがいるとき、BF-疾風のゲイルは手札から特殊召喚できる!」
BF-疾風のゲイル
ATK/1300 DEF/400 星3 チューナー
やめてくれクロウ、その術は俺に効く。ていうかエンジェル・バトンでゼピュを墓地送りしつつゲイル引くとか半端ねえな。まあプリメラたちの精霊パワーでドロー力爆上げしてる俺が言えた義理じゃねえけどよ!
うーむ、しかしこれは真面目に不味いな。スタングレイの方ならともかく、レガーティアの攻守を半減させられたら、その後の展開的な意味で非常に不味い。お願いだからワンパン勝ち狙いって事でスタングレイの方狙ってくれねえかな……。
「疾風のゲイルの効果発動! お前のフィールドにいる騎士皇レガーティアの攻撃力と守備力を半分にする!」
騎士皇レガーティア
ATK/3500→1750 DEF/2000→1000 星12
レガーティアじゃなくてスタングレイ狙ってって念じたでしょおぉぉ!?
くそ、こうなったら仕方ねえ。次のターンにお祈りドローをする羽目になるが、エメトⅥに頼るしか……!
「オレはレベル4の先鋭のゼピュロスに、レベル3の疾風のゲイルをチューニング! シンクロ召喚──現れろ、BFT-漆黒のホーク・ジョー!」
BFT-漆黒のホーク・ジョー
ATK/2600 DEF/2000 星7
「漆黒のホーク・ジョーの効果発動! オレの墓地に眠るレベル5以上の鳥獣族モンスター、つまりアーマード・ウィングを特殊召喚するぜ! 甦れ、アーマード・ウィング!」
BF-アーマード・ウィング
ATK/2500 DEF/1500 星7
「ならば俺は、墓地に眠るエメトⅥの効果発動! 俺のフィールドにいるレガーティアを魔法&罠ゾーンに移動させることで、墓地から自身を特殊召喚する! 俺はエメトⅥを守備表示で特殊召喚!」
重騎兵エメトⅥ
ATK/2000 DEF/3000 星8
大地を突き破りながら、地の底よりエメトⅥが俺のフィールドに帰還する。エメトⅥの操縦席に座ったプリメラの『任せろ!』という感じの笑顔が実に頼もしい。
「攻撃力の下がった騎士皇レガーティアを避難させたか……だが、お前のフィールドにはもう一体攻撃表示のモンスターがいる! それもおあつらえ向きに戦闘で破壊されねえ奴がなぁ! バトルだ! オレはアーマード・ウィングで、深淵のスタングレイを攻撃! ブラック・ハリケーン!」
この世界のアーマード・ウィングは、楔カウンターをバトルフェイズ中にも取り除ける。なので戦闘で破壊されない深淵のスタングレイは、最高のサンドバッグというわけだ。この連続攻撃が通れば、俺は負けてしまう……。
「まだだ! 俺は罠カード発動、戦線復帰! 墓地からプリメラを守備表示で蘇らせる! 頼んだプリメラ!」
そういうわけなのでこの伏せカードたちを使う! いやー、遊星から『あると便利だぞ』と言われたから半信半疑で積んでみたけど、まさかいきなり輝くとは。
重騎士プリメラ
ATK/1600 DEF/1600 星4 チューナー
俺の声を受けたプリメラがシュタッとエメトⅥから飛び降りて、防御の構えを取る。本来ならプリメラのサーチ効果を使う場面だが、残念ながら俺のデッキ内にセンチュリオンのカードは残っていない。
「今更呼んだところで──いや待て、重騎士プリメラはチューナー……まさか!」
「気付いたみたいだなクロウ! 続けて罠カード、緊急同調を発動! バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行う!」
「何!? お前のエクストラデッキは、あのワガママコンビのせいで騎士皇レガーティアの1枚だけじゃ……!?」
「クロウや遊星、ジャックみたいな強敵と何度もデュエルしたことで、折れてくれたんだよ!」
デュエルアカデミアやショップ大会では──ツァンやゆまのような一部例外を除いて──基本的に無双していたせいで、プリメラたちも“俺には
「そういうわけで行くぜ! 俺はレベル5の深淵のスタングレイに、レベル4のプリメラをチューニング! 蒼海を駆ける鋼の竜よ、その鋼鉄の咆哮で戦場を制圧せよ──シンクロ召喚!
碧鋼の機竜
ATK/2700 DEF/1800 星9
シンクロ召喚の光の中から、軍艦のような見た目をした機械の竜が現れる。かつて俺がセキュリティから借り受け、ディマク戦で使用した灼銀の機竜の別バージョンとも呼べる存在だ。ちなみにプリメラは光の輪っかを出した後、そそくさとエメトⅥの操縦席に戻っていた。もう何度も見た光景だな!
「碧鋼の機竜は特殊召喚に成功した時、墓地のチューナーの数まで相手フィールド上のカード効果をターン終了時まで無効にできる。俺はアーマード・ウィングの効果を無効にする!」
碧鋼の機竜の発射した砲弾がアーマード・ウィングのすぐ側に着弾したかと思えば、その砲弾は強烈な電撃を周囲へと放ち。電撃をモロに受けたアーマード・ウィングはアーマーがヒビ割れ、露骨に動きが鈍くなる。恐らく、これが“効果を失った”演出なのだろう。
「アーマード・ウィングが……!」
ボロボロになり効果を無効化されたアーマード・ウィングを見て、クロウが悔しげな声を上げる。いやあ、なんか思ってたよりズタボロになっちゃって悪いね。でも俺の精霊はプリメラたち2人と1機だけだから、この件については関与してないぞ。これは演出を考えたKC社の責任やで。
「碧鋼の機竜の攻撃力は2700、そして重騎兵エメトⅥの守備力は3000……これじゃ何もできねえ。オレはカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
クロウ 伏せカード1枚 手札0枚
俺とクロウの間にあるアドの差は圧倒的。クロウのフィールドにはシンクロモンスターが2体と伏せカードが1枚、そして手札は0枚だが、俺の手札は4枚もある。そしてフィールドにも碧鋼の機竜とエメトⅥがいるので、一見すると俺の超有利な状況だが……ワンミスで消し飛ぶライフだというのが怖すぎるな。
「俺のターン! ドロー!」
雄二 LP1300 手札4→5 SPC4→5
「俺は手札から2枚目のSp-ハイスピード・クラッシュ*3を発動! 魔法&罠ゾーンのレガーティアと、クロウのアーマード・ウィングを破壊だ!」
「な、何ィ!? ならオレは罠発動、ブラック・ブースト! 自分フィールド上にBFが2体以上いるとき、デッキからカードを2枚ドロー!」
クロウ手札0→2
伏せカードは手札増強カードだったか。思わぬところで不安要素が消えて嬉しい誤算だ。いや、このドローでカルートやギブリのようなカードを引いた可能性もあるから、完全に安心できるわけではないか。
「続けてSp-スピード・エナジー*4を発動! 俺はこの効果でエメトⅥの攻撃力をSPCの数×200、つまり1000アップさせる!」
重騎兵エメトⅥ
ATK/2000→3000 DEF/3000 星8
「最後に俺は手札からSp-ハーフ・シーズ*5を発動! 漆黒のホーク・ジョーの攻撃力を半分にし、下がった数値分のライフを回復する!」
BFT-漆黒のホーク・ジョー
ATK/2600→1300 DEF/2000 星7
雄二 LP1300+1300=2600
「3連続Sp……! 手札に溜め込んでやがったのか!」
まあ、レガーティアの効果でドロー加速してたからね。あと使うタイミングが合わなかったのもある。でもこうやってカードを一気に使うのは楽しいな……!
「エメトⅥを攻撃表示に変更し……バトルだ! 俺は碧鋼の機竜で漆黒のホーク・ジョーに攻撃だ!」
碧鋼の機竜 ATK/2700 VS BFT-漆黒のホーク・ジョー ATK/1300
碧鋼の機竜の放った砲撃の雨に飲まれ、漆黒のホーク・ジョーは爆散。漆黒のホーク・ジョーを倒した後も砲弾の雨は止むことなく降り続け、Dホイールで走行するクロウを飲み込んだ。
「ぐおぉ……!」
クロウ LP3600-1400=2200
「続けてエメトⅥでダイレクトアタック!」
壁となるモンスターも伏せカードもない、完全にガラ空きとなったクロウのフィールドをプリメラの操縦するエメトⅥが駆け抜けて、そのまま手にした魔力の槍をクロウへと叩きつける。
「ぐああぁぁ!?」
クロウ LP2200-3000=0 Lose
なんかクロウが派手なリアクション取ってるけど、お前たちリアルダメージ与えてねえよな? 与えてない? クロウが勝手に派手なリアクション取ってるだけ? そっかー。
俺は白い煙を吐きながら急停車するブラック・バード号を見ながら、半透明のプリメラたちとそんな会話をしていたのだった。
ちょっと長めに書いたら怒涛の誤字報告に草生えない。なんであんなに見逃していたんだろう…報告してくださった方、本当にありがとうございます。
ライディングデュエルが書きたかったので雑にDホイール入手。魔法使えないの舐めてた…超苦戦した…。あと少しデュエルの書き方変えてみました。不評なようなら戻します。
Dホイール→バイクには詳しくないので説明はマジで適当。まあDホイールは永久機関を搭載した未来バイクって事で、なんか現実のバイクとは違うらしいし……
チーム5D’s→シグナーの痣は無いけどダークシグナーとの戦いを共にくぐり抜けた仲間という認識
ジャック→ヨイショしてくれるので割と仲良し。アイツすぐ調子に乗るからあまりおだてないでくれとはクロウの言
エクストラデッキ開放→遊星たちとの(娯楽)デュエルのおかげ。プリメラの想定以上の苦戦が続き、認識を改めた。ジャックに縛り強要を小馬鹿にされて悔しかったのは関係ない。関係ないったらない
カードパック→モンスターが当たるように。レアなシンクロも当たるように。ただし何故か昆虫族は一切出ない。不思議だね
アカデミア勢→今回の出番はなかったが今まで通り普通に仲良し。強者側認定が進んで実技デュエルを避けられる側になったのが最近の悩み
~感想への回答~
牛尾さんMVPじゃね?→影のMVPです。無かったら無いでもおじさんのサイキックシンクロやらレガーティア再利用で勝てたでしょうが、エンシェントフェアリー奪還は絶対に不可能でした
プリメラちゃん増えて?→わかった!来て欲しい時には絶対に手札に駆けつける!
プリメラちゃん浮気判定緩めて?→じゃ、じゃあ人間タイプ以外のやつなら、まあ……
~追記~
今話に登場した精鋭のゼピュロスとブラックブーストは原作効果です。作中に「原作版か…」って感じの文を入れ忘れていました。ちなみにブラックブーストの2ドローによるお祈りカルートは失敗しました。