神様は純愛過激派 作:NTRアンチ純愛過激派
西暦20■■年2月14日―――17時28分記録開始。
記録媒体『携帯端末』。所有者『宮間■■』。記録時間14分12秒。
―再生開始―
【軽やかな電子音。その後、5秒間の雑音。映像は時折強い光を映す】
宮間■■:よし、写ってるな?
【端末の所有者の顔が大きく映る】
宮間■■:えー、今日は町内でも美人すぎるって有名な■■■ちゃんのハメ撮り企画でーす。
宮間■■:なんか最近彼氏が出来て浮かれてるみたいだし、より色気が増してるよね。
【■■■がベッドに横になっている。規則的な呼吸音から睡眠状態であるとわかる】
宮間■■:無防備だよなぁ。ちょっと小細工するだけでこれだぜ?
【宮間■■が■■■の身体に触れる。10秒間の接触】
宮間■■:この映像はテメェらにもやるから期待しとけよ。まぁ俺はお裾分けは欠かさない人間の鏡だから。
【■■■の胸に手が伸ばされる。宮間■■の荒い息遣い】
宮間■■:こんな男の為にあるような身体してるのが悪いんだぜ■■ちゃん。あんな陰キャ童貞には勿体ねぇから俺が使ってやるよ。
【服の中に手が入れられる。■■■の身体が僅かに反応した】
宮間■■:今寝てんのに反応した? うひょー才能あるよ■■ちゃん。立派な淫乱女だねぇ。
【制服のボタンに手が掛けられ、■■■の下着姿が映し出される】
宮間■■:たまんねぇー、この胸はやべぇよ。牛じゃん。
【宮間■■の手つきが乱暴になる。荒い息遣い】
宮間■■:じゃあ濡れるまで愛撫してやるかぁ。流石に痛てぇし。
【荒い息遣い。■■■が起きる様子は無い】
~省略~
宮間■■:じゃあそろそろ■■ちゃんの初めて、もらおーかな。
【■■■の下着かずらされる。荒い息遣い】
宮間■■:彼氏くんごめんなぁ。■■ちゃんが俺のものになったら、この映像あげるから許してね?
【荒い息遣い。数秒間の笑い声】
宮間■■:陰キャ童貞の君には勿体ないから俺たちで■■■ちゃんは有効活用させてもらうよ。じゃあいただきまーす。
【荒い息遣い。ベルトを外す音】
【呼鈴が鳴る】
宮間■■:あん? 宅配? いいとこなのにタイミング悪すぎだろ。頼んだ覚えねーし、居留守しまーす。
【呼鈴が鳴る】
宮間■■:しつけーな。無視無視。ムード削がれたけど、続けますねぇ。
【呼鈴が鳴る】
【呼鈴が鳴る】
【呼鈴が鳴る】
宮間■■:ったく、誰だよマジで。殺してやろうか。
【呼鈴が鳴る】
宮間■■:おいっうっせーぞ! 今立て込んでんだ後にしろクソがっ!
【6秒間の静寂】
宮間■■:はっ、ビビるくらいなら黙っとけっての。
【玄関が映される。ドアの向こう側から音は聞こえない】
【暫く玄関扉が映る】
宮間■■:おい、待て、何しようとしてるっ!?
【ドアが鈍い音を立てて拳大に凹む。カメラが激しくブレる】
宮間■■:てめぇ! やめろ! おい!
【二度目の振動と騒音。ドアが大きく歪む】
宮間■■:おい! やめろ! やめろって!
【三度目の衝撃音。ドアが外れ、大きな音を立てて倒れる】
【黒ずくめの男が一瞬映る】
宮間■■:は? 誰だよおま。
【鈍い音。カメラが大きくブレる】
【衝撃音。天井が映し出される】
宮間■■:ちょ、やめ。
【鈍い音。宮間■■の呻き声】
【カメラが拾われる。軽やかな電子音】
―再生終了―
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7/1
入学式が終わり、また新たな学生生活に胸を躍らせる。
満開に咲いた桜が祝福するかのように頬を掠めるのだ。陽気なお日様、暖かなそよ風。
その全てに背中を押されながら、佐藤優太は歩み出す。
中学を卒業して、悲しいことは沢山あった。仲の良かった友達、お世話になった先生、三年間という中学生生活の基盤となった校舎。別れの悲しみに後ろ髪を引かれる。
けれども、彼らとの楽しい思い出は褪せることなく胸に残り続けるだろう。大人になって、ふと卒業アルバムを開いた時に、写真を眺めながらその時々の出来事を鮮明に思い出して笑い。そして、沢山の寄せ書きに涙を流す。
そんな将来を期待して、新たな学校生活に向けて歩むのだ。
高校生活も中学同様、たくさんの思い出を作って、懐かしい出来事として、たまに旧友と酒を交わしながら語り合う。
期待に胸が膨らむ。
制服に袖を通した時には小躍りしそうになった。姿見で自分の制服姿を見た時は実際に踊ってしまった。不細工なニヤケ面も気にならなかった。
姉からは苦言を呈されたが。
思い出したら恥ずかしさで悶絶しそうになる。
それでもこの胸のトキメキは鳴り止まない。人目がなければシャドーボクシングをしていたところだ。「シュッ! シュッ!」とかカッコつけながら。もちろんステップも踏む。
いや今はそんなことどうだっていい。
大事なのは新たな友達を作ることだ。ファストコミュニケーション。
これを失敗すると後の高校生活に支障をきたしかねない。
さぁ、ここが勝負所だ佐藤優太。自身を鼓舞しながら、周囲を見渡した。
さて、誰に話しかけようか。
ここはやはり隣の席の彼に声をかけ―――、
「アマツカくんっ!?」
「―――あ?」
不機嫌そうな低い声。
威嚇のように放たれた一息。思わず目を逸らしそうになったが、その顔を見つめる。やはり間違いない。
「やっぱりアマツカくんだ! 僕だよっ! 同じ小学校だった佐藤優太っ!」
「あぁ、佐藤か。どうした」
「いやどうしたじゃないよ! もう会えないと思ってたのに! 連絡先も知らなかったからさ! まさか同じ高校だったなんてっ!」
「そうだな」
驚くことに隣の席に座っていたのはアマツカだった。
黒髪ツーブロックの男子高校生。両耳には3対の黒いリングピアス。やはりと言うべきか、首元には包帯が顔を覗かせている。喧嘩でもしたのだろうか。
鋭い目付きでこちらを睨んでくるが、佐藤優太は彼が優しい男だと知っている。拳にも巻かれた包帯を見る限りどう見ても不良だが、彼は真面目な生徒には手を出したりしないはずと思っている。
「悪ぃな。便所行くわ」
「えっ、僕も一緒していいかな?」
「あー」
席を立ったアマツカに便乗しようとしたが、彼は困ったように眉を顰めた。少し考えた後、胸ポケットからそれを少しだけのぞかせた。
タバコだった。しかも結構重めなやつだった。
「な、なるほど。ごめんね、気を使わせちゃって」
「いや、お前には世話になったことは多かったからな」
「そうかな?」
便所は方便だったのか。
それにしても顔立ちは目付きこそ鋭くなったがあまり変わっていない。しかし、随分と雰囲気が違っている。昔はもっと誰にでも頼られる優等生だったはずなのだが。反抗期だろうか。
「ああ。それよりいいのか? お前の女が絡まれてるぞ」
「え、どういう意味―――」
彼が指さした方向には佐藤優太を探しに来たであろう二人組がチャラそうな男子グループに絡まれていた。片割れはものすごく困ったような表情をしており、もう片割れは烈火のごとく怒っている。
なるほど、そういうことかとひとり納得しつつ、どうしたものかと頭を巡らせる。
それにしてもお前の女は彼女たちに失礼だと思われるが、反応するようなことでもないか。
「ねっ、まじで1回だけでいーから! 俺たちと遊ぼーって!」
「中学でも仲のいい女子出来なくてさー! 可哀想な俺たちに慈悲をっ」
「お慈悲をっ」
「だからっ、知らないっつってんでしょ! 他の子誘いなさいよっ!」
「レ、レイカちゃん、落ち着いて」
うーん、もう時期顔を真っ赤にした片割れが爆発しそうだ。火山の如き噴火を見せてくれるだろう。が、それは彼女にとっても後の高校生活に尾を引きそうだ。
助けようにもどう助けたものか。強引に割って入っても自分が顰蹙を買うだろう。チャラ男たちはそれなりに交友関係が広そうだし、下手な出方はできない。
「チッ」
禁断症状が出たのか遂にアマツカがくわえタバコのまま彼女らの方、つまり教室の出入口に向かって歩き出した。なかなか動かない自分に業を煮やしたのか、単純にタバコを吸いたくてたまらないのに出入り口を塞がれてキレ気味なのか。舌打ちの対象が自分では無いと思いたい。
小心者だなぁ、と自罰しながらアマツカの行く末を見守る。
「―――おい」
ドスの効いた声にチャラ男たちの方が僅かに揺れた。
振り返ればそこに立っている自身らの身長を優に超える長身。こちらから目視できる限りでは180cmは余裕で超えているだろう。もしかして190もあるだろうか。
「⋯⋯な、なんだよ」
勇敢にもチャラ男の一人が立ち向かった。四人組の中でも一番タッパのある男子生徒だ。染めなれた金髪をしきりに撫でている。目が泳いでいた。
それもそうだ。威勢よく返答したが、目の前に立つのはガタイの良い不良だ。不機嫌そうに睨む双眸にダメ押しと言わんばかりのくわえタバコ。どっからどう見ても不良だし。どこに出しても恥ずかしくない不良だった。
教師に隠す気もない校則違反である黒のリングピアスが輝いている。校則違反のオンパレードだ。一発停学ものである。
数秒の静寂の後、最早隠す気のない苛立ちをアマツカが見せた。
「言わなきゃわかんねぇのか? 邪魔だからどけっつってんだカス」
「わ、わりぃ。でもカスは言い過ぎじゃね?」
「俺らも道塞いでたのは謝るけどよ、それはちげーじゃん」
流石に怒りが恐怖を上回ったのか、反感するチャラ男たち。アマツカは苛立ちを抑えられないのか首裏を爪を立てながら擦る。
そして、大きな溜息。
「ごちゃごちゃうるせぇよ、どけ」
我慢の限界を迎えたらしく、強引の教室を出てった。身体がぶつかるのも気にせず、寧ろ吹き飛ばさんと言わんばかりの豪快さだ。
モーゼの生まれ変わりだろうか。
それにしてもアマツカはとても変わった。
佐藤優太の知る限り、小学生時代のアマツカは協調性やリーダーシップの塊のような少年だった。女子生徒に対して暴力なんてもっての外、誰に対しても暴言なんて吐くことは無かった。
きっともう、佐藤優太の知るアマツカはいないのだろう。
佐藤優太の知り合いである少女二人さえも押し退けて行ってしまった。
チャラ男たちが白けた様子で帰っていくのを見送りながら、佐藤優太は考える。
一体、何があそこまで彼を変えてしまったのだろうか。
―――と、今はそれどころでは無い。
鋭い目付きで此方を睨む金髪ツインテの悪魔をやり過ごす方法を考えなくてはならない。
佐藤優太の高校エンジョイ計画は順風満帆とは程遠い一歩目となった。
7/2
「だから悪かったって、僕にも事情があったんだ」
「アンタねぇ! どんな事情があれば困ってる私たちを見守ることが許されるのよ!」
「ま、まぁレイカちゃん。優太くんだってもしもがあれば助けてくれたと思うよ」
「それじゃ遅いじゃない! 普通はそのもしもが起きないようにするのが常識でしょ!」
「でも、レイカだったら四人ぐらいよゆーだよ。だってパンチ四発で足りるんだぜ? お得だよ」
「どういう意味よ!?」
「うーん、私も出来れば早く助けて欲しかったかなぁ、なんて」
「うっ」
切実な言葉が胸を貫いた。
確かに自分の今後と、彼女たちの身の危険を天秤に駈け、あまつさえ静観を選ぼうとしたのだ。最低だろう。
怒髪天を衝く、と言わんばかりに烈火のごとく喚き散らしているのは相浦玲香。細やかな絹糸を思わせる煌びやかな金髪のツインテール。不機嫌そうに振りあがった目尻。藍色の吸い込まれそうな深い双眸。スレンダーな体格に見えて、下半身は太めだ。ニーソックスによって引き立つ太腿のムチムチ具合が最高の幼馴染である。
本人にそのことを伝えると殺されてしまうけれども。なぜなのか。褒め言葉だと言うのに「良い尻してるな」とか「極上の太腿」というと本気の腹パンをお見舞される。
「殺すわよ?」
「突然の殺害予告!?」
「目線でわかるわよ! 足ばっか見すぎ!」
「そりゃ気にしてるのはわかるけどさ、ぶっちゃけレイカの足はマジで丁度いい太さ―――」
「しね」
呼吸が出来ない。
目にも止まらぬ速度で放たれたボディーブローは的確に鳩尾を貫いた。避ける暇すら許さない一撃。不可避の速攻だった。
「もうっ、優太くん流石にセクハラだよ?」
「すみませんでした」
流石に度が超えていたか、と自省する。
長年の付き合いからなのか、どうも彼女相手だと口が軽くなってしまう。本人は割と本気で気にしているので、罪悪感が湧いてきた。
それでも結局は許してくれる辺り、相浦玲香はなんだかんだ佐藤優太に甘かった。その甘さに付け込んでいる自分の最低さに嫌気が差して自己嫌悪に陥りそうになる。
でも見るのはやめられない! だって! そこに楽園があるのだから!
「ま、まぁ? アンタがそこまで見たいって言うなら見せてあげても吝かではないというか⋯⋯」
「いやあえて見ていいって言われるとちょっともにょる」
「なんでよ!?」
微妙な表情で返した佐藤優太に困惑する相浦玲香。金糸のツインテールが揺れる。太腿も揺れる。
眼福だよ。
「あはは、優太くんは正直だね」
どうやら見咎められているようだ。
彼女は小鳥遊志帆。桃色の長髪に豊満な体つきをした歩くエロ本である。相浦玲香程の太腿はないが、それでも全体で見ればとんでもないスタイルの持ち主だ。ピンク髪は淫乱と相場が決まっているので、彼女はむっつりさんではないか、と佐藤優太は疑っていた。
「そう言えば、クラスで友達作らなくていいの?」
「別にいいわよ。それにアイツらがいるから教室に戻りたくないし」
「入学式前から凄かったよ?」
「うーん、やっぱそういう人種って存在するんだなぁ」
アイツらとは先程のチャラ男4人組を指しているのだろ。ドラマや漫画でしか見たことの無い存在だ。
その希少な生態は絶滅危惧種、若しくは世界文化遺産として保護すべきだと思う。
「てか、あの柄の悪そうな男はアンタの知り合い? まさか友達じゃないわよね?」
「アマツカくんのこと? レイカも小学校一緒だったから覚えてると思ったけど」
「アマツカって、あのアマツカっ!?」
「いやどのアマツカだよ」
「有名人なの?」
アマツカの名前を聞いて狼狽する相浦玲香に、怪訝な視線を送ってしまう。小鳥遊志帆は中学からの同級生なので、アマツカを知らなくて当然だ。
「アイツ、中学で問題起こして謹慎処分喰らったて聞いた。なんでも同級生6人を半殺しにしたそうよ」
「半殺し? 不穏だね」
「待て待て、あのアマツカくんだよ? レイカも知ってるでしょ、彼がそんなことするわけないだろ」
「でもその事件以降も荒れてしょっちゅう喧嘩してるって聞いたけど」
なにそれ知らない。何故相浦玲香は知っていて、自分は知らないのか。これが分からない。もしかしてハブられてる? 中学のトークグループがあったりするのか? 自分だけハブられてるのか?
言いようのない悲壮感に襲われた。
「確かに私も最初は信じられなかったけど、あの変わりよう見たら信じるしかないじゃない」
「まぁ見た目は相応だね。中身はそこまで変わってないと思うけど」
「あれ見て変わってないって言えるアンタも大概ね。アイツ私たちにまで肩ぶつけてきたのよ? 助けてくれたのかと思ったら全然違ったし、何より見向きもしなかった。あぁ、思い出しただけでムカついてきた!」
「どうどう」
「私は馬じゃない!」
荒れ狂う暴れ馬を宥めながら佐藤優太は考える。
確かに、首元の包帯といい、明らかな不良ファッションといい、噂を真実と紐付けるには十分な情報だった。
けれども、佐藤優太にはアマツカが悪い人間には見えないのだ。小学校時代の彼を知ってるから、と言われればそれで終わりなのだが。
そんなこんなで空き時間も終わり、相浦玲香たちは教室に戻っていった。
隣の席に視線を向けるもアマツカは帰ってきてない。その席は未だ空席だ。
燦々と輝く太陽に目を向けながら、欠伸をする。
そして、もう一度春の陽日に包まれる彼の席に目を向ける。
もう一度、話す機会が欲しい。
そう考えながら佐藤優太の輝かしき高校生活は幕を開けたのだ。
友達は作れなかったが。
週一投稿を心掛けます。
因みに前半は書いてみたかっただけなので今後はないです。