貴方が怪しまれる番【名探偵コナン】   作:シズキ

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8話 ヒーローは遅れてやってくる

木を隠すならなんとやら

 

大人しく人混みに紛れていたのに、顔面にエコバッグのような袋をぶん投げられた。

 

 

「おい、女! 携帯を集めて、こっちに寄こせ!」

 

「わっ私ですか?」

 

「そうだよ! んなことも分かんねーのかよ、ババア!!」

 

 

……よし、後で絞めとこ。まだ、私27だし。

 

今は怯えたふりをしながら、取り合えず犯人の言う通りにスマホや携帯の類を袋に入れる。

全員のを入れ終わったら、ずっしりと重くなった袋を彼に渡しておいた。

 

それで満足したのか、あっさり私は人混みの中に返される。

 

 

すると今まで大きな動きを見せなかった犯人が、突然どこかに電話を掛けた。

仲間を呼ぶのかと少し警戒していたが、そんな心配もすぐに消える。

 

 

「警察か? よく聞け、イモン**店の食品売り場で人質を捕っている。人質を解放してもらいたかったら、刑務所に収監されている仲間を解放しろ! いいな!!」

 

 

犯人の目的は仲間の解放か。

こんなことをしたって、解放されるはずがないのに。

 

電話を切った後の彼はどこか苛立っているようにも見えた。

 

 

あまり犯人を刺激せず、無事にことが済めばいいんだが。

平日の微妙な時間のおかげで、子どもは片手で数えれる位しかおらず、とりあえずそこは良かったなと思う。

 

 

犯人の近くに、親子連れがいるのがちょっと心配だが。

もしものために彼女らの後ろにゆっくりと近づき、待機。

 

そんなもしもが無ければいいのだかな。

 

「突撃ぃ!」

 

 

立て篭もり事件が起きて数十分。

建物内に響き渡った怒鳴り声には耳を疑った。

 

まだ犯人はナイフを所持しているし、こっちには人質が大勢いる。

もう少し慎重に動かなければならない状況で、現場に来た警察がやらかした。

 

 

突然の警察の乱入は、ただでさえ苛立ちを見せる犯人を逆上させるには十分すぎる。

 

彼は自分の身を守ろうと近くにいる女の子に手を伸ばした。

 

 

「ちっ」

 

 

恐れていたもしもが現に今、目の前で起きようとしている。

 

 

恐怖で固まった彼女の肩を掴み、私の後ろに下がらせた。

犯人も犯人で、私の突然の行動に気が動転したのか、一瞬の隙を見せる。

 

その隙を狙って、男性にとっての急所にめがけて思いっきり足を振り上げた。

 

そう、振り上げたつもりだった。

 

 

「それだけは流石に、彼に同情せざる得なくなるので勘弁してください」

 

「安室さん!?」

 

 

突然乱入してきたのは、警察だけではなく見覚えのある金髪。

 

私の蹴りが、犯人の急所を捉える前に、彼によって犯人は拘束された。

 

 

「希実さん、無事でよかったです」

 

 

安堵の笑みを浮かべている彼の突然の登場に、思わず惚ける。

 

 

「なぜ?」

 

 

さっき別れたはずの男がどうしてこの場にいるのか、どうしても理解が出来なかった。

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