キヴォトスで生徒とイチャイチャするだけの先生アーカイブ   作:微糖珈琲 -砂糖増増-

3 / 4
狂犬vsマフィアvs先生

局長としての心構えとは何だろう。

公安局の局長として、そして狂犬として、あるべき姿とは?

今、私の足元には私のコーヒーカップを保存袋に入れて持ち帰ろうとした大馬鹿がピクピクと指先を痙攣させながら倒れている。

 

「おい、おかわりはどうした」

 

私はこの程度のことでは怒りはしない。

しかし、間違ったことは正してやらなければならない。局長とか狂犬以前に人として、当たり前のことだ。

 

「い、今……仲間がエンジェル24に買いに行ってまふ……おぶふっ!!」

 

しまった。

ついうっかり腹部を蹴り飛ばしてしまった。

でもコレに関しては怒っても良いと思うんだ。

 

……コイツ、蹴られてもニヤニヤしてるな。

 

公安局の闇を見たようで『ゾッ』と顔が青くなる。

と、同時に部屋にノック音が響く。

 

「入ってて良いぞ」

 

「失礼します!局長、頼まれていたコーヒーをお持ちしました!」

 

「……ん、助かる」

 

コイツもこの足元に転がってる大馬鹿に操られた悲しき部下だ。気持ちを汲んで感謝の意を伝える。

コンビニのコーヒーカップは、内容物の熱が直接手に伝わるから苦手だ。

 

熱い。

 

早く机に置きたい。

 

「あ、そうだ局長」

 

「何だ」

 

背中から言葉を投げ掛けられる。

クソ……足元のコイツ邪魔だな……いつまで寝てるんだ……。

 

「今日、先生が来訪される予定です」

 

「な、何だとォ?!?ッ、あっつぅ?!」

 

驚いた表紙に容器からコーヒーが溢れ、手にかかってしまった。

手から容器が落ちる。

あ、この下に居るのは……。

 

「だぁっちああああああ?!?!?!」

 

「「……」」

 

ゴロゴロと転がる大馬鹿。

流石に悪い事をしたな。

今日の事は全て水に流してやるか……。

そう思いながら、私は先程の言葉を思い出し「ハッ」とする。

 

「せ、先生が来るのか」

 

「あ、はい。多分そろそろ来ます」

 

「すぐお迎えの準備をしろ!」

 

「わ、分かりました!!」

 

壁にゴンッと当たってピクリとも動かなくなった大馬鹿を引きずり、部下と共に部屋を後にした。

 

 

***

 

 

「「「………」」」

 

重厚な空気が応接室を満たしている。

押しつぶされそう。

というか押しつぶされてるみたいに背中が曲がってる。額からは大粒の汗が出てきてるし、眉間は波打ってるよにシワができてる。

うぅ……こんな顔、男の人に見られたらお嫁に行けないよぉ……。

 

「おい狂犬。貴様の放つ殺気のせいで先生が怯えてるだろう。席を外せ」

 

「席を外すのは貴様のほうだろう。山海経のマフィア風情が正義の心臓部でもある公安局の床を踏むなんて、あってはならないからな」

 

や、やめてよぉ……二人共……。

オロオロと二人に目配せをするが、二人は私のことを完全スルー。

私は空気ですか。透明人間ですか。

それはそれで嬉しいかも。

 

ミナは先の発言に「ふっは」と心底馬鹿にしたように笑うと、ただでさえ鋭い目を細め、もう何か切れるんじゃないかという位鋭い目で対面の犬耳の少女を睨む。

 

「正義の心臓……か、七囚人が脱走し、前公安の上層が裏組織とズブズブだったのに、良くもそんな事を吐けたな」

 

ダンッッッ!!!

轟音が部屋中に響き出いた。

その音に反応したのは私だけだったみたいです。

めっちゃビックリした。

涙出そう、てか出てる。

 

対面の犬耳の少女、名前は『尾刃カンナ』。

普段は冷静でこんな怒ったりしない優しい子なのに……。

 

普段は片目を隠している金色の髪が、今は両目を隠している。ギリギリ……と歯のなる音が聞こえてくる。

怒ってるのは明白だった。

 

「どうした?怒っているのか、公安局の局長、いや狂犬?」

 

「貴様……!」

 

カンナの手が腰に伸びる。

ずっと腕を組んでいたミナも、その手を解いた。

 

「はい、ストーーーップ!!!」

 

心臓の音が凄い。

バクバク言ってる。

でも、ここは言わなきゃいけない。

先生として。

椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がり、私は叫んだ。

 

「二人共喧嘩しないの!!」

 

「「……」」

 

押し黙り、再び腕を組むミナ。

ばつが悪そうに、耳をぺたんとさせるカンナ。

 

「……すみません、先生。私としたことが、つい感情的に」

 

「ううん、大丈夫」

 

「怖かったでしょう?さ、私の隣に来てください」

 

「うん……」

 

「は?!おい待て狂犬!!今日の先生の当番は私だ、先生の身の安全は私が守る!!」

 

ガダン!!と、ミナは本当に椅子を蹴り飛ばしながら席を立ち上がった。

 

ビックリした……。

 

肩を震わせて驚いた私を、カンナは素早い身のこなしで抱き寄せる。

 

「先生が怖がっているだろう?まずはその粗暴な所を治すんだな、マフィア風情」

 

「……っ、そうやって貴様は先生を誑かして……!だから心配だったんだ……!!」

 

あ……もしかして、ミナが『心配』って言ってたのって……。

慌ててカンナから離れてミナの所へ戻る。

 

「ミナ、ごめんね。先生、君の気持ち全然分かってなかった」

 

「……先生」

 

「妬いてたんだねぇ。もっと私と仲良くしたかったんだねぇ〜」

 

「は……はぁ?!?!」

 

あれ、違ったかな。

ミナ破茶滅茶に顔赤くなってる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。