神々との決闘   作:gurasan

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少年時代 古き良きスピリットデッキ

 遊戯王の世界での神のアバタ―とはすなわちカードであり、遺跡や神社ではご神体がカードなんてことも珍しくない。ただ、天津神健の父が神主を務める天津神神社ではカードなどなく普通に天津神などを祀っている。

 健はそのことを疑問に思わず、むしろカードを拝んだりするような家じゃなくて良かったとすら思っていた。

 とはいえ遊戯王の強さに就職や待遇が左右される世の中。当然健も遊戯王をやっている。ただし、あくまで遊びとして。

 そこに大した理由などない。なぜなら健はまだ小学生の子供なのだから。

 大人たちの間ではマナーや教養の域だが、子供達の間では鬼ごっこのような慣れ親しんだ遊びと同義。

 故に今日もとある友人と決闘を楽しんでいる。

 

 

 

 

「いくぞ。健!」

「来い。十代」

 

「「デュエル!」」

 

健  LP4000

十代 LP4000

 

 デュエルディスクにある先攻のランプが付いたのは健。ちなみにこの機能は事前協議により使わなくてもよく、ジャンケンでもコイントスでもなんでもいい。また非公式なデュエルならば先攻を譲ったりマナー違反を恐れず協議なしで先攻をとったりすることも出来たりする。

 

「先攻ドロー。手札から『荒魂』を攻撃表示で召喚」

 

 健の場に半透明の猫の頭っぽいモンスターが現れた。

 

 

『荒魂』

スピリットモンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻 800/守1800

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードが召喚・リバースした時、

デッキから「荒魂」以外のスピリットモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

 

「『荒魂』の効果でデッキから『八俣大蛇』を手札に加える」

 

 

 健は歳の割に落ち着いた様子でプレイを進めていく。

 『荒魂』はスピリットであれば自在にサーチ出来るカードであり、スピリットモンスター特有の召喚したターンのエンドフェイズに手札に戻るという効果も、手札から捨てられない限り毎ターン効果を使えるという利点に変わる。

 

「さらに手札から通常魔法『七星の宝刀』を発動」

 

 

『七星の宝刀』

通常魔法

手札または自分フィールド上に表側表示で存在する、

レベル7モンスター1体をゲームから除外して発動できる。

デッキからカードを2枚ドローする。

「七星の宝刀」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

 

「手札から『八俣大蛇』を除外して2枚ドロー」

 

『七星の宝刀』は遊戯王界で流行かつ必須カードの『強欲な壺』に比べれば手札を一枚除外している分、シナジーがなければ単純な手札交換になってしまう。それでも毎ターン召喚可能な『荒魂』がある分、コストの負担は少ない。

 

「手札からカードを二枚伏せてターンエンド。この瞬間、『荒魂』は手札へと舞い戻る」

 

 健のフィールドから『荒魂』がいなくなり、モンスターソーンががら空きになる。これがスピリットモンスターの敬遠される理由である。

 フィールドが空きやすく手札が溜まりやすい。そのため相手からの直接攻撃を受けやすく、蘇生が難しいことから手札破壊などで大打撃を受けてしまうのだ。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 十代は健とは対照的に元気よくカードを引いた。

 

「手札から『強欲な壺』を発動! デッキからカードを二枚ドローする!」

 

 不気味な壺が現れ、中から二枚のカードが飛び出てくる。

 

十代 手札5→7

 

「俺は手札から速攻魔法『サイクロン』を発動! 右の伏せカードを破壊するぜ!」

 

 言わずと知れた遊戯王世界でも人気の汎用カード『サイクロン』。その効果により健のフィールドに発生した嵐が一枚の伏せカードをバラバラに引き裂こうとする。

 

「サイクロンに巻き込まれる前に、伏せカードを発動。通常罠『八汰烏の骸』」

 

 

『八汰烏の骸』

通常罠

次の効果から1つを選択して発動する。

●自分のデッキからカードを1枚ドローする。

●相手フィールド上にスピリットモンスターが表側表示で

存在する場合に発動する事ができる。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

 

 本来はコントロール交換カードを使ってスピリットモンスターを相手フィールドに移動し、二番目の効果を狙うカードである。しかし、サイクロンなどの破壊に合わせて一番目の効果を使えば一枚分のアドバンテージが取れる。

 

「『サイクロン』によって破壊されても効果は無効にされない。というわけで一枚ドロー」

 

 嵐によって舞い散る八咫烏の羽に紛れて一枚のカードが健の手札に舞い落ちる。これで健の手札は六枚。

 

「残念だったな、十代」

「まだまだ勝負は始まったばかりだぜ、健」

 

 十代は健のフィールドに残った伏せカードに目を向ける。

 健のデッキはスピリット主体。つまりモンスター全てを破壊する『激流槍』の可能性が高い。それに『邪神の大災害(フィールドリセットの原作効果)』にも気を付けなければならなかった。

 

「俺は手札から『オシロ・ヒーロー』を攻撃表示で召喚!」

 

 

『オシロ・ヒーロー』

通常モンスター

星3/地属性/戦士族/攻1250/守 700

異次元の世界からやってきた、なんだかよくわからない戦士。

 

 

 十代のフィールドに丸を五つ書いて頭にアンテナを付けたようなよく分からないモンスターが現れた。

 

「罠カード発動『落とし穴』。『オシロ・ヒーロー』を破壊する」

 

 

『落とし穴』

通常罠

相手が攻撃力1000以上のモンスターの召喚・反転召喚に成功した時、

そのモンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃力1000以上のモンスターを破壊する。

 

 

 様々な亜種を生んだ昔ながらのオーソドックな罠。これにより異次元から着地しようとした『オシロ・ヒーロー』は異界の大地を踏みしめることなく穴に落ち、這い上がってはこなかった。

 しかし、これで健の場は本当のがら空き状態。

 

 

「手札から魔法カード『二重召喚』を発動! この効果により通常召喚を二回行うことが出来る。出て来い『ルイーズ』!」

 

 

『ルイーズ』

通常モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1200/守1500

体は小さいが、草原での守備力はかなり強い(でも1500)。

 

 

 一応伝説のデュエリストである武藤遊戯が使っていた鼠っぽい戦士が現れた。先の『オシロ・ヒーロー』と合わせてどちらもなんの効果も持たない通常モンスター、通称バニラである。

 

「さらに手札から装備魔法『団結の力』を発動。『ルイーズ』に装備して攻撃。ラット・クイック・ソード!」

 

 

『団結の力』

装備魔法

装備モンスターの攻撃力・守備力は、

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき

800ポイントアップする。

 

 素早い動きで落とし穴を避けたルイーズは持っていた剣で健を斬りつける。

 

ルイーズ 攻1200→2000

健 LP4000→2000

 

 健はダメージを受けながらも安堵の域息を漏らした。

もしも落とし穴がサイクロンで破壊されていた場合、『オシロ・ヒーロー』の攻撃力1250と『団結の力』による攻撃力上昇分1600となり、一ターンで4050ダメージを受けギリギリ敗けていた。

 躊躇なく1キルを実行しようとしてくるとはさすが十代と健は思う。

 

「へへ、先制は俺だな」

「なに、次のターンで逆転してやるさ」

 

 健は不敵に笑う。

 

「そいつは楽しみだぜ」

 

 十代は心底わくわくしたような様子で言う。

 

「俺はカードを一枚伏せ、魔法カード『天よりの宝札』を発動する」

 

「えっ」と健は思わず声を上げた。

 

 

『天よりの宝札』

通常魔法

自分の手札と自分フィールド上に存在する全てのカードをゲームから除外する。

自分の手札が2枚になるようにカードをドローする。

 

 

 ではなく、互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードを引くという皆ご存じ原作屈指の最強ドローカード。これで十代の手札は0から一気に六枚。一方、健はすでに六枚持っていたため一枚も引けていない。 手札が溜まりやすいスピリットには相性が悪いカードである。

 健は思わず顔を引きつらせるがいつものことなので溜息一つですぐに調子を取り戻す。

 

十代 手札0→6

 

「俺はさらに二枚のカードを伏せてターンエンド」

 

「そんじゃ、こっちの番だ。ドロー。『天使の施し』を発動。カードを三枚ドローし、二枚捨てる。さっきのお返しだ。魔法カード『大嵐』を発動。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

「甘いぜ健。罠カードオープン『マジック・ジャマ―』。手札を一枚捨てて『大嵐』の発動を無効化するぜ!」

 

 大嵐が発生するが、フィールドに出現した魔方陣により魔法・罠カードは傷一つなく残っている。

 

「お前はいつからカウンターなんてとるようになったんだ?」

 

十代のスタイルは劣勢から逆転するスロースターターだったはず。相手がなにをしてくるのか楽しみな彼に無効化系のカウンター罠は性に合わないだろう。と健は思っていた。実際、今日まで十代は『マジック・ジャマー』や『神の宣告』などを使っていない。

 

「いつもお前を相手にしてるからな」

 

 十代の回答に「なるほど」と健は頷く。

 全ては自分が様々なロックとかワンキルをしたせいで、しり上がりだったのが最初から全力全開になったのかと納得した。そういえばさっきも後攻ワンキルの流れだったと健は思い出す。

 良くも悪くも二人はお互いの戦法を知りすぎたのだろう。

 

「万全とは言い難いが仕方ない。『伊弉波』様を攻撃表示で召喚」

 

 健のフィールドに古代の巫女装束を着た女性が現れる。

 

 

『伊弉波』

スピリットモンスター

星4/水属性/天使族/攻1100/守1800

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードが召喚・リバースした時、手札を1枚捨てる事で

自分の墓地に存在するスピリットモンスター1体を手札に加える。

 

 

「『伊弉波』様の効果のコストとして『和魂』を捨てる。それにより『和魂』の効果が発動。そんでもって速攻魔法『サモンチェーン』を発動」

 

 

『和魂』

スピリットモンスター

星4/光属性/天使族/攻 800/守1800

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードが召喚・リバースしたターン、

自分は通常召喚に加えて1度だけスピリットモンスター1体を召喚できる。

また、このカードが墓地へ送られた時、

自分フィールド上にスピリットモンスターが存在する場合、

デッキからカードを1枚ドローする。

 

 

『サモンチェーン』

速攻魔法

チェーン3以降に発動できる。

このターン自分は通常召喚を3回まで行う事ができる。

同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動している場合、

このカードは発動できない。

 

 

「『サモンチェーン』の効果で召喚を三回行えるようになる。さらに『和魂』の効果でカードを一枚ドロー。そして、『伊弉波』様の効果で墓地の『荒魂』を回収する」

 

 『伊弉波』に投げ捨てられた『和魂』が『天使の施し』で捨てられた『荒魂』となって帰ってくる。その口には『和魂』から渡された一枚のカードがあった。

 

「手札から『荒魂』を除外して『伊弉凪』様を特殊召喚」

 

 カードをバトンタッチした『荒魂』は『伊弉波』から『伊弉凪』にキャッチボールされ、今度は除外ゾーンへと投げ捨てられる。しかし、『荒魂』の顔はそれが本望とでも言うかのように晴れ晴れとしていた。

 

 

『伊弉凪』

効果モンスター

星6/風属性/天使族/攻2200/守1000

このカードは手札のスピリットモンスター1体をゲームから除外し、

手札から特殊召喚する事ができる。

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、

自分フィールド上に存在するスピリットモンスターは

エンドフェイズ時に手札に戻る効果を発動しなくてもよい。

 

 

「さらに手札から『八汰烏』を通常召喚」

 

『八汰烏』

スピリットモンスター

星2/風属性/悪魔族/攻 200/守 100

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、

次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。

 

 現実世界の遊戯王界を冗談抜きで揺るがした地獄の烏にして禁止カード。しかし、この遊戯王界では未だ現役である。この世界ではあの恐ろしき『八咫ロック』の重要コンボパーツ混沌帝龍カオス・エンペラー・ドラゴンが出回っていないのもその原因かもしれない。

 

「そして、『伊弉波』様『伊弉凪』様からこのカードは生まれる。出でよ、生まれながらにして親殺しの業を背負った火の神『火之迦具土』様」

 

 さすがに興奮するのか健はそれっぽい口上を述べてカードを召喚する。

 

 

『火之迦具土』

スピリットモンスター

星8/炎属性/炎族/攻2800/守2900

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

また、このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時に発動する。

次のターンのドローフェイズのドロー前に相手は手札を全て捨てる。

 

 

「出たな『火之迦具土』。くぅー、燃えてきたぜ!」

「実際、燃えてっからな。ってのはいい」

 

 健は気を取り直してプレイを続行する。

 

「装備魔法『八汰鏡』。こいつを『火之迦具土』様に装備する」

 

 

『八汰鏡』

装備魔法

スピリットモンスターにのみ装備可能。

装備モンスターはエンドフェイズ時に手札に戻る効果を発動しなくてもよい。

装備モンスターが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

 

 

 このカードにより最上級モンスターである『火之迦具土』をフィールドに残すことが出来る。ついでに一度のみの破壊耐性もつく。さらにその効果によって『八汰鏡』がフィールドを離れても召喚したターンのエンドフェイズさえ過ぎていればそれ以降手札に戻ることはない。

 

 

「いくぞ十代。バトルフェイズ、『火之迦具土』様で」

「この瞬間、罠カードオープン『血の代償』」

「せっかくのってきたとこでジャマを」

 

 健はげんなりとしながら言った。

 しかし、邪魔しなければ『火之迦具土』と後続の『八汰烏』により友情をブレイクしかねない悲しい結末が待っているため十代からすれば当然だ。

 

 

『血の代償』

永続罠

500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。

この効果は自分のメインフェイズ時及び

相手のバトルフェイズ時にのみ発動できる。

 

 

 こちらも現実では禁止になったカード。ライフと手札がある限り何度でもモンスターカードを召喚出来るという健も愛用しているカードである。

 

「ライフを払い、『クリッター』と『黒き森のウィッチ』を召喚。さらに二体を生贄にフェイバリットカード『ユベル』を召喚!」

 

 十代のフィールドに半分が女性、もう半分が男性の姿をした悪魔が現れる。

 

十代 LP4000→3500→3000→2500

 

 

『ユベル』

効果モンスター

星10/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードは戦闘では破壊されず、

このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

フィールド上に表側攻撃表示で存在する

このカードが相手モンスターと戦闘になった場合、

そのダメージ計算前に攻撃モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

また、自分のエンドフェイズ時、

このカード以外の自分フィールド上のモンスター1体をリリースするか、このカードを破壊する。

この効果以外でこのカードが破壊された時、自分の手札・デッキ・墓地から

「ユベル-Das Abscheulich Ritter」1体を特殊召喚できる。

 

 

 現実と違い自分から攻撃することでも効果発動が可能なアクティブなユベル。その戦法はあの『サクリファイス』を連想させる。

 

「まだまだいくぜ! 『クリッター』と『黒き森のウィッチ』の効果により『キラー・スネーク』と『キラートマト』を手札に加え、ライフを支払って守備表示で召喚」

 

十代 LP2500→2000→1500

 

『クリッター』

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、

デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。

 

 

『黒き森のウィッチ』

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1200

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、

自分のデッキから守備力1500以下のモンスター1体を手札に加える。

 

 

 またまた現実では禁止の二大サーチャー。かつてはエクゾディアのパーツ集めなど、様々なデッキでキーカードを回収していた。

 

 

『キラー・スネーク』

効果モンスター

星1/水属性/爬虫類族/攻 300/守 250

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在している場合、

このカードを手札に戻す事ができる。

 

 

 壁、手札コスト、生贄、手札破壊対策など様々な役割をこなす最高峰のリサイクルモンスター。当然現実では禁止カード。

 

 

『キラー・トマト』

効果モンスター

星4/闇属性/植物族/攻1400/守1100

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、

自分のデッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を

自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

 四体の中では唯一現実でも活躍するリクルーター。『ユベル』との相性もいい。

 そして、当然のように表側守備表示。つまり表側表示のカードが四枚に増えたことで『団結の力』の効果が上昇。その攻撃力はブルーアイズすら軽く超える。

 

ルイーズ 攻2000→4400

 

「むしろアルティメットに迫る勢いとか、もうルイーズじゃないだろ」

 

 健は思わずそう呟いた。

 とはいえ、幸いにもスピリットモンスターは手札に戻るため、『ユベル』の効果を受けにくい。

本来ならば。

 しかし、今の『火之迦具土』には『八汰鏡』が装備されているため手札に戻らない。対策を講じなければ『ユベル』の餌食。そうでなくとも『ルイーズ』の餌食。加えて相手のフィールドには戦闘耐性のある『ユベル』と復活リリース要員にもなれる『キラー・スネーク』、リクルーターの『キラー・トマト』。これでは相手のフィールドからモンスターを減らすのは難しい。

 

「でも手は、じゃなくて手札は残ってる。速攻魔法『禁じられた聖愴』。対象は『ルイーズ』」

 

 

『禁じられた聖愴』

速攻魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は800ポイントダウンし、

このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

 

 聖槍の力によりルイーズの攻撃力は下がり、『団結の力』の効果も受け付けなくなる。

 

ルイーズ 攻4400→400

 

「これが聖槍の力! 『火之迦具土』様で『ルイーズ』を攻撃。死別の焔!」

 

 炎を纏った男神による攻撃が十代の『ルイ―ズ』へと襲い掛かる。この攻撃が通れば十代に2400のダメージでゲームは終わり。だが、十代のフィールドにはまだ一枚の伏せカードがある。

 

 

「罠カードオープン『立たちはだかる強敵』」

 

 

『立たちはだかる強敵』

通常罠

相手の攻撃宣言時に発動する事ができる。

自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。

発動ターン相手は選択したモンスターしか攻撃対象にできず、

全ての表側攻撃表示モンスターで選択したモンスターを攻撃しなければならない。

 

 

「俺は『ユベル』を選択。よって『火之迦具土』と『八汰烏』は『ユベル』に攻撃しなければならない」

「ジーザス。聖杯か聖典の方がくれば」

 

 健は諦観したように呟く。

 健の残りライフポイントは2000。攻撃力2800の火之迦具土からの反射ダメージを食らえばライフは残らない。負けが決まる。

 

『十代と僕の仲を邪魔する目障りな奴め。今日こそ消してやる!』

 

 ユベルが物騒なことを口走るが健の耳には届かない。

 

「なっ、ユベル!?」

『ナイトメアペイン!』

 

 十代の制止も空しく、『火之迦具土』の攻撃を受けたユベルから光弾が放たれる。その攻撃は人を意識不明の重体にする無慈悲な一撃。それが健に直撃した。

 

健 LP2000→0

十代 WIN

 

「健!」

 

 十代は慌てて健の元へと駆け寄った。

 

「なんかソリッドヴィジョンとはいえ、ユベルの攻撃だけ妙に迫力があるような。攻撃したのが火之迦具土様だったからか?」

 

 煙が晴れた先には尻もちをつきつつも傷一つなく、感想を漏らす健がいた。

 

「ふぅー。さすがに今日は駄目かと思ったぜ」

 

 十代は安堵の溜息を吐いた。

 

「なぜに?」

 

 健は首を傾げる。

 

「なんでもねえさ」

 

 十代は晴れ晴れとした顔で笑う。

 

「ガッチャ! 楽しい決闘だったぜ!」

 

 十代お決まりの台詞とポーズである。

 

「おう。ガッチャ。ってキメ台詞でごまかしてんじゃねえよ。びびって漏らすとでも思ったのか十代? ああん?」

『ちっ、また仕留めそこなったか。火之迦具土の力でも駄目とは理不尽な奴め』

「お前はいい加減突っかかるの止めろよ」

「ほう。神職相手にリアルファイトをお望みとは」

 

 健は首を鳴らして立ち上がり、拳を握りしめた。

 

「へ?」と十代は素っ頓狂な声を上げる。

 

「さあ、神に祈りなさい」

 

 某神父キャラのように健は構える。

 

「ちょっと待った! あれはお前じゃなくてユベルに……」

「物言わぬカードを言い訳に使うとは、恥を知れ!」

 

 今度は某石化ループの御方のように言った。

 

『私の十代に手を出すというならもう容赦はしない』

「馬鹿! だから止めろって! あっ」

 

 十代はすぐさま己の失言に気付いた。

 しかし、既に時は遅し。

 

「ふっ」と健は穏やかな笑みで息を漏らす。そして、十代に掴みかかった。

 

 ユベルは十代と健の間に割って入り健を攻撃するがその手は健をすり抜ける。

 

『クッ、干渉できないなんて。ごめんね十代。君を守れなかった』

「お別れです!」

 

 ほぼ同じ身長体重でありながら十代は持ち上げられ、そのまま地面へと投げつけられた。

 

「お前ら面倒くせえー!」

 

 十代の叫びが公園に響いた。

 

 

 

 

 大昔、人々は己の魂(バー)を用いて石版や己の内に潜む精霊(カー)もしくは魔物(こちらもカー)を具現化することで戦っていた。そして、それらの魔物や神魔霊獣様々なものの魂がカードという器に宿り現代まで残っている。中には前世での因縁からカードの精霊の方からプレイヤーの元にやってきたり、守ったり、命を狙ったりというケースも稀有ではあるものの確かに存在した。

 十代が持つ『ユベル』も十代の前世に関わるカードであり、彼または彼女は十代を守るために存在する。しかし、ユベルはあまりに過保護だった。というかヤンデレだった。

 ユベルはなにかしらの理由で十代の対戦相手を昏睡状態にしてしまうのだ。

 そのため気味悪がられた十代は決闘をする相手がいなくなる所だった。

 しかし、その状況に一石を投じたのが健である。

 

「デュエルした相手が倒れるからもうデュエルしない? いや、そういう怪談話はいいからデュエルしようぜ」

 

 どういう理屈か健にはユベルの力が効かなかったのだ。さらに彼が見舞いに行くと意識不明だった子供もすぐに目を覚ました。

 それでも気味悪がられた十代だったが健の「ソリッドヴィジョンにびびって気絶したからってデュエルしないとかカッコわる」という煽りでリアルファイトを交えながらもどうにか丸く収まった。

 現在、十代との決闘は肝試しや度胸試し染みた扱いを受けている。

 とはいえ根本的な問題が解決したわけでもなく、十代は健のいない場所では決闘を自重し、また対戦相手もほとんどが健だった。

 そのことで悩んでいた十代だが、健もまた別のことで悩んでいた。

 それは十代に悪霊が憑りついているのではないかということである。

 父親から「お前は霊感だけはないからな」と評される健はカードの精霊を見ることも出来なければ声を聴くことも出来ない。

 そんな健から見ればユベルと話す十代はとてつもなくヤバイ状態に見えるのだ。

 そこである日、神主である父に相談を持ちかけた。

 

「友達に悪霊が憑りついているかもしれない?」

 

 健の父である大和は聞き返した。

 

「うん。なんかそいつはたまに誰もいないところで話したり、変な動きをしたり、何もない所を目で追ったりしてるんだ。それになんか不思議な現象に悩んでるみたいだった」

「その友達の名前は?」

「同じクラスの遊城十代」

「すまん。もう一度頼む」

 

 大和は狐に頬を抓まれたような顔をして聞き返した。

 

「遊城十代」

「もう一度」

「だから遊城十代だって」

「本当に遊城十代君?」

「しつこいなあ」

 

 執拗な繰り返しに健はうんざりしたような顔で言う。

 

「というか同じクラスだったのか?」

「ちゃんと名簿にも載ってるじゃん。母さんにばっかそういうの任せるから」

「いや、一応仕事がな。全国各地に飛び回ってるし」

「神主としてどうなの?」

「今はお前がいるから問題ないな。神様的には贋作者の私よりお前の方が良いらしい」

「ふーん」

 

 健は興味なさげに言った。大和の言葉をまるで信じていないのだ。

 

「そんなことよりなんか効き目のあるお札とかないの?」

「それならお前がこの前作ってたお守りを渡せばいいじゃないか」

「えー。あれ効果あるの? 図工で創ったやつだよ? いや頑張ったけどさ」

「一生懸命作ったっていうのが大事なんだよ」

「へー。じゃあ、今度渡してみるよ」

「それでも駄目なら今度ここに連れてくるといい」

「まあ、もう何十回か連れてきてるけどね」

「そうしたら新しいカードをやろう」

「絶対連れてくる!」

 

 健は神社で育ちながら物に釣られやすい物欲にまみれた子供だった。

 

 

 

 

「というわけでプレゼントだ十代。これを付ければ悩みが解決するかもしれないぞ」

 

 そう言って健は水晶が付いた首飾りを十代に渡した。

 

「これ、前にお前が創ってたやつじゃねえか」

「ああ、お前のために創ったんだ」

 

 大嘘である。

 

「へへっ。ありがとな健」

 

 十代は照れ臭そうに笑いながら、首飾りを身に着けた。

 

『こいつ、やっぱり十代を奪うつもりで』

 

 アッー! な展開を危惧する嫉妬丸出しのユベルは例の如く健に襲い掛かろうとするが、今日はいつもと様子が違った。

 

『んっ、力が出ない』

「ユベル! 大丈夫か!?」

「やっぱり厨二病は治らなかったか」

 

 そんなことを呟く健を無視して十代はユベルの様子を見る。すると、カードの効果が一部変わっていることに気が付いた。

 依然は『相手と戦闘になった場合』だったのが『相手に攻撃された場合』に代わっている。つまり、自分から攻撃できなくなっていた。

 

「これがお守りの効果ってやつか。もしかしたら決闘のときにこれを付けてれば……」

「そうだ十代」

 

 思案する十代に健は声をかける。

 

「なんだ?」

「なんか親父がお前に会ってみたいそうだ。親父は真の厨二病だから話は合うと思うぞ」

「厨二病? ってか親父さん家に戻ってたのか?」

「二日前からね。ちなみに珍しいカードも一杯持ってるぞ? しかもカードくれるって」

「ぜってえ、行く! てか、今から行こうぜ!」

「うんまあ、そう言うと思ったから連絡しといた」

「さすが健だぜ!」

『十代が僕以外のやつを褒めるなんて』

 

 ユベルの怨嗟の籠った声ははしゃぐ二人の子供の耳に届くことはなかった。

 

 

 

 

「初めまして。遊城十代です」

 

 十代はぎこちないながらも礼儀正しく挨拶した。

 

「私は健の父の天津神大和だ。健がお世話になっているみたいだね」

「いやー、むしろ健には世話になってばっかで」

「いやいや。これからも健の友達でいてやってくれ」

「おう。じゃなくて、はい!」

「友達ってのは頼まれてなるものじゃないと思うぜ、親父」

 

 漫画で覚えたちょっと良いセリフを言う健。しかし、だれも聞いていない。

 

「さて、それでそこの君が十代君のパートナーだね」

 

 大和は十代の横にいるユベルへと目を向けた。

 

「おっさん。じゃなくて大和さんにはユベルが見えるのか?」

「うん。これでも神主だからね。霊感みたいのはあるんだよ」

『たしかに他の人間とは違う異質な魂を感じる。気を付けろ十代』

「健の親父だし、大丈夫だろ」

『全く、君がいくら能天気な子供だとしても警戒心がなさすぎる。知らない人、いや僕以外の人と話したら駄目だといつも言っているだろう』

「それを言うなら知らない人について言ったらダメだと思うけどね」

 

 大和はユベルの過保護ぶりに顔を若干引きながら言う。

 

「おーい。息子と親友放っておいて異次元な会話するとか。これだから厨二病は」

 

 精霊がまったく見えない健は話に付いていけず不満を漏らす。

 

「すまん。俺以外に見える人は初めて会ったからさ」

「見える人ねえ」

 

 健は疑わしそうな目で十代と大和を見る。

 

「健。お前は逆に現実が見えてないからなあ」

 

 健は自分の運が良いという自覚もあり、日々神様に感謝して生きているし、信仰もしている。しかし、オカルトは全く信じていない。カードの精霊と言われても「そんなまさか」と思ってしまう。

 つまり、ちぐはぐなのだ。なにかあった時、神様に祈り感謝しつつも不思議な現象なんて現実では起こりえないと考えている。でもちょっとそういうことに憧れている。

 大和は過去に何度もその意識を解消させようとしたが、意識の問題だけでなく本人に感じ取る素養が全くなかったせいでどうにもならなかった。その代りに古今東西八百万の神々が彼を守っているのだが、ユベルとは別方向に過保護なのだ。

「百年使えば付喪神になるかも」とカードだけではなく物を大切にする健の回りにはカードの精霊やらなんやらがうろうろしていたりするが、彼はまったく気づかない。気づいてもらおうとポルタ―ガイスト的な現象を起こそうにも神々の悪戯か目に付くときには元通りになっていて気付かない。本人へ実力行使に出ようとすれば神々に邪魔されてなにも起こらない。

 そんな気付いて貰おうと頑張るその様は大和を悲しい気持ちにさせた。

 もはや神々に目を塞がれている状態。だが、相手が神だけに大和にはどうにも出来ない。

 しかし、このままでは許容量を超える力に相対した際に訳も分からずやられてしまいかねないと大和は心配していた。

 

「そういえば大和さんって珍しいカードを持ってるって健からきいたんですけど」

 

 強引な話の持っていき方だが、十代はそれほどカードのことが気になっていたのだ。

 大和は考え込むのを止め、今は息子の友達を招いた父としての役目を果たそうと考えた。

 

「神社の神主なんてしているけど、KC社やI2社からカードのデザインや作成を頼まれたりするからね」

「すっっげえ! じゃあ、まだ誰も知らないカードとかも?」

 

 十代の言葉に大和は頷き、十代のテンションは最高潮に達した。

 

「うおー、見てぇ!」

「いくらでも見せてあげるさ。ただ、数が多かったり、今はここになかったりするからね。とりあえずこういうのはどうかな?」

 

 大和は着物の裾からカードの束を取り出し、十代に渡した。そのカードのトップにあったのは『E・HERO フェザーマン』。

 

「E・HERO。かっけぇ」

 

 十代は感動したように声を漏らした。

 

「ヒーロー? 『ユベル』とか使ってるから闇属性とか悪魔族とか悪役が好きなんだと思ってたわ」

「ユベルは相棒だからな。でもヒーローはヒーローで好きなんだよ」

「よければあげるよ?」

「マジで!? 本当ですか?」

「でも『ユベル』と相性悪くないか?」

「んー。そうかもしれねえけどよ」

『十代。まさかとは思うけど僕からそんな精霊の力を一切感じない抜け殻に鞍替えしようなんて思ってないよね』

「精霊の力がない?」

「それは私が創った贋作だからね。あっでもちゃんと使えるから問題ないよ。それに大事に使えばいつかその器にも精霊が宿るかもしれない」

 

 健のデッキも神社に代々受け継がれてきたスピリットモンスターなどを除いて、ほとんど大和が自分の魂(バー)で現実世界のカードを模して創ったカードである。そのため、すべてOCG効果となっている。

 それでも正式に使うためにはKC社やI2社で登録しなければならないのだが、登録しなくても使おうと思えば使えるため事後報告になることが多い。その報告の際、ペガサスなんかは未来のカードが見れて喜ぶが、海馬社長は面倒だと大和に文句を言ってくる。

 

「偽物を贋作といえば恰好いいと思ってんじゃねえぞ親父。てかなに精霊って?」

「お前にも話しただろう。カードには精霊が宿ると。付喪神のようなものだ。あと器としては偽物でもカードゲーム的には許可とってるからレプリカとは違うぞ」

「うーん。でも親父が創ったカードだしなー。それより『ユベル』に合うカードってないの?」

「あるにはあるが、十代君にはE・HEROの方が……」

 

 その瞬間、ユベルは血も凍るような目を大和へと向けた。

 

「た、たしかに『ユベル』デッキなら暗黒界やネフティスの方が合うからな。こういうカードはどうだろう?」

 

 ビビった大和は袖から別のカードの束を十代に渡す。

 

「何枚袖の下に持ってるんだろう? 暗器か?」と健は呟いた。

 

 カードを投げて金属製のなにかに刺したりすることも出来る場合があるので、暗器でも間違ってはいないのかもしれない。海に落ちてもふやけないカードの異常な耐久度も精霊の力なのだろうか?

 

「暗黒界。へえー手札から捨てられたら効果を発動したりするのか」

「『火之迦具土』の天敵じゃねえか」

「このカード達があったらもうお前に負けないかもな」

「へー。それなら封印していたエクゾディアを解禁する時が来たか」

「げぇ、それは止めてくれ」

 

 何度も先攻第一ターンでエクゾディアを揃えられた覚えがある十代は苦い顔をした。一回目こそ完成したエクゾディアに興奮していたが、自分のターンが一度も来ないのではさすがに楽しみようがない。

 

「冗談だけどね。ってか暗黒界よりその『ネフティスの鳳凰神』様? って奴の方がきつそう。『ユベル』の進化系と合わせたら毎ターン『ブラックホール』と『大嵐』だし」

 

 健はカードの中から『ネフティスの鳳凰神』を手に取り言う。

 その際、十代とユベル、大和には『ネフティスの鳳凰神』が僅かに輝き始めたように見えた。

 

「でも、そういえば進化させるには『ユベル』を破壊しなきゃいけないんだっけか?」

「そういう時はこれだ」

 

 大和はさらに別のカードを見せる。

 

「この『おろかな埋葬』や『手札抹殺』で『ユベル』を墓地に落とし、こちらの『リミット・リバース』や『魔族召喚師』で蘇生することで『ユベル』を能動的に破壊できる」

「「おぉ」」

 

 二人は同時に声を上げた。

 

「さすが親父。腐っても自称贋作者なだけある」

「腐ってない。まだまだ現役さ」

「でもデュエル自体はそこまで強くないじゃん」

「お前の運が異常なだけだ」

「十代とあんま変わんないぞ? なあ十代」

「普段の運ならお前のが良いと思うぜ。ドローなら負けねえけどな」

「幸運Eランクの私には君達が羨ましいよ」

 

 過去に大和はいつも60枚までデッキに詰め込む健へ「なぜデッキを40枚にしないのか?」と聞いたことがある。その問いに対して健は「引きたいカードが引けるなら多い方が良いでしょ。冗談だけど」と答えた。その後、試しにデュエルして初手エクゾをされた大和は「く、クソゲー」としか言えなかったという。

 

「さて、十代君にはE・HEROも含めて渡したカードをあげよう。大事にしなさい」

「ありがとうございます!」

 

 十代は渡されたカードを大事に持ち、深く頭を下げた。

 

「親父、俺は? あっ、十代これもだろ」

 

 健は『ネフティスの鳳凰神』を十代へと差し出す。

 

「そのカードは健が使った方が良いと思うぞ」

「そうだな。その方が良いだろう。一応神と付いているし効果はともかく健の神様デッキ向きだろう。『鳳凰』もいるしな」

「マジで? まあ、それなら貰うけど、俺にもなんかサポートカードくれよ」

「お前は後だ。それと十代君。一つ頼まれごとをしてくれないかな?」

「この状況で頼みごととか。さすが親父」

 

 物で釣り、断れない状況で頼みごとをするのが大人クオリティ。

 

「今、海馬コーポレーションから新しいモンスターカードのデザインを募集していてね。十代君に案を出してもらいたいんだ。勿論、案が通れば実際にカード化される」

「そういことなら喜んで! 自分で考えたモンスターがカードになるなんてワクワクするぜ!」

「へえー、なんか考えてみよっかなー。相手のターンでも手札とか墓地から使えるカードとか欲しいし」

「おう。健も一緒に考えようぜ」

「(これでネオスが創られて『ユベル』と一緒に宇宙に送られるはず。健がいるのが不安だが、E・HEROも渡したし大丈夫だろう。それにしてもなんで十代君に暗黒界を渡してしまったんだ私? 暗黒界のメンツがOCG基準であることを願うしかないな)」

 

 後日、十代が考案した『E・HERO ネオス』と『ネオスペーシアン』が創作され、宇宙の力を与えるべくカプセルに入れられて宇宙へと飛ばされることとなる。そのロケットの打ち上げを健と十代、大和、そしてユベルは見学として見送った。

 

 その際、大和の引きつった顔が印象的だった。

 

 

 ちなみに健のアイデアというより要望で、『ネクロ・ガードナー』や『バトルフェーダー』など墓地・手札から効果を発動出来るカードが出回るようになり、健の元にも何枚か送られてきたそうな。

 

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